ブラックスワンの経営学(第3章)

【要約】
 まずキティ・ジェノヴィーズ事件という事例が取り上げられている。この事件は、ある女性が刺されても周りの人が警察に通報しなかったということで、当時のニューヨークでもありえないことであった。この事例を実験室実験と自然実験の2つ実験検証している。一つ目の実験室実験とは、環境を人為的に作り出し行う実験であり、脈格(コンテキスト)をコントロールできるという点が強みである。二つ目の自然実験とは、事件そのものの事例のことである。前者の方法は当時と同じ環境を人為的に作り出すためどうしても普段の生活における自然の反応や行動を観察することが難しい。しかし、後者の方法はその事件そのものを事例としても挙げることで似たようなコンテキストの事例を加えていくことで有益な知見を得ることができる。
 続いて、ギルバードの組織慣性の研究である。これは、組織がこれまでにない大きな変化に直面し、その脅威を感じ取ったとき、どのような反応をするのかを研究したものであるこの研究結果として2つの見解が見られている。1つ目は脅威を感じとると、組織慣性はまって変革が促される。2つ目は脅威を感じ取ると、組織慣性は強まって変革が妨げられる。この2つの見解は正反対である。これについてギルバードは何について慣性かをしっかり整理していないから相違が起きると指摘している。この見解が異なることを本書では、「ねじれ現象」と呼んでいる。そこで組織慣性には2種類あると述べられている。資源頑強性とルーチン頑強性である。このどちらの慣性がどのように変化するのかをギルバードは新聞業界を事例に研究を行った。結果として有益な知見が得られたのであるが、その理由としてギルバードは、状況をコントロールしつつ、比較できる理想的な事例選定を行い十分な情報を集めて、厳格な手続きを行うことによって「ねじれ現象」を明らかにした。また何度も反復実験を行うことによって信憑性を高めていったのである。
 以上の研究から得られることとして筆者は2つ指摘している。1つは自然実験発想で反復実験をすることの大切さである。ここで事例の数にこだわるのでなく、仮説明確にしたうえで事例を観察していくことが確かな結論を導くことができる。2つ目に反復実験がうまくいかなかった場合の考察である。仮説を明確にしてもその仮説あてはまらない事例もでてくる。そのような事例に対して、徹底的になぜそのような結果になったのかを考えることが必要である。どのような時と場合にこの結果が得られ、このような時と場合にはこの結果は得られないといった具合に場合分けが重要なのである。
 
【ディスカッション】
 本書では、組織において、ある種の慣性は脅威によって緩和されるが、別の種の慣性は脅威によって強化されると述べられている。このような事態を本書では、「ねじれ現象」と呼んでいる。この慣性には2つの種類がある。1つ目は経営資源の配分の仕方にかかわる慣性である(資源頑強性)。この慣性が強いと新しい資源配分パターンを実施することができない。2つ目は業務のオペレーションについての慣性だ(ルーチン頑強性)。これが強いと業務プロセスの変革が妨げられる。それではゼミのチーム研究という組織において「ねじれ現象」が起きてしまった場合。どのように解消するのかディスカッションをおこなった。

「前提」
 あるゼミナールのチームである1班は3年生3人、2年生2人でチーム研究をおこなっていた。そこで、3年生がスーパーマーケットのテーマを出し、研究を進めることになった。チーム研究は、3年生が主導で行い、2年生の意見を聞き入れてもらえない(テーマに対して不満)現状があった。3年生と2年生の意思疎通はあまりはかれていなかった。1班は2週に1回進捗情報を発表しなければならなかった。1班では、発表に間にあわせれば良いという考えが3年生の中で強かった。2年生は十分な情報収集を行い、チームで話し合いながら研究を進めていきたいと考えている。
そしてこの場合、資源頑強性を「知識・時間・労力をかけること」とし、ルーチン頑強性を「今まで通りテーマを決め方、活動の仕方」とし、脅威を「リサーチクエスチョンがこのままではいけない」こととする。

