飲食店のサブスクリプションモデルにおける顧客満足度の安定化

 広田(2018)によると、外食業界でサブスクリプションと呼ばれる月ごとの定額制サービスを提供する企業が増えてきている。特に、来店頻度の高い業態であるカフェで導入の動きが目立つ。しかし、それ以外の業態でもサブスクリプション導入の流れは広がってきている。2017年秋には、フードリヴァンプが運営するラーメン店「野郎ラーメン」でもサブスクリプション制が導入された。サブスクリプションを飲食店が導入するメリットとして、広田(2018)は繰り返し店に訪れる優良顧客を囲い込めることを挙げ、さらに、サブスクリプションが軌道に乗れば宣伝費を抑えて安定した集客が可能になるという。

 しかし、サブスクリプションには解約の脅威が常に存在する。谷守(2017)ではサブスクリプションはレピュテーションの毀損や顧客の移り気による解約リスクが高いと述べられている。顧客がサブスクリプションを契約する前に感じたそのサービスへの価値とサブスクリプションを使い続けることで感じられる価値とは別である。顧客はそのサービスに価値を感じサブスクリプションを契約するが、その価値を顧客がずっと感じ続けてくれるとは限らない。飲食店側がその価値を維持する努力をしなければ、そのサービスに対する魅力が薄れ、顧客が価値を感じることができなくなってしまうだろう。そうなると顧客はサブスクリプションを解約してしまうに違いない。

 また、サブスクリプションは先払い制であり顧客は最初に大きい金額を払うため、レピュテーションの毀損が起こりやすい。通常の飲食店であれば一回の食事に対して一回分の値段しか払わない。そのため、顧客がその価格分の効用を得られなかったと感じることは少ないだろう。一方、サブスクリプションの場合はお金を月ごとにまとめて払う。そのため、支払う回数は少ないが一度に払う料金が大きくなる。一度に払う料金が大きくなれば顧客は「高いお金を払っているのだから、少しサービスを加えてほしい」と感じるようになるだろう。そうなると、顧客の効用を満たすために飲食店は価格以上のサービスを提供しなければならなくなる。しかし、飲食店側が常に価格分以上のサービスを顧客に提供するのは難しい。なぜなら、加えてほしいサービスは顧客によって異なり、それらすべてを飲食店側が把握することは困難だからである。この状況を放っておくとサブスクリプションを契約した顧客が価格分の効用を得られないと感じることが多くなり、顧客の満足度はどんどん低下していく。そうなると顧客の不満がたまっていき、その不満が口コミやSNSなどで広まってしまうので、結果的にその店のレピュテーションが毀損されてしまう。以上のことから広田(2018)が挙げるサブスクリプションのメリットを飲食店が享受するには、顧客が安定的に満足を感じられる店づくりをする必要がある。

 だが、サブスクリプションを導入していない普通の飲食店でも、もちろん顧客満足度を維持することは求められる。では、飲食店がサブスクリプションを導入した時と導入しない時では顧客の満足度を維持する方法はどのように違うのだろうか。

 サブスクリプションを導入していない飲食店の場合、顧客が一回の来店で満足を感じても、次にまた来店するという保証はどこにもない。そのため、通常の飲食店は一回の来店でどれだけ顧客の満足度を高められるかを考える必要がある。一方で、サブスクリプションを導入している飲食店の場合、顧客は少なくとも1か月の間はサブスクリプションを契約して費用を払っているので、その費用を回収するために継続的に来店するだろう。そのためそのような飲食店は、一度しか来店していない顧客の満足度よりも、サブスクリプションを継続してくれる顧客の満足度に目を向ける必要がある。

 では、飲食店において顧客は具体的にどのようなことに不満を感じているのだろうか。日本経済産業新聞(2018)によると、通常の飲食店の場合、「この列の長さなら30分程度」というように、過去の経験に基づいて待ち時間を推定しているが、実際は予想より早く行列が進んだり、逆に時間がかかったりして、伝えている時間とのズレが生まれていた。その結果、行列待ちの正確な時間が把握できず、顧客の不満がたまるほか、店員も適切な対応ができないなど課題があったと述べられている。

