JR東日本の鉄道自動運転化に向けて

 現在、JR東日本は国鉄時代に入社した社員の大量退職が始まっている。そのためここ数年のペースで採用しても、5年後には社員が5,000人ほど減少する見通しだ。また、若手の乗務員が技術を身につけるには時間がかかるので、技術の伝承に不安が残るとされている。このような背景もあり、JR東日本は鉄道に自動運転を導入する方針を固めた。大西(2017)によると、自動運転の導入により、現在JR東日本が直面している乗務員減少を補うことができ、また混雑に合わせた柔軟な運行ができると考えている。

 自動運転は、すでに高架鉄道や地下鉄のように外部からの障害物が入りにくい路線で、ホームドアの完備などを条件に導入されている。例えば、ゆりかもめでは列車に乗務員がいない自動運転を導入している。しかし、自動運転であるからといって全く人が関わっていないというわけではない。ホームを映し出したモニターを中央指令所でチェックすることにより、安全に運転ができている。

 では、障害物が入る可能性が高い一般的な鉄道の路線では、自動運転を導入すべきであろうか。

 私は、現状では鉄道の自動運転をすべきでないと考える。なぜなら、鉄道会社は第一に乗客の安全を考えなくてはならないが、自動運転には安全面で課題があるからだ。1年あたりの鉄道運転事故・運送障害の件数は、ゆりかもめがそれぞれ0件/km・0.408件/km(ゆりかもめ, 2017)であったのに対し、JR東日本は0.02件/km・0.19件/km(JR東日本, 2017)であった。ゆりかもめでは、障害物が少なく、ぶつかる要素もないうえに比較的低速で走行していてブレーキがかかりやすい。このような新交通システムでさえも、自動運転を導入していない鉄道より運送障害が多い。JR東日本のような一般的な鉄道では、ホーム・踏切・線路など障害物が入ってくる可能性が高く、ブレーキから停車までは最長で600mかかる。ゆえに、JR東日本が自動運転を導入した際には、運送障害がさらに増加するのではないだろうか。

 そこで、JR東日本の運送障害の内訳を見てみると、約半数を占めるのは部外要因である。部外要因とは線路内立ち入りや自殺などのJR東日本に起因しないものだ。これらの部外要因は、事前に予測できず突発的であるという特徴がある。雨や風のような気象は一定程度予測できるため、自動運転でもモニターの監視により対応できる。しかし、突発的な要因に対してはモニターでの監視で対応できず、自動運転化では安全に運転ができない。

 このような自動運転に安全の課題がある一方で、乗務員の減少は避けられない。総務省(2014)によると、15〜64歳の生産年齢人口は2013年12月時点では7,883万人まで減少しており、今後の予測では2060年に4,418万人まで大幅に減少すると見込まれている。このような人口の減少により、人件費も高くなるだろう。乗務員減少を補うためには自動運転化が欠かせない。

 自動運転化の課題である部外要因の対策は、人や物が入らないようにする点と入ってしまった障害物を感知する点の二点だ。前者の対策としては、すでにホーム上にホームドアを設置し始めている。また、踏切に関しては、立体交差化を進めることによってその廃止に努めている。しかし、線路への侵入を完全になくすことは現状では不可能だ。そのため、線路内に侵入した障害物に対しての感知が必要となるだろう。

 現在、JR東日本はAIカメラを取り付けることによって自動運転化を進めようとしているが、暗い場面や見通しの悪い場所では障害物を十分に感知できない可能性がある。そこで、私はAIカメラを導入する動きに加えて、遠距離の障害物を感知するレーダーを取り付けることによって、安全な運転ができると考える。日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)によると、同社は前方遠距離センサーとして前方ロングミリ波レーダーを開発した。このレーダーは、車両から200m離れた障害物の感知が可能である。たしかに、鉄道の停止距離は最長600mなので必ず停止できるとはいえない。しかし、このレーダーを用いることによって、現在の運転手がいる状況と同じ安全水準で運行する分には十分であると考える。なぜなら障害物が多い場面で列車が停止できるからだ。AIカメラと遠距離の障害物を感知するレーダーに加えて、踏切ではすでに障害物感知装置が設置され始めているため、踏切に関してはその装置によって対処できる。さらに、落し物や人の転落が多いホームでは、電車が速度を十分に落としていることから、200m前で感知をしても多くの場合で停車は難しくない。障害物が比較的多いとされる踏切とホームで安全に停車することができるので、現状の安全水準を満たした運転が可能になるのではないだろうか。