 議論の中で出た意見として、まず人間関係の意見として、2年生の意見を聞いてみる、試しに2年生主体でやってみる、チーム全員が主体となれる環境をつくること、他のゼミ生からの意見を活用することがあげられた。次に時間に関しての意見として、あえて時間を短くしてみる、個人でできる作業はあらかじめ済ましておくことがあげられた。最後に研究のテーマについての意見として、ルーチンを変えてみる、フィールドワークからテーマを見つける、なぜこのテーマではいけないのか考える、研究の穴からテーマを決めることがあげられた。

 今回の議論をまとめると、チーム研究においてねじれ現象が起こってしまったときの解消法として、2つのことが重要であることがわかった。1つは時間を有効的に活用することである。もう1つはテーマを決める・変える際に工夫を凝らしてみることである。このことから、チーム研究においてねじれ現象が発生してしまったら、上記の2つのことを意識してみては良いのではないだろうか。

やまざき(3年)

ブラックスワンの経営学 (第4章)

【要約】
 創刊男の異名をとる起業家、くらたまなぶ氏は、インタビューの際に必ず相手の生活空間に飛び込むそうだ。生活空間というのは、その人が自然体でいられるコンテキストである。くらた氏流のマーケティングのポイントは、ものごとの本質を見極めるときには、堅苦しいインタビュー調査ではなく、相手が心を開いてくれるような環境と設定で行うべきだということだ。相手がいつも通りにふるまえるような現場の環境でなければ見つけられないブラックスワンもいるようである。このことは、学術についても同じだ。学術研究においても現場で観察し、それと並行するようなかたちでインタビューを行うのが理想的である。本章では、現場の調査を通じて意外な事実を見出す方法について紹介する。

 本章で紹介する研究論文は、理想的な現場観察とインタビュー調査の一つのお手本である。エルズバッハとクラマーはハリウッドで、実際のピッチミーティングを間近で観察し、インタビューすることで、脚本家の創造性がどのように判断されるのかの実態に迫った。アカデミー・オブ・マネジメントは、彼らの研究を非常に高く評価して、最優秀論文賞を授与した。

 この最優秀論文賞受賞論文から学べることは何だろうか。それは一言で言えば、現場から情報を収集し、コンテキストを大切にしながら解釈して分析を行うことの大切さであろう。エルズバッハとクラマーは、コンテキスを大切にして調査をしている。ここでは2つのポイントに沿ってコンテキスの大切さを確認する。1つ目のポイントは、現場で聞き出すということである。現場でなければ確かめられないことはたくさんある。インタビューや観察も然りだ。現場だと、言葉になりにくい暗黙知なども聞き出せるのである。2つ目のポイントは、仮説を持ち込みつつも執着してはならないことである。現場が宝の山だからだと言って、闇雲に飛び込めばいいというものではない。仮説があるからこそ「その通り」「違う」ということが明確になる。違うにしても、何が違うのか、考えを深めることができるのだ。ただし、実際の調査では、そもそも、最初に持ち込んだ仮説が全く的外れであったということも少なくない。それゆえ、特定の仮説に執着するのは得策ではないのだ。事例研究の一つの特徴は、厳密な検証にこだわり過ぎることなく、柔軟に、本質を探索することができる点である。予期しない形で、思いもしなかった本質にたどり着くことができるのだ。

【ディスカッション】
 本章では、インタビューを行う際に、相手の生活空間に入り込むことが大切であると述べられている。企業でよくあるインタビューで、白い壁と事務用デスクの会議室に招いて向き合って聞くという光景があるが、これは最悪の対面インタビューである。なぜなら、現場から遠い特殊な環境で意見を聞き出そうとしても、なかなか本音を聞き出せるものではないからである。しかし、実際に企業にインタビューを行う際、本章で最悪と言われている、会議室に招かれインタビューを行うことが多いと感じる。そこで、「チーム研究のインタビューで、白い壁と事務用デスクの会議室に招かれた場合、どのようにインタビューを行えば、相手の本音を聞き出せるか。」というディスカッションを行った。