 私はこのような不満がサブスクリプションを導入した飲食店においてより顕著に表れると考える。なぜなら、サブスクリプションを契約した顧客は来店することが日常の一部になっていて、初めて来店する顧客よりも待つことに不満を持つからである。初めて来店する顧客であれば、たとえ店が混んでいてずいぶん待たされたとしても、提供された料理がおいしかったり、良いサービスを受けたりすると「待った甲斐があった」と感じ、不満は抱かないだろう。それどころか、むしろ満足を感じることもあるかもしれない。しかし、サブスクリプションを契約した顧客というのは週に何回もその店を訪れるような顧客である。そのような顧客は来店時に予想外に混雑していたり、店には入れてもいつもより商品を提供するスピードが遅かったりすると、通常の顧客よりも不満を感じやすい。頻繁に来店する顧客は待たずに店に入れることが当たり前になっており、混雑していて待たされても「待った甲斐があった」とは感じず、ただいつもより店に入るのに時間が掛かったという不満を感じるだけなのである。

 それでは飲食店でサブスクリプションを導入した際、そのような不満を解消し、顧客の満足度を維持するにはどうすればよいのだろうか。私はサブスクリプションを導入した飲食店が運用しているアプリ内で、サブスクリプションを契約した顧客がその店の混雑状況や待ち時間を把握できるシステムの導入を提案したい。なぜなら、顧客は店がどの程度混雑しているのかを来店前に知れることで、「店に行っても席がない」という状況を回避できるからである。嶋田、多比良、原、新井(2013)によると、顧客に待ち時間を伝達することで顧客満足度の安定化を図れると述べている。そのため、サブスクリプションを契約した顧客が店の混雑状況や待ち時間をその店のアプリで来店前に知ることができれば、事前の想定と実際の状況のギャップが少なくなり、顧客満足度の安定化いうものが実現できるようになる。

 飲食店がサブスクリプションを導入しても、顧客の移り気やレピュテーションの毀損によって解約されてしまっては集客の安定は図れない。サブスクリプションで集客の安定を実現するためには契約した顧客の満足度を維持する必要がある。しかし、そのような顧客は、店に来ても混雑していて店に入れなかったり、サービスの提供が遅れたりするなどの影響で、いつもと同じようなサービスが受けられないと不満を感じてしまう。そのため、サブスクリプションを導入した飲食店が顧客満足度を維持するには、顧客が来店した際、常に普段と同じサービスを提供する必要がある。それが実現できれば、集客の安定というサブスクリプションのメリットを享受できるようになるのではないのだろうか。

〈参考文献〉
広田望(2018)「外食も『サブスクリプション』続々」『日経ビジネス』1944, 17.
日本経済産業新聞(2018)「監視カメラで待ち時間推定、キヤノン、行列の動き解析、混雑時、従業員にアラート。」『日本経済産業新聞』2018年4月10日.
谷守正行(2017)「サブスクリプションモデルの管理会計」『専修商学論集』105, 99-113 専修大学学会.
嶋田敏、多比良恵、原辰徳、新井民夫(2013)「サービス受注中の期待形成を考慮した待ち時間に対する顧客満足度の分析」『日本経営工学論文誌』64(3), 386-398, 日本経営工学会.

とみざわ(2年)



起業の科学 Chapter3-2・Chapter3-3

【要約】 
 本章では、UXブループリントをもとにプロダクトやサービスのプロトタイプを作成の仕方について主に記している。
 
 まず、プロトタイプの利点として、々發ぅ譽戰襪妊廛蹈瀬ト像の認識一致▲スタマーの潜在ニーズがつかめるB人佑淵僖拭璽鵑鮓‐擇任るぅ瓮鵐弌爾離皀船戞璽轡腑鵑向上する、といったことが挙げられる。そして、スタートアップが最初に作るのはペーパープロトで十分である。プロダクトの再現性は低くても、圧倒的に作成スピードが速いから有効である。ペーパープロト作成のポイントとして、プロト案をベースに複数作ってみる、スピード感と精度のバランスを保つ、メンバー全員で共有しながら作る、ということが重要である。
その際の留意点として、最低限のUI/UXデザインの原則に沿って、設計し、カスタマーがプロダクトのUXに期待するメンタルモデルを想定し、カスタマーにプロダクトの使い方を学ぶことを強制しない、市場で既に受け入れられているプロダクトのUXを調べることが大切である。そして、ペーパープロトでストーリーの候補が固まってきたら各種ツールを使ったプロト(ツールプロト)を用意する。ツールプロト作成のポイントとして、直感的に使用でき、使いやすいか、デザインに一貫性があるか、機能の優先順位は明確か、可逆性は担保されているかが挙げられる。その際、作る人と顧客の声を聞く人が同じであれば失敗を防ぐことにつながるため、初期のスタートアップが役割分担に厳密な境界線を設けてはいけない。

