ファンデリーの顧客を増加させるアプローチとは

 内海(2017)によると、ファンデリーは2000年に設立され、健康弁当の通信販売と栄養相談を行っている会社である。ファンデリーは、弁当を購入する顧客に対して、栄養士が電話でカウンセリングすることを最大の売りとしている。また、顧客が負担するのは弁当代のみで、登録料やカウンセリング料はかからない。ファンデリーが運営している健康弁当の通販サイトでは400種類以上の弁当を取り揃えており、カロリー制限、たんぱく質調整、ケア食など様々な顧客の要望に対応可能である。ファンデリーはこのような弁当を500円程度で提供している。
 
 私はファンデリーの方針に賛成である。その理由は3点ある。

 1点目は、顧客の幅が広い点である。ファンデリーが顧客として扱っているのは、自宅で栄養管理が必要な患者、高齢者、健康志向である人などである。利用者には、血液検査などを用いて、一人一人に合わせたカウンセリングを行っている。高齢者には咀嚼しやすいように柔らかい弁当を提供し、健康志向である人には、カロリーが弁当一つ一つに表示してあることからなど簡単に自分で健康管理ができるようになっている。このように栄養管理を通じて食生活全般からアドバイスしている。

 2点目に、顧客の視点から適切な価格の設定でサービスを受けられる点である。食生活から健康を改善するには継続することが大切であり、それには費用もかかる。ファンデリーの健康弁当は、朝食、昼食、夕食の指定もなく一食500円程度で提供されているため、客が利用しやすい価格である。東京都(2012)より、平日の昼食一食にかける平均金額は500円以上800円未満が一番多いことが分かる。そのためファンデリーは顧客を掴むための優れた価格設定をしていると言えるだろう。
 
 3点目は、ファンデリーの視点から、ロスを最小限まで抑えている点である。1点目に挙げたようにファンデリーは多種類の弁当を取り揃えている。多種類の製品を取り扱っていればそのコントロールは難しくなる。そうするとどうしてもロスが増えてしまう。そこで、ファンデリーは弁当を冷凍にすることで賞味期限を3ヶ月〜1年にしている。賞味期限を長くすることで顧客の発注の量に合わせて長期的に在庫量を調節することができるようになるため、廃棄ロスをゼロまで抑えることができるのである。
 
 しかし、現在のファンデリーは、自社のサービスで対応できる顧客を全て掴むことができていない。そこで、私はファンデリーの顧客へのアプローチ方法を変える必要があると考える。その際に考慮すべき点として、外部環境要因が二点、内部環境要因が一点存在する。

 まず、外部環境要因の一点目について述べていく。日本経済新聞(2017)によると、配食産業市場は一貫して伸張傾向であり、今後も拡大することが予想されている。これに合わせてファンデリーも市場を拡大していかなければ他社に市場を奪われてしまうだろう。二点目の外部環境要因として、配食産業にすでに競合他社の存在していることが挙げられる。配食産業の顧客は定期的または長期的に利用するため、スイッチングコストが高いと言われている。さらに、スイッチングコストが高いことは、他社に乗り換えられるリスクが低いという長所となる。一方で、他社からファンデリーに乗り換えさせることは簡単でない点も短所として挙げられる。そこで、ファンデリーは市場拡大に適応するために、新規顧客に注力したアプローチをすることが必要であると考えた。

 最後に内部環境要因として、ファンデリーの売上高のおよそ90パーセントが配食サービスで占められていることが挙げられる。時代の流れによるリスクを回避するために多角化する企業もあるが、事業を単一にすることで、資本や労働力を一つに集中し、効率的に事業を進めることができる。さらに、健康食宅配サービス市場が拡大していくため、ファンデリーは他事業を始めるのではなく、今後も配食サービスに特化していくべきだと考える。