 設定として、我々のチームは「農業参入した企業の多くは撤退しているが、なぜマサヤファームは事業継続できているのか」ということを明らかにしたいと考えており、株式会社マサヤファームの代表取締役社長のマサヤ様(45)にインタビューを行う。マサヤファームは農業事業を行っており、ほうれん草の生産及び販売をしている。従業員数は30名であり、代表取締役社長であるマサヤ様も従業員とともに農業を行っている。また、マサヤファームは各メディアで注目されており、本も出版している。インタビュー時間は60分で、こちらからのインタビュー参加人数は1〜5名を予定している。ちなみに、今回現場となる農地は遠い場所にあるため、インタビュー日に行くことができない。インタビューの主な質問項目として、「なぜマサヤファームは事業継続ができているのか」「どのようにノウハウを得たのか」等についてインタビューを行おうと考えている。

 議論を行う中で出た意見として、相手を褒める、事前に本を読んだりしてマサヤ様がどんな人なのかを調べる、少々オーバーリアクションをする、お土産を持っていく、相手が言ったことを反復するなどの意見がでた。また、本章で言われているように仮説をあらかじめたてる、事前に農家の方にもお話を伺う、相手に共感した上で自分の考えを言う、なぜを繰り返すという意見もでた。おもしろい意見として、マサヤファームに興味を持っていることをアピールするためにマサヤファームのほうれん草を事前に食べたり、実際にほうれん草を持っていくという意見をあった。

 今回の議論をまとめると、相手の本音を聞き出すためには2つのことが重要であることが分かった。1つ目は、相手を褒める、共感するなど、相手がもっと話したいと思える雰囲気をつくることである。2つ目は、事前に本を読む、農家の方にお話を伺う、なぜを繰り返すなど、主体性をもって事前準備や当日のインタビューを行うことである。以上の2点が相手の本音を聞き出す際に重要な点になると考えた。

 我々はチーム研究や卒業論文などの調査で実際にインタビューに行くことが多い。また、社会人になれば、様々な人と話す機会も多くなるだろう。その際に今回の議論が活かせれば、この議論は非常に意味のあるものになったのではないかと考える。

よしだ(3年)

ブラックスワンの経営学(2章)

【要約】
たったひとつの事例でも価値がある。価値といっても、典型的な姿を伝える場合や、常識を覆すきっかけとなる場合もあり、様々な価値を持つ。そのような事例研究は、先端事例、代表事例、逸脱事例、原型事例という4つに整理・分解できる。
1つ目の先端事例とは、他社が検討しているアクションを、他社に先駆け起こされた事例である。当初はありえないと思われるが、将来の代表事例になりうる。2つ目の代表事例はある関心ごとについての典型例である。その中でも、中庸的存在を典型とみなす場合と、代表例を典型例とみなす場合がある。この事例では、典型例を見つけるためにカテゴリーを絞る必要がある。3つ目の逸脱事例は、通説に適合していない事例である。これによって、既存の理論の限界を示し、イノベーションの着想を得ることができる。先端事例との違いとして、、現在も将来も逸脱事例であることが挙げられる。4つ目の原型事例は、ある関心ごとを生み出した最初の事例である。この事例によって、その関心ごとの本質の理解が得られる。これら4つの事例の中でも、これまでの通説を覆す、逸脱事例の研究は社会的にも高く評価される。
組織変化というのは経営学会の中でも非常に関心の高いテーマである。アカデミー・オブ・マネジメントでも多くの権威によって研究されていて、その中の通説の1つに、「小さな変化が積み重なるだけでは『抜本的な変化』には至らない」というものがある。この通説の代表格が「断続的均衡モデル」であり、マイケル・ダッシュマンはこのモデルを提唱し、組織変化の権威となった。このように、リーダーシップが組織変化には欠かせない要素として言われているのが通説である。しかし、プルーマンらはある事例を観察したことで、この通説に疑問を持つ。その事例が教会で起きた組織変化である。そこでは、小さな変化が増幅して大きな変化となった。
この逸脱事例において、不安定な脈絡のもとでは、小さな変化は、他の小さな変化を誘発し、変化が増幅することがわかった。そして、このような変化のあり方は、このような変化のあり方はリーダージップの役割の通説に疑問を投げかけることにもなる。それが、従来の
ような変化を生み出し、その引き金を引くのだけがリーダーの役割なのではなく、小さな適応をキャッチし、それをうまく言葉で表現することもリーダーの役割であるということだ。
この事例が逸脱であると言い切れるのは、この調査が慎重なデータ集め、最新の注意を払った分析によって行われているからである。まず、データ集めにおいては、オープンエンドのインタビューを複数人で行い、書き起こしもして、きちんとインタビューノートを取ることが重要である。また、エリートバイアスや振り返りのバイアスを避けるためには、前者は組織に関わる全てのスタッフにインタビューを行う、出来事が起きた時に記録された資料と突き合わせて事実確認を行う必要がある。
次に、分析においては、組織を見るための様々なレンズについて吟味してテーマを決め、そのテーマについて、要因として議論する。議論したのちコード化によって集めた情報を概念化する必要がある。これらの作業を複数人で行い、複数の視点で見ることが事例研究において、重要なのである。