 快適度を調査するためにユーザーに操作してもらいながらプロダクトインタビューを行う。インタビュー結果を受け、プロトタイプカンバンボードの「バックログフィーチャー」に追加し、検討課題にしていく。Problem Solution Fit終了の条件となる質問として、顧客がそのソリューションを利用する理由を明確に言語化できるか?・ソリューション仮説の磨きこみを通じてカスタマーが持つ課題の理解がさらに深まったか?・その課題を解決できる必要最小限の機能を持つソリューションの洗い出しができているか?・一時的UX、予期的UX、エピソード的UX、累積的UXを含めたカスタマーが期待できること全体を把握できているか?という質問が挙げられる。そして、デザインスプリントメソッドとは、ソリューション仮説のプロセスを、より高速に実践する開発メソッドを行うことも重要である。

本書のコラムとして、共同創業するチームを作り方を紹介している。ProgramSolutionFitの段階になるとある程度工数のかかる仕事が出てくる。その際、メンバー同士で役割分担をすること、一人一人のコミットメントの強さを見極めることが大切になる。また、知能レベルが最高でなくても最大限粘り強さを発揮して努力する人・頑固さと柔軟さをバランスよく持っている人・つらいときにお互いを支えあうことが出来る人・共闘できる励ましあえる人と共同す行することが理想的である。また、理想的な創業チームの役割として、・ハッカー(開発者)・ハスラー(敏腕な仕事人)・ヒップスター(流行に敏感な人) ・ストラテジスト(戦略家)・ビジョナリーの組み合わせが大切である。1人2人役をこなしても構わない。上記の役割をこなせるメンバーが共同メンバーにいることが大切である。メンバー全員がカスタマーとの会話に集中し、それぞれのスキルを活用することが大切。専門分野を持ちつつも2.3役出来るゼネラリストとして働くことが大切。メンバーの平均人数を減らして各自が幅広い仕事をやると、カスタマーの反応から技術課題まで多くのことを学ぶことが出来る。そして、ビジョンは同質で、スキルは異質な人を選ぶことで、お互いの弱みを補完しながら、同じ方向に進むのが最も効率が良い方向に進むことができる。

【ディスカッション】

本書p177より、1人2役などゼネラリストとして働き、共同創業メンバーの平均人数を減らして各自が幅広い仕事を手掛けることが重要とあるが、なぜ実際成功しているスタートアップの企業は、役割の数を多く上回るメンバー数(7.5人)になってしまっているのか?(※stinchcombe(1965)は、共同創業者5人以上は避けるべきと述べている)

まず、平均人数が多くなっている、大人数でも成功できている要因を挙げてもらった。資金にこだわるメンバーが少ない・資金の制約がない・成功要因に人数は関係ない、といった資金面をうまく補えていたから大人数でも成功している意見が多く挙がった。そこで、資金面で困らない状況が整っていれば、中野ゼミナール生が共同創業チームを組む際、大人数を選ぶのか、それとも筆者が述べているように2.3名程度の少人数を選ぶのかディスカッションしてみた。結果的に少人数のチームを選ぶ人が多かった。その理由として、業務分担に時間を書ける必要が無い・コミュニケーションが密にできる・意見のすりあわせがし易くピボットし易い・意思決定に時間がかからないといった意見が出た。一方、大人数派の意見として、多様な切り口から意見が出る・一人ひとりの業務に集中できる・競争意識が生まれるといった意見が生まれた。

結論として時間的制約があるスタートアップでは、資金に関係なく、少人数の共同チームで、効率やコミュニケーションを密にとってチームとして1つになることが重要だとわかった。ディスカッションの課題として、前提条件(資金配分の詳細・大人数の定義)がフロア側でしっかりとできていなく議論が停滞してしまったことが挙げられる。