 将来、技術が進歩することによって精度の高いAIカメラが開発されたり、広範囲を感知できる障害物感知装置が設置されたりするかもしれない。しかし、既存の技術で自動運転化を進めるためには、AIカメラだけでは障害物を確実に感知することが難しい。そこで、200m先の障害物を感知することができる遠距離感知レーダーをともに用いることが必要である。AIカメラと遠距離感知レーダーがJR東日本の自動運転化を可能にするのだ。

<参考文献>
日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)「HITACHI HP」2018年1月15日閲覧, http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/10/1003.html
JR東日本(2015)「会社概要」2017年11月13日閲覧, http://www.jreast.co.jp/company/outline/
JR東日本(2017)「CSR報告書2017」2017年10月10日 閲覧, https://www.jreast.co.jp/eco/report/2017.html
大西孝弘 (2017)「交通プラットフォーマーへの野望 鉄道の自動運転 JR東日本が始動」『日経ビジネス』1908,10-14.
総務省(2014)「我が国の労働力人口における課題」2017年11月13日閲覧, http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html
ゆりかもめ(2017)「安全報告書2017」http://www.yurikamome.co.jp/wp-content/uploads/2017/09/d2bac930f163e70e3178e67736cd2dcc.pdf
ゆりかもめ(2017)「会社概要」2017年11月13日閲覧, https://www.yurikamome.co.jp/aboutus/overview-2/

まさや(2年)

CCCがさらに成長していくためには〜今後の実店舗の在り方〜

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)は、DVDやCDなどのソフトレンタルショップ「TSUTAYA」をフランチャイズ中心に展開してきた。染原(2017)は、現在音楽CDやDVDレンタルは、音楽・映像配信サービスなどのネットビジネスの影響を直接受ける商品であり、従来のレンタル事業は縮小の危機にあると主張している。実際、CDレンタル店舗は1999年の4264店舗から2016年には2243店舗まで減少している(日本レコード協会2016)。
 
 このような背景から、CCCは「大型複合店」の出店という新たな事業を展開し始めた。ネット通販が全盛の時代でも存在意義がある店舗にするために『モノを売るのではなく、ライフスタイルを売るというビジネスモデルを展開していく』とCCCの増田社長は述べている(染原2017)。そのため、新店舗では既存店舗でも取り扱っていた書籍や音楽、既存の店舗では展開していなかったカフェやレストラン、ペットサービスや家電などを融合して展示し、生活に密着した店舗を展開している。

 私はCCCが行うライフスタイル提案を行う店舗の展開に、基本的に賛成である。消費者は以前に増して、「モノ」よりも「コト」に価値を大きく感じるようになっている。店舗ではモノを販売するだけではなく、その店舗でしか体験できないコトを提供することが重要になる(河合2014)。そこで、CCCが代官山にオープンした「代官山蔦屋書店」に実際行ってみた。TSUTAYAの既存店舗や一般的な書店では、「コミック」や「文庫」、「雑誌」など「モノ」を起点に棚が作られている。一方、代官山蔦屋書店では「旅行」「スポーツ」「料理」などライフスタイル別に独立した小部屋のような空間や棚づくりをしている。この店舗で提案されているものは、今の生活がほんの少しでも豊かになりさらに充実するためのアイディアである。つまりそれは少し手を伸ばせば掴み取れる憧れの生活だ。CCCは、来店した顧客がこのアイディアの中から自分の求めているものを選択し、購買につなげるための店舗づくりを行っている。私が行った際には、「料理」のコーナーでは「パンのある生活」が特集されていた。そこではパンの作り方の書籍、都内のパン屋の特集本、サンドイッチ専門店の書籍に加え、パンに関する雑貨、パンを載せるお皿、バターナイフ、ジャムなども、実際にパンを食べるときのように展示されている。また、それぞれのコーナーには手書きでコンシェルジュによるコメントが添えられており、それを読むことで興味をもってもらえる工夫もされていた。顧客はこのディスプレイから新たなパンへの興味や、今の自分の生活にはないが取り入れたらもっと生活が豊かになるものを発見し、書籍や雑貨を購入するのである。このように、書籍を読んだ先にある価値観や生活感、新たな興味や知識などを「コト」として提案する店舗が作られていた。そのため、私はライフスタイルを提供する店舗には賛成である。
 