【ディスカッション】
本書において、コード化は1人でやると不安定な結果になるため、2人以上で行うのが良いと述べられていた。しかし、2人以上でやる場合、よく意見を言う人が間違っていたら、その間違っている人に引っ張られてしまい、かえって1人でやるときよりも間違った結果になってしまうと考えた。そこで、ディスカションテーマとして、「コード化は一人でやるのと二人以上でやるのとどちらが良いのだろうか?」というものを挙げた。
だが、前提固めの不足によって、一人一人のイメージする状況ごとに意見が出てしまう、主観的な意見が出てしまうことによって議論がまとまらないとの結論に至り、本ディスカッションテーマは破棄することにした。そこで、新しいディスカッションテーマとして、「ゼミのチーム研究において逸脱事例を研究対象とするのは本当に面白いのか?」について議論した。

逸脱事例を対象にする面白さとして、少し考えてもわからない事例であることや、その事例によって新しいイノベーションが生まれることが意見として挙げられた。また、そのような事例がなぜ今まで起きなかったのか、明らかになっていなかったことを理論的に説明しうることも研究対象にする面白みであるとの意見が出た。
一方、面白くない点としては、事例研究の中でも特に逸脱事例は一般化が難しいこと、一般化が難しいためにインプリケーションが得にくいことが挙げられた。
フロアの全体的な雰囲気として、逸脱事例を研究することは、テキストでも言われているように今までになかった新たな発見を見つけられるので面白いという意見で一致していた。しかし、実際、中野ゼミで逸脱事例を研究していても、研究発表においてゼミ生や先生から、「その研究の面白みは?」と聞かれてしまっている。そこで、次に、「なぜ面白くないと言われてしまうのか?」をフロアに聞いてみた。
意見として出たのは、逸脱の度合いが弱いこと、意味のある逸脱事例を見つけられないこと、知識不足によって今までの理論とどう違うのか説明できないこと、事例自体は逸脱でもRQの設定が面白くないことなどが挙げられた。また、RQの設定に関連して、どのよう観点で見るのか定まっていないことも挙げられた。これらフロアの意見は大きく2種類に分けられる。1つは、今までの理論と異なった面白い逸脱事例を見つけられないこと。もう1つは、逸脱事例を見つけられても、理論的な観点での面白みを説明できないことである。いずれにしても知識不足が主な原因としてあげられた。

この議論をまとめると、チーム研究において逸脱事例を研究することは面白いが、そのせっかくの面白みがゼミのチーム研究においては発揮されていないという結論に至った。その理由として、知識不足による、逸脱事例の発見の困難さ、理論的に逸脱性を説明することの至難さがあげられた。したがって、そのためにはゼミ活動でのアウトプットだけを重視するのではなく、普段の授業をきちんと受けて知識をインプットする必要がある。