ほそだ(4年)






起業の科学 Chapter3-1

【要約】
 
 本章では、プロダクトやサービスのプロトタイプを作成し、インタビューなどでカスタマーが痛みを感じる課題を解決できるかを検証していく手順を紹介している。

 まず初めにプロトタイプカンバンを使用して、ペルソナとカスタマージャーニーの検証結果を踏まえたソリューション仮説を磨きこんでいく。このプロトタイプカンバンを使用することで、ヽ悗咾筝‐撻廛蹈札垢明確になりメンバー間のコミュニケーションが活性化する、適切なタイミングでカスタマーからのフィードバックを得るプロセスを担保する、ボトルネックの部分がわかり適切にリソース配分ができる、といった3つのメリットを享受することができる。
 
 次にカンバンボードを使用して課題を設定し、価値提案・ソリューションを考えていく。そしてソリューションを実現するためのフィーチャー(構成要素)をいくつか挙げて、それが本当にカスタマーの課題を解決できるかどうかを問うインタビューを行う。このインタビューでは対象者に、「Must-have」、「Nice-to-have」、「Don’t need」の3段階に分けて評価をしてもらい、それを基にフィーチャーの順位付けを行っていく。
 
 インタビューで実装すべきMust-haveのフィーチャーがわかったところで、UXブループリントを作成していく。まず初めにエレベーターピッチを作る。これを作ることで課題とその解決方法、他のサービスとの異なる点をカスタマーにプレゼンできるようにしておく。またエレベーターピッチを作ることで、自分たちのやろうとしていることを明確にすること、チームの意識をカスタマーに向けること、核心を捉えることを可能にする。このようなソリューションインタビューやエレベーターピッチで頭を整理し、Must-haveのフィーチャーを基にUXブループリントを作っていく。ここで重要となるのが、UX全体を想定することである。たとえ優れたビジネスモデルであっても顧客を定着させるには、利用前と利用後までの包括的なUXが必要なのである。


【ディスカッション】
 
 P143の図3-1-2によると、失敗するスタートアップはプロダクトの検証が終わる前にプロダクトを最適化してしまうと言われていた。ここでいう最適化とは、プロダクトの製造コストやサービスのコストを下げたり、Nice-to-haveの機能を加えることでプロダクトの制度を高めることである。この段階の最適化に価値がないとは言えないが、まだプロダクトの検証が済んでいない段階で最適化をしてしまうのは早すぎるだろう。しかし、本章では最適化をしてしまう理由については書かれていない。ではなぜ失敗するスタートアップはプロダクトの検証が終わる前に最適化をしてしまうのかをディスカッションポイントとした。
 
 ディスカッションの流れとしては、まず各々が考える最適化に走ってしまう原因を述べてもらい、その中で最も最適化をしてしまうと考えられる原因を一つに絞り、その解決策を述べてもらった。意見としては、最適化をしないとそのプロダクトが売れない、先走って最適化をしてしまう、起業家は確証バイアスが強いため我流で進めてしまう、もうすでにプロダクトの検証が終わったと思い込んでしまっている、カスタマーの本当のニーズを把握せずに進めてしまうといったものが挙げられた。この中で最も最適化をしてしまう原因を、最適化をしないとそのプロダクトが売れないという意見とした。そもそもMust-haveのフィーチャーだけでは魅力がなく、Nice-to-haveを加えて最適化をしないとカスタマーに必要とされないと考えてしまうのだ。そしてその解決方法としては、カスタマーにインタビューをしてそのプロダクトにつけるMust-haveとNice-to-haveを見極めるしかないという意見が挙がった。つまり、スタートアップ自身が最適化をしないと売れないと考えてしまっているだけなので、無駄に要素を付ける前にインタビューで本当に必要なものを聞き出し、まずプロトタイプを出すということを心がけるべきなのである。
 
 今回のディスカッションでは「誰目線でどのような状況なのか」という部分で前提があやふやとなってしまい、個々人の価値観で意見を述べてもらう結果となってしまった。そのため、最も最適化をしてしまう原因に個人差が出てしまい、全体での意見の統一が困難となった。しかし、今回のディスカッションによって、何かを提案する際に先にあれこれ要素を盛り込むのではなく、まず自分たちのプロダクトが本当に必要とされているものなのかを検証する大切さを理解することができた。この先、誰かに向けて何かを提案するということがあれば、是非活用してもらいたい。