 一方で、2017年6月現在既存店舗は全国に1461店ある。レンタル事業の縮小や書籍のデジタル化の影響は今後拡大していくため、既存の店舗でも大型新店舗で展開しているようにライフスタイルを提案していくべきである。しかし、私は既存の店舗では、大型新店舗のようなすべての人をターゲットにしたさまざまなライフスタイルの提案は、難しいと考える。なぜならば、既存店舗の売り場面積は大型新店舗に比べ狭いうえに、ライフスタイルは多様化しているため、幅広い顧客をターゲットにした提案は難しい。では、既存の店舗を活用してライフスタイルの提案をするためにはどうしたらよいのだろうか。

 そこで私は、店舗ごとにそれぞれターゲットを徹底して絞った店舗の展開を提案する。なぜならば、ライフスタイルやニーズは、世代、性別、地域によって多様化しており、ライフスタイル提案を既存店舗の限られている狭いスペースで行うためにはターゲットを絞る必要があると考えるからである。

 ターゲットを絞った例として20代30代の女性をターゲットにした料理中心の店舗の展開を考えたい。20代30代の女性は新しい情報や感性に敏感である。また、女性の社会進出が進んでおり、趣味を持ち、自分自身に時間やお金をかける人が増えているため、市場の規模が大きく、消費性向も高い(片岡 2013)。そして、多くの女性の関心が高く、生活に密着している料理の提案を行うことで興味を持ち、来店してもらえると考える。

 この店舗では、料理の雑誌や書籍、調理器具、また、料理に関連するものなどを一緒に提案し、料理の専門家をコンシェルジュとしておく。そこで、この店舗で提案する様々な料理の特集について考えたい。例えば、「クッキングラム」というコーナーではインスタグラム映えするような色鮮やかなお皿、箸置き、キャラ弁のレシピや、オシャレな盛り付け方の雑誌、またオシャレな写真の撮り方の雑誌や、カメラ本体などもともに展示する。そこで、コンシェルジュが写真映えするテクニック、料理がおいしくきれいに見えるコツや方法、おすすめの雑誌や写真の撮り方などを紹介するのだ。また、「10分ごはん」というコーナーでは簡単にできるレシピ雑誌や、レンジのみで調理できるような調理器具、万能調味料などを一緒に展示する。そこでもコンシェルジュが実際に簡単にできる調理器具の実践販売や、時短の料理テクニック、またおすすめの書籍を紹介することも考えることができるだろう。
 
 つまり、この店舗では、漠然と何かを探しに来ている顧客には普段の「食生活」や「料理」の新しい楽しみや暮らし方のアイディア、目的があって来店した顧客にはそれぞれのニーズに合わせたサービスを提供する。いままで料理にこだわりを持っていなかった人や、自分の料理を少しでもおいしく見せ、SNSに投稿したいと思っている人、料理はしたいが時間がない人など、さまざまなライフスタイルを持っている人々が新たな暮らし方を発見することができるのだ。また、コンシェルジュによるサービスやアドバイスから、雑誌・調理器具をともに購買してもらえるきっかけを作る。このように狭小な既存の店舗を活用してライフスタイルを提案するためには、ターゲットやコンセプトを明確にすることで、実店舗の強みを活かした取り組みを行っていくべきであると考える。

 近年、消費者の価値を感じるものが「モノ」の所有から「コト」の経験に変化している。また、ネットビジネスの影響により、様々な小売店が売り上げ低迷や店舗縮小の危機にある。その中で、CCCはスペースが限られている既存店舗でもターゲットやコンセプトをより明確にし、顧客に新しい価値観や生活感、新たな興味や知識を提供する店舗を造っていくことで、事業をさらに拡大していけると考える。つまり、今後の小売店の勝敗を決定するのは、その店舗でしかすることのできない買い物体験の提供や、顧客が商品を購入した先にあるライフスタイルの提供ではないか。

【参考文献】
一般社団法人日本レコード協会「CDレンタル店調査」
http://www.riaj.or.jp/f/report/rental/2016.html 2017年5月28日閲覧.
河合政尚(2014)「モノ消費だけでなくコト消費の時代へ」『Nikkei BP』
http://www.nikkeibp.co.jp/article/matome/20140220/384639/ 2017年7月4日閲覧.
片岡敏彦(2013)「増える働く女性、高い消費性向 女性市場が注目される3つの理由」『ダイヤモンドオンライン』
http://diamond.jp/articles/-/32571 2017月8月8日閲覧.
下原口徹(2016)「ネットに勝る「快適」磨く CCC・増田社長の胸の内」
『日本経済新聞』 2017年5月28日閲覧
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO98996230Z20C16A3H11A00/
2017年5月28日閲覧.
染原睦美(2017)「脱レンタル店の実像」『日経ビジネス』1892,52-60.
CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)HP「TSUTAYAの歴史」
https://www.ccc.co.jp/showcase/sc_004049.html?cat=tsutaya2017年6月21日閲覧.