【感想】
今回の議論では、自分の持ってきたテーマではなく、フロアが持ってきたテーマについて意見を出してもらった。しかし、本来であれば、自分たちファシリテーターが出したテーマについて議論するべきである。したがって、粗末なテーマを持ってきた自分の甘さについてはよく反省したい。また、新しく出したテーマにおいても進行能力の稚拙さによって、フロアの意見を活発にすることができなかった。これもいい経験にはなったが、改めてファシリテーターの役割とはどのようなものなのかについてインプットすることから始めたい。

やざわ(3年)

ブラックスワンの経営学(まえがき 1章)

【要約】
 本書のタイトルである「ブラックスワン」とは、「ありえない事象のこと」を意味している。学術者の果たすべき役割とは、この「ブラックスワン」を世に広めることなのである。また、ブラックスワンを見つけるのに適している研究方法として本書で挙げられているのは事例研究である。

事例研究とは、大量にデータを集める統計的調査とは異なり、少数の事例に注目し、その事例から得られる示唆を探究する研究方法である。事例研究は、1つ1つの事例における状況を非常に重要視して研究を進めるため、その事例で成り立っても他の事例に一般化できるとは限らない。しかし、統計学的研究にはない素晴らしい力を持っているのだ。本書では、三つの力が挙げられている。

 まず、人間の知性を活発にする力である。それぞれの事例における細かなコンテキスト(脈略や状況)を大切にするのが事例研究である。例えば、何か未知の状況が起こった理由を他の事例から探すとなった場合には、その他の事例におけるコンテキストと、今解明したい未知の状況におけるコンテキストの違いをよく見極める必要があるのだ。このように、コンテキストの細かいところまで解読しようとすることで、人間の思考力は向上するのだ。次に、複雑な現象に対応する力がつくと言われている。複雑な社会現象を読み取って新たな因果関係を解明するという点において、複雑な現象を対処することが出来るようになるのだ。そして3つ目には将来を切り開く力が挙げられている。これはつまり、前例が少なくても有効な仮説を導く力のことだ。少ない事例の中でも、コンテキストをしっかり細かいところまで読み取って仮説を類推することで、現在起こっている未知の現象における仮説を導くことが出来る。

 少し前まで、事例研究は「不十分な研究手法である」と見下されてきた。しかし、上記で挙げた3つの力を得ることが出来るという点や、今まで解明できなかった因果関係を明らかに出来るという点から、決して軽視してはいけない研究手法なのだ。このように、因果関係を明らかにするという点において強みを持っている研究手法であるため、統計的調査などとの併用が進められている。事例研究で因果関係を明らかにし、仮説を立てることが出来たら、その仮説の一般化のために統計調査を行うといった形で、これらの研究手法は補完し合うのだ。

【ディスカッション】
 本書にて、「ある領域では未知のことであっても別の領域では既知かもしれない。そこで、他領域であっても時間的に先を行く過去の事例に答えやヒントを求めることがよくある」と述べられていた。しかし、本当に他領域の事例から学ぶことが出来るのだろうかという疑問を持った。そこで私たちは、「コンテキストは非常に似ているが他領域の事例」と「コンテキストは異なっているが同じ領域の事例」の2つがあった時、どちらから学びを得るかということを議題に、ディスカッションを行った。