やくら(3年)

起業の科学 Chapter2


【要約】
 前章でリーンキャンバスを用いた課題仮説を練り上げた。そこで。本章ではカスタマーとの課題の一致を目的に、課題仮説を磨き上げる方法を紹介している。
 
前の章で作り出したPlan Aはあくまでユーザーと話す前の「仮説」である。そのため、課題を磨きこむ必要がある。実際に、失敗したスタートアップの74%は課題の検証を十分に行わずにいきなりプロダクト開発を行っていた。これが、プレマチュア・スケーリングと言われるスタートアップが死んでしまう一番の理由なのである。このような重要であるはずの課題の検証をスキップする原因の一つに思考のバイアス、思い込みがある。これは誰にもあることだが起業家は特に確証バイアスが強い人が多い。そこで、この思い込みの罠にはまらないために自分自身が物事や課題をどう認識しているかについて客観的にとらえ、それを可視化・言語化する「メタ認知」の視点が必要になる。自分の考え方を可視化・言語化するツールとして、ペルソナ分析・カスタマージャーニーなどいくつかの方法を本章で取り上げている。

 課題を検証するときの最初のステップは、マーケティングの定石であるペルソナの想定だ。このペルソナを想定する3つの目的があり、1つ目がプロダクトの設計プロセスを人間中心、課題中心にするためである。2つ目に、特定の人に刺さるサービスを考えていくアプローチを取ることで、スタートアップが陥りがちな「あらゆる人に気に入られなくてはいけない」という無駄な考えを拭い去るため。3つ目に、チーム内でイメージを共有するためだ。そして、このペルソナ像をさらに深堀する時に使えるのがエンパシーマップである。これは、対象となるペルソナの心理状態を深堀する時に活用できるフレームワークである。しかし、ペルソナやエンパシーマップを使っても、ペルソナのみだと柔軟すぎることがある。そこで、それを回避し、よりリアルなカスタマー像を浮かび上がらせるためにはカスタマージャーニーを考えてみることが重要である。カスタマージャーニーとは、現在カスタマーがどのような心理状態でどのようなステップを踏み、ある行為を完遂しようとしているのかをカスタマーの動きに沿って明らかにしていくものである。

 ここまでで、課題仮説はより臨場感あふれるものになってきた。この見えてきた課題仮説をさらに深堀する手段として「ジャベリンボード」が薦められている。ジャベリンボードはカスタマージャーニーで出てきた複数の課題をどの課題の痛みが強いのか、代替案は役に立たないのかなど要素を絞り込むものである。そして、これらによって検証すべき前提条件が洗い出され言語されてきたら、カスタマーと直接対話することになる。その時には、どのようにインタビューの相手はどう選定すればよいのだろうか。そこで薦められているのが「エバンジェリスト」や「アーリーアダプター」と呼ばれる、流行に敏感な人達である。実際にこのような人たちにコンタクトすることが出来たら、インタビューに移る。その際の心得として5つのポイントが述べられている。
 そして、このインタビュー結果をベースにして課題の真因を言語化する手段として有効なのがKJ法である。KJ法では、インタビュー内容を分析して、建前やリップサービスなどのノイズの奥から本音、潜在的課題、現象の裏側にある真因を引き出せるかがフォーカスである。


【ディスカッション】

 本書P130にあるプロダクトの全体設計を受け持つファウンダー自ら、カスタマーの本当に欲しいものが何かを深く知っていることが、大企業に対するスタートアップの最大の競争優位性になると述べられている。
しかし、私達はスタートアップの最大の競争優位性は他のところにあるのではないかと考え、ゼミ生が考える大企業に対するスタートアップの最大の競争優位性は何かについてディスカッションした。

 まず挙がった意見としては、本書で述べられていることこそが最大の競争優位であるという意見である。実際大企業でもカスタマーが本当に欲しいものを知っているが、スタートアップの場合、その情報をファウンダー自らが持っているため、直接製品に活かすことが出来る。もしくは、大企業の場合知っている情報は、N数だけ多い情報で、実際にインタビューまでは行っていなくて、そこまで深い情報を得ようとしてはいないのではないかという意見だった。