よこせき(2年)

マネジャーの実像 6章「有効なマネジメント」

 本章の目的は、マネジャー自身やマネジャーと働く人たち、マネジャーの選考、評価、育成に携わる人が「有効なマネジメントとはなにか」を認識する手助けをすることである。まず優れたマネジャーの条件についてである。これに関する文献は多く存在し、例えば現状を変える勇気や他人の話を聞く能力などが存在する。著者はそれらの文献に挙げられている条件をリストとしてまとめている。このような資質を全て身につけていれば人間味には欠けるが有能なマネジャーになれる。しかし、マネジャーがこのような資質を備えていたとしても物事がうまくいかない時、まるでマネジャーが原因であるかのように扱われてしまうことがある。そんな中でも評価を保てるマネジャーはなぜ成功できるのだろうか。それは、マネジャー自身が持っている欠点が致命的な弊害をうまないからである。

 次に、組織が不幸せになる原因について触れている。著者は)椰佑了饉舛原因の失敗、⊃μ各睛討原因の失敗、E材適所でないことが原因の失敗、だ功が原因で生まれる失敗、の四つのパターンを挙げている。うまく機能するパターンはいくつかに限られているが、破綻する理由は数え切れないほどあるため上記の四つに分類を行なった。また、幸せな組織の条件についても触れている。著者はマネジメントの成功と失敗を考える枠組みとして、.┘優襯ーの糸、⊃兇衒屬蠅了紂↓J析の糸、すい視野の糸、ザ働の糸、積極行動の糸、統合の糸、の7つの糸を紹介している。これらは全部が揃ってこそタペストリーを織りなし初めて機能する。マネジメントとはお手軽には成功することができない。
 次に、マネジャーの選考・評価・育成についてである。マネジャーを選考するにあたって第一に欠点が明らかな人物を選ぶこと、第二にマネジメントされる側に発言権を与えること、第三に「外部の内部者」を探すこと、を述べている。また、マネジャーの仕事の質を評価するにあたっての著者の主張についても8点触れている。さらに、育成については大きく5点触れている。教室で知識を会得したり、ケーススタディを行なったりするのみではマネジャーに必要な力は身につけることができず、現場での経験が必要であると主張している。

 最後に、自然なマネジメントについて触れている。著者は育成を現場の中で自然に行わなければならないなら、マネジメントも自然に行うことができるのではと考えている。もともとマネジメントとは教室で学ばなくても自然に行っていたものであり、マネジメントとは自然に行うものであると主張している。組織に積極的にかかわりあい、誰もが経緯を払われ他の人たちに敬意を払う自然な振る舞いこと理想である。つまり、好ましいマネジャーとは自然で普通のリーダーで、自分にとって適材適所の役職についていてMBAの教育のマイナスの側面やリーダーシップ礼賛に毒されていない人物である。マネジメントを成功させるためには、リーダーシップを過度に重んじるのではなくコミュニティーの中で協力し合おうとする人間の自然な性質を活用することであると述べている。

【デスカッションポイント】
「中野ゼミ13期に対してどのような育成を行うべきか?」
条件:中野ゼミ(チーム研究)
チーム研究において必要だと考えるマネジメントの力とは何か?また、その力はどの糸に当てはまるか。
・計画性(エネルギーの糸、積極行動の糸)
・情報収集力 (エネルギーの糸、広い視野の糸、積極行動の糸)
・発想力(広い視野の糸、積極行動の糸)
・行動力(積極行動の糸)
・決断力(積極行動の糸)
・まとめる力(分析の糸)
・調整力(広い視野の糸)
・発言力(積極行動の糸)
・傾聴力(協働の糸)
・協調力(協働の糸)
・飲みに誘う力(積極行動の糸) など

一番多くあげられた糸の要素を身につけるためにはどのような取り組みを行うべきか?(冬合宿にできそうな取り組みを考える)

・一番多くあげられた糸は積極行動の糸であった。

《取り組み》
・他己紹介
・懇親会で出し物
・1年生だけでディベートあるいはディスカッション
・チームで一つのフィギアを作る
・ファーストインプレッションでタイプをいう