 前提としては以下の通りである。私たちはセージフィルムの新規事業推進部である。セージフィルムはフィルムカメラを製造販売する中小企業であり、早急に多角化を行いたいが、自分たちが持っている技術の活かし方、多角化における資本や人員のやりくりの仕方がわかっていない。そこで、過去の多角化における成功事例から学びを得ることにした。研究対象候補は2つある。まず1つ目は、フィルムカメラ事業における大手企業であるコージフィルムである。コージフィルムはフィルムカメラ事業においてシェア1位を誇っており、化粧品業界へ多角化することで成功を収めた。ポイントは、同業種であり技術の活かし方を学ぶことは出来るが、企業規模が異なるため資本、人員のやりくり方法は活かせない可能性がある。そして2つ目の事例は、家庭用ゲーム機業界からドローン事業へ多角化し成功を収めたニンタンドーである。企業規模はセージフィルムと非常に似ており、事業内のシェア、資本金、従業員数は同じである。つまり、人員や資本の活用方法は学べるが使用している技術は異なるため技術の活用法を学ぶことは出来ないのである。このように2つの事例があった時にどちらの事例を研究しセージフィルムの多角化への学びとするかの議論を行った。

 コージフィルムを研究するという意見としては、「技術の活用方法を学ぶことが先である」「技術の活かし方を学べる方が多角化を進めるにおいてのメリットが大きい」などの意見が挙げられた。今回の議論の「早急に多角化を進めなくてはならない」という前提が非常に重要なポイントであると考えている人が多く、早急に多角化を進めるにはまずは技術を学ぶことが先だろうという意見が多かった。一方で、「大手企業の多角化を研究しても中小企業である自分達の実践に落とし込めない」という懸念から、「ニンタンドーを研究する」という意見も挙げられた。ニンタンドーを研究することで学べる知見としてフロアが重要視したのは、多角化における組織構造である。組織構造がもし失敗したら簡単には持ち直せないため、まず多角化を確実に行えるような組織を作るべきだという意見が挙げられた。

 まとめとしては、組織構造に関して学べることが少ないとしても、まずはそもそも技術をどう活かすかを考えるべきであるという意見の方が多く挙げられた。また、前提として私たちが「新規事業推進部」であるということから、私たちが果たす使命としては、まずセージフィルムがこれから自分たちの技術をどう活かすかを決定させることであろう。このように、私たちがこれから何をしていくかを考えた際に、セージフィルムの今後の方向性をまず考えるべきだという意見が多かった。今回の議論では、コンテキストが異なっていても同業種からの方が学びが多いという結果になったが、重要なことはコンテキストをどれだけ正確に読み取れるかということである。よって、コンテキストが違う事例を研究するとしたら、どの部分が異なっているのかなどをしっかり考慮したうえで、研究を進めたい。
 
ほりいけ(3年)


「バカな」と「なるほど」経営成功の決め手!(pp.212~pp.236)

【要約】
安全運転は新事業の敵ということで、国鉄(現JR)を事例に述べられている。今や、値段が低くても、機能が優れていても多くの人を引きつけることはできない。そこには感性や味の要素が加わってなければならない。それに伴い、日本ではサービス業の重要性が年々増加してきている。今までサービス業を行ってこなかった企業も新たにサービス産業に進出する必要が出てきている。サービス産業をやってこなかった企業がサービス産業に進出する場合、別会社を立てて新事業を始めるのが良い。理由は2つある。1つは、サービス産業は軽佻浮薄であり、流行り廃りが激しいため、流行に合わせて勤務時間を変更させる必要があるからである。もう1つは、職場の雰囲気をサービス産業に合わせたものにする必要があるからである。
しかし、今までサービス産業をやっていなかった企業がいきなりサービス産業に進出するのは難しい。なぜなら、そのような企業にはサービス産業に適した人材を持ち合わせていないからである。従って、新事業をやるのに適した人材を獲得する必要がある。その場合、既存の従業員は前までの企業の理念や体質が染みついているので、その人たちをサービス産業に適した人材に育てるのは難しい。それよりも、企業の中にいる少数のサービス業に適した人材を新事業の中心に抜擢したり、外からそのような人材を獲得したほうが新事業を進める上では有効である。
それに伴いトップの役割も重要になってくる。トップの果たす役割は普段は何も口を出さず、予期せざる業績悪化があった時のみ、社内の批判から新事業部を守り、支援しなければならない。トップがこのような役割を果たすには、まず自分自らを洗脳しなければならない。おそらくサービス産業に進出したことのない企業のトップはサービス産業のノウハウもなければそれに適した人材でない。そのため、自分を洗脳してサービス産業を好きになり、サービス産業は社会的に見て価値の高い産業であると信じ込まなければならない。
ここまでのいろいろな工夫をこなしても、新事業の成功率は高くはない。逆に言うと新事業の失敗率は相当高いのである。したがって、新事業のマネジメントは失敗のマネジメントである。失敗にうまく対処するか。失敗の中でいかに成功するか。こういう失敗に対するマネジメントが新事業のマネジメントとして重要なのである。このようにしてサービス産業を成功させても、依然として既存企業がその企業の中で大きなウェートを占めることは間違いない。そのため、新事業ではぐくまれた人材や組織風土を既存事業に還元させて、既存事業がサービス化すれば企業全体でよりよい方向に進んでいけるのではないのだろか。