 しかし、当初考えていたように本書で述べられている競争優位以外にも様々な意見が挙がった。多く挙がったのが、組織の小ささからくるものだった。組織が軽い分、意思決定のスピードが速くなることや、組織が小さい分、情報の共有がしやすいなどである。その他にも自分がやりたいことを持っている人が集まるためパワーをもって仕事をすることが出来ること、ステークホルダーが少ない分、しがらみがないので様々なことに挑戦することが出来るなどの意見が挙がった。しかし、競争優位はもちろん1つではないため、それぞれの考え方が挙がり、最大という1つに集約することは出来なかったが、課題検証の点においては本書で述べられている意見が最大の競争優位性になるのではないかと結論付けた。

つばき(4年)

起業の科学 Chapter 1-4 PlanA (最善の仮説)を作成する

[要約]
1.リーンキャンバスの書き方
 前回までの章では、主にアイデアをブレストするときのヒントになるものが書かれていたが、本章ではそのアイデアを形にしてく方法が述べられていた。
 アイデアを形にしていく方法の一つとして、事業計画書が存在する。基本的にはこれが使われているが、作成するための時間がかかりすぎるため、スタートアップ企業には向いていないと筆者は述べている。そこで推奨しているのが「リーンキャンバス」である。「リーンキャンバス」はホワイトボード一枚で10分程度で完成させることができる。
 「リーンキャンバス」とは、アッシュ・マウリャ氏が著書の『Running Lean』で提唱していたスタートアップのビジネスモデルをビジュアル化するためのツールのことである。これに近いものとして、ビジネスモデルキャンバスというものが存在する。しかし、これはリソースがある大企業が新規事業を検討するときに、最適なフレームワークのため、スタートアップには不適切であるという。ちなみに「Lean」とは無駄のないという意味があり、そのようなスタートアップにとってはあまり関係のないリソースの部分を削り、⑴カスタマー⑵課題⑶プロダクトという、スタートアップにとって重要な部分に焦点を当てて作られたのが「リーンキャンバス」である。
 「リーンキャンバス」は9つのブロック(_歛雖顧客セグメントF伴の価値提案ぅ愁螢紂璽轡腑鶚ゥ船礇優覘収益の流れД灰好塙渋き┝舁彁愽賢圧倒的な優位性)に分けられており、それぞれの項目をうめていく。誰のどんな課題を解決するのか、ということがスタートアップの土台になるため、〜をしっかり考えるべきであり、それ以外は〜が変わることでガラリと変化することがあるので、そこまで深掘りする必要はないという。
 近年はAirbnbやメルカリなどのツーサイデッド・マーケット市場が拡大してきている。供給サイドと需要サイドにカスタマーがいるビジネス市場であるため、供給側が増えれば需要側が増え、需要側が増えると供給側が増えるというサイクルになっている。そのため、両者にとって高いバリューを提供する必要がある。なので、供給側と需要側の二つにわけてリーンキャンバスを書き込む必要があるという。

2.リーンスタートアップ型モデル
 代表的な二つのビジネスモデルがある。
 一つはウォーターフォール型モデルである。これはプロダクトの要件を最初に磨き込んで仕様書通りにリリースするモデルである。そのため、時間がかかり、学習タイミングが遅くなることや使わない機能が発生する可能性がある。
 もう一つは、リーンスタートアップ型モデルである。これは、プロダクトの完成形を作らず、検証目的の最小限のプロダクトをリリースするモデルである。早い段階からカスタマーのフィードバックを得られるため、顧客目線で軌道修正を行うことができ、早い段階での学習をすることができる。近年、プロダクトの移り変わりが早くなってきたので有効な手段であるという。