 ファンデリーの競合他社の顧客は、ファンデリー同様主に病人や健康志向の強い人などであるため、現在ファンデリーは顧客へのアプローチにおいて他社と差別化することができていない。そこで、私はファンデリーへ顧客へのアプローチ方法を変えることを提案したい。ファンデリーが個人顧客へのアプローチだけではなく、健康食サービスを必要としている病院や介護施設といった組織へのアプローチを始めるということである。

 この提案により、ファンデリーは上記の三点の方針をさらに活かすことができると考える。まず、もともとファンデリーのサービスは顧客の要望に柔軟に対応しているため、アプローチ方法を変えることによって増加する顧客に対しても容易に対応することができる。つまり、既存サービスのまま新規顧客への対応が可能なのである。次に、弁当が安価であることから、顧客を獲得しやすい点が挙げられる。患者は退院したからと言って完治したわけではなく、退院後も長期間に及ぶ栄養管理を自宅で行わなければならない場合もある。その点で、ファンデリーは他社と比べ比較的安価に弁当を提供しているため、患者は長期的に利用することができるだろう。さらに、顧客へのアプローチ方法を変えたとしてもロスが増えることはない。なぜならファンデリーは弁当を冷凍して管理しているため、現在のロスもゼロに近く、顧客数が多くなったとしてもロスの増えにくいことが予想されるからである。

 これらに加えて、一つの組織にアプローチできれば効率的に新規顧客を増やすことができるというメリットも考えられる。ファンデリーは、現在新規顧客の獲得を顧客とオペレーターの一対一で対応している。しかし、ファンデリーのリソースは少なく、顧客数を増やしていくことに時間がかかってしまう。そこで、ファンデリーの顧客としたい人々を多く抱える病院や介護施設にアプローチすることで、間接的に数十人、数百人規模で新規顧客を取り込むことにつながるのである。つまり、アプローチ方法を変えることで、ファンデリーはリソースの少なさに制限されることなく新規顧客を増やすことができるのである。

 しかも、この提携によるメリットは、ファンデリーに加えその顧客と提携先である病院や介護施設にもあると考えられる。まず、病院や介護施設は入院患者一人一人に合わせた病院食等を提供しているが、患者個人の好みに合わせるという対応はできていないところが多い。その点ファンデリーのサービスでは、利用者が豊富な種類から弁当を選択することができるため、容易に利用者の好みに合わせることができる。また、病院や介護施設は、介護士やヘルパーの労働量を軽減することができるのもメリットである。日本経済新聞(2017)によると、高齢者は増加の一途をたどる一方であり、介護施設では深刻なヘルパー不足が叫ばれている。その施設内で個人単位の食事を管理する労力はとても大きい。今後高齢者が増加し、ますますヘルパーの仕事量の増加が予想されているため、外部に委託できる作業のアウトソーシングを積極的に取り入れていくべきであると考える。このように病院や介護施設が入居者の栄養状況など健康の管理をファンデリーに委託することで、ヘルパーの労働量を削減できるのだ。つまり、ファンデリーとの提携によって、顧客や病院、介護施設もメリットを享受することができるのである。

 高齢化により、宅食サービスを扱う企業が増加し、今後も市場の拡大が見込まれている。しかし、ファンデリーは、新規顧客獲得のアプローチをオペレーターが一対一で行っているため、効率的に顧客を増やすことができていない。そのため、現在のままでは今後市場の成長スピードに追いつくことができなくなることが予想される。そこで、ファンデリーは新規顧客の獲得をするために、病院や介護施設といったファンデリーの顧客としたい人々を既に多く抱えている組織にアプローチすることにより、ファンデリーは効率的に新規顧客を獲得できるようになるのである。つまり、競合他社が既に多く存在しており、かつ成長が見込まれている市場では、企業や法人にアプローチを拡大することで、他社よりも効率的に顧客を取り込めるようになると私は考える。