【ディスカッション】
本書では新しいサービス産業を始めるときには、別会社方式で行うほうがよいと述べられていた。その理由として、1つは商売の繁閑に合わせて、勤務時間を柔軟に変えることができる。もう1つは職場の雰囲気を変えることができると述べられていた。
 では財政難に陥っている企業が新規事業に進出する場合、別会社を作るか、作らずに会社設立のコストを新規事業に配分するかということをディスカッションした。
「前提」
鉄道業一本でやってきた中野日本は、飲食業に参入することが決定した。現状の中野日本はネクラの人が多く、サービス精神が無く、オフィスが暗い。そこで新しく参入する飲食業では、ネアカの人、サービス精神がある人を取り入れ、そして明るいオフィスにしたい。
しかし財政難に陥っているため、「別会社を作ること」、「会社設立の費用を新規事業に投資する」のどちらかしか選ぶことができない。別会社を作る場合、現在いる社員の何人かを解雇し、その資金をもとに新しく従業員を雇う。対して、別会社を作らず会社設立の費用を新規事業に投資する場合、飲食業に向いた従来の従業員の育成と新しく外部から調達することができる。会社を設立する土地は、もともとの中野日本の所有している土地(駅)を利用できることとする。

ディスカッションで出てきた内容として、まず別会社を作らない意見では、コスト面の意見が多くだされた。具体的には、別会社そのものを作ってしまうことで、会社設立コストがかかってしまう。この中野日本は財政難に陥っているため、別会社をつくることでよりリスクが増大していくこと。また鉄道業一本でやってきたので、新規事業の飲食業は不確実性が多く、コストを財政難解決へかけるべきだという意見あげられた。その他の意見として、別会社のコストを新しい人材確保にあてるべきだ。ネアカの人材を採用することで、ネクラの人材に良い影響を与えることができるのではないか。そもそも新しいことの影響を受けにくいのではないか。新事業を行うことで、鉄道業のイメージも良くなるのではないかという意見が出された。
 別会社を作る意見では、会社イメージの意見が多く出された。具体的には、別会社にすることによってネアカ、サービス精神、オフィスを明るくするといった会社が求めている人材や雰囲気に沿うことができる。飲食業の成功において、新しい人材や雰囲気が良い方が明るいイメージの方が成功しやすい。また飲食業の明るいイメージが、暗いイメージの中野日本のイメージを明るくすることができるといった意見があげられた。その他の意見として、人はすぐに変わることができないので、新しい人材、場所で行うべき。同じ会社で事業をおこなってしまうと、従来の人材と新しい人材が衝突してしまう可能性がある。別会社で新しく体制を整えた方がよい。会社を作ることでコストが出てきてしまうが、新事業で儲けたコストを親会社に配分することができるといった意見が出された。

この議論をまとめると、別会社を設立してしまうとその分コストがかかってしまう。しかし、別会社にすることによって、サービス業には欠かせないネアカ、サービス精神のある人材の確保、オフィスを明るくすることができる。このような人材や雰囲気がサービス業の成功につながる。そのため今回の議論においては、会社のイメージを変えるために、別会社を設立すべきであるという結論に至った。

やまざき(3年)

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