4年 わだ

マネジャーの仕事 第7章「管理業務の未来」

2018年1月19日(金)

【要約】
 ミンツバーグ(1993)はマネジャーを「公式組織やその構成単位の一部分を任されている人」と定義している。自分の担当する組織単位に対する公式権限を与えられており、この権限がマネジャーに2つの基本目的をもたらす。1つは、自分の組織が任されている特定の財やサービスの能率的な生産性の確保、もう1つは、組織がこれをコントロールしている人たちの目的に適うようにすることである。これらの基本目的は、あらゆるマネジャーが遂行する相互関連のある10の役割を通じて操作性のあるものになる。その10の役割とは、対人関係の役割として「フィギュアヘッド・リーダー・リエゾン」、情報関係の役割として「モニター・周知伝達役・スポークスマン」、意思決定の役割として「企業家・障害処理者・資源配分者・交渉者」である。
 マネジャー、特に上級管理職は労働過剰である。簡略・不連続・口頭コミュニケーションなどは、マネジャーがその職務のプレッシャーと複雑さを処理するために取り入れたものなのである。しかし、仕事のプレッシャーが職務の特徴を強化し、それがさらに仕事にプレッシャーをかけてしまうのである。この悪循環はなんとかして断たなければいけないものである。
 マネジャーの上記のような仕事のプレッシャーや、負担などの悩みを軽減するために2つのやり方がある。1つは自分ん職務を研究し、マネジャー本人が組織に与える影響力に精通するようになることである。2つ目は効果的なマネジメントのための10のポイントを実践することである。10のポイントとは、「情報の共有化・皮相性の意識的な処理・情報を共有化できる場合は職務を分担する・職務を最大限に活用する・職務から自己を解放する・状況に適合する役割を強化する・細かな点をもとにして全体像をみる・組織における自分の影響力を認識する・成長する連合体に対処する・経営科学者を活用する」である。
 これまでは、リーダーシップに関するいくつかの見解については教えられてきているが、管理業務の教育についてはほとんど知らないというのが現状である。経営管理という職務に関する特定のスキルを教える能力を持つようになった時に必要になるのは、能力(スキル)開発である。スキルの開発には3つの方法が考えられる。認知学習・シミュレーション学習・実習である。この中でも、実際にスキルを実勢する機会が必要となってくる。また、マネジャーの選抜に関する注釈としては、管理職に就けば成功するであろう人を効果的に、体系的に選抜する手段を持ち合わせていないのが現状である。そのため、マネジメントという職務の特別なスキルを示す候補者をどのように選抜するかがカギとなる。
 紺に角マネジャーは働きすぎであるにもかかわらず、自分の負担を軽減する術もほとんど持ち合わせていない。こうしたマネジャーを最後に救えるのが経営科学者である。そのために経営科学者は、マネジャーの仕事を研究し、理解し、これまで文書にされてこなかった情報にもっとアクセスする必要がある。また、経営実務の改善に貢献すべき管理教育担当者と経営科学者の成功は、研究者の成功にもかかってくる。
 
 ミンツバーグ(1993)は、本書がマネジャーの職務の確実な理解の端緒としての貢献の一つとして受け取ってもらえることを望んでいる。

ーーーーーーーーーー

【ディスカッション】
「チーム研究を進めていく中でマネジャーは必要か。」
 中野ゼミには、2年と3年が合同になって5名程度で行うチーム研究がある。そのチーム研究にマネジャーは必要なのかということをディスカッションした。本書p.269にあるマネジャーの定義『公式組織やその構成単位の一部分を任されている人をいう』という前提条件より、「マネジャー=チーム研究のリーダー」とする。

 まず初めにチーム研究にリーダーは必要なのかということをディスカッションした。結果は、「不必要」が「必要」と答えた人の票数の半数以上を占めた。
〈「必要」と答えた人の意見〉
・後輩はチーム研究の進め方が分からないから先導する人が必要である。
・主体的に教える人が必要だから。
・フィギュアヘッドの役割を担う人は必要だから。
・責任感を持つから。
〈「不必要」と答えた人の意見〉
・みんなで10の役割を担っている。
・マネジャーとしてやることがない。
・リーダーが2年を引っ張るのではなく、3年が引っ張るべきである。
・リーダー1人には頼らない方が良い。

 このようにディスカッションした上で、もう一度「チーム研究を進めていく上でリーダー(マネジャー)は必要であるか」の決議を行った。結果としては、リーダーは不必要であるという結論になった。
 先生の思い描いているチーム研究の話も含めまとめると、現在のチーム研究のリーダーというものを決める方法は簡易的なものでそこまで責任感のあるものではない。つまり、チームメンバー全員で研究を進めていくというようなものになっている。しかし、チームリーダーには主体性を持って物事を進めてほしいと先生は考えているという。つまり、本来のチームリーダーに求めていることと、実際に学生が勧めている形は異なっているのである。今後チーム研究を進めていく中で私たちは、なぜチームリーダーが必要なのか、どのような人物がその役割を担うのが良いのか、ということを考えながらリーダーを決めるべきである。また、研究を進めていく中でもチームリーダーとしての役割がディスカッションでも挙がった、フィギュアヘッドだけの存在にならないように活動していくべきだ。


いいむら・おの(3年)

マネジャーの実像 第5章「マネジメントのジレンマ」

マネジメントには、数えきれないほどのジレンマが存在する。本章ではそれらが13種類提示され、大きく「全体的なジレンマ」「思考のジレンマ」「情報のジレンマ」「人間のジレンマ」「行動のジレンマ」の五つに分類している。
一つ目の「思考のジレンマ」に分類したジレンマは、上っ面症候群·計画の落とし穴,分析の迷宮の三つである。上っ面症候群とは、マネジャーの仕事には終わりがないという性格上、膨大な量の仕事を抱え込んでしまうため、上っ面をなでただけで片付けたことにしがちであるというものだ。次に計画の落とし穴とは、マネジャーの仕事について回るあわただしさのなかで、どうやって未来を見据え、計画を立て、戦略を練り、ものを考えればいいのかというジレンマのことである。最後の分析の迷宮とは、分析によって細かく分解された世界をどのようにして一つにまとめ上げればいいのかというものだ。次に、「情報のジレンマ」については、現場との関わりの難題、 権限委譲の板ばさみ、数値測定のミステリーの三つがある。一つ目の現場との関わりの難題とは、マネジメントの対象から乖離することを避けるために、どうすれば現場の情報を途切れなく入手し続けられるのかというジレンマである。一つ目の権限委譲の板ばさみとは、マネジャーが組織のほかのメンバーより、業務の実際に詳しく他人に仕事を任せづらいケースに生じる。最
後の数値測定のミステリーとは、数値測定に頼れないときにどのようにマネジメントを行えばいいのかという問題である。「人間のジレンマ」に関しては、秩序の謎·コントロールのパラドックス·自信のわなの三つが指摘されている。一つ目の秩序の謎とは、組織のメンバーの仕事に秩序をもたらすために、マネジャーはどのように振舞えばいいのかというものだ。一つ目のコントロールのパラドックスは、自分より地位の高いマネジャーが秩序を押し付けてくるとき、どうやって統制された無秩序を維持すればいいのかというものである。最後の自信のわなとは、傲慢への一線を越えることなく、適度の自信を保ち続けるためには、どのように振る舞えばいいのかというものだ。
「行動のジレンマ」に関わるジレンマは、行動の曖昧さと変化の不思議である。行動の曖昧さとは、ややこしくて微妙な差異が大きな意味を持つ環境で、マネジャーはどのようにして決断力を発揮すればいいのかというものだ。もう一つの変化の不思議とは、継続性を保つ必要がある状況で、どのようにして変化をマネジメントすればいいのかというものである。
最後に「全体的なジレンマ」について、マネジャーにとって数々のジレンマに同時に対処するということ「究極」のジレンマからは逃れないのである。


【ディスカッション・ポイント】
自信家のマネジャーと謙虚なマネジャーのどちらと働きたいと思うか。
過去の経験を基に議論して頂きたい。
<定義>
自信家のマネジャー:トップの意志を直接的に反映させようとするマネジャー
謙虚なマネジャー:周りの意見を聞いて、全員が納得するような方向性を導き出すマネジャー

【自信家派の意見】
・自分で意思表示をしないリーダーにはついていきたくないから
・迅速な判断をしてほしいから
・予期しないことに対して、適切に処理してくれるから
・トップの意志を反映してほうが、会社としてうまく回るから

【謙虚派の意見】
・下に任せてくれることによってモチベーションが上がるから。
・現場の意見を抽出し、上にあげてくれるから。
・暴走を抑えられるから
・成長できる機会が豊富そうだから。

『謙虚』の定義があいまいであり、フロアを混乱させてしまったが、多数決を採ったところ『自信家のマネジャー』の方が一緒に働きたいという結論に至った。


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