〈参考文献〉
株式会社ファンデリー (2014) 「経営方針 事業等のリスク」http://www.fundely.co.jp/ir/management_policy/risk_factor 2017年7月3日閲覧.
日本経済新聞 (2017) 「介護職員、離職16.7%、昨年度調査、人手不足が常態化。」 『日本経済新聞』 2017年8月5日, 夕刊, 8 2017年9月12日閲覧.
日本経済新聞 (2017) 「矢野経済研究所、「メディカル給食・在宅配食サービス市場に関する調査」結果を発表」 http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0452557_01.pdf 2018 2017年9月12日閲覧.
東京都(2012) 「外食・中食で使用する金額」 『都民の食習慣と外食・中食の利用状況』 http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2012/07/60m7v106.htm 2017年6月26日閲覧.
内海真希 (2017) 「栄養士と二人三脚で健康に」 『日経ビジネス』 1895, 118-119.

きむら(3年)

技術者間における知識移転の促進要因-情報獲得者の観点から-

本稿では、新製品開発プロジェクトにおける技術者間の知識移転を促進する要因を明らかにするために研究が行われた。実証分析の結果、部門内と部門間では知識移転の促進・阻害要因が異なることが明らかになった。そこで、私たちはチーム研究(部門内)において、知識移転を促進するにはどうすればよいかを疑問に持ち、ディスカッションのテーマに選んだ。
 
現在、チーム研究の発表に対する質疑では、3年生ばかりが答えていることから、チーム内で知識移転が行われていないと考え、これをディスカッションの前提とした。いざ議論を始めたところ、ここでの知識移転は知識共有ではないかということになったが議論を進めていくことになった。最初に、なぜ知識移転が行われていないのかを話合った。この質問に対して、期限に迫られてしまうことで結局3年生が進めてしまう、信頼関係を築けていない、2年生が3年生を信頼しているからこそ知識移転を阻害している、その場にいなかった人への共有ができていない、その場で分からないと思っても聞けない、研究を進めていく中で2年生がついていけてない、などの意見が出た。
 
次に、知識移転が行われない理由に対しての解決策を挙げ、議論を行った。いなかった人への共有をするためには、その日に話し合った内容を形式知化し伝える。これに関してはネット内でお互いが集めた資料を共有しているチームがあった。2年生が研究についていけない、その場で分からない問題に対して、定期的に質問の時間を設けるという意見が出た。これを行うことで、2年生も内容をより理解できるからである。また、3年生がもっと積極的に2年生に理解できているかを確認するという意見も出た。理解するという点で、ホワイトボードを使う際には2年生に書いてもらうことなど、アウトプットする機会を増やすいという意見もあった。
 
以上のように、知識移転が行われていない理由を挙げ、それに対しての解決策を考えながら議論を行った。知識共有の話になってしまいがちであったが、、研究の進め方として活かしていける議論を行えたと感じた。先生からも指摘されたように、今回は部門内でのディスカッションになり、部門間での議論を行えていなかった。チーム内でも問題はあるが、今後チームで研究を行っていく際は、部門間でのつながりも意識する必要がある。なぜなら、集団的教育指導を行うことで、他のチームも含めお互いが成長できるからである。これはチームの成長だけでなく、ゼミという組織においても成長できると考える。そのためにも共有だけでなく、確認も行うことで、お互いが成長してける。今回のディスカッションを参考にしながら、今後の研究を進めていきたい。

よしかわ(3年)

ルーチン形成における管理者の認識とパワー ー自動車販売現場における管理者の役割ー

本稿では、既存の組織ルーチンのもとでパワーを獲得した管理者がどのようにして新しい組織ルーチンの形成を促進できたかを、自動車ディーラーの店舗へのインタビューを元に明らかにしている。ここでいう組織ルーチンの形成とは、組織において安定的に繰り返される行動のパターンが見られるときのことを指す。結論としては、新しい組織のルーチンを形成するためには、管理者が組織全体のパフォーマンスへの意識と、長期的なパフォーマンスへの意識という2つの認識を変化させることが重要である。