3.ピボッドの重要性と留意点
 ピポッドとは、「ビジョンを変えずに戦略を変えること」である。ピポッドを行うことは、スタートアップ全体の方向転換にあたる非常にインパクトのある行動である。そのため、メンバーの納得感がないまま、ピポッドを行うと組織崩壊につながる可能性がある。また、ピポッドは積み上げてきたものを捨て去る行為なので、時間も資金もないスタートアップが気軽に行うべきではない。
 このようなことにならないためにも「リーンキャンバス」を使用すべきだという。リーンキャンバウを使い、見える化することでメンバー内でブレストし、みんなが納得するビジネスモデルを構築していくべきである。
 しかし、ピポッドしていいのはあくまで戦略だけであり、ビジョンをピポッドしてはいけない。ビジョンをピポッドしてしまうと全く違う企業になってしまうし、自分ごとから離れていってしまうからである。
 スタートアップ企業がPMFを達成するまでの道のりはかなり険しいという。それは資金が尽きるまでにピポッドを繰り返し行い、軌道に乗せなければならないからである。「スタートップは”Hard Things”の連続であり、”Hard Way”を歩んだものだけが成功する」というベン・ホロウィッツの言葉通り、スタートアップ企業は険しい道を乗り越えていかなければならないのである。

[ディスカッション]
 本章で取り上げられているリーンスタートアップ型モデルが提唱されたのは、2008年である。この時期と比べると大きく外部環境の変化が起こったと考えられる。
 そうすることで、リーンスタートアップ型モデルに対する否定的な意見も見受けられるようになってきた。それでもなお、本書で取り上げられていたり、企業に使われている実態がある。
 しかし、これは代替案がないため使われているのではないかと考えた。
 そこで、『その欠点を企業はどのように対応して、利用しているのか?』ということを議題に今回はディスカッションを行った。

 まずは、みんなに欠点だと思うことを挙げてもらい、それにどのように対応しているのだろうかということを議論していった。
 まず挙がった欠点として、最小限でも早く市場に商品を出すためプロダクトの情報が漏れてしまい、模倣される可能性があるのではないか?という欠点が挙がった。これに対応するために企業は、口止め料を払うや特許を取るという対応策が挙がった。資金が少ないスタートアップが口止め料を支払うだけの余裕がないので、大企業にとっては有効な策であるのではないかと議論された。特許を取るということに関しては、両者にとって有効的な対応策なのではないかとなった。
 次にニーズが多様化してきたため、フィードバックをもらったときにどの課題が本質的な課題なのかを判断するのが難しくなっているのではないかという意見が出た。それに対して、企業はアーリーアダプターに聞くこと、自分たちがターゲットにしようと考えている層にアプローチする、AIに学習させて検証を行う、という意見が挙がった。AIに学習させて検証を行うというのは、技術が発達してきた現代だからこそできる対応策であり、ユニークな意見が挙がった。
 次に大企業に関しての欠点として、未完成品を出すことでブランドイメージが傷つく可能性があるのでは?という意見が挙がった。これに対して、大企業はウォーターフォール型モデルを使うべきではないか、ペルソナ像をしっかりと想定し、そこの課題を解決できるような商品を作る、自社の名前を使わずに他の会社に作ってもらうorそういう会社を作る、という意見が挙がった。実際に様々な大手企業が自社の名前を隠しPBを作るなどの策を利用しているため、有効的な対応策なのではないかとなった。
 最後に近年はSNSが広まり簡単に情報が拡散される時代になったため、スタートアップにとっては未完成な商品を出すことで、企業の第一印象が悪くなってしまうのでは?という意見が挙がった。これに対して企業は、逆に改善された時も情報が拡散されやすいのでイメージアップにつながるのではないか、逆に炎上することを狙って少しでも注目してもらうことを狙っている企業もあるのではないかということが挙げられた。

 2008年と比べると、SNSやAIなどの技術が発展し、それを含んだ意見が多く挙げられた。AIを使って検証させることや、SNSを逆に利用し戦略を考えることなどユニークな意見も多く見受けられた。
 ここ10年で外部環境が大きく変化し、企業の取り巻く環境が変化してきた。そうすることで、より、プロダクトの変化も激しくなってきたのではないか。従来通りのやり方では乗り遅れてしまう企業も多く出てくると考えられる。しっかりと、時代の流れを読むことが大切であり、リーンスタートアップ型モデルで学習をいち早く行い、検証を繰り返すことの重要性が、より一層感じられる議論となった。
 今後、SNSなどの外部環境を含めたリーンスタートアップ型モデルに代わる、新たなモデルが提唱されていくのではないか。

うすくら(4年)

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