多くの企業では、本稿の結論と同様に、組織ルーチンを形成する際には管理者のパワーや認識というものが深く関わってくるだろう。しかし、ゼミナールのような管理者が絶大なパワーや決定力を持っているのではない組織では、何が組織ルーチンの形成を促進するのかという疑問を抱いた。そこで、中野ゼミナールで今年度からコミュニケーションの活発化を目的に新設された「イベント」という活動を例に挙げ、これがなぜ今組織ルーチンとして形成されていないのかをディスカッションテーマとした。イベントという活動にはその管理者であるイベント係がおり、イベント係が毎回のイベントの企画、スケジューリング、実行までを行なっている。前提として、全員が必ずイベントに出席するようになるということが、ルーチンが形成されたことを意味する。

ディスカッションの中で出てきた意見として、まだ実施回数が少ないから、コミュニケーションの活性化があまり見られず参加してもつまらないから、行かないことを容認している雰囲気が出てしまっているからなどがあげられた。しかし、中でも活発に出た意見は、学園祭実行委員会の集まりという1年前から決まった予定があるなど、参加したくてもできない人も多いという解決が困難な理由であった。そこで議論は、そもそもイベントにおける組織ルーチンの形成は、全員が必ず出席することではないのではないかという点に移った。仕方のない理由で来れない人は、前々から決まった予定が無い限りは出席するということで、参加率は組織ルーチンの形成には関係ないのではないかと考えられたからである。では、どのような状態が本ゼミナールのイベントにおける組織ルーチンの形成にあたるのだろうか。これに対しての意見は、イベント係以外の人が企画を考えるなどイベントへの貢献が現れることや、イベントではない場でも積極的なコミュニケーションを取るようになることなどに纏まった。

反省点としては、ディスカッションの前提が皆の納得のいくものではなかった為、そこで大幅に時間を取ってしまい、新たな前提を用いてディスカッションを行えなかった。ディスカッションテーマの大きな意図として、イベントに対する個々の意見を引き出すということがあったが、時間が足りず限られた人の意見しか知ることが出来なかったことが大変残念だった。次回ディスカッションテーマを決める際は今回の反省を踏まえ、より多くの人の意見を引き出せるようにし、テーマとなった活動に対してプラスの影響を与えられるようにしたい。

くまざき(3年)

役職定年制導入に伴うモチベーション低下の解決方法

西(2017)によると、成果主義の定着や役割定年制¹の導入に伴い、年下の上司を持つミドルが増えている。役職定年制とは、役職者が一定年齢に達した場合、ライン系の管理職ポストをはずれて、非ライン系等の専門職などに移動する人事制度である(水谷, 2015)。この制度は、長期雇用慣行のもとで人事費抑制や若手の育成、従業員のモチベーション向上を狙いとしている。

 私は企業側の視点に立った時、役職定年制に賛成である。理由は3つ挙げられる。1つ目は、若手を育成することができる点である。役職に定年を設ければ、比較的に早い段階で次の世代に役職業務を任せることになり、早い段階で役職者となった若手の従業員にとっては成長の機会を得ることができる。このように、若手を育成することで組織の新陳代謝を促し、さらに企業が成長していくことが可能となる。2つ目は、人件費を抑えることができる点である。長期雇用慣行の下では、年齢を重ねるごとに役職が上がっていき、その分給料も増えていく。しかし、役職から外すことで役職手当が無くなり、その分の人件費を抑えることが可能となる。3つ目は従業員のモチベーションを上げられることである。ここでは若手の従業員とする。役職者の定年を設けることにより、若手の従業員が早めに役職に就くことができる可能性があるため、仕事に対するモチベーションを上げることができる。

 しかし、役職定年制導入によって従業員側に生じるデメリットが3つ考えられる。1つ目は、役職から外された従業員 の社内のキャリア形成が阻害されてしまう点である。年功序列制度下では途中で役職が下がることはない。しかし、役職定年制が導入されたことにより、一定年齢に達すると役職から外されてしまう。つまり、役職定年制導入前に役職者が考えていた社内のキャリアが阻害されてしまうのだ。2つ目は、役職から外された従業員の賃金が下がってしまう点である。年功序列制度下では年齢や勤続年数が上がるにつれて収入が上がっていく。しかし、役職定年制を導入したことによって、役職手当が無くなるため、その分の賃金が低下してしまうのだ。3つ目は役職から外された従業員のモチベーションが低下してしまう点である。Hackman&Oldman(1975)によると、仕事がもつ人を動機づける要素には技能多様性・タスク完結性・タスク重要性・自律性・フィードバックという5つの中核的職務次元があり、これらの要素を多くもつ仕事ほど内発的動機づけが高まると言われている。しかし、現場での活動では、HackmanとOldmanが述べていたタスク完結性、タスク重要性、自律性は役職についていた時よりも低下してしまうと考えられる。まず、タスク完結性が低下してしまう理由は、役職についていた時は管理職として会社全体を管理していたが、現場での仕事となったことで全体の一部分のみにしか関与することができなくなってしまうからである。次に、タスク重要性が低下する理由については、現場での仕事は役職についていた時よりも会社全体に与える影響が少なくなるから、と考えられる。最後に、自律性が低下する理由は、現場での仕事は既にマニュアルなどで定められていることが多いからである。臨機応変に対応しなくてはならない役職者の仕事に比べて、自律性は低下してしまうだろう。以上のことから、役職を外れた後、タスク完結性、タスク重要性、自律性が低下してしまうため、仕事に対するモチベーションも低下してしまうと言える。
 
 このように、役職定年制導入によるデメリットは存在するが、私は役職定年制を導入すべきだと考える。少子高齢化によって現場に入ってくる若手の人数が減少し、現場の労働力が減少してしまっている。そこで、役職定年制を導入することで、人の集まり過ぎている役職から現場へ人員移動をして、役職で持て余していた人材を現場で新たな労働力として使うことができる。そうすることで、役職手当の抑制と現場の労働力の増加が見込めるため、企業にとって導入すべきであると考える。

 しかし、デメリットで挙げたように、役職を外された従業員のモチベーションが低下してしまう場合がある。それでは、役職を外された従業員にたいしてどのような対策をすべきなのか。私は、役職を外された従業員同士の売上を比較し競争させることで、仕事に対するモチベーションを維持することができるのではないかと考える。例えば、現場が人員不足とされている飲食業界では、役職定年制導入によって役職を外された従業員が店長として店舗へつき、前年度からの売上高の伸び率を比較し、それに応じて報酬を定める方法である。

 これによって、Hackman&Oldman(1975)が述べていた5つの中核的職務次元のうち、タスク重要性、タスク完結性、自律性、フィードバックを得ることができると考える。第一に、タスク重要性を得る理由については、その店舗のトップとして配置されるため、自分の仕事がその店舗全体に大きな影響を与えるからである。第二に、タスク完結性を得る理由は、接客業務といった一部の仕事だけでなく、仕入れやシフト作成といったすべての仕事を最初から最後までマネジメントするからだ。第三に、自律性を得る理由については、店長として配置し、仕事に関する権限が与えられることで、自分の考えで進めることができるからである。第四に、フィードバックを得る理由は、売上の伸び率について比較をしているため、仕事の結果を目に見える形で評価されるからだ。以上のことから、タスク重要性、タスク完結性、自律性に加えてフィードバックも得ることができるため、役職を外された従業員のモチベーションを維持することができると考える。

 上記の提案は飲食業界に限らず、自社で店舗をもつ業界ならば適応することができると考える。なぜなら、店舗ごとに前年度からの売上の伸び率を比較することができれば、競争させることが可能となるからだ。ただ、役職を外された従業員の仕事に対するモチベーションを維持するためには、仕事において競争させる必要がある。つまり、自社で店舗を持つ業界に役職定年制を導入する際には、現場において役職を外された従業員が相手と競争できる環境を整えなくてはならないのだ。

やくら(3年)

【参考文献】
Hackman, J.R. and Oldman, G.R.(1975). Development of theJob Diagnostic Survey. Jornal of Applied Psychology, 60(2), 159-170.
水谷英夫 (2015) 『労働者+使用者側 Q&A新リストラと労働法 ―PIPリストラ、ロックアウト解雇、追い出し部屋、ハラスメント、有期使用、成果主義、役職定年制―』日本加除出版.
西雄大 (2017) 「全国3000万ミドルの新・処世術 年下上司のなつかせ方」『日経ビジネス』1898, 44-49.

¹役職定年制のことだと思われる。

イノベーションの資源動員と技術進化:カネカの太陽電池事業の事例

 本稿は、イノベーションの実現プロセスにおいて「知識創造」と「資源動員」がどのように関わり成果に結びつくのかを、特定事例の詳細な研究を通して浮き彫りにし、この二つの側面を考慮したイノベーションのプロセスに関する新たな仮説を得ることを目的としている。カネカの太陽電池事業の事例は、技術シーズとその用途が複数存在しあうイノベーションのプロセスであり、カネカにとっては技術を応用すべき製品と顧客の探索を含むイノベーションである。この事例から、イノベーションの推進に寄与する四つの知見をえることができた。一つ目は、新たな知識を創造するだけでなく、それがより確実な未来の提示につながる必要があるということ。二つ目は、短期的なサイクルで技術開発をしてイノベーションを成し遂げることが、長期的な目標のための資源動員を助けるということ。三つ目は、短期的なイノベーションを乗り越えるには、補完技術を柔軟に活用できる能力が必要だということ。最後は、資源動員の側面から、長期のイノベーションと短期のイノベーションでは、発揮すべき能力が異なるという知見を得ることができた。


 本稿の最後に、カネカの事例を通して示した仮説は単一事例にもとづいており、その一般可能性については慎重に検討する必要があると書かれている。これに対して、「カネカの事例を一般化するにはどうすればいいのか」という質問が挙げられた。他にも、「カネカの事例を単一事例研究として選択した理由はなにか」という質問があげられ、それについて多くの意見が交わされた。具体的には、既存の研究で言われている理論や仮説に対して、「反証の事例として本研究が用いられており、新しい仮説を構築するためではないか」という意見や、「新たな仮説を構築するまではいかないが、既存の理論を改善するための新しい見方を加えることではないか」といった意見があげられた。このように、一人の質問に対して多くの意見があがったことで、予定の時間を超えた議論にまで発展した。


 カネカの事例では、想定外のイノベーションが当初の目的である野心的なイノベーションに結実したため、想定外のイノベーションの重要性が強調されている。一方、資源に恵まれた組織は狙った用途に向けた技術開発に適している反面、試行が進まないために想定外のイノベーションが生まれる可能性は低くなると述べられている。そこで、狙った用途に向けて一直線に技術開発をし、イノベーションを推進できる資源に恵まれた組織は、当初の目的とは違った不確実性の高い想定外のイノベーションが生まれる可能性が現れたときに、資源を動員するべきなのか、という疑問を抱き下記のディスカッションテーマを選択した。


 それは、「資源に恵まれた組織は、想定外のイノベーションを生み出す必要があるのだろうか」というものだ。しかし、イノベーションを生み出す必要があるのだろうか、という言葉に対して、イノベーションとはそもそも狙って起こすのではなく、想定外に起こるものではないかという質問をいただいた。確かにイノベーションとは、最初から狙って起こせるものではないが、本稿ではあえて当初の狙いと突然現れたものを区別するために、イノベーションと想定外のイノベーションという言葉が分けられて用いられていた。私たちは、本稿の内容にもとづいてディスカッションテーマを定めたのだが、その意図がうまく伝わらず、最初に思い描いていた議論を展開することができなかった。議論が上手くできなかった理由として、発表側と聞き手側の論文の理解度の差、意図を端的に伝えることができない低い文章力が考えられる。このことから、相手に想いを伝えるためには、相手の立場に立って初見でも理解しやすい文章を書き、誤解を招かない丁寧な説明が必要だということを改めて学ぶことができた。


やまもと(3年)

calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>
selected entries
categories
archives
links
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM