東洋大学経営学部中野ゼミナールblog
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「新規事業を創出する組織と戦略」について研究しています
ja
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経営行動(第11章 組織の解剖学)
【要約】
本章では、今までの章の内容をまとめていた。本書の研究では決定的な経営原則は見つからなかったが、経営の状況の分析と記述のための枠組みと経営組織に有効などんな提案に達するにも考量されなければならない一組の要因を明らかにした。また、現在受容されてい...
本章では、今までの章の内容をまとめていた。本書の研究では決定的な経営原則は見つからなかったが、経営の状況の分析と記述のための枠組みと経営組織に有効などんな提案に達するにも考量されなければならない一組の要因を明らかにした。また、現在受容されている経営の「諸原則」は、内容が曖昧であり、かつ相互に矛盾していることを示した。研究の限界として、十分な事例研究の不足と経営の成功を測定する手段の改善の必要性があった。
コメンタリーでは、実際の経営で扱われてきた組織理論と実例の紹介を通して今日に至るまでの経営理論の発展に言及している。加えて、筆者が所属していたビジネス・スクールにおける問題として、基礎的な研究と実務的な研究の融合の実現を挙げていた。付録では、理論科学及び実践科学、自然科学および社会科学の違いを明らかにし、組織はヒトが関わるものであるため参加する人間の知識や期待によって結果が変わり得ることを指摘していた。本書では、経営の社会学と実験科学の両方を議論してきた。
【ディスカッション】
DPは、「19 期に対し、『シェアードリーダーシップ』というビジョンを理解してもらい、 それを行動に反映させるために、現ゼミ生は今後どのような取り組みをするのか。」という、今後の中野ゼミの後輩の指導方針を考える、未来についてのディスカッションとした。ビジョンの理解とは単純に意味を知るのではなく、ビジョンを行動に反映した状態を指し、実際にシェアードリーダーシップをとれている状態を指す。
【意見】
19期に直接干渉するのではなく、実際に手本となる姿を見せることでまねして行動することを期待する意見が出た。しかし、それだけでは不十分だと指摘があり、ビジョンの意図と目的を教えた上でそのような姿を見せることが望ましいとまとまった。
また、19期がビジョンを行動に反映する誘因を作るため、MVP制度の設立や発言することへの評価が意見として出された。自身に対する評価であれば更なる誘因に、そうでなければ手本となり、どのような形であれビジョンの実現に役立つとまとまった。
19期に対し心理的安全性のある環境を整える意見が出たが、シェアードリーダーシップは責任の重さに関わらず発揮する必要があるとされ、反対でまとまった。他にも、後輩に対し発言を促すことは自主性を損なうことが懸念されたが、経験を積むことでビジョンを実現できるとし、意見は採用された。
本ディスカッションでは大きく分けて2つの方法を導き出した。第1に、19期が自主的にシェアードリーダーシップへと至ろうと考えるよう、誘因や環境を整える方法。第2に、19期に対しシェアードリーダーシップを持つことができるよう直接促す方法。
【まとめ】
ディスカッションを進めるにあたって、ファシリテーターがかなり前面に出て主導権を握ってしまった。議論が停滞することはなかったが、ファシリテーター側が恣意的に意見の方向性を定めたり、意見の採択を行っていた部分があった。そのため、模擬ディスカッションとは大きく離れない議論になってしまっていた。議論が停滞した際にはファシリテーター主導する必要があるかもしれないが、もう少しフロアの自主性に任せる必要があったかもしれない。
来年の17・18期は本ディスカッションで考えたことを忘れず、シェアードリーダーシップを持って19期の育成に励んでほしい。
しもざき(4年)
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ゼミのひとコマ
2024-01-29T10:17:03+09:00
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JUGEM
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881963
経営行動(第9章 能率の基準)
【要約】
本章では、能率の基準について説明されている。この基準は、限られた資源で結果を最大にすることを求める。意思決定の事実的側面では、経営者は能率の基準に導かれなければならない。他方で、倫理的側面である「正しさ」の基準は、決定の純粋に価値的な要素に...
本章では、能率の基準について説明されている。この基準は、限られた資源で結果を最大にすることを求める。意思決定の事実的側面では、経営者は能率の基準に導かれなければならない。他方で、倫理的側面である「正しさ」の基準は、決定の純粋に価値的な要素に関しては何の意味も持たない。そして、事実からの価値の区別は、政策決定と経営の間に適切な関係を確保するのに基本的に重要である。
コメンタリーでは、本章で述べられたように公的機関で能率の基準を評価する際の困難性が、私企業でも同様に及ぶということを説明している。
【ディスカッション】
今回のディスカッションでは、特に能率の諸批判の章に着目してディスカッションを行った。諸批判の内容としては、能率の基準を経営状況に適用する際、決定における事実的要素と倫理的要素の区別を手段と目的の区別として置き替えてしまうというものである。この問題点として例えば、利益を上げたい経営者がリストラをすると従業員に含まれる価値的要素が失われるといったようなことが考えられる。そこでディスカッションポイントを「決定の際に能率を意識しつつ、目的の倫理的要素を認識するためには経営者はどうしたらよいか?」と置き、ディスカッションを行った。
【意見】
意見としては、まず倫理的要素を経営者自身に意識させるため、また経営者一人が判断することの限定合理性を回避するために倫理的要素を指摘する第三者を用いるという意見が出た。この倫理的要素を経営者に意識させるという意見に付随して経営者自身が現場を観察することで従業員のマインドやモチベーションを理解し、決定の従業員に関する倫理的要素に関して理解を深められるといった意見も出た。また、代替的選択肢の倫理的要素に関わる部分をできるだけ列挙し、比較するといった方法も考えられた。
しかし、上記の意見は基本的に経営者自身が1人で行うことが多いため、実際の状況では実現可能性が低いという反論が出た。そのため、部門や部署ごとの長を集めて会議を行うといった、現場からの声を吸い上げる組織体制が必要なのではないかという意見にまとまった。
また、別軸の意見では、企業の目的自体を定期的に見直し、時代や現従業員にあった目的を持てているのかを確認する方法や、他社との比較により倫理的要素の持つ「べきかどうか」の判断軸を多く持つといった意見もでた。
【まとめ】
今回私たちが考えていたディスカッションポイントとしては、「決定の際に組織のなかで能率を意識しつつ、注意が手段ではなく目的に向かわせるようにするには経営者はどうしたらよいか。」というものであり、当初とはディスカッションポイントが変わってしまった。その原因として前者のディスカッションポイントで話す際に、注意を向けるのは経営者のみという前提を付与しないまま、話し合いを始めてしまい、従業員の活動は経営者にとっての手段であるからこそ、従業員は手段と目的を分離させて活動してしまっていても影響がないという前提を暗にしてしまっていた。そのため、比較的従業員目線の意見が多く出てしまい、本書の理論とは離れてしまったことがディスカッションポイントを変更した原因である。
実際にディスカッションを行った内容に関しての意見は、総じて現場からの声をキャッチアップできるような組織体制を敷くということがまとめとして考えられる。ただ、本書で指摘されていた倫理的要素は従業員のみにフォーカスしたものだけではないということは注意しなければならない点であると考える。
まつい(4年)
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ゼミのひとコマ
2024-01-22T15:37:00+09:00
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経営行動 (第10章 忠誠心と組織への一体化)
【要約】
第10章では、組織の一体化について述べられているが、一体化とは、個人による組織の決定を左右する価値指標として、個人が自分自身の目的に代えて、組織の目的をとる過程のことである。そしてこの章は、決定の心理的環境における特殊な一体化の重要な要素につ...
第10章では、組織の一体化について述べられているが、一体化とは、個人による組織の決定を左右する価値指標として、個人が自分自身の目的に代えて、組織の目的をとる過程のことである。そしてこの章は、決定の心理的環境における特殊な一体化の重要な要素について検討された章である。一体化の心理的な根拠ははっきりしないが、主に3つの要素が含まれており、それは機関の成功に対する個人的な関心、私経営原理の公機関への移転、および注意の範囲の限界である。もし、一体化が、組織での選択を非個人化し、かつ社会的責任強いる上で、きわめて有用であるなら、それは組織構造自体の設定に先立つ決定に色をつけわかつ歪みを与える場合には、同様に有害となる。組織への一体化は、主に上部に大きな影響を与え、決定を前もって予定することや、未承認や未証明の価値をその仮定の中に導入することに貢献することができると述べられている。
コメンタリーでは、組織の一体化において心理的な観点からの根拠やメカニズムについて具体的に述べられている。そして、組織行動において人間は利他主義を意識して行動することもあることが述べられていた。多くの人が、組織から「利己的な」報酬を全く期待できないときでさえも、組織への忠誠心によって動機づけられるものなのだ。
【ディスカッション】
本書では、個人的価値の多くは、彼と組織のつながりによってばかりでなく、組織自体の成⻑や名声、 あるいは成功にも依存しているというように述べられており、数値的なインセンティブを受けることで、組織に所属していたいという意識を持つことができることが述べられていた。しかし、そういったインセンティブを受けることが難しい組織を想定し、「正社員の人は、アルバイトに対して会社全体で一体化していくためにはどのように働きかけを行えばよいか?」というディスカッションポイントを立てた。
<前提>
会社では、アルバイトを雇っており人員不足のためこれ以上、アルバイトを辞めさせたくない。しかし、アルバイトの時給を上げられるようなお金も持ち合わせていない。
正社員:店舗にいる人(飲食店であれば店長)
働きかけ:現在アルバイトに所属している人を辞めさせない
【意見】
まず、意見としてはお金以外の所属する誘因作る必要があるとして、バイト同士を仲良くさせられるような状況を作り出すことや普段、経験のできないことをアルバイトで経験をさせることが必要であるという意見が出た。
他にも、社員から見て頑張っている人を評価する制度や店長との人事評価を行うということ、今いる人に寄り添ったルールに変えるといった意見が出た。このように、アルバイトにある程度の責任を与えることが組織に所属する意義に繋がり、熱意が生まれる要因に繋がるのではないかという意見が出た。しかし、これらは1部の人の人に対してのアプローチでしかなく、全員がこのアルバイトを続けたいと思える要因になるとは限らないという反対意見が出たため、アルバイト全員に対する働きかけが重要であるということが述べられた。
以上のことをまとめると、主に2つに分けることができ、公式的な行動と非公式的な行動である。組織において上の立場の者が組織変革を行うために公式的に決まり事を変えるということもできるが、私たちのディスカッションの中では、それだけではアルバイトは辞めなくなる要因にはなるかもしれないが、組織に貢献しようという意欲は持つことができないという意見になり、非公式的な行動を行うことがその人のモチベーションや組織に対しての貢献意欲を変えるという結論に至った。本章に当ててみても、忠誠心を持つことが組織に対しての貢献意欲を高めることが述べられていたので結論としては似たような結果となった。
【まとめ】
本来私たちが行う予定であったディスカッションは、企業と違って、中野ゼミの活動においては組織の成⻑や成功を実感する場面は少ない中で、私たちは組織の一体化に成功していると仮定し、「中野ゼミに所属している人々は、なぜ組織の一体化を行うことができているのか?」というディスカッションを行う予定であった。しかし、中野ゼミにおいて組織の一体化ができているという状態の前提があいまいであったため、ディスカッションが変更となってしまった。
また、このディスカッションのままでは出てくる意見も結局本書に沿った内容と同じ意見しか出ないというように言われてしまったため、今後ディスカッションを行う際には、本書に沿いすぎても良くなく、私たちがどうしてこのディスカッションを行い、そのディスカッションを行う意義は一体何なのかを考えて、ディスカッションポイントを持ってこなければいけないということを学んだ。
変更したディスカッション内容に関しては、どの学年も考えやすいディスカッションであったため、発言は多く見られた。さらには、そこからまとめに持っていく形としても本書に書かれていることをより具体的に話し合い、どうしていくべきかをみんなが再確認することができたディスカッションになったのではないかと考える。
おさだ(4年)
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ゼミのひとコマ
2024-01-22T13:24:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881961
経営行動(第8章 コミュニケーション)
【要約】
第8章では、組織のコミュニケーション・システム、特にそれが権限のシステムを補う面に関心を寄せて書かれている。意思決定機能の専門化は、決定センターを通ずる適切なコミュニケーション経路をつくる可能性に大きく依存している。そして、一般に組織の構造...
第8章では、組織のコミュニケーション・システム、特にそれが権限のシステムを補う面に関心を寄せて書かれている。意思決定機能の専門化は、決定センターを通ずる適切なコミュニケーション経路をつくる可能性に大きく依存している。そして、一般に組織の構造は、コミュニケーションの公式システムの特定化を含むが、これは組織の社会的関係に基づく非公式コミュニケーションによって補われる。個人的動機は、コミュニケーション・システムを自身の用途に転用することや伝達されるコミュニケーションの受容に影響を与える。そして、訓練は代替的アコミュニケーションの方法の一つに当てはまる。
コメンタリーでは、まず情報革新が起きている中で情報爆発が起きない理由として、技術を利用する側の我々人間にその原因があると書かれている。そして、組織記憶の内容については、もっととも重要になるのが、組織そのものと組織も起票の表現である。最後に、新しい科学知識によって生み出された新しい諸問題は、進歩の標であり、私たちが作り上げている新しい情報技術は、解決の一歩を踏み出すことを可能にしてくれていると結論付けられている。
【ディスカッション】
今回は、訓練とコミュニケーションに関するディスカッションを行った。公式訓練の最大の難題は、訓練される集団内に受容の態度を確保することである。このようなモチベーション問題の発生は、新しい従業員の新人訓練において最も少ないが、かなりの期間にわたってすでに職務を遂行してきた従業員の訓練においては、極めて深刻である。この状況を中野ゼミに置き換えて考えると、輪読や3分間スピーチなど日々の活動に慣れてくると、手を抜いてこなしてしまうと考えることができる。そこで、今回は「中野ゼミにおいて、新3年生(現2年生)の受容の態度を確保するためにはどうしたらいいか。」という点について議論した。
〈前提〉
・訓練:中野ゼミで行う普段の活動
・監督者:自分以外のゼミ生
・受容できている状態:中野ゼミの活動に積極的に参加できている
【意見】
まず、新人の方が熱意や目標をもってやっているからこそ、需要の態度を確保できているという事から「ゼミへの目標を立てて、それに貢献させる」という意見が上がった。しかし、この意見では定義として新三年生を置いている意味合いが薄れてしまうのではないかという反対があった。
また、本書の内容に沿って、「受容圏を広くするために監督と制裁を厳しくする」という意見や「二年生の時にもリーダーシップを経験する機会を与えて、先輩がアドバイスする」という意見が上がった。しかし、いずれもただでさえ大変であるのに逆効果ではないか、あまり実現できる機会がもうないといった意見から反対された。
そこで、「主体性、リーダーシップが求められることへの不安の対処に先輩が自身の経験を伝える」ことや「意見や提出物に関して先輩が褒めること」などの意見が上がった。受容の態度を確保するためにはゼミに対してやる気を出してもらわなければなければならないため、楽しい成長の場だと感じてもらえるように先輩が手を差し伸べることが効果的なのではないかと考えられる。
以上のことをまとめると、「三年生になって、主体性が求められたりリーダーシップを発揮しなければいけないというプレッシャーや負担が起きる中で、それを経験した先輩が、議論の場での意見だしとか提出物などといった場面でアドバイスをしてあげたりフォローをすることが、受容の態度を確保させるのに効果的」と結論付けることができる。
【まとめ】
今回のディスカッションでは前提に基づき、中野ゼミという組織の特徴を考えた上で、様々な角度からの意見に基づき一定程度説得力のある結論を導き出すことができたと考える。
しかし、今回の結論では想像までの意見で終わっており、実際に出た意見をどのように実行するのかという部分まで落とし込むことができなかった。本書では、会議方式が成功する一つの方法として挙げられている中で、中野ゼミではなぜそのような方法ではなく、今回の結論の方が有効であるのか、またどのようにして行動まで移すのかというところまで議論することができれば、より今回のディスカッションが意味のあるものになったと考える。
みずたに(4年)
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ゼミのひとコマ
2024-01-15T14:17:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881960
経営行動 (第6章 組織の均衡)
【要約】
第6章では、個人がなぜ組織化されたグループに参加するのか、またなぜ自分自身の個人的な目的を確立された組織の目的に合わせるのか、という点について書かれている。これらは、組織が金銭や努力の形で貢献を受け取り、これらの貢献の見返りとして誘因を提供...
第6章では、個人がなぜ組織化されたグループに参加するのか、またなぜ自分自身の個人的な目的を確立された組織の目的に合わせるのか、という点について書かれている。これらは、組織が金銭や努力の形で貢献を受け取り、これらの貢献の見返りとして誘因を提供する均衡のシステムで説明することができる。これらの誘因は、組織の目標それ自体、組織の均衡と成長、これら2つとは無関係のインセンティブ、を含む。組織の均衡は、多岐にわたる個人的な価値を持つが、それらの価値を達成するために組織の生命を維持する責任を持っている支配集団によって維持される。
コメンタリーでは、組織の目標のコンセプトと職場満足という2点について書かれている。第1の組織目標のコンセプトについては、「組織の目標」とは、個人動機と間接的につながる組織の役割によって課される制約の集合であり、異なる制約は異なる組織の決定の問題を定義する。第2の職場満足については、産業革命前後も、コンピューターの導入後も、労働者は自らの職務に満足と不満足を感じている。それは、職務が人々の興味をそそるほどに複雑ではないからである。
【ディスカッション】
今回は、コメンタリーの職場満足に関するディスカッションを行った。多くのエグゼクティブは、仕事に退屈さを感じており、それゆえ疎外されている。そこで、人々の興味や注意を引くためには、活動は新規性の要素を提供し続けられるほど複雑であるが、理解できるほどの単純で、ゆえにその中にパターンが認識されなければなれない。本書では、エグゼクティブの職務満足は、ある責任を他に移管するような、エグゼクティブ同士で行われるより頻繁な横断的以上の中に見出されると言われている。そこで、今回は、「なぜエグゼクティブの職務充実(職務満足)は、エグゼクティブ同士で行われるより頻繁的な横断的委譲の中に見出されるのだろうか。」という点について議論した。
〈前提〉
・エグゼクティブ:管理職
・職務満足:人々の仕事に対する愛着
・職務満足が高い状態:活動が新規性の要素を提供し続けられるほど複雑であるが、理解
できるほどに単純で、ゆえにその中にパターンが認識されるとき
・横断的委譲:ある責任を他に移管すること
・組織形態:部門別組織
【意見】
まず、「エグゼクティブは決定権を持っているから」という意見があがった。活動がルーティン化してしまうと人々は疎外を感じるが、決定権を持つことによって常に新規性・複雑性を担保することができる。しかし、決定権については、部下との関係の中にも生じるため、エグゼクティブ同士ならではのものとは言えない。
また、「頻繁に横断的委譲を行うことによって常に新規性を見出すことができるから」、「エグゼクティブ間では交渉といった双方向のコミュニケーションが生じることから、複雑性がある」という意見が挙がった。しかし、これらの意見では新規性・複雑性については説明できるが、パターンの認識について説明できないため、職務満足を高い状態にできる理由にはならない。
そこで、「エグゼクティブは会社の上層部であることから会社についての理解度が高く、また横断的医所によって生じる仕事はいつも行っていることではないために複雑性を持つことができるから」という意見が挙がった。それに対して、今回の組織形態は部門別組織であるため、エグゼクティブは会社の理解というよりかは自分が持つ部門に関する理解が深いと考えることができ、そのため横断的委譲が生じるとパターンが認識されないという指摘があった。だが、エグゼクティブは、エグゼクティブとしての仕事(部下をまとめ上げる、会社のトップとのやり取り)という点については、横断的委譲がなられた場合でも流用することが可能であることから、パターン化という点が担保されると考えられる。
以上のことをまとめると、「エグゼクティブの仕事は専門的であり、横断的委譲によって任される仕事に関する知識がないために新規性の要素を提供し続けられるほどに複雑であり、一方エグゼクティブとして求められる仕事についてはどんな場面でも流用することができるためにパターンを認識できるから」と結論付けることができる。
【まとめ】
今回のディスカッションでは前提に基づき、エグゼクティブ間特有な点について考えたり、また単に複雑なだけでなく、なぜパターンを認識できるのかという点について考えたりことができた。そのため、今回導き出した結論には説得力があったと考える。
しかし、今回はエグゼクティブを管理職と定義して議論をしたが、本書では経営者としてエグゼクティブを捉えていたため、その点についてずれが生じてしまっていた。経営者は、職務から見返りを得ることができないため、仕事以外の部分に面白さを求めているということが本書で言われているエグゼクティブの実態である。そのため、エグゼクティブを経営者と捉えなおして今回のDPについて議論を行うと、今回とは異なる結論が導き出されることが考えられる。
かたぎり(4年)
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ゼミのひとコマ
2023-12-18T14:32:06+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881959
経営行動(第7章 権限の役割)
【要約】
本章では、経営過程における意思決定を行う上で重要な役割を果たす、「権限」について、それが受容される理由や権限が可能にする機能、権限が機能しなくなる状況などについて論じた章である。権限とは、伝達された他者の決定に個人の決定を従属させることによっ...
本章では、経営過程における意思決定を行う上で重要な役割を果たす、「権限」について、それが受容される理由や権限が可能にする機能、権限が機能しなくなる状況などについて論じた章である。権限とは、伝達された他者の決定に個人の決定を従属させることによって集団内で調整された行動を担保する関係のことを指す。権限は組織における数多くの影響の形態の1つに過ぎない。その顕著な特徴は権限の行使に対して、部下の黙認を求めているだけだということである。権限の重要な機能は、たとえ合意に到達できなくても、決定がなされ、それが実行されるのを許可することである。どんな場合でも権限の専制的側面は部下の「需要圏」の範囲内に制限されている。管理においては、矛盾する権限関係の回避は時に重要な問題である。調整は権限が管理組織内で果たす3つの機能の1つであり、権限の範囲や、目的を達成する手段について組織内で合意をとる行為で、これを行うことで共同して相互に一貫した決定が可能になる。権限はまた責任の強化と意思決定の専門化における重要な要素である。責任の問題は、集団の計画に対する個人の忠誠を強化するのが望ましいあるいは必要であるときにはいつでも生じる。制裁は権限の持つ度の機能においてよりも、責任を強化するという機能において一層重要な役割を果たす。権限は、組織のあるメンバーが行った決定が他のメンバーの行動に影響を与えるのを認めることによって、意思決定の専門化を可能にする。
【ディスカッション】
輪読担当者が提示したDPは、「中野ゼミにおいて各役職の権限が受け入れられるのはなぜか」という、中野ゼミ内で権限が受容される理由を明らかにしようとしたものだった。しかし、中野ゼミ内では権限の範囲が狭く、無関心領域や社会的受容などの理由以上のものが見つからなかったため、DPは変更になった。
代替案として、7章のコメンタリーにて主張されていた、「社会的機構では昔に比べて権限は受容される範囲は狭くなって受け入れにくくなっているが公式組織内ではそうではない」という1節の理由を明らかにするDPを立て、ディスカッションを行った。前提として、権限を行使する対象と受け入れる対象はそれぞれ、社会的機構は国と国民、公式組織は社長と社員という関係を想定した。
意見の方向性として、社会的機構の過去と現在の2軸、公式組織と社会的機構の2軸でそれぞれの意見が出た。社会的機構の過去と現在の2軸では、戦前の日本と現在の日本の違いから、戦前の日本の方が国民に対する影響力や制裁が強く逆らい難かったこと、国民の受容圏が広く国の権限の行使に従う傾向があったこと、国と国民の関係が対等ではなかったなどの意見が出た。公式組織と社会的機構の2軸では、社会的機構の方が、組織における明確な目的がありそれに沿っている権限の行使に逆らわないこと、明確なハイアラーキー構造で権限が受容されやすいこと、権限に従わなかったときの制裁が少ないことなどの意見が挙げられた。社会的機構の過去と現在の2軸、公式組織と社会的機構の2軸で見ても、現代の社会的機構は階層構造、制裁などの権限の受容を促進する機能が衰えていることが分かった。
【まとめ】
昔は国が上司の立場、国民が部下の立場で階層がはっきりしていた。今は昔と違って国民=国の関係で平等になった。また、会社においての階層構造はほとんどの組織で明確化している。昔の日本や現代の会社において権限の行使に対する抵抗は行われず、安全や今後の立ち位置を確保するなどの目的から権限を受容するようになった。今回出てきた意見の肝となる部分は、階層構造があるから権限の受容を促進する仕組みが作れたというものだ。例えば、制裁・インセンティブ・目的の統一といった仕組みの作成が可能であった。社会的機構において、階層構造がなくなって上記のシステムを維持できなくなったため、受容の範囲が昔よりも狭まった、と結論付けた。
DPの代替を考えるまでにかなりの時間を要し、フロアにかなりの協力をしていただいた。意見の幅が出にくいDPを持ってきたり、予備のDPが全く使えなかったなど、反省点の多いディスカッションだった。今回の反省や体験を今後のディスカッションを次回以降に活かしたいと思う。
しもざき(4年)
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ゼミのひとコマ
2023-12-18T14:16:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881958
経営行動(第5章 経営決定の心理学)
【要約】
この章では、人間の合理性の限界と可能性がともに検討された。合理性の限界は、人間がなにか一つの決定をするために、関連する価値、知識、および行動の全ての側面を想起することが人間の心にとって不可能であることから導き出された。人間の合理性は、心理的...
この章では、人間の合理性の限界と可能性がともに検討された。合理性の限界は、人間がなにか一つの決定をするために、関連する価値、知識、および行動の全ての側面を想起することが人間の心にとって不可能であることから導き出された。人間の合理性は、心理的な環境の限界内でしかはたらかない。決定の刺激は、より大きな目的に役立つようにコントロールされうるものであり、個人の一連の決定は、十分に練られた計画へと統合されうる。また、個人の組織や制度への参加は、基本的かつ広範な統合の源泉となる。個人に対する組織の影響には、以下の二つの主要な種類がある。(1)各メンバーが、特定の状態のもとでの他のメンバーの行動についての安定的な期待を形成できるようにする。(2)メンバーの行動の流れを定めるとともに、行為を刺激する中間的な目的を提供する。
【ディスカッション】
本章では、一人の孤立した個人の行動が、多少なりとも高い合理性に達成することは不可能であると言われている。探索しなければならない代替的選択肢の数は非常に多く、代替的選択肢を評価するために必要とする情報はあまりにも膨大であるため、客観的合理性に接近することさえ想像しがたい。しかし、組織によって、個人が客観的な合理性にある程度近づくことが可能になる。選択の心理的環境の確立において組織が果たす役割についての検討がなされている。そこで今回は、「なぜ組織に所属した個人の方が客観的な合理性にある程度近づくことができるのか?」という点についてディスカッションを行った。具体的なイメージとして、「なぜゼミに所属している個人の方が所属していない個人よりも、優れた卒論を書くという目標に近づけると言えるのか」という具体例を挙げた。ここで言う「客観的な合理的」とは、所与の状況の下において所与の価値を極大化するための正しい行動を取れていることを指す。
出た意見は、大きく二つに分けられる。一つ目は、組織が個人の代替的選択肢を増やす、という意見である。組織に所属していることで、他メンバーから様々な意見をもらえる。自分だけでは、思いつかなかった代替的選択肢を得ることができる。また、組織のなかで個人が訓練され、代替的選択肢を生み出す力が養われる。このような組織による影響が、個人の持つ代替的選択肢を広げることに繋がっている。二つ目は、組織が個人の代替的選択肢を評価することを助ける、という意見である。組織に所属することで、自分以外の行動を見ることができる環境を得る。そのため、他メンバーが代替的選択肢からどのようにひとつの行動を選んでいるのかを知ることができる。その中で、優れた決定やその逆を学び、同じ決定を迫られたときの判断材料となる。また、このような他メンバーの知識や経験は、組織に「記憶」として蓄積されているため、代替的選択肢や判断のための情報を新しく探索する必要がなくなる。つまり、個人の決定におけるプロセスがある程度効率化されることとなる。
このような意見に対する反対として、すべての組織に当てはまる訳ではないという意見が出た。ただ組織に入れば良いのではなく、上で述べたような影響を与える組織に所属することが重要である。そこで、どのような組織に所属すれば、客観的合理性に近づく影響を得ることができるか、検討された。この答えとして、制度や基準が定められており、調整がなされている組織が挙げられた。制度や基準が設定されていることで、必要な情報の探索が簡略化され、意思決定プロセスの効率化が図られる。さらに、調整がなされていることで、他メンバーの行動の透明性が高まる。そのため、知識や経験を得ることにつながる。ここから、制度や基準が定められており、調整がなされている組織に所属することで、個人の代替的選択肢の増加、評価のプロセス効率化という影響を受けるため、客観的な合理性にある程度近づくことができる、という結論に至った。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、「なぜゼミに所属している個人の方が所属していない個人よりも、優れた卒論を書くという目標に近づけると言えるのか」という具体例をもとに、組織が個人の客観的合理性に与える影響を検討することができた。最終的に選択を行うのは個人であるが、組織に所属することで、そこまでの問題が単純化されることが示された。個人が高い合理性を達成することは不可能という限界が示されている中で、組織の有用性についての理解が深まる議論となった。
くまざき(4年)
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ゼミのひとコマ
2023-11-06T15:19:16+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881957
経営行動(第4章 経営行動における合理性)
【要約】
本章は、決定の客観的環境ー選択に続いて生ずる現実的な結果ーを取り扱う。決定の過程では、目的のために適した手段だと考えられる代替的選択肢が選ばれるが、目的それ自体はより最終的な目的に対する単なる手段に過ぎないことがある。つまり、初目標は、ハイ...
本章は、決定の客観的環境ー選択に続いて生ずる現実的な結果ーを取り扱う。決定の過程では、目的のために適した手段だと考えられる代替的選択肢が選ばれるが、目的それ自体はより最終的な目的に対する単なる手段に過ぎないことがある。つまり、初目標は、ハイアラーキーに整列させられるのである。しかし、この図式には限界があり、注意しないと不正確な結果を導く。
決定は、?全ての代替的戦略を列挙する?これらの戦略の各々から生ずる結果の全てを確定する?これらの結果の集合を比較評価するというステップが含まれる。人員選抜の場合、集められたデータは候補者の比較予測の基礎として用いられ、その予測が正しければ正しい決定となる。集団行動では協働と調整が必要であるが、調整がなければ協働は成立しない。
手段ー目的の連鎖は、行動からその結果とし生じる価値にいたるまでの一連の因果的に関連した諸要素である。
「合理性」における複雑性を避け明瞭にする唯一の方法は、適切な副詞と連結して「合理的」という言葉を用いることである。
【ディスカッション】
本書(p120,L8)で、「ある地位の候補者について、試験ら勤務評定、その他からデータが集められる。これらのデータは、どの候補者がその職務をもっとも適切に遂行するかを判定するための比較予測の基礎として用いられる。その予測が正確ならば、正しい決定がなされうる。」と述べられている。これを、中野ゼミの選考に当てはめて考えた。中野ゼミでも毎年、選考を行う際には、エントリーシートや、1分ほどの動画、面接など決して少ないとは言えないデータを元に、選考を行っている。また、3、4年は、既に選考を何回か行っているため、経験も持っている。そのようにデータも経験もある中で選考が行われている。しかし、毎年必ず、ゼミに入った後に途中で辞めてしまう人が存在しており、これは、正しい予測ができていないと言えるだろう。以上のことから「中野ゼミの選考において、私たちは経験やデータを持っているが、正しい予測ができていないのは何故だろうか」というDPでディスカッションを行った。
まず、「早く終わらせたい」というその場の感情を優先してしまい、目的を蔑ろにしてしまうからという意見が出た。また、面接には時間的制約があるため、完全な深掘りができておらず、それによりデータが不十分であるのに、無理やり基準とデータを結びつけているという意見も出た。データに関するもう一つの意見として、本書にあげられているような客観的なデータがなく、主観的なデータだからという意見が出たが、主観的なデータだと本当に正しい予測ができないのか、逆にどんなデータがあれば正しい予測ができるのかという指摘があった。GPAや出席率などのデータがあればある程度継続力などにおいて参考になりそうという意見が出たが、GPAが低い=やめるとはならないし、そもそも中野ゼミの選考の判断基準が主観で提示されるものだから今回においては主観的データだから正しい予測ができないというのはあてはまらないとなった。また、人数の問題の不安から採用していたり、ディスカッションの時に主観的に判断しているためという意見も出た。集団の合理性と個人の合理性があっていないという意見も出たが、これに関しては中野ゼミではディスカッションで論理的な意見を求められるため、成立しないとなった。そんな中で、そもそも正しい予測には全部の事項を知らないといけないが、それは不可能なため選考で正しい予測は無理という意見が出た。しかし、完全に正しい予測ができないのは当たり前で、その中で結果の最大化を目指すためにどうするのかという議論である。これを前提とし、意見をまとめると、欠陥がある部分がデータ、採用担当、方法に分けることができるが、データに関しては中野ゼミにおいて客観的なデータを入れるのは難しいし、方法においては時間が十分にあったとしても完全な深掘りができるとは限らないといえる。最終的な判断をするのはやはり採用担当である私たちであり、そこに、早く終わらせたいという思いがあったり、主観的に判断してしまったりという欠陥があるため正しい予測ができていないという結論になった。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、予測の過程を中野ゼミの選考に当てはめて、完全に正しい予測はできない中でも結果の最大化を目指すという前提のもと、なぜそれができていないのかというディスカッションを行い、どうすればよいかまでは議論をしなかった。そこについて少し言及するとすれば、本書であるように、感情からくるモチベーションによって、選考に注意を固定することが必要だろう。また、ディスカッションから、客観的に判断するということも重要だとわかる。
今回の反省点としては、「完全に正しい予測ができないとした上でいかに結果の最大化を目指すかを考えた時」という前提を、最初に明言できなかったところにある。フロアからの意見によって途中で前提の確認となってしまったため、最初からそこを明確に提示できていれば、途中で前提を全体で確認するという時間を省き、各意見について議論する時間にできたと考える。
さとう(4年)
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2023-11-06T15:03:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881956
経営行動(第3章 意思決定における事実と価値)
【要約】
この章では、意思決定における価値的要素と事実的要素の区別の説明にあてられている。事実的な命題を正しく評価する過程は、価値判断を正当と認める過程とは全く異なっている。前者はそれが事実と一致することによって、後者は人間の認可によって、正当と認め...
この章では、意思決定における価値的要素と事実的要素の区別の説明にあてられている。事実的な命題を正しく評価する過程は、価値判断を正当と認める過程とは全く異なっている。前者はそれが事実と一致することによって、後者は人間の認可によって、正当と認められるのである。
また、もし倫理的な問題から事実的な問題を区別することが妥当な区別である場合、政策の問題と行政管理の問題の区別は以下のようになる。
?価値決定に関する民主的制度への責任は、決定における事実液要素と倫理的要素を、一層効果的に分離しうる手続き的工夫を考え出すことによって、強化されうる。
?ある問題を立法府と行政管理者のどちらに分配するかは、そこに含まれる事実的問題と倫理的問題の重要性と、前者の議論の余地がある程度によるべきである。
?立法府は、必然的に多くの事実的判断をしなければならないので、情報や助言がすぐに入手できる必要がある。
?行政管理機関は、必然的に多くの価値判断をしなければならないので、明確に立法化されているものをはるかに超えて、社会の価値に対して敏感である必要がある。
【ディスカッション】
この章では、事実判断と価値判断を正当と認める過程は全く異なっており、事実判断はそれが事実と一致するかどうかによって、価値判断は人間の認可によって、正当と認められると言われている。だが、いくつかの種類の政策あるいは命令的に出される規則に加えて、ほとんどの組織にも観られる多くの「慣例」というものがある。こうした慣例は、命令あるいは規則として確立されておらず、また制裁によって強制されないが、それでも慣習の力か他の理由によって組織で順守されていると言われている。ここから、慣例は、政策と違って、事実判断や価値判断によって正当かどうかが決められているわけではないと考えた。そこで今回は、「なぜ、慣例は組織で遵守されているのだろうか。」という点についてディスカッションを行った。なお、ここで言う慣例とは、以前から行なわれてきていて、習慣のようになっている事柄やしきたりのことを指す。
基本的に慣例のマイナスの側面に関する意見が多く上がった。例えば、自分だけ慣例を守らなかった場合に自分の評価が下がる可能性があるから、慣例を廃止して新しいことを生み出すよりも遵守する方がコストがかからない、といったような意見が挙げられる。そこで、これらのマイナス的な側面に共通する根本の原因に関する議論が進められた。ここでは、自分の中で慣例を正しいものと思い込んでしまっていることや、慣例は守らなければならないものということが個々人の中で醸成されている、などの意見が挙がった。これらは暗黙のルールとなっており、これまでの経験や価値判断(人間の認可)によって正しいとされている。
ここから、「なぜ、慣例は組織で遵守されているのだろうか。」という問いに対する結論は、「慣例は守らなければならないものという暗黙のルールが個々人の中で醸成されているから」ということが導き出された。そのため、自分だけ慣例を守らなかった場合に自分の評価が下がる可能性があるから、慣例を廃止して新しいことを生み出すよりも遵守する方がコストがかからないといった心理的な要素が生じることになる。
本書では、慣例は政策と違って文書化されていないため、強制力はないと言われていた。しかし、今回のディスカッションの結論から、組織のメンバーは慣例を守らなければならないという暗黙のルールに縛られ、その結果慣例を破らないように相互に監視しあうという強制力があるということになった。そのため、文書化されていない場合でも、暗黙のルールの下で相互に監視しあうことで強制力が生み出されると言える。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、慣例のマイナス的な側面に焦点を当てて議論を進めてきた。しかし、この後の章でも言われているように、慣例を組織メンバーが正しいものであると受け入れることによって、物事を効率よくこなすことができるようになるなど、基本的に慣例はプラスの側面があるからこそ生み出され、守られることが多いことに留意する必要があるだろう。また、そもそも慣例に対して、それが正しいか、正しくないかの基準は時代によって大きく変化しうるということも重要な点である。
ディスカッション自体に関する反省としては、反対意見がほとんど出なかった点が挙げられる。その結果、ディスカッションはブレインストーミングのようになってしまい、まとめの際にも共通点を見出すという方法が取られることになった。その原因は、慣例の例が1つのものに偏りすぎた点にあると考えている。今回のディスカッションでは、慣例という抽象的なものを題材にしていたため、慣例の定義に基づいて複数の例を提示することによって、よりディスカッションを活性化させることができたはずである。
かたぎり(4年)
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2023-10-30T12:15:23+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881955
経営行動(第2章 経営理論の若干の問題点)
【要約】
本章は、一般に認められた4つの経営諸原則について批判的検討を行う。それは、専門化、命令の一元性、統制の幅、目的別・過程別・顧客別・場所別組織である。これらを行うことで経営能率が増大するとされている。しかし、この4つは批判的分析にさらされ、批判...
本章は、一般に認められた4つの経営諸原則について批判的検討を行う。それは、専門化、命令の一元性、統制の幅、目的別・過程別・顧客別・場所別組織である。これらを行うことで経営能率が増大するとされている。しかし、この4つは批判的分析にさらされ、批判に耐えられないこととなる。経営の研究に有効なアプローチとしては、関連する診断的基準の全てを明らかにする、この全ての基準によってそれぞれの経営の状況を分析する、いくつかの基準が互いに矛盾する場合は、それらに重みをどのように割り当てるかを決めることが必要となる。経営状況の基準を適切に行った上で、経営状況の診断を「能率の原則」に従って行う。その次に基準への重みへの割り当てとなるのだ。
本書は、経営理論の再建、適切な用語と分析の体系の建設の第1歩を試みているにすぎない。この第1歩の重要性を過小評価しないように注意しなければならない。そうすれば、その後の建設に貢献することとなる。
【ディスカッション】
本書において、組織のメンバーを2人以上の上司から命令を受ける地位につけることは、望ましくないと述べられていた(p46, ℓ9)。しかし、私たちが所属したことのある組織では、そのような状況になってしまっていることも少なくなかったため、以下のような前提を置いてディスカッションを行った。
ある県のサッカー部では、地区別に練習を行っている3つのサッカー部の中から、上手いメンバーを選抜し、他の県と対戦する大会が存在する。その選抜チームを作る上で、3つの地区で3人のコーチがそれぞれ自分なりの指導を行っている。そのため、選抜に選ばれたメンバーはそれぞれ学んでいる内容が違い、それでも大会で成績を残すために組織を1つにしていく必要がある。また、選抜チームには監督が1人存在する。
このような前提の中で立てたディスカッションポイントは「学んでいる内容が違っているメンバーの中で、同一の目標を達成していくために、監督はどのように組織を変えていけば良いのだろうか」である。
実際に上がった意見として、まずは各チームの現状分析を行う必要があり、これは統制の幅を生じさせてしまう恐れがあると考えられたが、話し合った結果、統制の幅には影響しないのではないかという意見が出た。次に、各チームで共通の最低目標を設けるという意見が出たが、そうしてしまうと専門化を行っている意味が消えてしまうのではという意見が出たため、どういう組織にしたいのかの選抜基準の軸を作ることで解決できるという意見が出た。他にも、全チーム共通のメニューを考案し、そのメニューを全チームに練習させるという意見が出たが、こちらも統制の幅や上層の人は現場の判断を正しく判断することができないのではないかという意見が出た。しかし今回のディスカッションは、効率性の話をしているわけではないので元の意見が妥当であると考えられた。最終的には、目標などで軸を定めることやメニューの統一性を持たせるということは全てのチームで共通の軸を持たせることが重要であるという話でまとまった。
【まとめ】
今回のディスカッションにおいては、監督からそれぞれのチームに対しては命令の一元性が担保されている状態であった。しかし、コーチから選抜された生徒に対して専門化は存在しつつも、命令の一元性が担保されていない状況となってしまっていたため、私たちが行ったディスカッションでは、ここでの命令の一元性を保つには、3チームでの共通の軸が必要であると考えた。発表担当で行った模擬ディスカッションでは、命令の一元性、専門化についての定義が甘い状態で意見を出したため、全く異なるディスカッションとなってしまった。
ディスカッションの反省点としては、自分たちの中で内容が整理できておらず、ディスカッションポイント自体が4つの原則の1つにフォーカスしたものとなってしまい、前提をしっかり決めないとディスカッションが進まない状況になってしまったことである。また、そこから代替案を出すことが出来なかったため、今後は、ディスカッション準備をする段階で、フロアのことを考え、どんな意見が出るかもそうだが、どうしてこのディスカッションで成り立つのかまでを考えて説明できるようにしておく必要があると考える。今後改善していきたい。
おさだ(4年)
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2023-10-23T04:11:46+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881954
経営行動 (訳者まえがき〜第1章)
【要約】
本書は、 第1章から第11章までそれぞれ「本論」と「コメンタリー」で構成されている。「本論」の内容は初版から変わっておらず、「コメンタリー」では初版の出版当時から現代までの組織の変化と組織理論の変化について議論されている。
本書第1章では、意...
本書は、 第1章から第11章までそれぞれ「本論」と「コメンタリー」で構成されている。「本論」の内容は初版から変わっておらず、「コメンタリー」では初版の出版当時から現代までの組織の変化と組織理論の変化について議論されている。
本書第1章では、意思決定と経営組織について述べられている。経営の理論は、「決定すること」と「行為すること」の両方の諸原則が含まれるべきであり、その行為を決定する過程には熟考のプロセスが存在する。また、決定は階層構造になっており、階層の下に向かう段階はすぐ上の改装の目標の実施を意味している。さらに意思決定の際には、権限や組織への忠誠心、助言と情報など、組織のメンバーが他のメンバーに与える影響も関係してくる。
【ディスカッション】
本書において、Eメールやビジネスチャットツールなどの新しいコミュニケーションツールが登場したことで、伝統的なハイアラーキーの重要性は減ずると述べられていた。しかし、そのような新しいコミュニケーションツールを導入しているにもかかわらず、組織として伝統的なハイアラーキー構造を維持している企業は存在する。そこで今回は、「新しいコミュニケーションネットワークによって伝統的なハイアラーキーの重要性は減じているにもかかわらず、企業はなぜ伝統的なハイアラーキーを維持するのか」について議論をおこなった。
意見としてまず、伝統的階層構造を取ることにより責任化するからという意見が出た。これは、伝統的な階層構造では役職が明確に定められているため、ポジションによる責任が定められるためである。次に、意思決定の効率化が図れるからという意見が出た。これは、階層構造を取ることで、階層のトップに届くまで意見や提案が絞られるためである。次に出たのは、作業が分散され管理しやすくなるから、という意見である。階層構造を取ることで、監督する範囲が狭まり、トップや管理職の負担は軽減される。しかし、これらの意見については、ただ中間管理職を置くメリットを挙げているだけで、伝統的なハイアラーキーの受容性が減じているという前提に合わないのではないかという反論も出た。
ここまでは、どちらかと言えば経営者層のメリットの意見が多く出たが、その後は従業員にとってのメリットに関する意見が出た。まず、社内のマネジメント層を育てることができるからという意見が出た。これは、階層構造があることで明確に管理職が存在し、それに向けた人材育成ができるためである。次に、役職があることで個人のモチベーションが上がるという意見が出た。これは、階層が上の役職があることで、出世意欲のある社員のモチベーション向上に貢献するということである。
【まとめ】
今回の議論では、「従業員目線で管理職を置くメリットがあるから」と結論付けた。理由としては、後半に出た意見が従業員目線の意見が、「新しいコミュニケーションツールが登場したことで、伝統的なハイアラーキーの重要性は減ずる」という今回の議論の前提に当てはまっていたからである。前半には経営者目線の意見も多く出たが、これらは議論の前提には当てはまらないことから、このディスカッションポイントに対する答えとはズレていると考えた。
本書では主にハイアラーキーの上の立場で議論が展開されていたが、ゼミ生の議論ではハイアラーキーの下の方の立場の意見でまとまった。経営者や管理職の目線かつ議論の前提を踏まえた意見が出れば、より本書の内容に沿った議論ができたかもしれない。
最後に、今回はディスカッションポイントの考案から議論のまとめに至るまで、多くのゼミ生の力をお借りした。ファシリテーターとして不甲斐なかったにもかかわらず助けてくれたことに感謝したい。
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2023-10-09T12:45:11+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881953
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ (Chapter8 サンプリングー事例選択における戦略的創発を目指して)
【要約】
第8章では主にサンプリングについて書かれていた。調査研究では、特定の事例やサンプルから全体の傾向を推測することを目指す。サンプリングを行うときには、何らかの明確な方針にもとづいて、全体の傾向を代表するような事例を選び出さなくてはならない。正...
第8章では主にサンプリングについて書かれていた。調査研究では、特定の事例やサンプルから全体の傾向を推測することを目指す。サンプリングを行うときには、何らかの明確な方針にもとづいて、全体の傾向を代表するような事例を選び出さなくてはならない。正確な縮図ともいえる代表的なサンプルを抜き出す必要がある。本書では統計的サンプリングにおいてサンプリングの4つの条件と基本原則について説明されている。しかし、これらのポイントをすべて実現させるのは現実的にはとても難しい。ある意味、理想論ないし難度が非常に高い努力目標でしかないとも言われている。
ただ、世の中にはこれらのポイントを踏まえていなくても、高い評価を受けている研究が数多く存在する。これを理解するためには、統計的な研究が統計的事例研究としての性格を持っている、つまり、特定の層についてのみ妥当であるという意味で事例研究としての特性を持っていることを認識する必要がある。
また、ケーススタディにおいては統計調査よりもはるかにご都合主義サンプリングがとられているように感じる研究が多い。ただ、実際には筋のいいケーススタディでも何らかしらの一定の方針をもとに最初の段階で事例選択を行い、その分析結果を踏まえて次の事例選択をしていく。計画と創発のバランスが取れた戦略的創発による事例選択を行っていることが多い。ケーススタディにおいてはステップバイステップ方式で事例を選ぶ目的志向型サンプリングが行われることが多いが統計的サンプリングと異なり、決まった定番の技法は定められていない。そのため、調査者が事例選択法を独自に開発していかなくてはならない。サンプリングを行う際は落とし穴やリスクを見極めながら適切なサンプリングを行わなくてはいけない。
【ディスカッション】
ケーススタディの事例選択について、ケーススタディにおける事例選択の方法は、無秩序・無計画であるかのように見えるが、必ずしも無方針のご都合主義サンプリングではない。(P2276,ℓ20) 筋のいいケーススタディでは何らかの一定の方針のもとに最初の段階でいくつかの事例選択を行う。そして、その分析結果を踏まえたうえで次の事例選択を行う。(P276,ℓ23) ということが書かれていた。
しかし、一番はじめの段階において一定の方針をもとに、事例(群)選択を行う際にどのようなことを意識すべきかについては書かれていなかった。そこで今回は、「最初の事例選択において、どのような点に着目して事例選択を行えばよいだろうか」をテーマにディスカッションを行った。
<条件>
RQ(なにを明らかにしたいのか)は決まっている段階
実際にディスカッションで上がった意見として、多くの共通点を持った対象を選ぶ、明らかにしたい事象について他媒体に取り上げられているところにアプローチする、まずはインタビューが聞けそうな身の丈に合った対象を選ぶ、仮説における因果関係の原因を持っている対象に聞くというようなものがあがった。媒体に取りあげられているという意見について、最初の段階でより多くの情報を得ることができると予想できるから、自分たちが調べたいことについて先駆的な取り組みを行っていることが多いからという根拠から上がったものだった。しかし、この意見に対して、逆に調査の余地がない場合もあるので、ただ取り上げられてたらいいわけではないのではないかという反対意見もあった。また、身の丈に合った対象にするという意見に対してもそれだと妥当性がないのではないかという反対意見があがり、他の意見に比べると優先順位は低いということでまとまった。
【まとめ】
今回のディスカッションにおいては、今後の事例選択につながるような対象を選べばいいのではないかという意見が多く上がった。ケーススタディの事例選択においては前の分析を踏まえて、次の対象を選ぶ方法がとられることが多い。そのため、特に最初においては、今後に繋げられるような要素を持つ対象に話を聞くことが大切なのではないかと考えた。発表担当グループで行った模擬ディスにおいては、RQを立てる際に集めた先行研究や現状の情報を利用して対象を探すというような意見が多く上がったが、今回のディスカッションでは今後につながる対象を探すという意見が多かったところは違いがあったなと感じた。
ディスカッションの反省点としては、最初の条件設定が緩かったと思う。最初の事例を選ぶという点について、一つの研究対象を選ぶのか、それとも、研究対象群を選ぶのかというところでフロアを混乱させてしまったと思う。また、そこに対して発表担当チーム内で事前に気づくことができなかったので、自分たちのディスカッションポイントを明確に説明できるような準備も必要だと感じた。これからゼミでディスカッションを行う際には、明確な条件設定ができるように心がけたい。
いいづか(3年)
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2023-08-01T14:09:36+09:00
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はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(Chapter9 測定−「数字で語る」ことの意義)
【要約】
測定について、物理的測定と社会現象に関する測定値のあいだには幾つかの点で顕著な違いがあるが、特に精度という点に関しては、社会的測定には本質的な限界がある。また、言葉だけでなく「数字で語る」ことは、抽象的な概念をめぐる水掛論や「空中戦」を回...
【要約】
測定について、物理的測定と社会現象に関する測定値のあいだには幾つかの点で顕著な違いがあるが、特に精度という点に関しては、社会的測定には本質的な限界がある。また、言葉だけでなく「数字で語る」ことは、抽象的な概念をめぐる水掛論や「空中戦」を回避する上で非常に重要な条件である。社会的測定の根底には、操作的定義という発想がある。これは、概念をそれに対応する対象を測定するための操作の手順を軸にして定義する考え方であるが、それにより定義がより客観的なものになり、また定義をめぐる混乱が少なくなることが期待される。さらに、指標や尺度の正確さについて判定する際の基準には、測定結果がどれだけ安定しているかの「信頼性」と測定の結果が測定したいと思っている対象をきちんと測っているかどうかの「妥当性」の二つがある。また、数値データの中には、さまざまな測定レベルのものが存在している場合が多い。測定レベルには、質的データとして「名義レベル」と「序数レベル」、量的データとして「間隔レベル」と「比率レベル」というような4つに区分できる。この4つのレベルの違いを見誤ると思わぬ失敗を犯してしまうことがある。
【ディスカッション】
・調査研究で分析を行うには、基本的な前提としての<モノサシが適切でありかつ精度が高いものであるかどうか>が重要(p309)
・適切さの評価には、「信頼性」と「妥当性」の2つの判断基準があり(p310)、それらが共に高い指標や尺度を目指していく必要性(p312)
<DP>
チーム研究において、妥当性と信頼性の高いデータを用いることができていないのはなぜか?
信頼性:測定値の安定性(精度)
妥当性:測定結果が、対象そのものをきちんと測っているか
ex. ビジネス英語能力を図るためのTOEICなど
主語:ゼミ生個人
状況:チーム研究
期間:インナーまでの半年間
ディスカッション内容として、いくつかの要因がブレスト形式で挙げられたが、共通の課題として、「研究の目的をしっかりと設定していないこと」と「研究内容や先行研究についての理解不足」という2つに集約された。
さらに、そのためにどんな改善方法が提示できるかを考え、結論として「リサーチ・クエスチョン(RQ)の解明が目的ということの意識を持ち、実際にデータ分析をする際には、調査レベルの問いまで回帰して深く分析すること」となった。実際に調査研究を行なっていく際には、大きな「幹」としての問いであるRQの下で行われるため、その解明を目的に置くことが妥当である。加えて、そのプロセスとして測定を行なっていく際には、インタビューをはじめとした個々のデータの分析が欠かせず、そのためには問いを細分化し、RQ を立てるに至った調査レベルの問いにまで回帰して考えることが重要である。
したがって、信頼性と妥当性がないのは、目的と内容理解の欠如が原因になり、その改善としてRQの解明への意識と調査レベルの問いまでの回帰とする。
【まとめ】
ディスカッションの反省として、指標や尺度の信頼性と妥当性というところまで深く考えることができていなかった。また、期間を指定したのにもかかわらず、それを活かした議論にすることができなかった。さらに、議論がブレスト気味になり多くの意見が出たのにもかかわらず、それを上手に活用しまとめるという作業が困難であった。
「なぜ〜」という問いにすると、その原因を探索する作業になるためブレストになりやすい。そのような議論では、意見の深掘りやロジックの否定によって議論を深化させることになるが、情報量は多くなるため担当チーム内で明確な役割分担を行う必要がある。また、原因の解明だけでは本書通りの答えになるため、わざわざ議論を行う意味が半減する。このことから、なんとかオリジナリティのある結論を導き出そうと課題の改善まで考えたものの、多少強引になってしまった点も反省すべきものである。
つぼた(3年)
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2023-07-31T19:47:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881951
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(Chapter7 リサーチ・デザイン 調査企画における計画と創発)
【要約】
本章では、調査の基本的な構想ないし基本設計である「リサーチ・デザイン」について述べられている。その中でも前半部分では、リサーチ・デザインの大枠を決めていく上で重要な「分析図式」のうちの、ボックス&アロー・ダイアグラム型(要因関連図型と因果図...
【要約】
本章では、調査の基本的な構想ないし基本設計である「リサーチ・デザイン」について述べられている。その中でも前半部分では、リサーチ・デザインの大枠を決めていく上で重要な「分析図式」のうちの、ボックス&アロー・ダイアグラム型(要因関連図型と因果図式型)についてが述べられているのである。要因関連図は、調査の初期段階で行われ、具体的な調査課題をリストアップしていく上で非常に効果的である。また因果図式は、重要であると思われる変数に絞った図解を通して、データの収集と分析を進めていく際の方向性を明確にできることが利点として挙げられる。
【ディスカッション】
今回は「なぜ中野ゼミでは『何で何を明らかにしたいのか』を明確にできていないのだろうか。」というディスカッションポイントのもと議論を行った。一つ目の「何で」は、視点や理論のこと、二つ目の「何を」は、RQで明らかにしたいこと、を示している。
本章の前半では、要因関連図と因果図式について述べられている。要因関連図は、自由な発想で調査課題をリストアップしていく上で非常に効果的である反面、分析の焦点が曖昧になってしまうといった限界を持ち合わせている。そのため次のステップである「因果図式」に移行する必要がある。因果図式では、原因と結果の関係に関する分析の焦点を明らかにするための作業が行われ、要因関連図の時点では明らかになっていなかった「何で何を説明するのか」という点が明確に浮かび上がることとなる。この「何で何を説明するのか」という観点は、私たちと関係のないものでは無い。「結局君たちは、何を明らかにしたいの?」といって、研修発表に対する先生からのご指摘として頻繁に受けるものとなっている。つまり、私たちは「何を何で明らかにしたいのか」を分からないまま研究を進めていってしまっているのだ。今回はこのような背景から、中野ゼミ生が「何で何を明らかにしたいのか」を明確できていない要因を探っていく議論を行った。
議論を進める中でゼミ生から、3つの段階に分けた意見が出てきた。まず1つ目は現状把握が足りていない、という意見である。現状・実態をしっかりと捉えることができていないことによって、そもそもどの視点・どの理論で研究を進めていけば良いのか分かっていない、という意見内容だ。2つ目は、どのような先行研究を持ってくれば良いのかが分からないまま、先行研究の探索を行ってしまっているという意見である。視点が定まる前に先行研究の探索を行ってしまうことで、実際持ってきた先行研究が甘いものになってしまったり、先行研究の理論的背景を汲み取ることができていない。そして3つ目の意見は、先行研究を探索・読む際に、対象のテーマの論文しか読んでいない、という意見である。同じテーマの論文であっても論文ごとに、理論は違うものになっている。そのため色々な論文を読むことで、理論について学習し、検討する必要があるのだ。
【まとめ】
今回は、「なぜ中野ゼミでは『何で何を明らかにしたいのか』を明確にできていないのだろうか。」というディスカッションポイントに対して、3つの段階に分けた意見が出た。この3つの意見は、それぞれ分けて考えるものではなく、段階的なプロセス上に潜む課題であり、1つずつ順番に対処していく必要がある。発表担当で事前に行った模擬ディスカッションでは、2つ目と3つ目の意見に重なるような意見が出ていた。具体的には、そもそもどのような先行研究を探索すればよいのか分かっていない。RQで明らかにしたいことが、どのような理論に結びついていくのか分からない。といったような意見である。本番のディスカッションでは、模擬ディスカッションの際には出なかった、研究の基盤となる「現状把握」の部分に関する意見が出てきたことが、違いであり、良かった点であると考える。研究を行う上で現状把握が足りていないと、イメージだけで研究を進めることになり、どの視点・理論でみていけば良いのか分からなくなってしまうのである。
これから研究を行っていく際に、「何で何を明らかにしたいのか」を明確にするためには、段階的に潜んでいる3つの要因に対してアプローチする必要がある。
おだみや(3年)
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2023-07-11T01:42:40+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881950
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(Chapter7 リサーチ・デザイン 調査企画における計画と創発)
【要約】
本章では、調査の基本的な構想ないし基本設計である「リサーチ・デザイン」について述べられている。その中でも前半部分では、リサーチ・デザインの大枠を決めていく上で重要な「分析図式」のうちの、ボックス&アロー・ダイアグラム型(要因関連図型と因果図...
【要約】
本章では、調査の基本的な構想ないし基本設計である「リサーチ・デザイン」について述べられている。その中でも前半部分では、リサーチ・デザインの大枠を決めていく上で重要な「分析図式」のうちの、ボックス&アロー・ダイアグラム型(要因関連図型と因果図式型)についてが述べられているのである。要因関連図は、調査の初期段階で行われ、具体的な調査課題をリストアップしていく上で非常に効果的である。また因果図式は、重要であると思われる変数に絞った図解を通して、データの収集と分析を進めていく際の方向性を明確にできることが利点として挙げられる。
【ディスカッション】
今回は「なぜ中野ゼミでは『何で何を明らかにしたいのか』を明確にできていないのだろうか。」というディスカッションポイントのもと議論を行った。一つ目の「何で」は、視点や理論のこと、二つ目の「何を」は、RQで明らかにしたいこと、を示している。
本章の前半では、要因関連図と因果図式について述べられている。要因関連図は、自由な発想で調査課題をリストアップしていく上で非常に効果的である反面、分析の焦点が曖昧になってしまうといった限界を持ち合わせている。そのため次のステップである「因果図式」に移行する必要がある。因果図式では、原因と結果の関係に関する分析の焦点を明らかにするための作業が行われ、要因関連図の時点では明らかになっていなかった「何で何を説明するのか」という点が明確に浮かび上がることとなる。この「何で何を説明するのか」という観点は、私たちと関係のないものでは無い。「結局君たちは、何を明らかにしたいの?」といって、研修発表に対する先生からのご指摘として頻繁に受けるものとなっている。つまり、私たちは「何を何で明らかにしたいのか」を分からないまま研究を進めていってしまっているのだ。今回はこのような背景から、中野ゼミ生が「何で何を明らかにしたいのか」を明確できていない要因を探っていく議論を行った。
議論を進める中でゼミ生から、3つの段階に分けた意見が出てきた。まず1つ目は現状把握が足りていない、という意見である。現状・実態をしっかりと捉えることができていないことによって、そもそもどの視点・どの理論で研究を進めていけば良いのか分かっていない、という意見内容だ。2つ目は、どのような先行研究を持ってくれば良いのかが分からないまま、先行研究の探索を行ってしまっているという意見である。視点が定まる前に先行研究の探索を行ってしまうことで、実際持ってきた先行研究が甘いものになってしまったり、先行研究の理論的背景を汲み取ることができていない。そして3つ目の意見は、先行研究を探索・読む際に、対象のテーマの論文しか読んでいない、という意見である。同じテーマの論文であっても論文ごとに、理論は違うものになっている。そのため色々な論文を読むことで、理論について学習し、検討する必要があるのだ。
【まとめ】
今回は、「なぜ中野ゼミでは『何で何を明らかにしたいのか』を明確にできていないのだろうか。」というディスカッションポイントに対して、3つの段階に分けた意見が出た。この3つの意見は、それぞれ分けて考えるものではなく、段階的なプロセス上に潜む課題であり、1つずつ順番に対処していく必要がある。発表担当で事前に行った模擬ディスカッションでは、2つ目と3つ目の意見に重なるような意見が出ていた。具体的には、そもそもどのような先行研究を探索すればよいのか分かっていない。RQで明らかにしたいことが、どのような理論に結びついていくのか分からない。といったような意見である。本番のディスカッションでは、模擬ディスカッションの際には出なかった、研究の基盤となる「現状把握」の部分に関する意見が出てきたことが、違いであり、良かった点であると考える。研究を行う上で現状把握が足りていないと、イメージだけで研究を進めることになり、どの視点・理論でみていけば良いのか分からなくなってしまうのである。
これから研究を行っていく際に、「何で何を明らかにしたいのか」を明確にするためには、段階的に潜んでいる3つの要因に対してアプローチする必要がある。
おだみや(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-07-11T01:42:40+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881949
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(CHAPTER7 リサーチ・デザイン 後半)
【要約】
本章後半は、主にリサーチ・デザインの骨格を組み立てていく際に重要な手掛かりとなる分析図式(事例-変数マトリクス型)の説明章である。事例-変数マトリクスは、マトリクスを横方向に検討することで個別事例を詳細に見ていくだけでなく、縦方向に見ていくこと...
本章後半は、主にリサーチ・デザインの骨格を組み立てていく際に重要な手掛かりとなる分析図式(事例-変数マトリクス型)の説明章である。事例-変数マトリクスは、マトリクスを横方向に検討することで個別事例を詳細に見ていくだけでなく、縦方向に見ていくことで、全体的な傾向やパターンについて分析することができる。「この事例-変数マトリクス型は本章前半で主に取り上げられた因果図式と併用すべき分析図式だ」と筆者によって述べられている。なぜなら、分析図式でデメリットとして挙げられていた「変数間の関係が直感的に理解」することができるからである。それに加え、複数の事例間の共通点や相違についても把握することができる点が事例-変数マトリクス型ならではのメリットである。
【ディスカッション】
今回は「世界史の転換点といえる状況に直面した後、その影響で状況が変わってしまう研究において、なぜ分析図式を用いれば、急激な変化に対応することができるのか」というディスカッションを行った。
本書には、想定を超えるような事態が生じた際などに、その事態に柔軟に対応して、新しい問いを立て、また新しい仮説を設定していく際にも、因果図式・事例-変数マトリクスのような分析図式は重要な手掛かりになると述べられている。さらには、リサーチ・デザインに大幅な変更が加えられていくのは、このような世界史の転換点といえる状況に直面した時だけに限らないと言われている。そこで今回、我々はコロナ禍を経験したこともあり、そのような世界史の転換点という状況に着目をした。また、本章においてそれぞれの分析図式の有効性やメリットは多く解説されており、充分に理解することができた。しかし、それは通常の研究や平時な時のものであり、今回着目した世界史の転換点といえる状況に直面した時の有効性は述べられていなかった。その点で疑問意識・問題意識を持ち、ディスカッションをする意義を感じた。意見の前提として各分析図式それぞれの意見を挙げること、意見軸としては、まず平時な時の有効性を述べた上で、急激な変化時での有効性を述べてもらう、という前提もとディスカッションを行った。
意見は各分析図式それぞれに2~3個の意見がでた。一つ目の分析図式である要因関連図に関して、主な意見として、研究初期の考えをブレストするものだから、そのブレストした既存の要因に付け加えることができるため、研究の軸がブレない、という意見がでた。この意見に対して、「軸がブレない?ブレているのでは?」や「急激な変化に対応できる軸あるのか」という反対意見が寄せられた。二つ目の分析図式である因果図式に際して、時系列で再現できるという特性から、転換期前後で比較することで不変な部分や共通の部分が把握でき、その部分は再利用することができる、という意見が寄せられた。また、横断的に比較できる特性から、変化が起きても、複数の事例があることで転換点がわかり、違う視点から見ることができる、という意見も挙がった。この意見対して、既存の独立変数の視点だけでは足りないため、どの視点から見れば良いのかは把握することができない、という反対意見が寄せられた。三つ目の事例-変数マトリクス(一覧表型)は、共通点を見出しやすい特徴から、変化前後で比較することができ、影響を受けた変数を把握することができる、という意見が挙がった。この意見に対して、比較ができるため、仮説の再構築ができるという補足意見が寄せられた。四つ目の事例-変数マトリクス(集計表)に関しては、フロアから意見が挙がらなかった。
【まとめ】
今回は、「世界史の転換点といえる状況に直面した後、その影響で状況が変わってしまう研究において、なぜ分析図式を用いれば、急激な変化に対応することができるのか」といDPでディスカッションを行った。それに対して、「?今まで集めたデータや考えたことが完全には無駄にならないこと、?環境の変化が起きてもそれに惑わされず、変化を正確に見れる、という二つの特徴があり、研究を進めるうえで分析図式というプロセスを通すことによって、漫然と進めるよりも現状の把握と書き出しが正確にできているため、世界史の転換期においても、研究対象が変わらなければ、計画の練り直しで研究の継続が可能になると言える。しかし、完全に対応できるわけではない。」という結論に至った。
このディスカッションの懸念点としては、本来話し合いたいところで議論が活性化せず、想定していなかったないしは議論の本質とは少しずれているところで、議論が活性化してしまった。この点に関して、認識のすり合わせやどのような意見が欲しいのか等のファシリテーションが後手にまわったまま、進めてしまった。そのため、的を得た意見が少なくなってしまった。
今回のディスカッションでは、2年生2人がファシリテーションを行った。また、私自身も前日に急に代理を務めることとなったため、うまくサポートすることができず、4年生の先輩に助けてもらい、なんとかまとめることができた。このことから、誰が急に代理を務めることとなっても、円滑に進められるよう、ゼミ生は輪読本・発表資料をしっかり熟読することを肝に命じてもらいたい。そして、当事者意識を持って、シェアードリーダーシップを発揮していきましょう。
はっとり(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-07-11T01:29:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881948
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(Chapter6 WhatとWhyをきわめる 前半)
【要約】
本章前半では、まずWhyの問いの魅力について述べられる。調査研究だけでなく日常生活においても、「なぜ」の問いを発することは多く、Whyは問いの「花形」と言える。それに伴い、Whyの問いに対して答えを求める手続き「因果推論」が重要となる。しかし、この因...
本章前半では、まずWhyの問いの魅力について述べられる。調査研究だけでなく日常生活においても、「なぜ」の問いを発することは多く、Whyは問いの「花形」と言える。それに伴い、Whyの問いに対して答えを求める手続き「因果推論」が重要となる。しかし、この因果推論の作業は非常に困難である。本書においては、この因果推論を困難と尾する2つの傾向として、単純2要因論型と迷路式要因関連図型を挙げている。
【ディスカッション】
今回は、「輪読において、なぜ、持ってきたDPで修練された議論につながらないのか。」というディスカッションを行った。
本書において、調査研究の場合に限らず、日常生活でもWhyの問いが大きくクローズアップされており、Whyは問いの「花形」である。また、私たちは、それらの「なぜ」に対して信頼できる答えが提供されることを求めている。しかし実際には、因果推論は一筋縄ではいかない、と述べられていた。私たちのゼミ活動でも「なぜ」の問いを出すことが好ましいと指導されている。今回は輪読に注目し、最近の輪読において議論が修練されない理由がDP事態にあるという前提のもとで議論を行った。
意見として、結果が分かりきっている議論をするから実りがない、逆に展望を議論にしているため意見が出ない、なぜの形式にしないから時間が不足し修練されない等、各自実体験をもとにした具体的な原因が様々出た。こういった議論をしていく中で、このようなDPをもってきてしまう理由として、「問題意識→DP」のプロセスに問題がある(逆になっている)のではないかという仮説が発生した。この仮説を経た今回のまとめは、輪読におけるDPの導出も研究と同様に、WhatとWhyの往復で時間をかけて考え抜く必要があること。それだけでなく、DPを出したあとも前提において主語や定義をしっかり設定すべきである。という形となった。
【まとめ】
今回は、「輪読において、なぜ、持ってきたDPで修練された議論に繋がらないのか。」というDPに対して、「問題意識からDPへのプロセスが逆になっており、自然な問いの導出ができていないから」という結論となった。
最近、輪読において時間が予定より長引くケースが多い。前提やDPを決め直したり、議論自体で意見が出ない、ブレストになりまとまらない、といった状況は良い議論ができているとは言えないのではないか。よって、今回の議論は、改めてDPの重要性、良い議論とはどういったものなのかを考え直そうという意図で行った。発表担当の振り返りとしては、模擬ディス等の議論を十分に行い、担当間で何度も内容のすり合わせをしたため、DPや前提自体に関するフロアからの疑問には自信をもって答えられた。議論の方向性を明確にすることを意識したため、何のために議論をしているのか、何を発言したらいいのかわからないゼミ生は少なくすることができたと考える。十分に意見も出て、意見の量や議論の進め方に関しては満足しているのだが、まとめに関しては後悔が残る。意見の傾向から自分たちでまとめをしていこうと考えてしまったことにより、フロアからするとまとめの段階に進むのが早いと感じさせてしまった。準備の段階で流れを作りすぎてしまい、予想外の流れに進んだ際に焦ってしまった。
ファシリテーションを行う上で、ディスカッションへの準備はもちろん重要であるし、その上でフロアから意見を求めたり深堀することも重要である。しかし、それだけでなく、想定外の展開への柔軟性も必要であると感じた。流れを決め切りすぎず、様々な流れに対応できる余裕を身につけることが今後の目標であると考える。
すぎやま(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-07-04T13:30:29+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881947
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(Chapter6 WhatとWhyをきわめる 美しくなければ「モデル」とはいえない)
【要約】
本章後半では、大きく2つ解説されている。1つは単純2要因論型と迷路式要因関連図型といった因果推論のアプローチの際の原則と誤りについて解説されている。因果推論を行う際の原則は相関関係、時間的前後関係、疑似相関の排除、この3つの条件が成立させること...
本章後半では、大きく2つ解説されている。1つは単純2要因論型と迷路式要因関連図型といった因果推論のアプローチの際の原則と誤りについて解説されている。因果推論を行う際の原則は相関関係、時間的前後関係、疑似相関の排除、この3つの条件が成立させることが必要とされる。しかし実際の研究ではこれらの3つの条件の誤りを正確に見抜くことはなかなか容易ではない場合が少なくない。そしてこの3つの誤りに共通して言われていることが1つあり、それが性急にWhyの問いに対する答えを求めようとするあまりにWhatの問いについての検討がいい加減なものになっているということだ。そしてこれこそが本章後半での解説の2つ目であり、原因であるWhyだけでない実態であるWhatの問いの重要性がここでは強く解説されている。本書では、事実関係に関わるWhatの問いに対する答えを求める地道な努力を抜きにしては因果関係に関わるWhyの問いなど成立し得ない、と重要性を謳っている。つまりWhatの問いに対する答えが明確なものになって事実関係が確定された時点で初めて、Whyの問いが意味を持つことになるのだ。
【ディスカッション】
今回の担当では、本書p197,198のcolumnから「分析的記述を可能にするようなインタビューを行うには、どうすればよいか」というディスカッションを行った。
この分析的記述とはp198にもあるように社会現象について、その背景にある因果関係や歴史的背景などとの関連を踏まえて把握し、調査対象の実態について記述したものであり、ベタな記述のように、単に見たもの聞いたものを書いただけの記述ではないというものだ。
本書では度々、Whatである実態の把握が重要であるということが言われているが、自分たちの現状として、Whyの問いに対しWhatの探求や精査が足りないまま研究を進め、根拠や理論性に欠ける結論を導き出してしまうことがあった。単にインタビューにて聞いたことをそのまま記述するのではなく、得た回答をもとに分析をしなければならず、因果関係の分析が可能になるようにインタビューをとることができれば、分析的な記述につながるのではないかと考え、このような問題意識からDPに至った。
ディスカッションとしてはまず、前提として時間軸が研究開始時からインタビュー開始前までという設定で行われ、意見としては質問項目の立て方などだけではなく、それも含めてインタビューまでにできる、良いデータを集めるための取り組みを考えてもらった。
意見としては、まず調査企画書の段階で質問の詳細や糸をきちんと伝えることや仮説や予想できる回答をあらかじめ立てることでその後の分析の軸になるといった意見が出た。またこれらを可能にするために調査対象や関連業界の情報や実態把握が重要という意見も出た。
しかし途中でそもそものインタビューの内容が直接研究やRQに関わってこない、ガーベッジデータを収集してしまう原因が不明であるため、そこの根本の原因について探索しようという方向になり、ここでは大きく2つの意見が出た。1つは、調査対象など対する現状や実態の把握不足だ。そこがしっかりとしたものでないとインタビューにも深みが出ない。2つ目がインタビュー段階よりも前のRQの軸がしっかりしておらず、RQに対する探索が不足しているためにぶれてしまっているというものだ。
【まとめ】
今回のディスカッションでは立てたDP以前に分析的記述ができるようなインタビューが出来ていない原因を上げる必要があった。原因としては調査対象の現状の把握不足、RQが絞れていないという2つの軸があげられた。ここの原因のうちRQの設定が先行する原因であるため、分析的記述ができるようなインタビューが出来ていない原因のうち、RQが絞れていないことを本当の原因とみなした。今回のディスカッションでは、テーマに対する現状の把握や探索があって初めて、仮説や調査対象が出てくるから、テーマに対する現状の把握が根本としての改善策になるという結論に至った。
今回の議論を踏まえ、1人1人が頭の中にこれらを忘れずに入れておくことは重要である。なぜなら我々は時間的制約などさまざまな理由を言い訳に、調査対象の実態をきちんと把握しているかといえば、現状そうでないチームや今までそうでなかった人は多いだろう。RQを立てていく際にも本書でも言われていたようにWhatとWhy双方の把握が必要であり、そのための探索がこれから私たちにもっと求められてくる。
また今回3年である自分が欠席をしてしまい、担当の2年生には本当に申し訳ないのと同時に感謝しています。また発表前から手伝っていただいた方や当日助けていただいた皆さんに感謝します。ありがとうございました。
よしだ(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-07-04T12:19:54+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881946
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ「論文のスリーラインを踏まえて調査を企画し実行する」
【要約】
本章では退屈な論文にならないための3つの要素が中心に書かれている。1つ目はIMRAD構造を念頭において一連の作業を進めていく、2つ目はストーリーラインの核になる謎の姿を前面に押し出す、3つ目は読者ターゲットを明確にするというものである。その中でも、...
本章では退屈な論文にならないための3つの要素が中心に書かれている。1つ目はIMRAD構造を念頭において一連の作業を進めていく、2つ目はストーリーラインの核になる謎の姿を前面に押し出す、3つ目は読者ターゲットを明確にするというものである。その中でも、特定の読者にターゲットを定めるというのは、論文の謎というのものを押し出す際に重要になる。万人受けするような論文を目指しても無謀だといい、オタク型や卒論のための卒論のようなオタク型の論文も論外である。つまり、論文をその人々の胸に響く物語として構想することを目指すべきなのである。
【ディスカッション】
今回は「チー研において、研究の読者ターゲットを想定するためにはどのような考え方が必要なのだろうか」というテーマでディスカッションを行った。前提としてテーマが決まったあとで、明確な時期は定めない、チー研を進めていくうえで対象を狭めていくというものがあった。
本書の中で、「謎解きとしての論文の魅力を読者に感じてもらうことを目指す」とはいっても、実際にはさまざまなタイプの読者が存在すると言われており、また、万人受けする論文を書くことは無謀であるとされていた。そのため、少数ではあっても、確実に論文の価値を認めてもらえそうな読者層にターゲットを絞るべきであると書かれていた。これらの文章から、チーム研究に当てはめて考えるというところからDPに決定した。
議論としては4つの意見が最初に出てきた。それは?仮説を立てることによって、関連するターゲットを見出す?チー研でデータをとってきた後、そのデータが誰に役立つのかを考えれば、ターゲットが次第に明らかになる。つまり、結論の段階ではなく、考察の段階で関連する人たちがターゲットになる?実務的・理論的貢献の恩恵を受ける対象をターゲットにすることが可能だから、インプリケーションの対象になる人が、ターゲットになり得る?RQに対する研究対象をはっきりさせるという意見である。
【まとめ】
大きくまとめると4つの意見がでた。基本的にはどこの段階でもターゲットを想定することはできるしその根拠もはっきりした。そのため、結論としては最終的な対象を定める考察を考慮しながら、仮説、RQ、研究対象を定めていき、論文のターゲットを想定していくという考え方が必要になるというものになった。また、場面ごとに考えると、学会の際には考察とか仮説の時に持ってきた論文そいうものがターゲットになりえる。産業に対しては、事例研究w行うため、研究対象の条件を出して、想定していくことでその研究先で成功しているところだけでなく不十分なところにも貢献できるというものになった。
これらの議論とまとめを踏まえて、これからチーム研究でターゲットを想定していく際には、論文のアウトラインが明確になっていくにつれターゲットというものが想定しやすくなるので、どの段階をしっかりと意識した上で、適切なターゲットそいうものを想定していきたい。
ふじわら(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-06-13T12:27:54+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881945
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(Chapter5「文献レビュー」先行研究でリサーチの基盤を確実にしていく)
【要約】
論文には、調査が不足しているものや研究が不足しているもの、調査と研究の結びつきが薄いものなど欠点を持つ論文が多く存在する。しかし、論文の価値は、有無の二分法で決めることはできない。欠点のある論文にも、価値のある部分が存在することがあり、それを...
論文には、調査が不足しているものや研究が不足しているもの、調査と研究の結びつきが薄いものなど欠点を持つ論文が多く存在する。しかし、論文の価値は、有無の二分法で決めることはできない。欠点のある論文にも、価値のある部分が存在することがあり、それを分権鑑識眼によって見極める必要がある。この文献鑑識眼は、実体験を経験することによって身につけられると述べられている。
初めて調査研究を行う場合、最初から大局観樹や理想的なIMRADの攻勢を目指すことはないものねだりにしかならない。それでも、可能な範囲でデータの収集あるいは理論的検討を徹底しておこない、それを文献にまとめるという調査の実体験には、文献鑑識眼を養っていくうえで非常に重要な意味を持つと言われている。
【ディスカッション】
今回のディズカッションのDPは、「なぜ中野ゼミ生は、実体験の質が低いのか。またどのようにすれば質を高められるのか?」というものであった。(場面は、チーム研究)
調査研究の実体験には、文献鑑識眼を養っていく上で非常に重要であると言われている。
しかし、現在の3、4年生は、実体験を一度や二度経験しているにもかかわらず、「データの引用先が不適切」また、「RQに対して先行研究の理論的前提や既存データを踏まえられていない」などの指摘をいまだに受けている。
そのため、まだ誇れるような文献鑑識眼を身に付けられていない。
しかし、実体験をするうえで、改善すべきところがあって、それができていれば、もっとまともな文献鑑識眼を身に付けられていたのではという考えをもとにこのDPに決定した。
まず原因を追求する議論では、4つの意見が出た。➀研究に使えるかを優先してしまい、論文の価値を見極めていないこと。➁RQや仮説を先に考えてしまい、それに合うデータを持ってきてしまっていること。➂論文での著者の主張と異なる部分的な引用をしてしまっていること。➃論文をまとめるときに役割分担をしてしまっていること。以上の4つが上がった。この4つを調査段階(➀から➂)での、自分都合で考えてしまっていること。まとめる段階(➃)でのまとめるときに役割分担をしているという2つの原因に絞りどのようにするかの提案を考えて行った。
どうするかの提案の議論では、大きく4つの意見が出た。➀論文に取り掛かるまでを早く開始すること。➁一度引用する論文を要約すること。➂論文がIMRAD構造になっているかを確認すること。➃どんな論文なのかといったことをメンバーに共有すること。以上の4つが挙げられた。
【まとめ】
なぜ、実体験の質が低いのかという議論に対しては、調査段階(➀から➂)での、論文を自分都合で考えてしまっていること。まとめる段階(➃)でのメンバーで論文をまとめるときに役割分担をしているという2つの原因に絞られた。
この2つの原因に対しての、どのようにして質を高めるかの結論は、論文に取り掛かるまでを早く開始して、引用する論文を要約する。その上で、論文がIMRAD構造になっているかを確認する。そして、どんな論文なのかといったことをメンバーに共有するという結論に至った。
今回のディズカッションをもとに、チーム研究や卒業論文などのより質の高い実体験にしていき、論文の価値を見出すとともに、適切に引用してより良い研究を公開できることを期待する。
ほらち(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-06-09T13:47:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881944
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ (仮設をきたえる「仮の答え」をめぐる5つの病いとその治療法後半)
【要約】
本章後半では、本章前半で書かれていた、5つの病いに対しての5つの治療法について述べられている。?仮設演繹の基本についていて理解する?調査を始める前に論文をかいてしまう。?「自分ダメ出し」を心掛ける?個々の仮設を大局観の中に位置づける?仮設の再定...
本章後半では、本章前半で書かれていた、5つの病いに対しての5つの治療法について述べられている。?仮設演繹の基本についていて理解する?調査を始める前に論文をかいてしまう。?「自分ダメ出し」を心掛ける?個々の仮設を大局観の中に位置づける?仮設の再定義だ。特に自分ダメ出しを心掛ける部分では、いったん仮設として書いた草稿については、常に第三者的な視点で疑いの目を向けていく必要がある。つまり、自分自身の立てた仮設については、常にそれを否定すべき対抗仮設として考えて「ダメ出し」をする必要がある。自分自身が立てた仮設に対して過剰な愛着を持ってしまう傾向がある。それを「ペット仮設」である。ペット仮設にならないためにも本書で述べられている「肯定のための否定の作業」を心掛けて仮設を立てなければいけない。
【ディスカッション】
今回は「なぜチーム研究で自分ダメだしをすることができていないのか」というディスカッションを行った。前提として、RQを立てるまでの過程を時間軸とし、チーム研究はペット仮設以外の要因に限定した。
本書p90,L2に自分自身が作り上げた仮設に対して過剰な愛着をもってしまう傾向があるやp91,後ろからL2に自分ダメ出しを効果的に行うためには自分だけでなく他の人たちからダメ出しをしてもらうことだ。すなわちチーム研究では、マンパワーが増えるからダメ出しも増える。しかし、チーム研究ではそれができてないことからこのDPに至った。
意見は大きく3つになった。?増えたマンパワーが仮設に逆らえない?知識が浅い?時間的な制約によってダメ出しのポイントはあっても無視してしまうだ。?の増えたマンパワーが仮設に逆らえないでは、後輩から先輩に意見が言えない、チームでやっているから、鉾のメンバーに頼ってしまうといった心理的安全性に関連する意見が出た。?の知識が浅いという部分では知識がないためダメ出しするポイントがわからないといった意見が出た。しかし反対意見としてチーム研究ならではという要素が薄いといった意見も出た。?の時間的制約によってダメ出しがあっても無視してしまうという部分では、ダメ出しをしてしまえば他のメンバーの時間を奪ってしまうかもしれないといったチーム研究ならではの意見が出た。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、大きく3つの意見が出た。ここからチームダメ出しができてない理由は、チームのメンバーの心理的安全性の高低差が一律ではないため、チーム内でのマネジメントができてないことにあると考えた。メンバーの心理的安全性が高いため責任感が低くなってしまい、知識不足やチームのスケジュール管理の甘さを招いてしまう。チーム内で自分ダメ出しをするためには、チーム内でモチベーションや意識の差のすり合わせを行い、マンパワーを活かすことが重要になるのではないかと考える。
現段階でRQを立てるのに苦しんでいるチームもある。今回のディスカッションで出た意見を基にチームのマンパワーを活かし、仮設に対して自分ダメ出しをできる環境を作っていただきたい。
くりた(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-05-30T14:17:08+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881943
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(CHAPTER4 論文のストーリーラインを踏まえて調査を企画し実行する 前半)
【要約】
本章前半は、一言で言うと、論文の解説章である。その中でも、論文における二つの役割を挙げ、それぞれがどのような目的を果たしているのかを説明し、加えて論文の基本的な構成の解説が述べられている。まず、その二つの役割とは、「結果報告」と「経緯報告」の...
本章前半は、一言で言うと、論文の解説章である。その中でも、論文における二つの役割を挙げ、それぞれがどのような目的を果たしているのかを説明し、加えて論文の基本的な構成の解説が述べられている。まず、その二つの役割とは、「結果報告」と「経緯報告」のことであり、前者が調査研究の最終的な結果を読者に対して効果的に伝えていくもの、後者は実際の調査の経緯について解説するものである。次に、論文の基本的な構成として「問題・方法・結果・考察」ないしIMRADと呼ばれるものが挙げられていた。これは学術コミュニケーションを効率的にする上で極めて有効な論文の構成であり、学術界において一種のテンプレートとして通用してきた。
【ディスカッション】
今回は「事例研究のように細かいところしか見れていない現状を踏まえ、チーム研究において、視点を大きく見れるようにするためには、どうしたらいいのだろうか」というディスカッションを行った。
本書には、直接の調査対象となった事例について分かったことを踏まえて、その事例を通して一般論的に何が言えるのかを明らかにする必要があると述べられている。また、理論的含意において、今回の調査で検討対象となった事例についてどれだけ一般化可能であるか、という点に関する考察を加える必要があると言われている。さらには、私が入ゼミしてからのチーム研究発表に際して、先生や先輩からよく、研究で明らかになった/明らかにしたことがどのくらいなら、一般化することができるのかを考え、本稿に書きましょうとご指摘を受ける。そのため、チーム研究においてどのチームもあまり一般化することができていない=どのくらいなら一般化することができるのかが明らかになっていないことが多くなってきた。その原因として、事例研究になってしまってしまい、視点が狭くなっていることが挙げられると考え、そこでこの点に問題意識を持ち、ディスカッションをする意義を感じた。
意見は大きく3つでた。一つ目は、一般化をしたい到達目標、範囲が定まってないから、ゴールを定める必要があり、その方法としては、扱っているデータでどこまで一般化するのかをチームで定める/擦り合わせることだ、という意見である。この意見に対して、一般化の認識が違うとの反対意見が寄せられ、代替案として、少しづつ事例研究から視点を広くしていき、限界を見定めることが必要だという案が挙げられ、フロアからの多くの支持を得た。二つ目は、事例同士で比較して特異点を見つける、という意見である。この意見に対して、深掘りの質問が多く寄せられた。そして、最終的には、インタビューで得られた情報だけでなく、インタビューした企業の特徴(規模感や従業員数、売上等)を分析し、それと似たような業界業種の企業と比較し、比較対象を増やすことで論理的に分析できるのではないか、という意見に収束した。3つ目は、事例に対して、色々な観点・理論・コスト面・機能面から見る、という意見である。この意見に対して、〇〇論単位で見ることは実現可能性的に低いため、〇〇論の観点の中でも、細かく見て色々な理論で当てはめることで視点が広がるという反対/代替意見が寄せられた。
まとめの方向性の意見として、視点を広げ、一般化するための要素が出た。それは、結論を出す前に同じ業界の中で比較することで比較材料/研究対象を増やし、結論を出した後には、その範囲内で方法と特徴を分析をして、自分たちで説明できる範囲を広げていく、という意見である。
【まとめ】
今回は、「事例研究のように細かいところしか見れていない現状を踏まえ、チーム研究において、視点を大きく見れるようにするためには、どうしたらいいのだろうか」というテーマでディスカッションを行った。それに対して、「結論を出す前に同じ業界の中で比較することで比較材料/研究対象を増やし、結論を出した後には、その範囲内で方法と特徴を分析をして、自分たちで説明できる範囲を広げていく」という途中段階の結論に至った。
このディスカッションの最終到達目標としては、視点を広げるだけではなく、どうすれば一般化することができるのかであった。なぜなら、視点を広げる=一般化ではないからだ。しかし、ファシリテーターである私たちが、はじめに、どこまでを目指すのか、時間設定はどうするのか、一般化とはどういう定義でいくのか等、この議論を進めていくにあたっての必要最低限である前提条件を示さずに、なあなあで進めてしまった。そのため、的を得た意見が出ず、結論が途中段階のものとなっただけでなく、議論時間がとても長くなってしまった。また、ディスカッション内容が難しいものになってしまったため、フロアの中でも理解度に差が生まれ、後半は特定の人が発言するという状況に陥ってしまった。さらには、ファシリテーターである私たち自身も、内容理解に追いつけなくなってしまい、フロアがサポートしてくれたおかげで何とか議論を収束することができた。
このことから、ファシリテーションの改善の余地がある。改善の余地しかない。また、今回のディスカッションから、?事前に模擬ディスの時にでた仮説を話す、?どの部分が違い、今回の議論ではどのような効果が出たのか、?どちらの結論に妥当性があるのか/なぜそう思ったのか、という3点を意識したまとめ方を発表担当はするようにと先生からのご指摘を受けた。そのため、私自身もだが、今後の輪読発表担当には、この3点を意識した事前準備やファシリテーションが求められるであろう。今後の発表担当に期待したい。
はっとり(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-05-26T00:28:44+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881942
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(chapter2 問いを育てる後半)
【要約】
リサーチ・クエスチョンを絞り込んでいくには三つのポイントがある。一つ目には、調査結果をまとめた論文や報告書の読者として誰を想定するのか。二つ目には、具体的にどのような種類の問いをセントラル・クエスチョンとして設定するのか。三つ目には、調査活動...
リサーチ・クエスチョンを絞り込んでいくには三つのポイントがある。一つ目には、調査結果をまとめた論文や報告書の読者として誰を想定するのか。二つ目には、具体的にどのような種類の問いをセントラル・クエスチョンとして設定するのか。三つ目には、調査活動の実現可能性についての検討ということでるある。これは時間的・人的資源の範囲内で実際に答えが出せるのかがポイントとなる。一つ目の、調査結果をまとめた論文や報告書の読者として誰を想定するのか、ではリサーチ結果とその情報を聴衆、読者のタイプの違いについて考える必要がある。このタイプには三つがあげられ、一つ目に個人的関心―主として調査者個人に限定される問題関心、二つ目に産業界・社会の関心―実務上・実践上の問題解決に関わる関心、三つ目に学会の関心―新しい知識や技術の創造に関わる問題関心である。この三つのうち一つに限定されるわけではなく問題関心が重複している場合の方が多い。しかし最も理想的なものはこの三つのすべてが重複する場合である。この3種類のどこにも属さないものはガベージ的調査になり、そうならないためにも、先行研究などを中心にして事前に十分に下調べをした上で、最後まで情熱を持って追求できそうな課題であるかどうかを確認しておく必要がある。
リサーチ企画をしていく際には調査目的と調査報告の読者、セントラル・クエスチョンとして設定する2W1Hが必要となる。What(実態の把握)事実関係の解明を目指す問い、実態調査、Why(因果関係の分析)セントラル・クエスチョンへ、How(改善案の提案)どうしたらよいのか?立場や観点によって全く異なる答えになる場合もある、である。
このWhatとWhyの往復運動調査活動の過程により、様々な問題や課題が新たな事実として浮かび上がってくる。このHowという問いに対する答えは、事実関係の把握と因果関係の解明を繰り返す上でそれに続く次のステップとして浮かび上がるものでそれがセントラル・クエスチョンになるのだ。また、これと同時に、二つ考慮せねばならない。一つ目に実現可能性、二つ目には資源的制約条件である。つまり、身の丈にあったものを考える必要になるのだ。
【ディスカッション】
今回のディスカッションでは、チー研において限られた制約条件の中(時間と労働力)でインナー大会で提案までできる問い(セントラル・クエスチョン)をどのように立てれば良いだろうか、といった事を話し合った。本書にもあるように、?時間上の制約、?投入可能な経費やマンパワー、?調査者の資質や適性、この三つに分けてどのようなことができるのか考えた。?については時間がないことから、主語を限定し狭めて研究すること。?についてはインタビューにおいてメールが返ってくることは少なく、4人の労力を最大限に使い対象企業にできるだけ多くインタビューメールを送ること。?ではメンバーの能力の中でインタビューの中で見つけるのが得意な人、英語が得意な人がいれば英語論文を活かしていくことが必要であり、身近なところ、持っている知識を使えることから提案できそうなリサーチクエスチョンを決めるといった事があげられた。
【まとめ】
ホンディズカッションでは、各チームの特徴を活かして身近なことから考える、といった結論に至った。そのためにも日頃から身近なことに疑問をもち、わからないことはすぐに調べる癖をつけることを行なう必要性がある。
チー研において、研究ができないような事を研究してしまうこともあるが、自分たちには何ができるのかを、時間上の制約、投入可能な経費やマンパワー、調査者の資質や適性、わけてwhyとwhatの往復をさせる事が重要であると考えた。
つかの(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-05-23T10:12:58+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881941
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ (CHAPTER3 仮説をきたえる 前半)
【要約】
仮説というのは、リサーチ・クエスチョンに対する仮の答えである。Whatの問い(明らかに「謎」とは言えない問い)であったり、仮説の検証が自己目的化しているものは退屈でつまらないのだ。逆におもしろいものとはリサーチ・クエスチョンがWhyの問いであり、答...
仮説というのは、リサーチ・クエスチョンに対する仮の答えである。Whatの問い(明らかに「謎」とは言えない問い)であったり、仮説の検証が自己目的化しているものは退屈でつまらないのだ。逆におもしろいものとはリサーチ・クエスチョンがWhyの問いであり、答えになるような情報が既存研究で十分に検証されておらず、仮説は言い切りの形になっているものなのである。本書では、仮説に五つの病があることが示されている。1つ目は無仮説事後解釈病だ。これは仮説がなければ後から何とでも言えるということだ。この病では仮説らしい仮説設定しない。調査に関して事前に立てられた予想(=仮説)がそもそも存在していないから、出てきた結果をみて後で「とってつけたような」解釈をしてもいいことになってしまう。【つまみ食い型事後解釈】とも呼ばれる。二つ目はHARKing病だ。これは後から仮説を作ってしまえば何とでも言えるということだ。仮説が調査を行う以前の時点ではなく調査結果が出てしまってから事後的に設定される。(研究不正の一種)これには二つのタイプがある。一つ目は意図的な仮説の捏造、二つ目はうっかりミスだ。三つ目の病は命題型仮説依存症候群だ。これは仮説が「真偽を判定できる文」に限定して捉えてしまうことだ。(仮説は真か偽かどうかは考えない。)そこなかでも「命題型仮説固着症」とは、仮説命題を設定することこそが科学的調査の目標だと思い込むこと。また「無根拠仮説乱発病」は、問いがないはずなのに、どういうわけか唐突に「仮の答え」だけが登場してくることだ。◎命題型仮説が悪いというわけではない!!!これは「仮説には命題形式しかない!」と依存してしまう症候群であり、命題型仮説を用いた素晴らしい論文もたくさんある。四つ目は大局観喪失症だ。問題意識がいわば「重箱の隅をつつく」ような、かなり狭い範囲に限定されてしまっているようなケースのことだ。これは仮説自体を検証することが目的となってしまうような、仮説検証自己目的化が多くなる。五つ目は逃げ口上仮説症候群だ。考察などの部分で「これは仮説にすぎないのだが」などと言って逃げを打ってしまう傾向。仮説は事前に提示されるものであるのに結論部分で「これは仮説にすぎないのだが」というと本末転倒になる。本書では仮設について再定義を行っている。「?まだよくわかっていない事柄について明らかにするために、既にある?程度分かっていることを前提にして調査を行う際に、その見通しとして立てる?仮の答え。」というものだ。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは本来、「チーム研究において、『仮説を立てること』はどのような意味をなすのだろうか。」というディスカッションポイントを用いて行おうと思ったのだが、先生からのご指摘があり、ディスカッションポイントを変更して、「本書にある仮説の定義に沿った仮説を出すためにはどうしたら良いか。」という点についてディスカッションを行った。ディスカッションの結果はまとめると三つの段階に分けられた。一つ目の段階は仮説を立てるためのデータ集めの段階だ。この段階で出てきた意見はsomething newを出すための手段として先行研究を読み込むこと、また、先行研究の枠組みにとらわれがちになってしまうので、フィールドワークを行って実際に目で確かめてみるということだ。二つ目の段階は立てた仮説の解析についてだ。解析の方法として、立てた仮説を他の研究者がしていないかを見るために仮説のエゴサーチを行うこと、また、立てた仮説がしっかりとしたデータに基づいて妥当性を持ったものになっているかを確かめるために仮説に対してwhyで逆走することなどがあげられた。三つ目の段階は仮説の運用についてだ。データの分析や仮説について解析していくなかで立てていた仮説がなくなってしまうこともあり得る。その際の手段として仮説をいくつか立てておくという方法があげられた。この意見については賛否が割れたように感じる。
【まとめ】
我々が最初のディスカッションポイントで何としてでもディスカッションを行いたかった理由は、現在の中野ゼミには仮説を立てるという習慣がないからだ。去年の経営学会に提出した論文で「仮説」という項目があったのはひとチームしかなかった。それは私たちが先輩から教えられていないことであったし、なにより今までの中野ゼミに「仮説を立てる」という習慣がなかったからだと思う。ここでこのディスカッションを行うことで仮説の重要性をわかってほしかったのだ。ディスカッション当日は模擬ディスでも出てこなかった意見が先生から出てきて、先生に言い返せずに結局このディスカッションをすることはできなかった。模擬ディスカッションの際にもっと頭を柔軟にして考えたいと思った。中野ゼミではこの章で学んだことを活かして仮説が有効活用されるとよいと思う。
いしづか(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-05-22T23:31:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881940
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(はしがき・CHAPTER1 リサーチ・リテラシーを目指して)
【要約】
はしがきにおいては、本書でこれから述べられる内容の要約と本書の目的について記述されている。本書は社会調査をテーマとし、そのなかでも技法論ではなく、その前提となる方法論についての解説が行われる。また、Ch1では、リサーチ・リテラシーについて記述...
はしがきにおいては、本書でこれから述べられる内容の要約と本書の目的について記述されている。本書は社会調査をテーマとし、そのなかでも技法論ではなく、その前提となる方法論についての解説が行われる。また、Ch1では、リサーチ・リテラシーについて記述されている。世の中は無意味、無価値な情報で溢れかえっている。そのため、すべての人がリサーチ・リテラシーを身に着ける必要がある。しかし、全ての人が同じレベルのリサーチ・リテラシーを身に着ける必要はなく、立場や役職によって変わってくる。それは3段階に分けることができ、積み上げ式に習得していくものだ。そして、リサーチ・リテラシーを身に着けていくには何らかの実習体験が求められる。
【ディスカッション】
インプットされる情報が意味のないものであれば、アウトプットされる情報も無意味で無価値なものにしかならない。つまり、調査データの質が低ければ、どのように高度な解析手法を適用したとしても調査結果は無価値なものにしかならないという。(P1 L16~)しかし、現代社会にはガーベージともいえるような無意味で無価値なデータや情報が溢れているという。(P2 L16)そこで今回は「なぜ現代の世の中は無意味、無価値といわれるような情報で溢れかえっているのだろうか」という議題について話し合った。
<定義>
無意味、無価値といわれるような情報…科学的根拠に基づいていない情報
出た意見としては、まず、SNSの影響に関する意見が多くあがった。また、都合のいい結果が得られるように調査を行っていることも原因なのではないかという意見もあった。この意見に対しては、全ての調査が意図的に行われているものではないため、そもそも調査者の知識が足りていない、調査者が出す情報を監督する人がいない、消費者が情報を鵜呑みにしているのではないかという意見もあがった。他にも明確な目的を持たずに調査がされている、調査者は話題性のある情報を出そうとしてしまうからではないかという意見もあった。
【まとめ】
今回の議論では、情報を発信する側と受け取る側のどちらかではなく、両方についての意見が上がった。どちらにも課題があり、それはそれぞれのレベルに見合ったリサーチ・リテラシーを持っていないことが原因となっていると考える。また、現代はインターネットやSNSの普及によって誰でも情報発信をしやすくなった。それによって、リサーチ・リテラシーを積み上げられていないのに情報発信を行う人が増えてしまったのも要因の一つになっているのではないだろうか。
ディスカッションにおいての反省点としては、今回の議題は複数の結論に至るものではなかったと考える。議題は様々な意見を出せて、答えが限定されないように設定するべきである。また、はじめはSNSに関する意見ばかりがあがっていて、うまくファシリテーションを行うことができなかった。今後ディスカッションを行う際には、これらのことを意識して臨みたい。
いいづか(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-05-02T12:30:52+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881939
はじめての経営学 ビジネス・リサーチ(CHAPTER2 問いを育てる 前半)
【要約】
リサーチの目的は、新しい知識や情報を得ることである。そして、そのための手段は、システマティックな探求でなければならない。つまり、リサーチの面白さは、それを分析する際の視点の確かさと組み合わされた時にこそ初めて、深いレベルでの面白くかつ「ゆか...
リサーチの目的は、新しい知識や情報を得ることである。そして、そのための手段は、システマティックな探求でなければならない。つまり、リサーチの面白さは、それを分析する際の視点の確かさと組み合わされた時にこそ初めて、深いレベルでの面白くかつ「ゆかい」なもの、知的好奇心にアピールするものになるのだ。
このようなリサーチを指す言葉としてうってつけなのが「調査研究」だ。それは、「足で稼ぐ」調査と「頭で考える」研究という2種類の手続きの理想的な関係を示すものである。リサーチに基づいて提案される理論的主張は、信頼できるデータの裏付けがなければならない。しかし、そのような「足で稼いだ」資料やデータがあったとしても、そのテーマに関する先行研究の蓄積の中でどのような位置づけになるのかが明らかでなければ何の意味もない。つまり、リサーチには、この2種類の手続きの両方が必要になるのだ。
この考えのカギになるのがリサーチ・クエスチョンという言葉である。リサーチの本質は、問いに対する答えを求めるところにあるため、リサーチ・クエスチョンは他の言葉よりも格段に優れている。つまり、リサーチは、「謎解き」のプロセスであるため、魅力的な「謎解きの旅」になることを念頭に置いてリサーチ・クエスチョンを設定することが重要になる。
リサーチ・クエスチョンを設定する際には、それは、調査全体のプロセスを通して次第に絞り込まれていく場合が多く、また、その過程で浮かび上がってくる最も中核的な問い、つまり、セントラル・クエスチョンを指すという認識が必要になる。したがって、設定するというよりは、むしろ育てていくという言い方がふさわしい場合が多いのだ。
疑問文形式であるリサーチ・クエスチョンは、リサーチというものに本質的に含まれている性格について常に意識させるのだ。また、調査者や読者にとって、どこに調査の焦点があるのかという点を明らかにするため、それぞれにとって、見取り図のような役割を果たす。なお、「中核的な問い」とはいっても、リサーチ・クエスチョンの数は必ずしも1つや2つに鍵いられるわけではない。実際、調査を進めていく中では、セントラル・クエスチョンに付随してさまざまな調査課題や調査トピックが浮かび上がってくるのだ。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは、「チーム研究において、研究の方向性を示すような、RQになりうる魅力的な問いを設定するにはどうすればいいのか。」というテーマで行った。本書では、RQは、研究の作業を通して次第に絞りこまれていくケースの方が多く、育てていくという表現が妥当だといわれている(p30, l8)。一方で、RQは調査者にとっての見取り図であり、行動や計画の指針になるものであるともされている(p31, l11)。このことから、あるテーマについて、最初に出た疑問や問題意識は、研究を進めていく中で変化または深化してRQとして洗練されていくものであると考えられる。しかし、一定程度の疑問や問題意識は、研究の方向性を定めるために初期段階から必要になるだろう。そこで、本テーマについて議論することで、今後研究を行っていく際の一助となるのではないかと考えた。
フロアから出た意見は、「問いの新規性や知的好奇心を掻き立てる「魅力」は、既存の理論や枠組みでは到底説明できないものであることから、設定したテーマに関する先行研究の知識をより多くインプットする。」というものや、「テーマに関する業界などの現状や課題を徹底的に調べる。」また、「インターネットのサイトベースではなく、実際のフィールドワークを経て、よりリアルな現状や課題を把握する。」など様々なものであった。全体的に、テーマを設定した後どうやって問いの設定まで漕ぎ着けるかという具体的なアプローチ方法が主であり、机上の空論ではなく、経験を活かしたより実務的な意見が多く見受けられた。
そのような具体性を持つ意見が多く出る中で、「では、情報や知識を多くもってさえすれば、魅力的な問いは浮かび上がってくるものなのか。」という問題提起がなされた。それによって、「設定したテーマについて「なぜ?」という疑問を持ち、それについて調べていく中で再びこの「なぜ?」という疑問が浮かんでくる。それを繰り返すことによって疑問は深みをまし問いとして成立するのだ。」という意見が出て、フロアでも多くの人の納得を得た。つまり、「疑問→探索→再び疑問」という一連のサイクル化の中に問いや問題意識は生まれるということが本ディスカッションの鍵になった。
また、上記の意見とは少し異なった角度から、そのテーマについていかに身近に感じるかが魅力的な問いの設定に影響するのではないか。」という意見も出た。これは、自身とは遠く離れた物事よりも、より身近な物事に対しては共感が生まれやすく、また、探索もしやすいということだ。つまり、そのテーマを身近なトピックだと認識し、いかに熱量を注いで向き合うことで、サイクル化のプロセスの精度を心理的側面から強調するものになるのである。
【まとめ】
本ディスカッションの結論として、魅力的な問いを設定するためには、疑問と探索のサイクル化が重要であるとする。また、このサイクル化の精度を引き上げるものとして、探索活動では、フィールドワークを行うことによる、より現実的な“生きたデータ“の収集を必要とするのだ。さらに、心理的側面では、そのテーマをいかに身近に感じられるかが重要になるのである。
今回のディスカッションは、ゼミ生にとって身近なテーマだったからこそ、理論と経験を織り交ぜた議論をすることができた。それによって、意見に具体性や論理性、実現可能性が生まれ、より良質なものになったと考える。このディスカッションを通して獲得した気づきや知識を、今後の研究活動に活かしていくことが重要なのではないだろうか。
つぼた(3年)
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ゼミのひとコマ
2023-05-02T11:48:00+09:00
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人手不足に直面する「まちかど厨房」
コロナ禍において浮き彫りになったコンビニチェーンとしての「稼ぐ力」の差は、優勝劣敗の構図をより鮮明にした。磯貝(2022)によると、ローソンは平均日販で2021年2月期にファミリーマートに抜かれた。21年2月期の日販は、ローソンが48.6万円とファミマートの49.3万円...
ローソンは、セブンイレブンがネットコンビニに力を入れ、またファミリーマートが店舗のメディア化を目指すなどネットコンビニに注力している中、現場主義を貫きリアルな店で利益を追求しようとしている。なぜなら、竹増社長は「どこかに人との触れ合いや温かさがあるお店であり続けたい」と考えているからだ。実際ローソンでは、「レジがある」「店員の接客を受けられる」というリアル店舗を軸としたデジタル化を進め、顧客が来店することで、『楽しい』『便利だ』『ほっとする』と感じてもらう戦略を目指している(IT mediaビジネスオンライン, 2018)。
さらに、加工食品が売上の53.4%を占めるローソンは(日本経済新聞社編,2021)、その強みを一気に活かすために店内キッチンで調理を行う「まちかど厨房」の店舗導入を始めた。そうすると、2022年3月・4月の販売高は前年同期比で約4割伸張するなど、復調の兆しを見せている。
では、ローソンがこのように現場主義を貫くことで競合他社に打ち勝つことはできるのだろうか。
私は、打ち勝てないと考える。なぜならば、竹増社長が考える中食を拡大するという経営戦略を実現するためには、現場に十分な人手が必要となるからである。まず、レジの業務から考えていこう。かつては商品の販売がほとんどだったレジでの業務は、公共料金の収納代行、宅配便の取り扱いなど、多種多様になってきた。そしてこれらの業務は、ただレジ打ちをしていた時よりも手間や時間がかかるので、従業員に大きな負担をかかる。しかし、業務が増大にしているにも関わらず、コンビニの従業員の時給は一般的に安価のままである。したがって、レジと品出しに仕事が限定されているスーパーマーケットの募集には人が集まるが、コンビニで募集してもなかなか応募もなく、いい人が集まらず、人が入っても長続きしていないことが多い。されに、コンビニの主な従業員である学生や主婦は、深夜帯や早朝の勤務がどうしても難しいため、夕夜間の人手不足はより深刻さを増している。
この状況を改善するため、近年ローソンは、短期の勤務を対象にしたオンラインの人材マッチングサービスの実証実験を始め、単発のバイトなど短期の人材採用のためのマッチングサービス「matchbox」で一時的な人手不足の解消を図ろうとしている(DIGITAL X 編集部,2021)。しかしこれだけでは、長期的な人手不足の解決には至らない。
この状況で導入を始めたのは「まちかど厨房」である。「まちかど厨房」はローソンが店舗に「専用のキッチン」を作り、そこで作った弁当やおにぎり、サンドイッチを提供するものである。一般的な弁当やおにぎりは食品工場で作ったものを販売しているが、まちかど厨房では各店舗に設置したキッチンで仕上げることによって高品質の中食を提供するという差別化を実現し、食にこだわる消費者のニーズを獲得したのである。その一方で、品質管理のために標準化プロセスを導入した「まちかど厨房」の展開は、従業員に調理を行わせるなど現場の大きな負担となっているが、この状況を改善するためには、スタッフの増員を行うしか手段はない。しかし、このような負担感の高い店舗で募集を行っても、人は集まらないのである。つまり、ローソンは新たな成長の源泉を加工食品に置いたにもかかわらず、その実現のための人手を確保できない状況に陥っている。従って、まちかど厨房に力を入れつつレジで高度な接客を目指すのは、短期的に顧客満足度を高めて、客を集められることが間違いないが、長期的に見れば人手不足に大きく制約されているので、人手不足が解消されない限り、ローソンは現場主義を貫くことで競合他社に打ち勝つことができないと私は考える。
では、省人化しにくいまちかど厨房に力を入れながら、人手不足の問題を解決するにはどうすればいいだろうか。私は、一般のコンビニの募集と分けて、まちかど厨房に専業する人に職位を設け、他の飲食店と同等の給料で募集することを提案したい。
まず、まちかど厨房に専念する従業員を募集することによって、通常のコンビニ店員と比較して、心理的・身体的な負担が減少し、また勤務時間の削減も可能になるため、今までよりも応募が増加すると予想される。これにより、レジ業務や品出しに自信がない人や接客が好きではない人、また自分の料理の経験を十分に活用できるシニア主婦も応募しやすくなるだろう。そして、大都市のサラリーマンのランチタイムはほぼ12時から13時台であり、ディナータイムも19時から20時と、限られた時間に7割が集中している。そこで、この限られた時間帯の賃金のみ上げることによって、現在コンビニがほぼ最低賃金で雇用している状況が改善されるので、今までよりも応募しやすくなるだろう。これにより繁忙期の人材も確保でき、また働く人の増加も見込めるのである。
ドミナント戦略で高いシェアを持っているセブンイレブン、業務提携や経営統合を繰り返して攻勢を強めているファミリーマートなどと激しい競争環境に直面しているローソンは、まちかど厨房の導入などといった中食を通じて難局打開を図ろうとしている。しかし、人手不足のままではまちかど厨房の展開は難しい。もし時給を一般的な飲食店程度で求人できれば、今後注力すべきまちかど厨房と言った領域での人手不足が解消できる。競合他社による無人化に進むコンビニ業界において、現場主義というローソンの戦略を実現するためには、人手の確保が最優先に求められるのである。
【参考文献】
DIGITAL X 編集部(2021)「ローソン、コンビニの店舗スタッフの確保に短期人材採用サービスを実証実験」 https://dcross.impress.co.jp/docs/usecase/002029.html 2023/04/05閲覧
不破聡(2022)「コロナ禍でのコンビニ大手3社の業績を比較してわかったセブンイレブンが強い理由」『DIME』https://dime.jp/genre/1306397/ 2023/04/05閲覧
磯貝高行(2022)「現場百遍で見えた未来」『日経ビジネス』2140, 44~48.
IT media(2018)「ローソンが目指す近未来の“デジタルコンビニ”と顧客体験の全容」『IT mediaビジネスオンライン』https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1811/06/news003.html 2023/04/05閲覧
日本経済新聞社編(2021)『2022年版日経業界地図』日本経済新聞出版社.
らい(3年)
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3分間スピーチ
2023-04-06T14:25:51+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881937
燃え尽き症候群を防ぐためには
ルーレ, ジェイザー (2022)によると、コロナ禍で加速したリモートワークにより、仕事とプライベートの垣根が侵食され、燃え尽き症候群がまん延している。それによる退職率の上昇への対処として「ハイパーフレキシビリティー」という新しいパラダイムが登場した。この制...
ルーレ, ジェイザー(2022)は、このハイパーフレキシビリティーを導入することで、従業員の燃え尽き症候群を防ぎ、退職率の上昇を抑える事ができると述べている。無制限に休暇を取ることができることは、従業員にすればとてつもなく魅力的に見えるだろう。しかし、休暇の取得方法は自己申請式で、この点に関しては従来の休暇の取得と大きな違いはない。では、ハイパーフレキシビリティーで燃え尽き症候群を防ぐことはできるのだろうか。
私は、ハイパーフレキシビリティーでは、燃え尽き症候群を防ぐことはできないと考える。なぜならば、燃え尽き症候群に陥りやすい人は、休暇よりも仕事の完成を優先しがちであるため、自ら休暇を申請する必要のあるハイパーフレキシビリティーを彼らが用いる事は少ないと考えるからだ。そもそもバーンアウトは仕事に熱中しすぎるあまり自分の限界に気づけないという状況で発生しやすい。これは自分の理想を追い求め、完成するまでは熱中しすぎていても休憩を挟むなどの選択肢をとれないといった、自分をうまく管理できない人が陥りやすい状況だ。伊藤 (2000)においても、「バーンアウトしやすい人の特徴として、ひたむきで自己関与の高い人、完璧主義傾向の人、理想主義的熱情の持ち主などが挙げられる」とされている。このような状況を防ぐためには、限界に気づかせる、息抜きをさせるなどのアプローチが有効だろう。しかし、ハイパーフレキシビリティーは、従業員が限界を自覚して初めて活用する事が可能な制度であり、従業員に限界を気づかせることには全く対応できていない。従業員が自身の限界に気づかなければ、ハイパーフレキシビリティーを活用する事はないため、ハイパーフレキシビリティーを導入しても、燃え尽き症候群を防ぐことはできないと考える。
それでは、どのようにすれば従業員の燃え尽き症候群を防ぐことができるのだろうか。私は、雇用者によるメンタルケアアプリを用いた従業員管理を提案する。このメンタルケアアプリとは、撮影された顔の写真をAIが蓄積された学習効果から分析し、診断を行うというものである。従業員1人1人に毎週のメンタルケアアプリによる診断、結果の提出を義務付け、異常がみられた従業員は産業医と面談を行う。その際に治療が必要だと判断されれば、従業員が退職に追い込まれる前に休職させる事ができる。このように、メンタルケアアプリを導入することで、産業医の負担を軽減しつつ従業員のメンタルケアを実施でき、従業員の燃え尽き症候群を防ぐことが可能となるのである。
休暇の取得が無制限であっても、どこで休むかを個人に委ねられているハイパーフレキシビリティーでは、燃え尽き症候群を防ぐことはできない。誰かから強制的に休ませられなければ、退職せざるを得なくなることもある。メンタルケアアプリのように、日頃から自分の状況をチェックでき、また、場合により産業医に診断されることにより、従業員は初めて自分がどのような状況に追い込まれているかに気づくのである。その気づきこそが、燃え尽き症候群を防ぐ要因になるのではないか。
【参考文献】
伊藤美奈子 (2000)「教師のバーンアウト傾向を規定する諸要因に関する探索的研究」『教育心理学研究』48, 12-20.
トーマス・ルーレ, ザリア・ジェイザー (2022)「ハイパーフレキシビリティー『無制限の休暇』に潜むリスク」『日経ビジネス』2139, 54-55.
すぎやま(3年)
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3分間スピーチ
2023-04-04T12:45:47+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881936
グラント現代戦略分析 第2版(第16章 戦略的経営における現在の傾向)
【要約】
本章では、事業環境を変容させている力や、それらが戦略的経営に及ぼす意味合いを述べている。その上で、直面する課題の解決にはどのような新しい考え方や道具を利用できるのかについて吟味している。
外的要因は企業に大きな影響を与えるため、企業は戦略を常...
本章では、事業環境を変容させている力や、それらが戦略的経営に及ぼす意味合いを述べている。その上で、直面する課題の解決にはどのような新しい考え方や道具を利用できるのかについて吟味している。
外的要因は企業に大きな影響を与えるため、企業は戦略を常に最高していく必要がある。その際に、株主の利益の最大化と社会全体への利益の最大化のどちらも両立するべきであるとしている。こうして、漸進的な変化と急進的な変化の両方を組み合わせていくためにも経営者の最も重要な課題は利益でさえもなく、利益を左右する戦略的な要素が必要であり、リーダーは21世紀型の組織において新しい考え方が求められるようになっている。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは「なぜ、既存の資源を新しい組み合わせで用いる場合において、職権によって統率された階層よりも、合意に基づいて動く階層のほうが優位となるのか」というテーマで行った。このディズカッションテーマを設定した理由として本書では、非公式の組織はより柔軟性と機敏性を備えており、組織の複雑性を高めていくうえで有効な手段として紹介されていた。しかし、既存の資源を新しい組み合わせで用いる場合という状況において、こうした組織がなぜ優位になるのかという用途の点までは書かれていなかった。既存の資源の組み合わせについて、また組織の複雑性について、非公式の組織についてといったそれぞれの要素は、本書において何度も言及されてきた内容である。このテーマで議論をすることによって最終章としてこれまで得た知識を踏まえてより深く検討することができるのではないかと考えたためである。
まず、最初に出てきた意見としては「組み合わせやすい」ことによるメリットであった。トップダウンであれば命令された範囲の仕事にとどまるが、水平的であることによって新しいかけ合わせができるようになることや、組織内での持ちうる知識が分散しているほうが既存知識の組み合わせが起こりやすいのではないかといったものである。それぞれが異なる能力を持っていることによってそれぞれの知識を補い合って新たなアイデアを出すことができる。しかし、こうした意見に対して、合意に基づく階層にしか部門が横断的な組織になるわけではないのではという反論が出た。経験豊富な人が集まった上部の人間での組織のほうが能力を持っている可能性もある。これには合意に基づいた非公式な組織である方が現場の声をくみ取りやすい可能性が高いのではないかという意見で収束した。
次に出たものとして「硬直性を防げる」「柔軟性が高い」というものである。職権によって統率されることによって権力の集中が起こり、新しい意見を出しにくいというものや、職権で統率されるとそれぞれで修正掛けることになるが、水平であることによって意思決定のスピードが早いといったものである。部署、階級等の上下関係が緩和されることによって、既存の知識のみへの凝り固まった思考から離れられる可能性や、こうした経営者層の身に意思決定をさせ、下まで指示をするといった手間を防ぐこととつながる。
そして、もっとも多く出た意見は「関係性」があることによる意見の出しやすさである。権力の集中ではないからこそ、より多くの人が意見を出しやすい環境につながること、責任が集中しないことによって攻めた戦略を打ちやすいこと、さらには14章の内容であったような知識移転には良好な人間関係が必要であるということからも水平であることがより促すのではないかといったものである。合意に基づいているという定義上、かならずしも階級がばらばらの社員が集まった組織になるとは限らないのではないか、それに伴って硬直性といった問題も、意見の柔軟性もそれぞれ起こりうるのではないかといった懸念点が挙げられたが、結局は上からの指示でやっているわけではなく、合意に基づいた組織であるがゆえに、全員でやろうという組織構造なる。したがって、自然と下の方の考え方もくみ取りやすいのではないかといったものであった。
【まとめ】
合意に基づいた組織であることによるメリットとして、異なる能力を持つ人材が集まることによる資源の組み合わせのしやすさや、柔軟性といったものが挙げられた。しかし、ただ異なる能力を持つ人間が集まっても、権力の集中や硬直性が起こる可能性も否定できない。分権化され、統率された組織においては、意見が出しにくく、硬直しやすい状態が懸念される。合意した組織においては組織内での関係性が形成されており、多くの意見を出しやすいこと、チャレンジしやすい環境といったものが整う。これによって前述したような懸念点も払しょくすることができると考えられる。したがって、合意に基づいた組織は、組織内での関係性が良いことから、ノウハウが偏らない上に、立場を気にせず様々な意見を述べやすいため、既存の資源の組み合わせにおいて優位になると考えられる。
本ディスカッションは、非公式な組織と既存資源の組み合わせの戦略を扱ったものであった。事前の準備において、本書で今まで述べられてきたような硬直性といった意見が多く出るのではないかと考えていたが、実際のディスカッションにおいては関係性が大きなメリットであるということが結論となった。しかし、実際に合意であるからといってリアルなビジネスの場では意見が言いやすいのかという懸念は残る。よって、理想論としての議論となってしまった。組織の複雑性への対処は難易度が高く、職権と権力についての検討をもうすこし慎重にするべきであったのではないだろうか。
こいけ(4年)
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2023-01-24T03:37:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881935
グラント現代戦略分析 第2版(第15章 外部からの成長戦略ー合併, 企業買収, および戦略的提携)
【要約】
本章では、合併とM&A、そして戦略提携といった、企業外部の資源や能力の活用に関する戦略的ノウハウが述べられている。
本書ではM&Aの最大の魅力に、イノベーションの達成速度があるとしている。しかしながら、M&Aと業績の関係は必ずしも期待的なものではな...
本章では、合併とM&A、そして戦略提携といった、企業外部の資源や能力の活用に関する戦略的ノウハウが述べられている。
本書ではM&Aの最大の魅力に、イノベーションの達成速度があるとしている。しかしながら、M&Aと業績の関係は必ずしも期待的なものではなく、また、実際に結果として目に見えるまでに時間を要することであるという指摘もされている。企業のM&Aの成功の鍵は、買収前の慎重な計画と買収後の目標に沿った適切な統合にあるといわれている。
戦略的提携については、M&Aとは異なり、より柔軟性を持った連携の形であるが文化的課題に起因するリスクも存在する。そのため企業は、内部成長か契約か、または提携か買収か、それぞれの相対的な長所を慎重に考慮して成長経路を選択する能力が求められるのである。
【ディスカッション】
井上、加藤(2013)の研究によると、M&Aの7割近くは水平的合併であるという。また、同研究では、水平的合併を行うと、株価効果が他の合併よりも相対的に高いといわれている。つまり、一般的に水平的合併は他の方法よりもリスクが少なく、有益であると捉えられるのだ。そこで、今回の輪読では、「水平的合併が他のタイプの合併や買収よりもリスクが少なく、有益であるのはなぜだろうか。」をディスカッションポイントとし、ディスカッションを行った。ほかのタイプの合併というのは、P539の地理的拡大合併、垂直合併、多角化のための合併などである。意見としては、この3種の合併すべてよりも、水平合併が優れている点を挙げてもらってもいいが、それだけでは意見に偏りが出たり、そもそも意見が出なかったりする可能性を考慮し、どれか1種の合併と比べた時の優位性を主に上げてもらい、そこから共通性を探しまとめにつなげた。
はじめに、新しい知識やコストがいらないからという意見が出た。水平合併は同業種・業界の合併であるため、新たに知識やコストを多くかけずとも、ノウハウや考えを入手することができるというところが優位性という意見である。同業他社だからこそ統合が難しく、派閥ができるなどして反発が起きるのではという意見が出たが、それに対して、垂直統合などに比べたらやはりコストは小さいし、また、どちらかが主導権を持つことになるため、多少強引にでも進めていくことができ、反発は起こらないのではないか、となった。また、新しい知識やコストがそこまで必要ないという意見に加え、そのようにして統合時に入手した資源や技術の利用や共有がしやすいという意見も上がった。
次に、地理的拡大合併と比較したときの意見として、リスクが少ないからという意見が出た。地理的拡大合併の場合、文化や言語が異なるため合併する際に難易度が高くリスクがある。水平合併はそのようなリスクがないということである。
また、水平統合は業界内のライバルが減り、利益率が上がるからという意見が出た。それに対し、ほかの合併でもライバル減らして利益率上げるということは言えるのではないかという反対意見が出た。しかし、市場シェア獲得につながるというのはたしかに水平合併に関していえることであるだろうとなった。
合併時のことに関して言うと、自分たちの市場だからこそ自社のノウハウや知識で判断できるため、情報の非対称性が少なく不利な合併が起こりにくいから水平合併が好まれるという意見も上がった。
【まとめ】
ディスカッションで出た意見をまとめると、結局、同業種だからこそ、ほかの合併と比べて、文化の壁もないし、元の知識やノウハウを生かしやすく、利用しやすいことが有益性であるとなった。ほかの合併の場合だと、余分なものを抱えることになるということや、統合面などで余分なリスクを抱えることになるから、水平合併は リスクが減らせるといえる。これらを踏まえて、水平合併が他と比べて有益性が高く利益を上げられるため、他3者の合併に比べて選ばれることが多いといえる。
本ディスカッションは、発表班としては、水平合併の有益性とリスクヘッジを分けて考えた意見を想定していたが、前提として、水平合併はリスクが少ないということがあったため、まとめに入る際にフロアを少し混乱させてしまった。ほかの合併と比較したときの水平合併の有益性について意見はたくさん出ていたため、事前に水平合併の前提とまとめにずれがないかを確認し、方向性を定めることができていれば、混乱させることなくまとめることができたと考える。
【参考文献】
井上光太郎、加藤英明 (2003)「M&A発表日の株価効果に関する要因分析」『現代ファイナンス』13, 3-28.
さとう(3年)
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2023-01-23T07:14:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881934
グラント現代戦略分析 第2版(第14章 全社戦略の実践‐多角化事業企業経営)
【要約】
多角化は価値を創造する可能性を提供しているとはいえ、その成功は全社戦略が効果的かにかかっている。そしてそれは、多数の事業単位を抱える企業の企業本部の役割に依存している。本章では、企業本部が価値を創造するための活動を以下の4つの型に分類した。...
多角化は価値を創造する可能性を提供しているとはいえ、その成功は全社戦略が効果的かにかかっている。そしてそれは、多数の事業単位を抱える企業の企業本部の役割に依存している。本章では、企業本部が価値を創造するための活動を以下の4つの型に分類した。どの事業・市場に資源を配分するかを決める事業ポートフォリオ管理。資源の共有と能力の移転を可能にする事業間のつながりの管理。個々の事業の業績改善のための個別の事業の管理。そして、環境適応のための変化と成長の管理である。ただ、企業の長期的な価値の最大化をしながら多数のステークスホルダーの利益も考慮するためのシステムを作り上げるのは困難である。
【ディスカッション】
今回のディスカッションポイントは、「多角化企業において、組織能力(技術や資源)を事業単位間で移転・転送できるようにするために、本部組織は事業部に対してどのようなアクションをとれば良いのか。」というディスカッションポイントを立てて行った。このディスカッションポイントを設定した上で、本部組織がとれる具体的なアクションをゼミ生に挙げていってもらった。前提として説明したのは、事業間での資源共有や能力移転、転送をする余地は大きいこと。しかし、技術移転、転送や活動共有、両者ともに、注意深く継続的な本部組織の関与を必須とする。見るからに単純なつながりですら、実際に実行するのは難しい。研究によると、真の課題は、成功事例の情報源と移転先のあいだに、良好な人間関係が無いことであった。
まず、最初の方に出てきた意見として、「エリアマネージャーなどの、どの事業にも関われる仲介役の人材を置く。」という意見が出てきた。これに対し、「現場の意見や細かい事実と異なる可能性がある。」ことが指摘された。
続いて、そもそも人間関係を良好にすることが先決であるという意見も散見された。具体的には、多事業と交流の場を設ける意見が出た。ディスカッション内で出た部門間の交流の2つの方法は、「各事業部の代表が集まって、報告会兼話し合う場を設ける。」「人物ではなく、モノで仲介を作る。例えば、他事業部と使える自販機を設置し、話し合いの場を設ける。といったものであった。
議論が進むにつれて、「従業員の配置換え等で、部門間で人を移動させるなどをして、お互いの事業への理解を深める。」といった意見が出てきた。具体的にはジョブローテーションを行うなどの意見が出てきた。そこから派生して、「ローテーションに際して本部組織からの具体的なタスクがあるべきだ。」といった意見が出たが、技術移転が未達成の状態でタスクを制定することの困難さや、人間関係の構築が不完全であることから難しいとされた。そこで、上記2つの課題を解決できた後タスクが行われることが提案された。
【まとめ】
ディスカッション内で出た意見をまとめると、多角化企業において、組織能力(技術や資源)を事業単位間で移転・転送できるようにするために、最初に本部組織は事業部に対して事業には関係ない良好な人間関係の構築する。続いて、事業に関係あって仲良くなりながら共有可能性の発見ができる環境づくりをして、最終的に具体的なタスクを与えて実際に技術移転を行うための訓練をするという形になった。教科書内で指摘されていた、事業間の人間関係を改善するという方向の意見が多かった。ただ、意図的なプロジェクトベースの組織を作ることやイントレプレナーシップの育成、出島のような環境を作って事業とは別建てで組織能力の移転を行うなどの意見が出てくることはなかった。
本ディスカッションでは、多角化企業の本部組織が事業部に対しとるべきアクションを話し合った。フロアの協力もあり議論が硬直することなく進行し時間内にまとめることができたため、良いディスカッションができたと考える。
たきもと(4年)
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2023-01-16T02:48:00+09:00
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グラント現代戦略分析 第2版(第13章 多角化戦略)
【要約】
本章では、主に4つのことを学ぶ。まずは、どんな企業目標が企業の多角化を促したか、また、それらが過去60年にわたる多角化傾向にどのように影響を及ぼしてきたかを知ること。つぎに、どんな状況のとき、多角化が株主価値を創造するかを知ること、および範囲...
本章では、主に4つのことを学ぶ。まずは、どんな企業目標が企業の多角化を促したか、また、それらが過去60年にわたる多角化傾向にどのように影響を及ぼしてきたかを知ること。つぎに、どんな状況のとき、多角化が株主価値を創造するかを知ること、および範囲の経済、取引費用の内製化、子会社の育成により価値創造が起こり得る可能性を評価すること。さらに、多角化によって生じる利益の経験的実証を理解すること。そして最後に、事業間の関連性、類似性が、いかに多角化および経営の多角化の成功に関わるかを知ること。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは「1990年代から2010年の日本において、非製造業では専業化が進んだのに対し、なぜ製造業では多角化に力を入れてきたのか。」というテーマでディスカッションを行った。本書では、1980年代以降、多角化の傾向が反転する。多くの企業が非中核事業は放棄され、多角化した企業の再編が進んできた。1990年代に、株主価値の創造を経営の優先事項として、コア事業への集中がしていたについて述べられている。しかし、日本の場合はどうであろう。そこで、『コアテキスト 経営史』は、日本企業の多角化の程度は1991年に急減した後横ばいで推移しているが、2010年に急減している。ただし、製造業は1990年代以降多角化の程度が増加していたが、非製造業は一貫して低下しており、非製造業の専業化がより顕著であったと述べられている。しかし、なぜ製造業はそのような傾向があるのかまでは述べられていない。そのため、1990年代のバブル崩壊、1995年-2000年代初期のインターネットブーム、2008年のリーマンショックという3つの時代背景に基づき、なぜ製造業では多角化に力を入れてきたのかをディスカッションしてもらった。また、製造業の中にも、特に繊維、紙、パルプ、情報通信機器、電子部品・デバイスといった産業に設定した。
意見は大きく2つの時代背景に分けられる。1つ目は、インターネットブームの時代についてである。製造業はインターネットを介すると変化が大きい。製造業はインターネットブームで、新しいモノをつくれるようになった。また、ネットの普及で消費者の情報収集が可能になり、製造業は製造から販売まで多角化を展開したといった意見があった。2つ目は、バブル崩壊やリーマンショックという不景気時代背景についてである。リーマンショックで原材料価格の高騰により、他の事業を展開することによって利益を出す必要がなってきた。また、不景気の時、いいモノを作っても必ず売ることができるわけではないため、他の事業(水平の多角化)で売上を上げらなければならない。あるいは、垂直統合でコスト削減や川下で利益拡大を図る(垂直多角化)。
【まとめ】
そもそも、なぜ日本の繊維、紙、パルプ、情報通信機器や電子部品・デバイスといった製造業は多角化に力を入れたかについて、青木(2009)によると、2つの事実が発見された。まず、繊維や紙・パルプのように本業の成長性が鈍化した成熟産業で多角化が進展している。さらに、情報通信機器や電子部品・デバイスについての産業は、IT革命の進展と関連が深く、潜在的な市場成長性の高い業種で多角化が進展している。今回のディスカッションで、1つ目の事実である本業の成長性が鈍化した成熟産業で多角化が進展するに関する意見があまり出てなかったが、2つ目の事実に関する意見は多く出た。
【参考文献】
青木英孝 (2009)「日本企業における多角化の推移」『千葉商大論叢』46 (4), 19-39
ちん(4年)
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2022-12-19T10:04:21+09:00
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グラント現代戦略分析 第2版(第12章 グローバル戦略と多国籍企業)
【要約】
12章ではこの50年間において事業環境の変化を促進してきた大きな要因である国際化をテーマとしている。国際化の方式は大きく貿易と直接投資に分けられる。国際化は機会にも脅威にもなりうるものである。そんな国際戦略を考えるときの判断は進出の利益性がどう...
12章ではこの50年間において事業環境の変化を促進してきた大きな要因である国際化をテーマとしている。国際化の方式は大きく貿易と直接投資に分けられる。国際化は機会にも脅威にもなりうるものである。そんな国際戦略を考えるときの判断は進出の利益性がどうかという点である。この利益性を追求するために、組織形態をどのように作るべきかという最適な組織とシステムの設計が重要となる。また、国際化を行う上で議論となるポイントは統合と分権化のバランスをとることである。このバランスの取り方によって多国籍企業は分類されている。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは「なぜ日本企業型の多国籍企業はトランスナショナル型への移行が進まないのか。」というディスカッションポイントを立てて行った。このディスカッションポイントを設定した上で、なぜ統合と分権化のバランスをとることができているのかということを議論した。このディスカッションポイントを設定した理由は本書でも書かれているように、統合と分権化のバランスをどこに置くのかということが国際化の議論の中心的関心事であると考えたためである。また、この2つの軸を高度に両立している企業であるトランスナショナル型組織に注目することでこれからの多国籍企業について考えることができるのではないかと考えたためである。
まず、最初の方に出てきた意見としては「日本企業はトランスナショナル組織にあっている商材を扱っている企業が少ない」「日本企業は成熟期に入った製品を取り扱っている企業が多い」というものなどがあった。これらの意見は日本企業という言葉が主語となっている。今回のディスカッションでは日本企業型組織という主語を置いていて、議論の対象は日本企業ではないということが再確認された。
また、トランスナショナル型組織は分権化と統合の両立をおこなっている組織であり、日本型企業組織にとって足りていない部分は分権化の部分であるということも全体で認識を共有した。
続いて、権限の分散ができていないという意見が出てきた。これは欧州型組織や、米国型組織は権限の分散が前提となっている組織であるため出てきた意見であるということが考えられる。この根底にある考え方は中央集権的なトップだけで意思決定をしていこうというものであるのではないかという意見が出た。
さらに、品質に自信があるということが言われた。日本企業型メーカーは高品質なものを作るような企業が多いことから出てきた意見であると考えられる。これには品質に自信があるなら、現地にその製造を任せるということが可能なのではないかという反対意見が出た。しかし、本国と拠点の関係性の中で製造を任せること難しい構造になっているという意見や、自信を持っているからこそ最後まで目を通した形で製造などを行いたいと考えるのではないかという意見が反対意見に対して述べられた。
【まとめ】
ディスカッションの初期段階においては日本企業と日本企業型組織が混同される場面があったが、日本企業型組織は高品質なことが顧客に求められるような製品を取り扱っていることが多いのではないかということが議論された。さらに、品質に対して自信があるような企業は、その品質への自信があることによって製造や研究開発に関する部分の分権化が国際化の流れの中で行われないのではないかという考えに至った。分権化を行えるだけの人材の強化やそれを活かすトップ層の分権化への考え方を強めることがトランスナショナル企業組織に変革するために必要であると考えられる。
本ディスカッションはトランスナショナル組織をメインに扱ったものであったが、実際の議論では日本企業型組織の分権化をいかに進めるかという議論に近いものとなってしまった。統合とのバランスの取り方を考えることが必要であったと考える。また、日本企業型組織と日本企業の区別の部分をファシリテーターとしてあらかじめ提示することができていれば、より内容の濃いディスカッションを行うことができたと考えられる。
あきもと(4年)
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2022-12-19T09:26:00+09:00
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グラント現代戦略分析 第2版(第11章 垂直統合と企業の事業領域)
【要約】
第11章では、企業の事業範囲と垂直統合について述べられている。企業活動の範囲は、生産を組織化するに際しての市場と企業の相対的効率を反映する。企業規模と範囲の拡大は、市場での取引費用と比較しての経営管理費用の低下を招いた。企業の経営管理費用と...
第11章では、企業の事業範囲と垂直統合について述べられている。企業活動の範囲は、生産を組織化するに際しての市場と企業の相対的効率を反映する。企業規模と範囲の拡大は、市場での取引費用と比較しての経営管理費用の低下を招いた。企業の経営管理費用と市場の取引費用が決定される要因を考慮することで、事業を垂直統合するか否かを決めることができる。この30年間ほどは事業を外注する傾向にある。
【ディスカッション】
今回は「メーカー機能を持つ商社はなぜ垂直統合を行っているのか」というテーマでディスカッションを行った。本書では、戦略的に異なる事業の場合、異なった組織能力や経営企画システム、経営管理、人的資源管理、トップマネジメントのスタイルと技能を必要とするため、多くの企業で垂直方向での分解志向を促したと述べられている。また、上流方向へ垂直統合すれば、納入業者と競合関係になるとも言われている。商社とは、貿易や国内企業から製品を調達し販売するものであり、メーカーとは原材料を加工して製品の生産・販売を行うものである。商社とメーカーは戦略的に異なる事業であるため、必要とされる組織能力や戦略企画システム等を必要とするはずだ。また、商社がメーカー機能を持つということは上流に進出するということであり、取引相手のメーカーと競合関係になってしまう。以上2点から、商社とメーカーは垂直統合しないほうがいいのではないかと考えた。しかし、商社として創業したけれど現在はメーカー機能も持っているという企業が複数存在する。そこで、これらの企業は何を目的に垂直統合を行っているのかについて議論することとした。前提として、ここでいうメーカー機能を持つ商社とは、商材として売っているモノもメーカーとして作っているモノも関連性のある商材に限定した。
意見は大きく4つでた。1つ目は、多様な知識が蓄積されるからという意見だ。商社は自社が扱っている商材の知識を幅広く持っている。それに加え、顧客となるメーカーの話を聞くことができるため、多様な視点の知識が蓄積されていく。そのため、ものづくりもしやすくなる。2つ目は、ニッチな市場に出ていくためという意見だ。商社は顧客のニーズに合った商品を柔軟に提供する仕事である。しかし、常に顧客のニーズと合致する商品があるわけではない。市場にない商品を作れば対応が可能となる。また、仕入れ先とバッティングしない範囲のモノを作ることで競合関係に陥ることもなくなる。しかし、ニッチな市場に出ていくためという意見に対しては、商社の工場を持たなくてよいというメリットをつぶしてしまうという意見が出た。3つ目は、メーカーに対する交渉力を強めるためという意見だ。メーカーと似たようなものを作れるようになることで、その製品にどれくらい金額がかかるのかわかるようになる。そうすればメーカーからの値上げや出し渋りに対抗できる。しかし、日本企業は関係性を重視するためそこまで攻撃的になることはできないのではないかという意見も上がった。4つ目は、メーカー機能を持ったほうが利益が出るためという意見だ。商社は仲介料で利益を出すため、売ったものの売上がそのまま自社の利益になるわけではない。対してメーカーは売れば直接利益となる。さらに、商社は販売網が広いため、作れば売りやすい。また、商社機能の利益の限界で多角化するしか生き残る道がなく、メーカーが最も合理的であるという意見も出た。
【まとめ】
今回は「メーカー機能を持つ商社はなぜ垂直統合を行っているのか」というテーマでディスカッションを行った。それに対して、「商社は取引先がメーカーであるためメーカー側の知識がたまりやすく、多様な視点を持つことができる。その結果、市場の不確実性を排除できるため取引先ともぶつからずに事業を展開することができ、商社機能だけよりも利益を生みやすい」という結論になった。
実は、この議論を行う前に実際にメーカー機能を持つ商社の社員の方にお話を伺う機会があった。その際、今回のディスカッションと同様の質問に対して、「儲かりそうな事業があるならやりたくなるから」といった回答をいただいた。お話では垂直統合の観点からはあまり考えていないようだったが、今回の議論の結果はお話とは少し違ったものとなった。メーカーが持っていない製品を作ればバッティングを防げるが、本業のメーカーも手を出していない領域で利益を出すことはそう簡単なことではない。しかし、商社がメーカー機能も持てば商社は情報量でメーカーに勝つことができる。このようにしてパワーを持つことができれば、まだ市場にないがニーズの高い製品を作り出し、利益を得ることができるのではないだろうか。
本ディスカッションでは、実際の企業の考えと経営学的な考えの違いを見ていった。今後、就職するにあたっても使えるディスカッションとなったのではないか。しかし、ファシリテートの仕方についてはフロアを置き去りにしてしまう場面があったりしたため、改善の余地がある。
くらかみ(4年)
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2022-12-11T04:32:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881930
グラント現代戦楽分析 第2版(第10章 成熟産業での競争優位)
【要約】
本章では主に、成熟産業について述べられている。成熟産業の主要な戦略論的特徴(コスト優位性・セグメントと顧客選択・差別化の追求・革新)と、成熟産業における重要成功要因について認識し、その利用に役立つ戦略を策定する。さらには成熟産業における戦略...
本章では主に、成熟産業について述べられている。成熟産業の主要な戦略論的特徴(コスト優位性・セグメントと顧客選択・差別化の追求・革新)と、成熟産業における重要成功要因について認識し、その利用に役立つ戦略を策定する。さらには成熟産業における戦略の効果的な実効のための組織構造と経営システムの設計について、詳しく述べられている。
また、斜陽産業における戦略について、特徴、それがもたらす収益機会、そして企業がとり得る戦略の選択肢について認識していく。
【ディスカッション】
本書p377より「製鉄、衣料や繊維、食品加工、保険そしてホテル業など、多くの成熟産業では研究開発費は売り上げの1%以下である。」つまり、成熟産業における研究開発費はとても少ないことが読み取れる。しかし、日本自動車工業会(2020)より、自動車産業は成熟産業であるにもかかわらず、売上に対する研究開発費が6〜7%とかなり多いことがわかる。ここに本書と現実とのズレがあるのではないかと考え、今回のディスカッションポイントとして「日本の自動車産業は成熟産業であるにもかかわらず、なぜ他の成熟産業に比べて研究開発費が多いのか。」を挙げた。ここでの成熟産業とは本書に従って、技術変化の遅い産業かつ斜陽に陥っていない産業と定義する。また自動車産業は、本書で成熟産業の例として述べられているため、今回のディスカッションでは自動車産業は成熟産業であると定義できる。
このディスカッションポイントについて、大きく以下4つの意見が挙げられた。?将来性について。EVや水素や自動運転など、技術発展が見込まれているからこそ研究開発費が多くなっている。つまり自動車産業自体は成熟しているが、燃料などでみたら成熟していない。?安全性について。自動車は安全性が重視される産業であり、過去の事故の経験などから安全性に対する開発のモチベーションは高い。車個体とは別の部分に付加価値を見出している。?部品数について。産業構造的に他の企業と連携したりフローが多かったりと、関わる企業が多いから。しかしこれに関しては自動車産業に限らない。?ファンの多さ。日本の自動車産業はリーディングカンパニーであり、ニーズに多様性もあるため、応えるために常にお金をかけ続ける必要がある。
これらの意見から、自動車産業は成熟産業に当てはまらなくなってきているのではないかと考えた。既存の自動車そのものではなく、?や?などでみられるような付加価値で差別化出来ている。したがって、自動車産業は成熟産業から抜け出しつつあるため、他の成熟産業に比べて研究開発費が多いという結論に辿り着いた。
【まとめ】
今回は成熟産業の中でも自動車産業を主語としてディスカッションを行った。産業を絞ることはフロアの知識に偏りが出てしまうため難しいことは予想していたが、過去に自動車産業でのディスカッションは何回か行っていたため、それらの知識を元に話し合うことができた。
本番は意見は出たものの反論がしづらい議論であったため、もう少し上手くファシリテートできたと反省。しかし時間的にも体力的にも厳しい状況の中、発表の工夫で良い雰囲気で話し合うことができたため、良いディスカッションができたと考える。
たきもと(4年)
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2022-11-14T12:27:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881929
グラント現代戦略分析 第2版 (第9章 技術に基礎を置く産業と革新の管理)
【要約】
第9章では、技術に基礎を置く革新と組織の戦略について解説されている。技術主導の産業における戦略的意思決定は複雑であるが、革新と技術的変化を上手く管理しそれに基づいた戦略は効果的である。さらに、ネットワーク外部性が存在する市場においては規格や...
第9章では、技術に基礎を置く革新と組織の戦略について解説されている。技術主導の産業における戦略的意思決定は複雑であるが、革新と技術的変化を上手く管理しそれに基づいた戦略は効果的である。さらに、ネットワーク外部性が存在する市場においては規格やプラットフォーム競争に勝つことの重要性も示されている。
【ディスカッション】
本章によると、規格競争で勝つためには期待感をうまく管理することが鍵となる(p.349 l.22)。では、規格競争に勝ち、規格を支配できた企業はなぜ期待感をうまく管理することができたのだろうか。これを議論するため、今回は本章で紹介されている事例を用いて、「ソニーはプレイステーション2を規格として広めるために、プロモーションや宣伝を投じたあとにどのようにして期待感を維持できていたのか」をディスカッションポイントとした。
ディスカッションで出た意見は大きく4つに分類できる。1つ目は、顧客へのニーズ分析に基づいて一般的な人気ゲームの続編を対応させることだ。しかし、他のゲーム機でもプレイできるなら期待感にはつながらない、こういったやり方は消費者からの反発も起きるという反対意見もあがった。2つ目は、前の製品でプレイできていたソフトを継続してプレイ可能にすることや搭載されていなかった新機能などの+αの要素を、タイミングをみて発表し続けることだ。コストが高騰してしまうという反論が出たが、拡張機能やアップデート要素として取り入れるならば問題はないということに帰結した。3つ目は、他社製品の人気作を自社のみでプレイできるようにすることだ。人気作を囲い込むことで、製品がこれから普及すると周囲に期待させることができる。4つ目は、適切な数を提供することだ。しかし、適切な数の把握やその提供方法において実現可能性が低いという問題があった。
【まとめ】
今回は本章で紹介されていた、ソニーのプレイステーション2の事例をもとにして議論を行った。結論としては、以下の2つに収斂した。
1.他社の人気作の囲い込みによって自社が大きくなることを予感させる
2.+αの要素を宣伝し続けることで消費者などの期待、興味を惹き続ける
これらを本事例に限らず一般化できる結論に置き換えると、補完製品の囲い込みによって自社への期待を予感させること、製品の追加要素を一気に発表するのではなく少しずつ宣伝することで期待感を持続させることができると考えられる。したがって、企業は規格競争に際して上記のような2つの戦略をとることで、消費者や納入業者などからの期待感をうまく管理して成功をおさめることができるという結論に至った。
もりもと(4年)
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ゼミのひとコマ
2022-11-09T00:19:55+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881928
グラント現代戦略分析 第2版 (第8章 産業発展と戦略変化)
【要約】
第8章では産業ライフサイクルと、変化する産業の中にある企業の変化について述べられている。変化を予想し適応することは大変難しいことである。産業ライフサイクルを理解することは業界構造や競争優位性への影響を予測させる。しかし、産業発展のパターンを...
第8章では産業ライフサイクルと、変化する産業の中にある企業の変化について述べられている。変化を予想し適応することは大変難しいことである。産業ライフサイクルを理解することは業界構造や競争優位性への影響を予測させる。しかし、産業発展のパターンを特定できたとしても企業変化への適応に使えないのであれば価値がない。変化を管理するには、今現在の最適化を行うことと将来のために組織を準備することが要求される。
【ディスカッション】
今回は「創業期からある組織能力で今も経営を行っている企業は、なぜ長期存続できている(競争優位を獲得できているのか)」というテーマでディスカッションを行った。本書では、競争優位の更新に必要な新しい能力の開発とその能力がどこから来るのかについて述べられている。その1つが、創業期や初期発展期の環境に由来する能力である。創業期の組織能力に基づいて今も競争優位を構築している企業の例が本書では紹介されている。しかし、組織構造や文化に組み込まれた既存の能力は新しい能力を構築するときに大きな障壁となってしまうため、競争優位を得るために必要な新しい能力を本当に得られているのか、既存企業の経営幹部は理解に苦しむとも述べられている。実際、失敗している企業も存在する。そこで、初期の能力で今も競争能力を築けている企業はなぜそのようなことが可能なのか、一体どのような能力を持っているのかについて議論することとした。前提として、ブルーオーシャンなど競争が起こっていない市場ではなく、競争が起こっている市場に限定した。
意見は大きく2つに分かれた。1つ目が既存の組織能力を用いて新しい組織能力を産んでいるという主張だ。具体的には、「最初から価値のある戦略を持っていた」「最初に能力の因果関係をあいまいにしたから」「自前主義だったので外部環境が変化してもノウハウを用いて柔軟に対応できるから」といった意見があげられた。2つ目が新しい能力は産んでいなく、外部環境がよかったという主張だ。「競争はあってもあまり変化の激しくない業界だった」という意見があげられた。
次の段階として、その企業が根底にどのような能力を持っていたら新しい能力を生み出せるかについて議論を行った。意見としては、「新しいことを受け入れる文化」「応用可能な人や組織」といったものがあがった。
【まとめ】
今回は「創業期からある組織能力で今も経営を行っている企業は、なぜ長期存続できている(競争優位を獲得できているのか)」というテーマでディスカッションを行った。それに対して、?既存の組織能力を用いて新しい組織能力を産んでいる?新しい能力は産んでいなく、外部環境がよかった、さらに、?の根底にあるものは長期的に応用可能な人や組織、文化があったというアンサーが出た。
本ディスカッションでは、成功例はあるものの実際に理解しがたいものに対して、成功の根底にあったものを探し出すことができた。しかし、反対意見のでやすいディスカッションではなかったことは反省点である。また、こちらでは根底にあったものとして普遍的な経営理念をあげていたが、一つ抽象度の高い結論となってしまい、あまり深堀ができなかった。組織能力という概念が広いものの説明の仕方にも改善の余地がある。
くらかみ(4年)
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ゼミのひとコマ
2022-11-07T13:10:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881927
グラント現代戦略分析 第2版(第7章 競争優位の源泉と次元)
【要約】
この章は競争優位の様々な源泉を総合的に理解し、発展させる章となっている。そのために、コスト優位性と差別化優位性について深く分析していく。コスト優位性は7つの基本的なコスト主要因に依存するものとなっている。しかしコスト優位は差別化優位よりも維...
この章は競争優位の様々な源泉を総合的に理解し、発展させる章となっている。そのために、コスト優位性と差別化優位性について深く分析していく。コスト優位性は7つの基本的なコスト主要因に依存するものとなっている。しかしコスト優位は差別化優位よりも維持できる可能性が低いものとなっている。差別化優位はマーケティングや設計さらにそれらに加えて、顧客との相互交流で全ての面に関係するものとなっている。需要側、供給側の差別化の源泉を組み合わせ差別化優位を築いていくという考え方のもと価値連鎖は有効な枠組みを提供している。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは「なぜ日本の生産財メーカーは世界の市場において差別化できているのか。」というディスカッションポイントを立てて行った。このディスカッションを価値連鎖分析を活用して考えるという前提のもと行った。まず、日本の生産財メーカーに注目した理由であるが、比較的世界の市場において競争力を持っているメーカーが多いと考えたためである。また、本章で大切と言われている差別化について顧客企業との関わりを総合的に見てどこに差別化のポイントがあるかということを考えることに意義があると考え価値連鎖分析を使い差別化のポイントを探すディスカッションを行ってもらうことにした。ディスカッションの中では生産財企業の価値連鎖をベースに顧客企業の価値連鎖のどこに繋がっているのかということを言及してもらうことにした。
購買物流の観点ではさらに上流にある消費財メーカーとの長期的な関係、深い関係というのが意見として出た。上流の生産財メーカーと深く関係があることによって自社の商品の必要な仕様や要素を伝え、実現したい製品を性能面でも価格面でも実現することができているのではないかという意見が出た。
製造という部分では日本において自動車業界の存在感の高さが言及された、自動車業界と関わる企業が多くそこでの連携の強さがあるから質の高い生産財が求められているということが顧客企業の製造に関わる意見として出た。
出荷物流では物流網が日本において整っていること、生産財メーカーと顧客企業の間で素早く正確な連絡をすることができていることがあって顧客企業の購買物流に対して良い影響を与えることができているという意見が出た。
販売マーケティングという観点では顧客企業と深く関わることで会話をベースとして密なコミュニケーションをとり販売を行っている点が製造や販売、マーケティングにつながっているということが述べられた。特に生産財メーカーという観点で部品ごとのすり合わせが強い。すり合わせを行うことから顧客企業の製品の競争力を生み出しているというところが特性としてあるのでこの意見は共感を得る意見となっていた。この意見に関しても顧客企業の製造や販売、マーケティングに関係する商品力の部分に関係している。また、この関係の強さは接待などの形として出ることがあるのではという議論も行われた。
サービスという観点ではアフターサービス、顧客企業の製造現場での問題への対処ということが述べられた。
技術開発や人的資源管理、インフラという部分では日本における大学院での教育や企業が持っている教育機関との関係があることで高い開発力を持った人材を確保することができているということが述べられた。企業が持っている教育機関については他国には見られない特徴であるが、大学院出身者については日本独自のものであるのかという疑問の声もあった。また、顧客企業との研究開発段階においての深い関係も日本企業の場合持つことができている。
以上の意見が価値連鎖分析に基づいた意見として出された。以上の点からの共通性は長期の取引関係が行われていて、その関係を前提として顧客企業に対して高品質な製品やサービスを提供できているのではないかという意見が出された。
【まとめ】
まず、顧客の価値連鎖との関係に注目すると顧客企業の購買物流や製造といった部分にメリットを提供する差別化となる要因が日本の生産財メーカーには多いということがわかった。
そしてディスカッションの中で出た差別化要因を提供する理由となっているのが長期取引を行えており、他社や顧客と密なコミュニケーションができていたということである。その背景にあるのは、製造での他者と最先端のものを作ろうとする密接な関係、販売マーケティングにおいて、密なコミュニケーションを行えていることによって、ニーズの汲み取りができている。そして、それに即座に対応できること、その質の高さ。技術開発においても、個々の部品を使用したい他者との密な関係。購買においての長期取引により価格を抑えられることが挙げられる。このような背景から、海外の生産財メーカーと比較して長期取引ができており、他社や顧客と密なコミュニケーションができていることが差別化要因になっていると結論付けた。
本ディスカッションは価値連鎖分析を使ったものであったが、その連鎖性について触れることがなく、価値連鎖の一つ一つの項目と顧客企業の項目とのつながりを考えるにとどまった。企業内での価値連鎖がどうなっているのかについては考える余地があったと考える。
あきもと(4年)
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2022-11-07T12:31:07+09:00
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グラント現代戦略分析 第2版 (第6章 組織の構造と経営システム-戦略実行の基本)
【要約】
組織の戦略策定と戦略実行は緊密に結びついている。また、この戦略策定、戦略実行を行っていくには組織の能力を考慮する必要がある。組織構成員それぞれの異なるニーズを統合し、どのようにすれば組織が成功できるのか組織設計の基本原則を理解することが本章...
【要約】
組織の戦略策定と戦略実行は緊密に結びついている。また、この戦略策定、戦略実行を行っていくには組織の能力を考慮する必要がある。組織構成員それぞれの異なるニーズを統合し、どのようにすれば組織が成功できるのか組織設計の基本原則を理解することが本章のゴールである。
【ディスカッション】
今回のディスカッションは、「異なる職種・異なる事業を担う人材が混在している非階層(プロジェクトベース)組織において、組織構成員が”協働”していくには、業績インセンティブをどのように定めていけば良いだろうか。」というテーマで行った。
本書によると、企業が成功するには協働する(異なるゴールをもつ個人の興味を1つの方向に揃える)ことが必要であり、目標のベクトル合わせとして4つの手段が挙げられている。しかし、ここで挙げられている協働の手法は階層組織を成功に導くためのものであり、非階層組織では成り立たないのではないかと私たちは考えた。そこで、今回はそのうちの1つである「業績インセンティブ」に着目し、非階層組織における協働についてのディスカッションを行っていった。
はじめに出た意見は、組織全体で話し合いを行い、そのインセンティブ内容を定めるというものであった。非階層組織は全員で同じ土俵で話し合える点が大きなメリットであるし、話し合いに全員の決が取れれば全員がそれに従わざるを得ないからだ。しかし、この意見には時間的に全員がそろって話し合うのが難しい点、そして指標が定まっていないという2つの点で課題があった。1点目の全員がそろって話し合いを行えない課題に関しては、リーダーを定めてディスカッションを行えばよいのではないかという意見も出たが、管理者がいないことが非階層組織のメリットであるのに、本意見ではそのメリットを潰してしまうことになりかねない。
そこで全員がフラットな状態で話し合いもせずに業績インセンティブを決めていく方法として客観的評価を取り入れることが次に挙げられた。この客観的評価の方法として初めに出た意見は自分の職種以外の人間が自分の職種の人材を評価するというものだ。これによって職種内での偏りがなくなり、客観的視点で一つの方向にまとめていくことができる。しかし、ここでの問題点は他職種では評価する職種の専門知識が乏しく、適切な評価が行えないという点である。つまり、組織内では客観的視点で意見が出せているが、的確な評価はできないため不満が出てしまう可能性があるということだ。そこで適切な評価を行う指標として出た意見が、職種の相場でインセンティブを割り振るという方法だ。自組織では決めにくいものを市場平均に落とし込み、客観評価していくことにより、一定程度適切な評価が行えるだろう。
ここで評価の適切さと平等さは担保できたが、その後の順位付けのディスカッションが行われていなかったのでこれが終盤で行われた。順位付けの手法として過去の経験や過去のPJ評価の反映が始めあげられたが、こちらは現状変化が激しい環境下において重要指標とならないという意見から否定された。一方でこれを乗り越えるために顧客ベースで評価を決めるという意見も出たが、こちらはそのPJが終わってからでないと評価が出来ないという点において否定された。そこで出たのが職種ごとのノルマ設定だ。職種でノルマを達成することが出来ればインセンティブを与えるという方式を用いれば、組織構成員の行動によってインセンティブの差別化が行える。しかし、個々のノルマ設定自体が職種によってインセンティブを挙げようとするとぬるいものになってしまうのではないかという懸念があり、それを乗り越えるために最終的には個々人の行動評価を一律で定めるという意見が出た。
【まとめ】
今回のディスカッションは、「異なる職種・異なる事業を担う人材が混在している非階層(プロジェクトベース)組織において、組織構成員が”協働”していくには、業績インセンティブをどのように定めていけば良いだろうか。」というテーマで行われた。序盤のディスカッションから終盤に向かうにつれて、主観で定めていた業績インセンティブに客観的指標を取り入れるべきだという意見が大きくなっていった。そしてこのディスカッションの結論としては、「はじめに職種の相場で業績インセンティブを割り振り、その後全員で一律に決めた個々人の評価で差をつけていく」というものになった。
本ディスカッションでは客観的指標に基づいて評価するというところまではたどり着いたが、職種ごとの差別化やPJごとの差別化までは話し合うことが出来なかった。より早く議論の本質的な部分に着目し、それを深めていくディスカッションを行っていくことが今後の課題といえるだろう。
なかしま(4年)
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ゼミのひとコマ
2022-11-02T00:57:39+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881925
グラント現代戦略分析 第2版(第5章 資源と能力の分析)
【要約】
第5章では、組織が有する資源と能力の認識のための体系的な考え方や評価について述べている。産業環境が不安定になるにつれて、外部の市場への支店よりも内部の資源と能力のほうが戦略策定にはより確実な基礎を提供する。組織内で資源と能力を俯瞰して観察し...
第5章では、組織が有する資源と能力の認識のための体系的な考え方や評価について述べている。産業環境が不安定になるにつれて、外部の市場への支店よりも内部の資源と能力のほうが戦略策定にはより確実な基礎を提供する。組織内で資源と能力を俯瞰して観察し、強みと弱みを認識することにより、弱みの脆弱性を最小化した戦略を立てることができる。
【ディスカッション】
今回のディスカッションでは、「なぜ日本企業は、自社の弱みがあるのにもかかわらず、短期・中期的(弱みを認識しているのにすぐ対応しない)に既存の資源や能力から離れられなくなってしまうのか」というテーマで行った。本書において、企業は自社の弱みを修正していくためには、既存の資源や能力の改善計画を立てていくことが重要であるとしている。しかし、弱みを強みに転換するということは大半の企業にとっては長期的な課題のままになってしまっており、企業は前の経営陣から受け継いだ資源や能力から離れられないでいることが多いとされている。本書を通じて、常に内部資源や能力を俯瞰し、戦略に活かしていくと主張されているのにもかかわらず、企業が新たなやり方に踏み切れないという前提があるという点は、本章の根本の課題なのではないかと考えた。そこで本テーマをゼミナールで検討することにした。また、今回のディスカッションポイントの主語として、企業を絞らずに行うと抽象度が高いため「日本の企業」と置いた。こうすることで、フロアの既存の知識と本書で得た知識を活かして議論ができると考えた。
このディスカッションポイントについて、日本企業の「保守的」という点に関連した意見が多く上がった。日本企業は比較的に終身雇用思考が多く、人材の流動性が低い。そのために、長く務めるためにも失敗しないことを優先した行動が多くなってしまうのではないかというものである。反対意見として、終身雇用だからこそ長期的視点を持った行動ができるのではないかというものも出たが、転職前提ではないからこそ、失敗したら転職しようという思考が働かず、より保守的思考になりやすいのではないかという点でフロアはまとまった。目の前の資源や能力があるのにもかかわらず、それを切って新しい戦略を立てるということは、それまでにかけてきたコスト、構築してきた関係性、目の前の利益という3つを崩すことが求められるようになってしまう。それにより、いまだ不確実な新事業に取り組むよりも、今ある確実なものをとろうという保守的な選択をしてしまうのではないかという意見だった。また、企業の強みは組織文化にも大きな影響を与えることが多くあると考えるため、長く務めているからこそ自社の資源への過信が強く働き、今の強みを伸ばそうとなってしまうのではないかという意見も出た。保守的であるという思考から、自分のキャリアに傷をつけたくないという、短期的戦略思考が働きやすいのではないかというのは今回のディスカッションの要約である。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、「なぜ日本企業は、自社の弱みがあるのにもかかわらず、短期・中期的(弱みを認識しているのにすぐ対応しない)に既存の資源や能力から離れられなくなってしまうのか」というテーマで行った。これに対し、「日本の雇用制度の特徴により、保守的な思考が生まれてしまうため弱みの解決よりも既存の資源や能力に依存することで自らの選択による失敗を防ごうという思考になる」という結論に至った。
しかし、実際に自社の弱みがどのようなものであるのかという点で戦略の立て方は大きく異なる。前提である弱みの部分に着目した意見が出せていなかった。さらに、企業が属している産業によっても意見の方向性は異なってくるため、もう少し議論のテーマについて細かく検討する必要があったのではないかという課題が挙がった。また、本議論で述べられている意見は一昔前の日本企業であり、現在はこうした終身雇用制度の流れは弱くなってきている。意見自体は、たくさん出たためディスカッション自体は滞りなくおこなうことができたが、今後はより現状分析を慎重に行い、抽象度が低くしっかりと根拠を持った意見を言えるようなテーマを検討できるようにしたい。
こいけ(4年)
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2022-11-01T02:45:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881924
グラント現代戦略分析 第2版(第4章 産業分析と競争分析にかんする追加的話題)
【要約】
第4章では、産業分析と競争分析にかんする追加的話題に関して述べている。昨今ハイパーコンペティションが引き起こされているため、ポーターのファイブフォース分析だけでは静態的な動きしか見られない。ゲーム理論を活用することで、より動態的に状況を分析...
第4章では、産業分析と競争分析にかんする追加的話題に関して述べている。昨今ハイパーコンペティションが引き起こされているため、ポーターのファイブフォース分析だけでは静態的な動きしか見られない。ゲーム理論を活用することで、より動態的に状況を分析できる。また、セグメンテーションに関しても述べられている。企業は自身の属するセグメンテーションを理解する必要がある。
【ディスカッション】
今回のディスカッションでは、「なぜ国際的競争が激化することが創造的破壊の強化に影響するのか」というテーマで行った。本書において国際的競争と創造的破壊の強化に関して、完全に因果関係が明らかにされてはいない。しかし、チームでは本章全体を通じて、この2者間には因果関係があるのではないかと考えた。また、この部分が本章のゲーム理論の存在の意義を表していると考え、この部分をゼミナールとして理解したいと考えた。
まず、創造的破壊とは、均衡破壊のことを意味する。つまり、今までの産業市場の状況に変化を起こす力のことだ。また、国際的競争とは、自国内の企業のみをライバルとするのではなく、他国の企業をもライバルとする競争とした。さらに、今回のディスカッションにおけるフロアの立場は、どこか特定の企業等ではなく、全ての産業市場の動きを俯瞰して見ている立場とした。今回のディスカッションでは、産業全体における部分の因果関係を見たいと考えたため、なるべく抽象的な観点から意見を出してほしいと考え、このような設定をした。
今回のディスカッションでは最終的に「多様性」というものが国際化によって生まれ、これによって創造的破壊が起こったと結論づけられた。このような結論に至った経緯をここで述べる。まず、世界規模の競争になるということは、今までよりも競合他社の「数」が増えるから競争が激化するという意見が出た。これに対して、ただ数が増えるだけでは今まで以上の競争は起こらないのではないかという反論が生まれた。これ対して、競合他社が他国であるということが「多様性」を生むという論点が生まれた。他国であるということから、考え方のような文化の点や、材料調達等のコスト面の部分でも様々な違いがある。それがあることによって、新たなイノベーションが起こるという考えだ。また、このような動きが、さらに自国内の新たなセグメントの発見にも繋がるのではないかという意見も出た。
以上が今回のディスカッションの要約だ。
【まとめ】
今回のディスカッションでは「なぜ国際的競争が激化することが創造的破壊の強化に影響するのか」をテーマに行った。これに対し、「産業市場が国際化することで、多様性が生まれ、今まで通りのやり方では通用しなくなるため、創造的破壊が引き起こされる」という結論に至った。
今回のディスカッションでは因果関係についてゼミナール全体で考えることができたのではないかと考えた。今後のディスカッションにおいても、因果関係を考えられるディスカッションを通じて、ゼミナール全体で高度な思考ができるようになりたいと考えた。
4年 くらばやし
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2022-10-24T16:31:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881923
グランド現代戦略分析 第2版(第3章 産業分析-基本原理)
【要約】
第3章では、理論的柱であるポーターの競争の5つの力の枠組みを紹介している。ポーターの枠組みは、産業構造の顕著な特徴の分類と競争行動への意味合いの予測との、単純とはいえ強力な枠組みを提供している。また、産業構造変化がどのようにその収益性に影響...
第3章では、理論的柱であるポーターの競争の5つの力の枠組みを紹介している。ポーターの枠組みは、産業構造の顕著な特徴の分類と競争行動への意味合いの予測との、単純とはいえ強力な枠組みを提供している。また、産業構造変化がどのようにその収益性に影響するかを予測するこができる。さらに、産業における重要成功要因を認識することで競争優位の源泉を見つける方法も本章で勉強した
【ディスカッション】
100ページの戦略コラムでは、携帯電話産業の過去と将来について紹介されている。携帯電話は過去20年でもっとも成長した産業の1つであるが、2005年-2015年の間に競争と利益率に関し大きな変化が起こった。産業の収益性を損なう構造的な変化としては新規参入があると言われている。そこで、ディスカッションポイントとして、「なぜ日本の携帯電話製造メーカーはスマートフォンの参入を許してしまったのか?」と設定した。
このディスカッションポイントについて、多くの意見は参入の脅威という視点からきた。参入の脅威という視点から、いくつの意見や反対意見があげられた。例えば、流通経路のアクセスを独占できなく、ガラケーの経路をスマートフォンでも使ってしまった。メーカーとキャリアが分かれている。言い換えると、メーカーとキャリアの関係が弱いから、規模の経済が発生しにくいし、iPhoneで販売経路が取られてしまった。それに対して、流通経路を独占することができるか、独占禁止法に違反しないかという反対の声があった。また、製品の差別化について、ガラケーはお互いに真似しやすいから、日本国内でも差別化できなかった。逆に、海外のガラケーと差別化できるのではないという意見があった。さらに、開発費が高くて、高コスト構造になってしまい、絶対的なコスト優位を持っていないという意見に対して、スマートフォンの開発費もかなり高いのではないという反対意見も出た。また、スイッチングコストが低く、顧客はガラケーからスマートフォンへ乗り換える抵抗はないという意見もあった。しかし、スマートフォンとガラケーの操作方法はかなり異り、値段も高いので必ずしもスイッチングコストが低いとはいえない。
以上の諸々の意見から、「なぜ日本の携帯電話製造メーカーはスマートフォンの参入を許してしまったか」というディスカッションポイントに対して、以下のようにまとめることができる。日本の携帯電話製造メーカーは既存の産業構造で戦っていた。つまり、構造的な優位性が取れなかった。それに加えて、国内市場を中心にし、海外に目を向けなかった。
【まとめ】
本ディスカッションポイントにおいて、参入の脅威という視点から多くの意見が出た。その中に、顧客目線からの意見が多い。しかし、携帯電話の市場において、B2Cだけではなく、B2Bの視点も必要である。
また、本章で勉強してきたポーターの競争の5つの力の枠組みをベースとして、議論を展開した。多くの学者は、ポーターの競争の5つの力の枠組みは限界があると指摘した。今回の議論でもその限界を実感した。しかし、それにもかかわらず、ポーターの競争の5つの力の枠組みは産業分析において、非常に重要な理論である。
ちん(4年)
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2022-10-20T15:10:35+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881922
グラント現代戦略分析 第2版 (第2章 目標、価値および業績)
【要約】
第2章では、企業にとって適切な目標とはなにかという問題を議論している。企業はそれぞれ違う目的を持っているが、価値創出という点では共通している。その価値をどう定義し測るかで、株主の利益と利害関係者どちらを優先すべきかが変わる。しかし、長期的な利...
第2章では、企業にとって適切な目標とはなにかという問題を議論している。企業はそれぞれ違う目的を持っているが、価値創出という点では共通している。その価値をどう定義し測るかで、株主の利益と利害関係者どちらを優先すべきかが変わる。しかし、長期的な利益を考えれば双方にとっての利益を追求できるので、それが企業業績の指標と戦略策定の判断基準として適当であると言える。
【ディスカッション】
64ページの戦略コラムでは、株主価値の最大化という目標を設定したことで失敗した事例としてボーイング社が紹介されている。ボーイングは1990年代半ばに経営者が交代し、株主価値に重点を置いた経営を進めたことから株価が下がってしまった。一方で、それ以前の経営者ビル・アレンの時代はプロジェクトの投資利益率すら知らないほど財務管理に注意を払っていなかった。それにもかかわらず、ボーイングは1960年から1990年にかけて財政的に最も成功した企業としてシられている。
そこで、ディスカッションポイントとして「なぜボーイングは財務管理にほとんど注意を払っていなかったにもかかわらず、1960年から1990年のあいだで財政的に成功できていたのか」と設定した。このディスカッションを行うにあたり、Wikipediaを参考とした時代背景とそのときのボーイングの行動を提示した。
【意見】
意見としては、経営者掲げていた「すばらしい飛行機をつくり、世界市場をリードする」という目標に着目したものが多かった。具体的には、素晴らしい飛行機を作るという目標が当時の世界的ニーズと一致したから飛行機が売れたという意見や、経営者の情熱によって外部に製品の魅力が伝わりやすかったと同時に社内においても内発的モチベーションを共有しやすくパフォーマンスが高かった、といった意見があがった。目標があるだけでは成果につながるとは限らず内容も重要なのではないかという意見もあった。しかし、本事例では優秀なエンジニアや政治家が事業をサポートしており、これはボーイングの目標の内容と飛行機の需要が高まっていた時代背景が補完関係にあったためではないかという意見が挙がった。
【まとめ】
今回はボーイング社を事例として、なぜ財務管理に注意を払わなくても成功できるのかを議論した。
本章では、企業の価値観や目標に一貫性があるならば、それは組織としての自己同一性の重要な構成要素となり従業員のコミットメントや行動に重要な影響を与え、業績を向上させることにつながる、とある。このとおり本事例においても「すばらしい飛行機をつくり、世界市場をリードする」という一貫した目標設定は企業内部に正の影響をもたらしたと考えられる。さらに、世界市場をリードするという部分が利害関係者にとっての長期的利益と一致し、支持を得られたことも成功要因の1つであったと考える。つまり、目標が1つ定まっていたこと自体と、目標の内容が外部環境のニーズや考え方とマッチしていたことが要因で、ボーイングは財務管理に注意を払わなくても成功することができたという結論になった。
もりもと(4年)
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2022-10-11T12:28:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881921
グラント現代戦楽分析 第2版(序〜第1章 戦略の概念)
【要約】
本書は第I部序論における第1章であり、主に戦略とは何か、組織および個人の成功にはなぜ戦略が重要なのかについて説明されている。また本書の今後の構成について説明がなされていく。
成功する戦略には、?長期的かつ単純で合意された目標?競争環境の深い理...
本書は第I部序論における第1章であり、主に戦略とは何か、組織および個人の成功にはなぜ戦略が重要なのかについて説明されている。また本書の今後の構成について説明がなされていく。
成功する戦略には、?長期的かつ単純で合意された目標?競争環境の深い理解?有する資源の客観的評価?効果的な戦略実施といった、上記4つの共通要因が存在する。本書ではこの基本的戦略の枠組みを今後詳細にみていくこととする。これが、戦略分析の手法(第II部)である。そのあとこれらの手法を使って異なった産業における競争優位の追求を分析(第III部)し、全社戦略の展開(第?部)を行う。以上が本書の構成となっている。
【ディスカッション】
本書において、企業は2000年以降、不安定性への適応から創発的な戦略が求められていることが読み取れる。しかし調べてみると、実際に日本の大企業は海外に比べてイノベーションが少なかったり、海外進出の際に外部環境に柔軟に対応できずに失敗したり、といった現状があり、本書とズレがあるのではないかと考えた。そこで今回のディスカッションポイントとして、「外部不確実性が高い現在、創発的な戦略が求められているにもかかわらず、多くの日本の大企業は創発的な戦略が実行できていない。それはなぜか。」を挙げる。ここでの創発的な戦略とは、本書に記載されているアップルやホンダの事例のように、外部環境の変化に合わせて柔軟に戦略を決定していくといったものである。またディスカッションポイントの主語について、1社の事例ではフロアの知識が乏しく意見に限りがあると考えたため事例は避けた。また例外の企業もあるため「多くの」日本の大企業とした。
このディスカッションポイントについて、大きく以下3つの意見が上げられた。
まず1つ目は、日本における終身雇用制度が原因であるという意見。トップダウンの経営や、年功序列で意見が言いにくい風潮、新しい考えが上層部に届かない、といった意見が挙がった。一方で戦略には長年の経験が必要、大企業に限った話でない、と言った反対意見も多く挙がった。
次に2つ目は、フィールドワークが足りていないのではないかという意見。数字だけで判断しがち、実際に現場調査しているところを見たことがない、と言った意見が挙がった。一方で各企業マーケティングには力を入れているため調査は怠っていない、業種に偏りがあるのではないか、といった反対意見が挙がった。
最後に3つ目は、日本の大企業の文化や社風が原因であるという意見。日本は失敗を許されない社風がある、意思決定に時間がかかってしまう、新しいことを好まないリスク回避的な思考がある、と言った意見が多く挙がった。一方で実際はもっと柔軟に新しいことにチャレンジしているのではないか、といった反対意見も挙げられた。
これら3つの要因はなぜ起こってしまったのか、その大きな原因として、日本の高度経済成長期における組織硬直が挙げられた。現在は、作れば売れる時代を生きてきた世代が管理職クラスになっている。彼らは昔の成功体験から高品質に対しての信仰心が高く、外部環境に合わせようとしない。また大企業は人数が多いため、この考えから抜け出すことが難しいのではないか。
以上が今回のディスカッションにおける私たちの答えである。
【まとめ】
今回のディスカッションは主に創発的戦略について取り上げた。本章では今後話される内容を大まかに取り上げており、第1章でしか取り上げられない創発的戦略について話し合うことができたため、良いテーマ選びができたのではないだろうか。
本番もフロアから絶えず意見が飛び交い、それぞれ1つの意見に対して深いディスカッションができた。秋学期の輪読初回として、清々しいスタートが切れたと考える。
たきもと(4年)
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ゼミのひとコマ
2022-10-11T12:20:43+09:00
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「脳にいいアプリ」を継続的に利用してもらうには
藤中(2022)によると、ITサービスを手がけるベスプラは2017年に「脳にいいアプリ」という認知症予防アプリの提供を始めた。このアプリは、計算問題やパズルで血流を増やし、脳を活性化させるというものである。実際、数問を解き終えるとかかった時間や正答率から「脳年...
しかし、私が今まだ認知症になっていない70代後半の女性に聞いてみたところ、このアプリを継続的に利用するのは難しいと答えた。確かに私がアプリを使ってみても、一週間ですら続けて利用することはできなかった。では、このように私の身の回りではなかなか継続的に使われない「脳にいいアプリ」は、ベスプラによる前述の取り組みで利用者に継続的に利用してもらえるのだろうか。私は、継続して利用してもらえないと考える。私がそう考える理由は2点ある。
1点目は、問題が簡単すぎる点である。先ほどの70代後半の女性も、アプリが簡単すぎてつまらないと述べていた。中山(2015)によると、スキルに対して問題の難易度が低い場合、学ぶことが無いため退屈と感じる。問題が難しすぎると、解けたという喜びを感じられなくなるのでやる気を損ねてしまう可能性があるし、簡単すぎると、達成感を得ることはできるが、すぐに飽きてしまうのである。このアプリの場合、計算問題は一桁の足し算や引き算で、またパズル問題も10ピース未満の簡単な問題で構成されている。さらに、このアプリの問題数は多くない。したがって、簡単すぎてつまらなくなってしまうのだ。よって、出題されている問題が簡単で利用者が問題を解くことに飽きてしまうため、アプリを継続して使うことは難しいと私は考える。
2点目は、ゲームの種類が少ないことである。このアプリは、計算問題・パズル問題・記憶問題が1つのセットとなって、これが同じセットで繰り返し出題される。しかし、このゲームは3種類しかないので、3種類のゲームが数字や絵柄を変えて繰り返し何度も出題されることになる。そうすると、利用者はその種類のゲームに慣れてしまい、ゲームをするというより次第に淡々と作業を行うだけになってしまうのである。淡々とした作業はつまらないと感じさせるため、利用者のモチベーションは低下し、アプリを継続して利用することができなくなると私は考える。
では、利用者がこのアプリを使い続けるために、ベスプラはどのような取り組みをすればいいのだろうか。私は、このアプリの難易度を初級コースから上級コースまで自分で選択できるようにし、また難易度が上がるにつれてゲームの種類を増やしていくべきだと考える。初級コースでは簡単な計算問題などを中心に出題していく。そして上級コースへと進むにつれて、数字を連続して表示しその数字を覚えて解答するといった難易度の高い問題も増やすのである。さらに、テトリスのような反射神経を刺激するゲームや日常生活の出来事を思い出させる想起トレーニングなどの脳を鍛えることができるゲームを取り入れ種類を増やしていく。そうすることで、同じ問題が繰り返し出題されることがないため、利用者は淡々とした作業でつまらないと感じることがなくなる。そして、コースが進むにつれて自身の成長を感じることができ、同時に多くの種類の新しい問題に挑戦することができるため、利用者はアプリを飽きずに利用し続けることができるのである。
高齢者の認知症予防のためには、「脳にいいアプリ」を継続的に利用していくことが重要になる。しかし現在の「脳にいいアプリ」では利用者がすぐに飽きてしまうといった点から継続的に利用してもらうことは難しい。そのため、現在の「脳にいいアプリ」を継続して利用してもらうには、ベスプラは初級コースから上級コースまでの難易度を選択し、難易度が上がるにつれてゲームの種類を増やしていく取り組みのような利用者を飽きさせないための工夫が必要になる。そうすることで、利用者に「脳にいいアプリ」を継続的に利用してもらうことができるのではないか。
【参考文献】
藤中潤 (2022)「認知症予防、スマホで貢献」『日経ビジネス』2141, 58-59.
中山心太 (2015)「オンラインゲームにおけるゲームバランスの調整手法の提案」『第56回プログラミング・シンポジウム予稿集』2022年6月14日閲覧,
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=146694&item_no=1&page_id=13&block_id=8
にしむら(2年)
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3分間スピーチ
2022-08-29T20:51:51+09:00
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チームが機能するとはどういうことか 第8章後半(イノベーションの業務でチーミングをリードする:IDEO〜)、謝辞
【要約】
本章は、IDEOの事例をもとに、イノベーションの業務でチーミングをリードすることについて述べられている。IDEOはフェーズ・ゼロというプロジェクトを始めた。シモンズから革新を図る手伝いを依頼され、独創性に富むアイデアを出したが、シモンズ側は行動に移...
本章は、IDEOの事例をもとに、イノベーションの業務でチーミングをリードすることについて述べられている。IDEOはフェーズ・ゼロというプロジェクトを始めた。シモンズから革新を図る手伝いを依頼され、独創性に富むアイデアを出したが、シモンズ側は行動に移してくれなかった。イノベーションで難しいのは、斬新なアイデアが浮かばないことではなく、新しいアイデアを古い組織に受け入れてもらうことである。
普段、IDEOは、概念の創出、概念の開発、詳細の設計、製造の連絡という4つの段階と心理的安全の文化の育成によってイノベーションを生んでいる。
学習は、個人プレーでなく、人々が柔軟性のあるチームを組み、集団的に仕事と学習をすることによって生まれる。境界を超えたチーミングを行っていくことで進歩していくことができる。
【ディスカッション】
イノベーションが生まれるのは、新たなアイデアや新たな解決策が専門領域で交わるところで現れる時であり、それはチーミングを通して起きると述べられている。しかし、そのイノベーションで難しいのは、斬新なアイデアが浮かばないことではなく、新しいアイデアを組織に受け容れてもらうことである。そこで、「新しいアイデアを古い組織に受け容れてもらうために、新しいアイデアを提案する側のチームはどのような行動をとるべきか」というDPでディスカッションを行った。
【前提】
新しいアイデア:授業内でのスマホ利用OK
目標:校内でのスマホ利用禁止という校則の撤廃を先生(古い組織)に許可してもらう(授業内でのスマホの利用を許可してもらう)
現状:朝スマホを回収し、校内でのスマホ利用を禁止している
古い組織:教頭先生などこの学校に長くいる先生たち
新しいアイデアを提案する側:校長先生が、校内でイノベーションを起こすための策を考えてもらうために集めた新卒の先生たちのチーム
期間:3ヶ月
先生間での心理的安全性はある
議論では、まず、メンバーに賛成の理由を聞いて目的をひとつにしたうえでルールを定めてそのルールに対する責任を負う、他の先生などにも話し味方を作っていくというような説得に力を入れていくような意見が出た。しかし、それに対してそもそも反対派の人にどれだけ説明しても受け容れてもらうことは難しいので一度スマホ利用を実験的に取り入れてそこから出た課題をもとに納得させていく、このような実験→課題把握といったようにサイクルを回していき説得力を向上させる、というような行動に重きを置く意見が出た。この実験的に行うという意見に対しては、一部だけでは生徒から不満が出るのではという反論があり、それについては、一度全クラスに導入し、アイデアに反対側の先生にも体験してもらってわかることがあるという声と、一部で導入した方が、問題を最小限にできるという声があった。しかし、行動を起こしてみるという意見については多くの人が賛成であった。
今回のディスカッションをまとめると、まず、古い組織に新しいアイデアのメリットなどを説明して納得してもらうような「説得型」と、まずは試してみてそこから、現状や問題を把握し受け容れてもらうことにつなげていく「行動型」という2つのタイプに意見が分かれた。多かったのは「行動型」であったが、行動をしていくなかで学習のサイクルを回し、サイクルを回した上で得た情報や現状やメリットを説明して説得するという「行動」と「説得」の両方を組み合わせてリーダーが行うことで、古い組織に新しいアイデアを受け容れてもらえるようになるのではないかという結論になった。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、ゼミとも、今まで経験したことがあるようなバイト、部活とも離れた、学校の先生という視点で議論を行った。先生というのは、経験したことがない視点であり身近な話ではなかったことや、それによって前提が詰めきれなかったことから意見を出すのが少し難しかったというのが反省点であったと考える。想像の範囲で行うディスカッションは面白いとは思うが、行う際はしっかり前提を詰めて、本書に沿っていかなければならないと感じた。
今後、全員がアイデアを古い組織に提案するチームのリーダーを担うということはほぼないと思うが、バイトや、就職してからなど何か自分の意見やアイデアを受け容れてもらう際に、今回のディスカッション出た意見をぜひ活かしてもらいたい。
さとう(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-08-01T16:17:02+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881917
チームが機能するとはどういうか 第8章前半(~複雑な業務でチーミングをリードする―こども病院の場合)
【要約】
本章では、3つのケーススタディを示して、リーダーシップとチーミングを学習しながら実行することがコンテクストによってどのように異なるかを説明している。8章前半では、ルーチン業務でのリーダーシップとチーミング、複雑な業務でのリーダーシップとチーミ...
本章では、3つのケーススタディを示して、リーダーシップとチーミングを学習しながら実行することがコンテクストによってどのように異なるかを説明している。8章前半では、ルーチン業務でのリーダーシップとチーミング、複雑な業務でのリーダーシップとチーミングが説明されている成果をあげるためには、手に入るプロセス知識のレベルを考慮して、学習とチーミングを状況に合わせる必要がある。
ルーチン業務でのチーミングの第一歩は、顧客の求める製品やサービスのを生み出すための基本的なプロセス知識が十分深められているのかを確認することである。効率性・信頼性を高め続けることがカギとなる。複雑な業務でのチーミングは、組織の経営構造を変えたり、職務の枠を超えたりすることが必要である。
【ディスカッション】
P337 ルーチン業務での目標は、適度に明確な目標領域を絞り、関わっている人たちのモチベーションを何か測れるものへ向けるのがカギとある。
今回は、飲食店でのアルバイトという例を提示し、そこで行われるルーチン業務においてどのような従業員の向上心あがり、数値化できる目標を立てればよいかという議論を行った。
【前提】
メンバー : アルバイト3人+リーダー1人でいつもお店を回している
アルバイト3人は業務に慣れてしまい、仕事に対して向上心が持てなくなってしまった。
問題として、向上心低下により業務が雑になってしまい、接客態度の低下や従業員間のコミュニケーション不足によるミスが発生している。
リーダーは、3人に対し、向上心を上げられるかつ数値化もしやすいような目標を立てなければならない。
【意見】
出てきた意見としては、目標を達成することで接客態度が改善されるような目標が多かった。例えば、その場で来店客から接客態度を評価してもらう、アンケートを実施するなどが上がった。しかし、このままの目標では個人で達成できてしまい、本章の目的であるチーミングが促進されないのではという意見もあがり、最終的には、3人で1つの目標を達成できるような内容、3人がコミュニケーションを取り、協力しないと達成できないような目標へ変わるように、最初の意見を深堀していく形としてまとまった。
【まとめ】
最初はなかなか意見が出ずらい部分もあったが、その原因としてディスカッションにおいて大事な根拠の部分がはっきりしていないことが考えられた。議論の際にどこを深堀したり、反論を加えたりするのかというと、意見の根拠にあたる部分になので、発言者側はもちろん、議題を提示する側も根拠を引き出せるようなディスカッションポイント、ファシリテーションを意識すべきだと考えた。
インプリケーションとしては、学生のうちでも、社会人になってからもルーチン業務に取り組むことはたくさんあると思うが、今回のディスカッションの前提のように同じ作業で向上心に欠けてミスしてしまったり、うまくいかなくなることが少なからずあると考える。そのような時に、今回のディスカッションで出た意見や、「チーミングを機能させられるようにするには」といった視点から目標を考えることで、日々のルーチン業務に新しい要素が加わり、活力を持って仕事に取り組めるようになるのではないかと考える。
まつい(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-08-01T15:55:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881916
チームが機能するとはどういうことか 第7章前半(〜テルコで変化の激しい状況に直面する)
【要約】
学習しながら実行するとは、組織が学ぶと同時に前進できるようなやり方で活動することだ。実行のあらゆる側面が、学習する姿勢を持ち、学習行動を存分に活用して、行われるのである。実践している組織はまだ稀だが、学習しながら実行すると、どんな組織レベル...
学習しながら実行するとは、組織が学ぶと同時に前進できるようなやり方で活動することだ。実行のあらゆる側面が、学習する姿勢を持ち、学習行動を存分に活用して、行われるのである。実践している組織はまだ稀だが、学習しながら実行すると、どんな組織レベルにおいても、どんな状況でも、優位に戦うことが出来る。しかし、学習しながら実行するためには厳しい規範を求められる。必要なのは、あえて困難な道を選ぶこと。人々はつねに、今ある答えが不完全であることを意識し、仕事をするための新しいより良い方法をみんなと協力してぜひ見つけたいと思うことを求められるのだ。
【ディスカッション】
学習しながら実行するという姿勢で仕事をするには、プロセスの各ステップを明確にしてほしい、結果を保証してくれる指示が欲しいと思う気持ちと戦わなければならない。必要なのは、あえて困難な道を選ぶことである。そこで今回は、「リーダーは、どのようにしてメンバーにあえて困難な道を選ばせれば良いか」についてディスカッションを行った。
【前提】
ある飲食店では、業務を完全にマニュアル化しており、柔軟な対応ができないため、顧客満足度が低いという問題があった。これを改善するために、マニュアル化を廃止して柔軟な対応を取らせる業務に変更する。実行するための組織づくりから、学習するための組織づくりへと変わる。バイトメンバーは、今までの明確なステップで、結果が保証されているやり方のほうが楽だと考えている。しかし、あえて困難な道を選び、新しいより良い方法をみんなと協力して見つけることが求められる。
・目標 飲食店:顧客満足度挙げる リーダー:メンバーに困難な道を選ばせる
・立場 店長(リーダー)
議論では、考えた行動に対してインセンティブを与える、失敗が許される雰囲気をつくる、ミーティングでどのようにしていきたいか伝え合う、などの意見が出た。さらに、最も支持された意見として、顧客アンケートを実施し、結果を共有するという案が挙げられた。
このような議論を通して、リーダーは、メンバーの行動に対するFBや評価をしっかりと行うことで、メンバーが困難な道を進むサポートが出来る、という結論に至った。本書にもある通り、学習しながら実行することは困難を伴う。それは大半の人が、うまくいくプロセスがあって、それに従っているかぎり非難されないことがわかっているという間違いのない方法をよしとしているからである。そこで、今回の議論で言う顧客アンケートの実施と共有のように、行動に対するFBや評価を返すことで、学習によって見つけた新しい方法に自信を持ち、改善することが出来る。学習するための組織で行う不明確なプロセスに対して、リーダーが積極的に反応し続けることが、メンバーがあえて困難な道を選ぶ一助となるのではないだろうか。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、前提の把握に時間がかかり意見が思うように出てこなかった。原因としては、言葉のチョイスが不適切であり、フロアを混乱させてしまったことが考えられる。ディスカッションの説明において、使う言葉をもっと慎重に選ぶ必要があると感じた。
学習しながら実行する組織に変えていくべきであるというのは、本書でここまでずっと主張されてきたことである。また、私たちのゼミでの活動やこれから先の未来を考えても遠い話ではない。学習しながら実行することを、現実的に考える上で、今回のディスカッション内容が活きてくると考える。
くまざき(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-07-25T01:07:12+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881915
チームが機能するとはどういうことか 第7章後半(終わることのない学習〜)
【要約】
学習しながら実行する場合、人々は互いにコミュニケーションを図らなければならない。また、学習しながら実行することは、次の4つのステップから成り立っている。1つ目は「診断」である。これは、組織に迫っている状況やチャレンジや問題を診断することである...
学習しながら実行する場合、人々は互いにコミュニケーションを図らなければならない。また、学習しながら実行することは、次の4つのステップから成り立っている。1つ目は「診断」である。これは、組織に迫っている状況やチャレンジや問題を診断することである。2つ目は「デザイン」である。このステップでは、学習しながら実行するための適切な行動計画をデザインする。3つ目は「アクション」である。ここでは、新たなデザインにもとづいて行動し、その行動を学習するための試みとして考える。最後は「省察」である。このステップにおいては、次のサイクルを始めるために、プロセスと結果について分析を行う。
これら4つのステップは必ずしも別個のものであるわけでも、順を追って起きるものでもない。また、それぞれのステップの内容は、プロセス知識スペクトル上の位置によって少しずつ違いがある。
【ディスカッション】
本書p311では、「学習しながら実行することは四つの基本的なステップから成っている」と述べられており。また
p328では、「学習しながら実行する姿勢を育てるカギは、循環する業務プロセスをつくることである」と述べられている。さらにp328では、「学習しながら実行する姿勢を取り入れるためには、リーダーシップが必要だ。」と述べられていた。
そこで今回は、「チーム研究において、リーダーは循環する業務プロセスをどう構築すればよいか」というテーマで議論をおこなった。以下議論の前提である。
――
・循環する業務プロセス=4つの基本的なステップ(診断、デザイン、アクション、省察)のサイクルを回すことのできる業務プロセス
・主体=リーダー
・期間=4月〜2月(チー研の始まりから終わりまで)
――
議論では、4つのプロセスそれぞれでリーダーが意識するものについての意見が挙げられた。まず「診断」については、心理的安全性の確保された環境をつくる、情報を共有し、メンバーの理解度を確かめるという意見が出た。次に「デザイン」については、早めに次に起こるアクションの計画を立てる、毎回の発表の質疑応答を事前に考える、などの意見が出た。「アクション」に関する意見としては、インタビューを多く取る、パワポの完成前にも発表練習をする、インタビューの返答は上級生だけでなく全員がおこなう、などの意見が見られた。最後に「省察」については、頻繁に評価を行う、毎回の集まりで分析をする、失敗要因だけでなく成功要因についても分析する、などの意見が挙げられた。
まとめとして、まず「診断」のステップでは、心理的安全を確保し、下級生にも意見を言ってもらうことで状況の把握に役立てるという結論に至った。次に「デザイン」のステップでは、発表に向けての事前準備を意識するということでまとまった。次の「アクション」のステップでは、インタビューや発表練習において経験を多く積み、最後の「省察」のステップでは、成功要因や失敗要因についての分析を数多く行う、という結論になった。
今回のディスカッションポイントは、「チーム研究において、リーダーは循環する業務プロセスを“どう構築すればよいか”」であった。しかし、結果として4つのステップの中身に関する議論になってしまった。
本章で重要なのは、4つのステップを回し続け、実行しながら学習を続けることである。そこでチーム研究のチームリーダーには、どうすれば循環する業務プロセスを構築できるのかについて、今一度考えてもらいたい。
もりい(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-07-23T23:00:57+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881914
チームが機能するとはどうゆうことか 第6章後半(よくある境界を超えたチーミング〜)
【要約】
距離、地位、知識それぞれの境界を超えてチーミングを行うと個人には貴重な学びが、組織には競争優位がもたらされる。今日の複雑な問題を解決するためには、複数のタイプの組織的な境界をまたいで仕事をする必要がある。このような境界を超えた良いコミュニケ...
距離、地位、知識それぞれの境界を超えてチーミングを行うと個人には貴重な学びが、組織には競争優位がもたらされる。今日の複雑な問題を解決するためには、複数のタイプの組織的な境界をまたいで仕事をする必要がある。このような境界を超えた良いコミュニケーションを促進するための重要なリーダーシップ行動は、上位の目標を設定すること、関心を持つこと、プロセスの指針を示すことの三つである。組織が包括的な環境を生み出し、組織的境界を超えて知識を交換したり活用できるようになると、組織の人々は「学習しながら実行する」という新たな活動の仕方を実践し始める。
【ディスカッション】
「社員9万人の企業では、あるチームが抱える問題に対する解決策は他のどこかのチームがきっと持っている」と言われている。チーム研究において対面で活動しているにも関わらず、見つかっている課題はチーム内で解決させようとすることが多い。そして解決出来ずに発表し、ピボットを繰り返し時間的に厳しくなり研究を進めることが多い。しかし、その過程にある小さな課題は他のチームや先輩、先生が経験していたり持っていたりするのではないかと考えた。そこで「チーム研究において、チーム内のみではなく境界を越えて課題解決を行うためには」という議論を行った。
課題解決:知識の共有をどのように行うか
目標:学期初めに配られた予定表通りに進めること
原因:時間的余裕がない、ピボットが当たり前になっている
立場:チームとして
【意見】
まず、スラックを使うという意見が一番多くあった。現在どこのチームも有効に使えていないスラックに毎日の進捗状況を載せることによりコメントをつけてもらうという意見である。その中で、スラックだけでの情報技術を用いた意見交換は正確に言いたいことが伝わらないのではないかという否定意見やスラックに進捗状況を載せるときの方法についての深掘りの議論があった。グーグルドライブなどのURLを張るだけでは一目で進捗を確認することが難しいことやどこの部分について話し合っているのかがわかりづらいことからスラックに垂れ流しのようにすることがよいのではないかという意見にまとまった。スラックは検索機能がついているので、チームとしても探したい情報を見つけやすいためである。
他にも、チーム全体が集まる曜日にもっとコミュニケーションを図るべきであるという意見や最低でも月に一回は先生にアポイントを取るという意見もあった。
スラックを用いることでなぜ境界を超えた課題解決ができるのかという点は、中野ゼミのチーム研究は、本書の同じ企業の異なる部署の人々に当てはまっていると考えることができるからである。そのような企業は知識に基づく境界が存在していると考えられるため、スラックを用いて進捗状況を報告することは、文字として見ることができるので知識の見える化になるので境界を超えることができると考えたためである。
【まとめ】
ディスカッションとしての流れをより意識して進めるべきであった。方向性を決めきれずに始めてしまった部分もあったので、より議論するべきところ(どうやってスラックを見てもらえるようになるか)などを詰め切れなかった。また、対面での情報交換も意識して行うことは大切であり、そこの部分もより活発にするべきであった。全体の反省点としては、意見が出づらい雰囲気の時にどのようにしてファシリテーターとして意見を引き出せるかということである。今回の反省点を生かして今後に生かしたい。
みずたに(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-07-11T15:46:00+09:00
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チームが機能するとはどういうことか 第6章前半(〜境界の3つのタイプ)
【要約】
はじめに、チリにあるサン・ホセ鉱山で起きた前例のないほどの大事故の中で行われたチーミングが例として挙げられている。ここで行われたチーミングは、物理的・組織的・文化的・職業的境界を越えたたぐいまれなるものであった。このように、困難な目標を達成...
はじめに、チリにあるサン・ホセ鉱山で起きた前例のないほどの大事故の中で行われたチーミングが例として挙げられている。ここで行われたチーミングは、物理的・組織的・文化的・職業的境界を越えたたぐいまれなるものであった。このように、困難な目標を達成するためには、多様なタイプの境界を越えてコミュニケーションを図るという隠れた困難を克服する必要があるのだ。
境界とは、アイデンティティを同じくするグループ同士の間の区切りのことである。そして、最も厄介な境界は人々が様々なグループの中でもつ当たり前になっている思い込みや考え方であり、これが境界の向こう側にいる人たちとコミュニケーションを図るのを難しくしてしまっている。また、境界を越えたチーミングの必要性が増しているのは、?知識がかつてない速さで進歩している、?国際競争の激化により、タイムフレーム、リードタイムがかつてないほど圧縮されている、という2つの傾向があるためだ。
相違とは、一般的な属性Xに関して、統一体のメンバー間にある違いの分布であり、分離・格差・多様性という3つの基本グループに分類される。これらの基本グループをもとに、複雑な組織でのチーミングに突き付けられる、よくある3つの境界が示されている。1つ目は物理的な距離で、異なるタイムゾーンや場所に関する違いが含まれる。2つ目は地位の境界で、特定の属性が持つ社会的価値によって人々が順位付けされることで生まれる違いである。3つ目は知識の境界で、組織の一員であることや専門技術に基づく知識の違いのこと
である。
【ディスカッション】
先ほども述べたように、目に見えない境界の最たるものは、人々が様々なグループの中で持つ当たり前になっている思い込みや考え方である。また、多くの人が自分の側にある知識を当たり前のものと思ってしまうため、境界の向こう側にいる人たちとコミュニケーションを図ることが難しくなっている。しかし、専門家や国際競争が進んでいる中では、個人も部門も孤立した状態では有意義な結果を生むことができないため、境界を越えた熱心なコミュニケーションが必要不可欠になる。そこで今回は、様々な組織からメンバーを集めたチームにおいて、ある目標を達成するためにはどのようなコミュニケーションをとっていくべきかという議題について話し合った。
【前提】
・他ゼミとチーム研究を行っていく。(3つのゼミから1人ずつ集まっている)
?中野ゼミ:チームでの研究(研究に割く時間多い・インタビューベース)
積極的に意見を言う。
?Aゼミ:チームでの研究(研究に割く時間少ない・論文ベース)
自分からはあまり意見言わない
?Bゼミ:個人での研究をすることが多い。なんでも自分だけで進めようとする。
・目標…経営学会での発表
・期間…6か月
・視点…中野ゼミの立場
・立場は同じ。リーダーとかはない。
【意見】
はじめに、異なる組織に所属していると、それぞれの組織特有の思い込みや考え方があることが考えられるため、それを認識するためのコミュニケーションについて話し合った。まず、中野ゼミ生が自分から積極的に話しかけていくべき、最初の集まりでは中野ゼミ生が普段行っているように振る舞うという意見があった。たしかに自分から話しかけたり行動したりすれば、相手にはあって自分にはなかった考えに気づくことができるかもしれない。しかしこの方法では相手が中野ゼミ生についてあまり理解できない可能性がある。また、言葉の解釈の差を埋めるために雑談をするという意見が出たが、雑談では研究に関する話をするわけではなくあまり効果がないということになり、話す内容を明確に決めて一つずつ違いを認識していくべきということになった。それに付随して。普段のゼミにおける研究の進め方について話し合う、本や話し合いを用いてそれぞれの研究手法について理解を深めるという意見も上がった。
次に、それぞれの違いを認識した後で、それをどのように共有していくべきかという点について話し合った。まず、今回の目標に設定した経営学会での発表をいいものにするという大きな目標を達成するために、小さな目標を明確にしていくべきだという意見があった。これからどうしていくか考えるためには目標を具体的にすべきであるし、そうすることでメンバーがそれぞれ持つ考えのうち、どれを用いていくか、またこれらをどのようにすり合わせていくかの指標にもなる。また、それぞれの考え・思い込みをポジティブにとらえて、活かしていくようにするという意見もあった。これは、メンバーそれぞれの特徴を認識したうえで、その特徴に合わせてうまく役割分担を行っていくということである。
【まとめ】
今回の議論の結論は大きく2つある。1つ目に、メンバーそれぞれが持っている思い込みや考え方を認識するためには、メンバーに対して興味・関心を持ち、メンバーのことを詳しく知る必要がある。話す内容を明確に決めてそれぞれのことについて話し合うことで、自分の思い込みや相手の考えに気づくことができるようになる。2つ目に、それぞれの違いを認識した後で、それを共有していくためには、小さな目標を設定したり、それぞれの特徴を活かしてうまく役割分担したりすることが効果的である。
今回のディスカッションでは、それぞれの違いを認識するための方法では多くの意見が出たが、それらを共有するための方法についてはあまり議論することができなかった。その原因の一つとして、違いの認識と違いの共有の議論を同時に進めてしまったことが考えられるため、この点は私たち担当者の反省点である。現実を見ると、違いの認識はできていても、その共有がうまくいっていないことが多い。メンバー間で共有をうまく進めるためには、何を共有してチームとして一つの方向に進んでいくのか考える必要があるがある。そのため、今後考えの異なるメンバーと協働する際には、今回話し合った内容に付随してこの点も意識していくことが重要になってくる。
かたぎり (3年)
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ゼミのひとコマ
2022-07-09T13:31:17+09:00
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チームが機能するとはどういうことか 第5章後半(失敗に対する学習アプローチを開発する〜)
【要約】
第5章後半では、起きてしまった失敗に対してのし探究志向が必要であり、探索反応や確認反応を用いて失敗に上手く対応させることが必要とされている。その、失敗から学ぶための戦略として、気づく、分析する、試みるという三つの行動が重要とされていた。まず、...
第5章後半では、起きてしまった失敗に対してのし探究志向が必要であり、探索反応や確認反応を用いて失敗に上手く対応させることが必要とされている。その、失敗から学ぶための戦略として、気づく、分析する、試みるという三つの行動が重要とされていた。まず、この気づくというタイミングで、リーダーは問題を報告した人を歓迎する、データを集め、意見を求める、失敗だと気づいたらインセンティブを与えるといった行動をする必要がある。人々が失敗を明らかにして分析したいと思うような環境を作ることは、首脳部の仕事である。そのような環境を作ることが失敗を乗り越える戦略となる。
【ディスカッション】
優れた組織は、単に問題に気づいて分析するのではなく、知的な失敗を意図的に生み出し、その先へ行く。知的な失敗は知識を増やし、行動の代替案を示してくれる。(p232 l12〜)
失敗を歓迎する組織は競争相手より早く学習し、革新できるようになる。(p239 l7〜)
このように、本書では失敗をしてから気づき、分析するまでの過程を行なって学習することができるような組織は組織に良い影響をもたらすことが多く述べられていた。そこで、私たちは飲食店のアルバイトにおいて、バイトリーダー1人、仕事に慣れていて動ける人2人、あまり仕事ができない人2人を設定し、この5人は心理的安全性は確保されているけれども、連携が取れておらず、上手くお店を回せていないという状況を失敗と考えた。この前提を踏まえ、「この状況の組織において、同じ失敗を繰り返さないために、バイトリーダーはどのようなアクションを起こすべきか」というテーマを設定した。このあまり仕事ができない人というのは、仕事に慣れていない新人というわけではなく、バイトリーダーによる管理がなっていないという状況である。その管理体制を2ヶ月で変えることを目標とした。
出た意見としては、まずはミスの原因を突き止めるためのミーティングを行うという意見があった。しかし、これは時間をとれないなどの反対意見も存在した。また、仕事が慣れていないのは慣れている人にも問題があり、慣れていない人にも仕事を回させる必要があるという意見があったが、これは慣れていない人自身が気づいてない場合があるために相手に気づかせる環境づくりをさせる必要があり、シフトを調整して動かざるを得ない状況を作る対策が必要だという改善策も挙げられた。他にも、本文に書いてある通り、多くの人が失敗を隠したがってしまう状況にあるため、バイトリーダーが率先して声掛けを行うこと、振り返りシートなどを書かせることなどのコミュニケーションを取る必要があるという意見も多かった。
【まとめ】
今回のこの飲食店のアルバイトという組織の失敗は、第5章前半に書かれていた3つのタイプの失敗のうち、行動、スキル、注意力の不足から起きてしまう失敗であるため、防ぐことのできる失敗にあたると考える。本書では、このタイプの失敗が起きる場では、リーダーは、予測可能な業務でなぜ問題が起きたのかを突き止めたり、従業員に常にミスなく仕事をしようという意欲を持たせる方法を考えたり、問題のあるプロセスを修正したりする必要があると述べられている。(p217 l10〜)この部分に、今回出た意見はすべて分類することができると考える。仕事ができないということを気づかせる行動をバイトリーダーが起こしたり、その失敗がどうして起きてしまったのか原因を突き止めることが必要なのである。結局はこれは、上記でも述べたように失敗に気づき、分析し、進展させるということに繋がっていくと考える。チーミングを行う上で、失敗が起きることを出来るだけ防ぐことも重要であるが、失敗が起きてしまってから進展させるまでの行動を起こせるような組織にするための環境づくりがまず第一に必要であるのだ。そのような環境にすることができれば、あとは大きな失敗を防ぐために、チーム全体が意識することが重要であると考える。
今回のディスカッションの反省点としては、最初の前提を詰めるのに時間がかかってしまった。目標や目的、現時点でどのような状況であるのか明確でないと、さまざまな意見が出てしまうため、もっとそこを詰める必要があったと考える。今後は、意見を出す人たちが出しやすく、分かりやすくすることも意識してディスカッションを考えていきたい。
おさだ(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-07-04T16:27:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881911
チームが機能するとはどういうことか 第5章前半(〜失敗はプロセス知識スペクトルの随所で起こる)
【要約】
チーミングには失敗がつきものであり、失敗から学ぶことがチーミング・スキルとして欠かせない。しかし、失敗から学ぶのは、誰もが持つ失敗への強力な心理的、社会的反応によって困難になる。
チーミングや学習をする組織の中で失敗が果たす役割には、プロ...
チーミングには失敗がつきものであり、失敗から学ぶことがチーミング・スキルとして欠かせない。しかし、失敗から学ぶのは、誰もが持つ失敗への強力な心理的、社会的反応によって困難になる。
チーミングや学習をする組織の中で失敗が果たす役割には、プロセス知識スペクトルのどこに位置する業務かによって重要な違いがある。失敗を業務の位置で分けると、ルーチンの業務における失敗、複雑な業務における失敗、イノベーションの業務における失敗と分類できる。また、失敗はコンテクストに応じたアプローチが必要である。失敗を原因とコンテクストごとにわけると、防ぐことのできる失敗 、複雑な失敗、知的な失敗と分類でき、それに応じた対応が必要となる。
【ディスカッション】
大失敗には複数の原因があり、その中には組織に深く根を下ろしているものがある。そうした原因を修正するのは一筋縄ではいかない。しかし、そこで発生する小さな失敗は、その後の大きな失敗を回避するのに重要な早期の兆候である、本書ではいわれている。
そこで我々は、輪読のディスカッションがうまくいかないことを大きな失敗と置いたうえで、「輪読の担当者らが、小さい失敗を認識し、大きな失敗を未然に防ぐにはどうすればいいか。」というディスカッションポイントを立てた。
【前提】
<輪読においての失敗の定義>
発表前(小さな失敗)
?内容の捉え違い、把握してない
?意見を言えない(話し合いに参加できない)
?課された宿題をやってこない・不十分
?DPの精査が足りない
?スケジュール管理が不十分
発表時(大きな失敗)
?フロアからの質問に的確に・テンポ良く返せない
?DPが曖昧(フロアに指摘される)
?ディスカッション時にフロアから意見が出ない・出にくい。
?ディスカッションをまとめられない・収束しない
?DPが後半の内容にかぶっている
?反対意見が出なくてブレストになりがち
〈条件〉
・行動する主体は輪読担当者のうち1人
・最終的に目指す状態は発表時の失敗(大きな失敗)を起こさない、未然に防ぐ
・心理的安全性は確保されている。
・発表まであと3週間で過去に集まったのは1回。
・過去には疑問とDPの案を出してもらっており、次の集まりはそれを深堀りする予定。
・2回目の集まりにおいて小さな失敗を把握し、発表の際に起こりかねない大きな失敗を防ぐためにできることを話し合う。
・現段階で計5回の集まりを予定している。
【意見】
小さな??の失敗は事前に教科書を読み込むこと疑問のすり合わせによって解決し、それが大きな?の失敗の解決につながるのではないか。小さな?の失敗に対して、前もって予定を立てることや、事前の集まりで行う具体的なワークの内容を決めておくことで、?の課題の解決につながるのではないかという意見が出た。対して、実現可能性や時間的制約の面からの反対意見も出た。
全体の意見の傾向として、事前準備段階の理解度を上げるための具体策が議論の中心となっていた。
【まとめ】
ディスカッションの流れとして、小さな失敗と大きな失敗をフロアから挙げてもらい、どの小さな課題をどうやって解決することで、大きな課題の防止につながるのか、という意見を出してもらった。最初のうちは意見がそれなりのペースで出てきたのだが、後半になるにつれて意見が出てこなくなってしまった。反省点として、ディスカッションの前に挙げてもらった小さな失敗の数が少なかった点、小さな失敗と大きな失敗が対応しているとわかりやすいものが少なかった点、意見の形式を指定してまったため意見を言いにくかった点が考えられる。ただ、出てきた意見は実体験に基づいた具体的な解決策が多かったため、輪読の失敗を防止するのに役立つのではないだろうか。今回のディスカッション内容をぜひ今後の輪読に活かしてほしい。
しもざき(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-07-04T14:00:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881910
チームが機能するとはどういうことか 第4章前半(〜チーミングと学習にとっての心理的安全)
【要約】
関連ある考えや感情について人々が気兼ねなく発言できる雰囲気を「心理的安全」という。この心理的安全があることで厳しいフィードバックを与えたり、真実を避けずに難しい話し合いをしたりできるようになる。しかし、職場や所属している組織で直面する対人不...
関連ある考えや感情について人々が気兼ねなく発言できる雰囲気を「心理的安全」という。この心理的安全があることで厳しいフィードバックを与えたり、真実を避けずに難しい話し合いをしたりできるようになる。しかし、職場や所属している組織で直面する対人不安によって心理的安全を確立できず、チーミングと学習が機能していない場合がよくある。しかし、リーダーによってチームに心理的安全がもたらされると、?率直に話すことが推奨される、?考えが明晰になる、?意義のある対立が後押しされる、?失敗が緩和される、?イノベーションが促される、?成功という目標を追求する上での障害が取り除かれる、?責任が向上する、といったメリットを享受することができる。
【ディスカッション】
p169 l2 〜
心理的安全性が高まった際に、規律のないような雰囲気からメンバーに責任を持たせ学習する組織に変えていくには、メンバーはどのような行動をとるべきか。
―――
【前提】
→部員全員が仲良く、楽しく活動できていたが、顧問がいないため、部員が部活を主に管理しなければならない状況
コンフォート : 大会には参加して勝ちたいという気持ちはあるが、結果は残せていない。実績はあまりないが、楽しくやっている。勝つために必要なきついメニューや面倒くさいメニューはやらずにやってて楽しいやってて試合形式のようなメニューばかりやっている。
ラーニング : 勝つためにキツイメニューややりたくないメニューでも部員が進んでやるような組織
【誰の視点から】大会で結果を残したいと思っているけど、みんなの意識がそこまでないためメニューを実施できていなくて困っているメンバーの視点から考える。
―――
【意見】
まずは部員全員で話し合う必要があるのではないかという意見が出て、そのミーティングを行うためには一人の力では困難なのではないかという意見もあり、部の中心的なメンバー3〜4人が主体的に行動するという意見になった。その後、責任感を強めたいという視点から外部コーチを呼ぶ、部員のモチベーションアップの視点から目標設定を明確にするという意見も上がった。しかし、いずれも最初の意見であるミーティングを行い、その中での話し合いで決めるべき内容であり、ディスカッションの方向性としてはミーティングの中でどんな話し合いをし、勝つためにきついメニューややりたくないメニューを取り入れられるかという議論に移行した。
ミーティングの中でどのような内容を話し合えばいいのかいう議論については、ミーティングの目的はメニューを取り入れることなので、前述した中心的なメンバーがまずメニューを提案し、それに関して他のメンバーからのフィードバックや意見をもらうという意見が上がった。これは前章でもあったようにリーダーとメンバーの相互依存の関係を重視することでチーミングの機能を保とうとする観点からの意見である。それに付随して、メニューを提案した時のみではなく、実際にメニューを実施し、行動に移したときも主体的なメンバー、そうでないメンバー関係なく、お互いに意識しあって相互依存の関係を大事にしようという意見もあがった。また、なぜこのメニューをやらなければいけないのかというそもそもの目的に立ち返り、部としての目標を再確認する必要もあるという意見もでた。前者は、実際にメニューを決める、メニューを行うといった行動を他のメンバーに協力させるかといった観点に対し、後者はそれらを行うためにどんなことを意識させるかというメンタル的な部分での意見としてまとまった。
【まとめ】
今回は心理的安全は高いが、それが故に責任感が持てなくなってしまった組織を部活を仮定し、その組織メンバーにどのように責任をもたせるかという議論であったが、心理的安全の組織によってその度合いが違うという特性からゼミ生の思う心理的安全が高い状態という部分に関してズレがあったため議論が錯綜してしまった部分があった。全員が同じ立ち位置から意見できるような前提を設定する必要があり、次回に活かすべき反省点であると考える。また、もっとリアリティを持って考えると、p169の図4-1から、今回の議論の前提となった組織の場合、責任を持たせるにはまず心理的安全が低くなるリスクを冒して行動し、その後もう一度心理的安全を高めなおすのではないかという視点が欠けていたと考える。
心理的安全の高め方、それに付随する責任という問題をどのように解決できるかという今回の議論を活かして所属する組織を学習する組織へと変えられるのではないかと考える。
まつい(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-06-13T01:02:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881909
チームが機能するとはどういうことか 第4章(心理的安全に対するピラミッド型組織の影響〜)
【要約】
序列とそれが生み出す不安は心理的安全にネガティブな影響をもたらす。一般に、序列が下位であるチームメンバーは上位のメンバーほど安全性を感じていない。組織の心理的安全を高めるうえで、リーダーは重要な役割を果たす。具体的に心理的安全を高めるリーダ...
序列とそれが生み出す不安は心理的安全にネガティブな影響をもたらす。一般に、序列が下位であるチームメンバーは上位のメンバーほど安全性を感じていない。組織の心理的安全を高めるうえで、リーダーは重要な役割を果たす。具体的に心理的安全を高めるリーダーシップ行動としては、?直接話のできる、親しみやすい人になる?現在持っている知識の限界を認める?自分もよく間違うことを積極的に示す?参加を促す?失敗は学習する機会であることを強調する?具体的な言葉を使う?境界を設ける?境界を越えたことについてメンバーに責任を負わせる、の8つが挙げられる。
【ディスカッション】
地位の低い人は、良くわからないことがあるときや、ミスをしたために非難されるのではないかと不安なときや、厄介な問題を言い出せないときや、自分のスキルが尊重されていない気がするときに、ほかの人に相談することが少なくなる。しかし、組織の最前線にいる人が知識やアイデアに欠けている場合、問題にならないかもしれない。知識やアイデアに欠けていると、そもそも質問が思いつかないのだ。そこで今回は、「ゼミで行うディベートのチームにおいて、リーダー(3年生)は、知識やアイデアに欠けている状態である組織の最前線にいる人(2年生)に、相談や疑問をぶつけてもらうためにどのような行動を取れば良いか」についてディスカッションを行った。
【前提】
目標:ディベート本番までに2年生のディベートへの不安をなくす。
チームの状況:3年生2人、2年生3人
2年生は、立論や反駁などの役割が与えられており責任はあるが、ゼミに入ったばかりで知識やアイデアに欠けている。
出た意見は、大きく二つに分けられる。一つ目は、雰囲気の醸成である。具体的には、沈黙を作らない、3年生の適度に仲が良いところを見せる、3年生も知識の限界を見せる、自分の経験を語る、などの行動により、相談や質問をぶつけやすい雰囲気を作るという考えである。二つ目は、コミュニケーションの促進を図ることだ。具体的には、ディベート以外の話をして仲良くなる、問いかけをする、2年生と3年生が一緒に作業をする、2年生同士で話し合う機会を作る、などの行動により、チーム内のコミュニケーションを促進し信頼関係の構築を目指すという考えである。
このような議論を通して、組織の最前線にいる人が知識やアイデアに欠けている状態である場合、チームリーダーは?雰囲気の醸成?コミュニケーションの促進、の2つを行うことが特に重要であるという結論に至った。実際に、企業でも新入社員の心理的安全を高めるために、アイスブレークの時間を作ることや全員に話しかけるなど、雰囲気づくりやコミュニケーション促進を図る行動をリーダーが取っていた。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、多くの意見が上がったが、反対意見があまり多くなかった。その行動を取ることがどうして相談や質問をぶつけてもらえることに繋がるのか、本当にそれがベストウェイなのか、今回の結論よりもさらに深いところまで考える必要性があるだろう。
今回のディスカッションテーマのような場面は、これから先のゼミ活動においても社会に出てからも多く存在すると考えられる。今回出た意見や、そこからさらに深めた考えを活かして行動していくことが重要になるのではないだろうか。
くまざき(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-06-13T00:57:30+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881908
チームが機能するとはどういうことか 第3章
【要約】
本章は、新しい心臓手術MICSの導入に成功した病院と失敗した病院の例をもとに、フレーミングについて述べられている。成功した病院は、リーダーはメンバーに相互依存していることを伝えていたためメンバーは責任感をしっかり持っており、学習するという意識が...
本章は、新しい心臓手術MICSの導入に成功した病院と失敗した病院の例をもとに、フレーミングについて述べられている。成功した病院は、リーダーはメンバーに相互依存していることを伝えていたためメンバーは責任感をしっかり持っており、学習するという意識があった。また、向上心あふれる目的意識が共有されていた。これは学習フレームである。反対に導入に失敗した病院は、リーダーがメンバーのことを部下としてしか思っておらず、目標は受け身だった。これは実行フレームである。
保身的なフレームをリフレーミングし学習フレームを確立するには、登録、準備、試行、省察というステップを踏む必要がある。そして、言葉と目を使った会話をし、望ましい行動・手本を具体的な言葉を使って説明し、行動を始め、その結果から視覚的に強固にしていく。
【ディスカッション】
一時的なチームを組んで取り組むプロジェクトの場合、リーダーはプロジェクトのためにメンバーを厳選する必要があり、メンバーの役割をフレーミングするのに欠かせないのは、メンバーは理由があって選ばれているのだと明確に伝えることである。また、MICSの導入に成功した病院は、学習フレームを確立するステップである「登録」、「準備」、「試行」、「省察」が行われていた。しかし、ゼミで行う輪読は、一時的なチームを組んで取り組むものであるが、リーダーがメンバーを厳選するものではなく、そのため「登録」のステップを踏むことができない。そこで、今回は輪読班のリーダーが、「登録」のかわりにメンバーに伝えるべきことについてディスカッションを行った。
【前提】
時期:最初の集まり
経験:メンバー全員輪読の経験あり
目標:担当部分について理解を深め、疑問を解決し、ディスカッションを成功させる
「登録」の目的:メンバーに当事者意識を持たせる、メンバーには重要な役割があると意識させる、わくわく感や自信を生ませる
意見は、メンバーに当事者意識を持たせたり重要な役割があると思わせるために伝えるべきことと、わくわく感や自信を生ませるために伝えるべきことの2種類に分かれた。まず、当事者意識を持たせたり重要な役割があると思わせるという点については、役割を伝えることで当事者意識に直結する、リーダーが相互依存しておりメンバーの力が必要だということを伝えメンバーに「やらなきゃ」という気持ちが生ませる、ということが意見として上がった。しかし、輪読はみんなでやるものであり、役割などはないのではという反論が上がった。そこについては、ページを割り振りしたり、書記などの役割を説明して任せることで、担当部分や役割が自分にあるということを実感させられ嬉しいという気持ちにつながるのではという意見が出た。
次に、わくわく感や自信については、メンバーを褒めたり褒め合うことを促すことで自信をつける、期待値を上げてモチベーションを高めわくわくさせる、リーダーが向上心あふれる目標を設定し伝える、前回の輪読の反省を行うという意見が出た。しかし、褒めるだけでワクワク感に繋がるのか、という反論が出た。褒めると言ってもメンバーの良い点を見つけ、それが今回の輪読に活かせそうというような褒め方をすることで、自分が関わることで輪読の成功に繋げられるかもというわくわく感につなげるということが重要である。また、前回の反省を行うことはテンションやモチベーションの下降につながるのではという反論も出たが、リーダーだけが、「前回の反省を今回の輪読に生かして成功させたい」と伝えることでメンバーへの期待が伝わり自信がつくのではという意見が出た。
今回のディスカッションをまとめると、「登録」の代わりに伝えるべきことは、役割、メンバーの重要性、向上心あふれる目標という結論になる。様々な意見が出され、上記のように2つの項目ごとに出されたが、別物ではなく、共通する部分や通じる部分があり、これらを伝えることでメンバーの当事者意識にもわくわく感にもつながっていくのではないかと考える。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、ゼミにおいて主な活動ではあるが、今までのディスカッションでは触れられていない「輪読」について議論した。「登録」というステップは踏めないものの、メンバーの意識を変え学習フレームの確立のために活動の最初に「登録」のステップの代わりにメンバーに伝えられることはあり、その具体的な内容を議論してゼミ内で共有できたことは大きな学習であると考える。今回のディスカッション出た意見を、輪読にはもちろん、一時的なチームを組んでプロジェクトを行うようなチーム研究だったりディベートなどの活動にも生かしていきたい。
さとう(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-05-30T01:49:00+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881907
チームが機能するとはどういうことか 第2章(チーミングに対する社会的、認知的障壁〜)
【要約】
第2章後半においては、大きく分けて3つのことについて述べられている。まず、チーミングに対する社会的・認知的障壁についてである。意見の相違やそれをエスカレートさせる認知的誤謬は緊張を生む。その緊張を前向きな結果に変えるには、忍耐とスキルと知恵が...
第2章後半においては、大きく分けて3つのことについて述べられている。まず、チーミングに対する社会的・認知的障壁についてである。意見の相違やそれをエスカレートさせる認知的誤謬は緊張を生む。その緊張を前向きな結果に変えるには、忍耐とスキルと知恵が不可欠である。次に、対立を緩和する戦略についてである。その戦略とは、?対立の性質を見きわめる、?優れたコミュニケーションを具現化する、?共通の目標を明らかにする、?難しい会話から逃げずに取り組む、の4つである。最後に、チーミングに必要なリーダーシップ行動についてである。学習するための組織づくりには、?学習するための枠組みを作る、?心理的に安全な場所をつくる、?失敗から学ぶ、?職業的・文化的な境界をつなぐ、という4つのリーダーシップ行動が必要である。
【ディスカッション】
p92〜より、「『冷たいシステム』は効果的にチーミングを行うのに欠かせないツール」である。また、「熱いトピックス」を「冷たいトピックス」にするための戦略として、p95〜の、?対立の性質を見きわめる、?優れたコミュニケーションを具現化する、?共通の目標を明らかにする、?難しい会話から逃げずに取り組む、4つがある。では、これら4つの戦略を現場で活かすにはどうすればよいだろうか。
そこで、「企業の営業部と開発部が対立しているとき、営業部のマネジャーが『熱いトピックス』を『冷たいトピックス』に変え、対立を緩和するためにはどうすればよいか」について議論をおこなった。
以下、ディスカッションの前提である。
――
熱いトピックス・・・お互いに対して偏見を持っていて、感情的に話し合いをしている状態。
冷たいトピックス=意見の背景をくみ取って尊敬し合いながら話し合いをしている状態。
状況・・・製品Aを営業部は1つ3000円で販売したいが、開発部は4000円で売りたい。ここで製品Aをいくらで売るべきかで対立している。
期間・・・1か月
――
意見としては、上述した?〜?の4つの戦略それぞれの具体的な行動例が挙げられた。まず?の意見としては、価格の設定理由が偏見によるものなのか、企業理念によるものなのかを見きわめるという意見が出た。次に?の意見としては、マネジャーが話し合いの際に議長の役割を担うことで、円滑なコミュニケーションを促すという意見が出た。
?に関しては、営業部と開発部では重視する者が異なるため、会社としてどちらを優先させるのか決めるという意見や、目標達成のための方針を互いにそろえるなどの意見が出た。最後に?の意見としては、マネジャーが開発部のメンバーに納得できない理由を聞いてその解決策を探という意見や、お互いの仕事に対する相互理解をするという意見が出た。しかしこれらの意見については、1か月という短い期間で相互理解をするのは不可能なのではないか、という反対意見も見られた。
【まとめ】
今回のディスカッションは、対立を緩和するための4つの戦略を、営業部のマネジャーの立場でどう実践するかというものであった。しかし、立てたディスカッションポイントが具体例を挙げるものとなってしまったため、ディスカッションとして収拾がつかない結果に終わってしまった。この点に関しては深く反省し、次回は終着点まできちんと見据えた議論をしたい。
議論はうまくいかなかったが、今回のディスカッションテーマと同じような場面に出くわすゼミ生がいるかもしれない。その際に、本書にある対立を緩和する4つの戦略を思い出し、実行していただければ幸いである。
もりい(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-05-29T21:28:56+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881906
チームが機能するとはどういうことか 第1章(学習するための組織づくり〜最後)
【要約】
学習するための組織づくりとは、率直に話し、質問し、アイデアを共有することを促して集団的学習を促進するためのリードの方法である。また、学習しながら実行するとは、絶え間ない学習を日々の作業プロセスの中に織り込む活動の仕方であり、これは学習するた...
学習するための組織づくりとは、率直に話し、質問し、アイデアを共有することを促して集団的学習を促進するためのリードの方法である。また、学習しながら実行するとは、絶え間ない学習を日々の作業プロセスの中に織り込む活動の仕方であり、これは学習するための組織づくりの実践によって後押しされる。そして、何を学習の焦点とすべきかは、企業や企業内部の部署がプロセス知識スペクトルのどこに位置しているかで変わってくるものである。そのため、組織学習を後押ししようとするリーダーの取り組みはプロセス知識における位置にあっていなければならない。
今日のペースの速いビジネス環境において必要とされるのは、ダイナミックで柔軟性のあるチームである。そこでは、明確な方向性を示し、リスクや失敗に対して寛容で、他人と緊密に協力することを求めるリーダーが重要になる。
【ディスカッション】
学習するための組織づくりは、チーミング行動を促して集団的学習を進めるリードの方法である。この学習するための組織づくりを行うために、リーダーは明確な方向性を示し、リスクや失敗に対して寛容で、メンバーに対して他人と緊密に協力することを求める必要がある。リーダーが明確な方向性を示すことは、チーム研究においても重要になってくるものである。そこで今回はチーム研究においてリーダーはメンバーに指示を出す際に何を意識すべきか、という議題について話し合った。
【前提】
目的:集団的学習を促進させる。
チームメンバーの態度:・研究を行った経験が少ない
・チーム研究を頑張って行きたいと思っている
・指示したことはできる範囲ならしっかりとこなす
意見としては、どれくらいの量の指示を出すかという点とどれくらい詳細に指示を出すかという点に集中した。まずどれくらいの量の指示を出すかという点については、それぞれのメンバーに出す指示の量を等しくすることで、メンバーのモチベーションを維持するべきだという意見があった。しかし一方で、個人の能力には差があるため、メンバーに出す指示の量を等しくすると、逆にメンバーのモチベーションを下げてしまうのではないかという考えもあった。次に、どれくらい詳細に指示を出すかという点については、チームメンバーはまだ研究をやった経験が少ないため、指示に具体性を持たせるべきだという意見が出た。例えば、ある研究テーマにおいて、「メリットやデメリットを調べてきて」や「この論文を読んできて」といった具合である。しかし、これではただ言われたことをやっているだけになって、集団的学習を促進することにつながらないという反対の声もあった。リーダーはチームメンバーに考えさせるような指示をを出すべきだということだ。具体的には、目的は示すがそのプロセスは詳しく言わない、複数人に対して同じ指示を出し、互いに考えさせるようにするといった方法がある。
このような議論を通して、チーム研究においてリーダーはメンバーに指示を出す際に指示の量と種類を意識すべきという結論に至った。指示の量と種類は、研究を始めたばかりの段階と研究をある程度進めていった後の段階で変えていくのがよい。指示の量については、始めの段階ではチームメンバー全員に同じ量の指示を出していくが、研究を進めるにつれてチームメンバーそれぞれの能力が分かってくるため、それに応じてチームメンバーそれぞれに出す指示の量を変えていくべきだ。また指示の種類については、始めは具体的な指示を出し、その後は集団的学習を促進するためにチームメンバーが自分で考えるような指示を出すべきである。
【まとめ】
今回のディスカッションでは多くの意見が挙がったが、それぞれの意見に対する反対意見があまり出なかった印象がある。その原因としては、出した意見に対して、理由をしっかりと述べられていなかったことが考えられる。意見を言ったとしても、理由がなければ他の人はなぜそれがいいのか理解できない。今後この点を意識していくことで、ディスカッションがより盛り上がるのではないか。
また、今回の議題はリーダーが指示を出す際に意識することであったが、リーダーがやることを与えるという時点で、メンバーの思考を停止させている可能性がある。たしかにメンバー考えさせるような指示を出すのは集団的学習を促進するかもしれないが、根本的には指示されたことに従っているということになる。本当の意味で集団的学習を促すためには、リーダーはメンバーが常に学習するように疑問を投げかけ続ける必要があるのかもしれない。
かたぎり(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-05-23T14:40:26+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881905
チームが機能するとはどういうことか 第2章(〜チーミングを行うメリット)
【要約】
第2章後半においては、効果的なチーミングの四つの柱を中心にチーミングのプロセスやメリットについて述べられていた。最初に病院の例を用い、チーミングが失敗する要因を挙げていた。チーミングは認識することから始まり、コミュニケーション、相互依存と続...
第2章後半においては、効果的なチーミングの四つの柱を中心にチーミングのプロセスやメリットについて述べられていた。最初に病院の例を用い、チーミングが失敗する要因を挙げていた。チーミングは認識することから始まり、コミュニケーション、相互依存と続いていき、それは周期的、反復的な性質を持っている。直接会っているにしろ何らかの通信技術を使っているにしろ、成功しているチーミングには、「素直に意見を言う」、「協働する」、「試みる」、「省察する」の四つの特別な行動を伴っている。どのような状況でもこれらは重要である。また、チーミングを行うと、組織のパフォーマンスが上がり魅力とやりがいのあふれる職場環境になる。
【ディスカッション】
P71から効果的なチーミングの柱の一つとして「率直に意見を言う」ということが指摘されている。率直なコミュニケーションによって、チームは多数の意見を取り込み、個人の知識を活用 できるようになると言われている。しかし、実際には多くの人が自分は率直に意見を述べていると思っていてもそうでない場合が多いと指摘されていた。そこで、「チーム研究においてリーダーはどのようにすれば素直に意見を言えるような状況を作ることができるか」というDPを設定した。
期間…一か月
「素直に意見を言う」…思ったことを全部言える状態
出た意見
一番多くの賛同を得た意見としては2年生を否定しないということだった。これは決してリーダー側が率直に意見を言わないようにするというわけではなく、言い方を工夫するという趣旨である。さらに、個人と意見を結びつけないという意見も出たが、先輩から評価されたほうがやる気が出るのではないかと考え、やったことに対して細分化して評価をしればいいとう意見もあった。フィードバックがあったほうがいいという発言もあり、評価をしてあげるということは意見を言いやすくなる要因の一つになっていると考えるられた。ほかにも、沈黙を作らない、先輩後輩感をなくすためにその日の議長を回す、リーダーが率直に意見を言うことができれば後輩も言いやすくなるのでまずはリーダー自身が率直になる必要があるという意見も出た。
【まとめ】
今回のディスカッションでは、後輩に率直に意見を言ってもらうには、発言や課題に対して評価をしながら否定はしないということにまとまったと考える。難しかった点は、どのようにすれば後輩に意見を言ってもらえるのかというところに意見が集中してしまい、「率直」ということに関してあまり考えられていなかったようだった。また、リーダーは率直に意見を言えていることが暗黙の前提になっていたので、本当にそうなのかということはしっかり考えなければならないことであった。学んだこととしては、ディスカッションポイントを決める際は、なんとなくではなく選んだ理由を明確に話せるようにしておく必要があることだ。発表者側がディスカッションポイントの意図を伝えることはフロア側が納得してDPに入れるようにするために必須である。本書で「率直に意見を言うことは、あなたが思うより少ない」と述べられている原因は、職場では自分の上の人を怒らせ手しまう不安が当たり前になって、意見を言わない選択をしているということだった。チーム研究の組織がそのようなピラミッド型組織であるかはわからないが、今回の意見はチーム研究でチーミングを成功させるために役に立つのではないか。
みずたに(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-05-22T03:17:31+09:00
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http://toyoblog.nakano-seminar.jp/?eid=881904
チームが機能するとはどういうことか 第1章(〜チームをつくるために学習する、学習するためにチームをつくる)
【要約】
第1章前半においては、チームの成功について、チームとチーミングの違いについて述べ、1900年頃からの組織づくりの歴史について述べられていた。その中でも特にフォードとテイラーが現代にもたらしている影響や、この頃の問題が詳しく挙げられている。今日で...
第1章前半においては、チームの成功について、チームとチーミングの違いについて述べ、1900年頃からの組織づくりの歴史について述べられていた。その中でも特にフォードとテイラーが現代にもたらしている影響や、この頃の問題が詳しく挙げられている。今日では昔より進化したテクノロジーや技術が存在する。いわゆる複雑適応系となっている時代に私たちの学習は不可欠であり、組織の能力として適応力の創造に積極的に取り組むことが必須となっているのである。そして、特定のタイプのリーダーシップがなければ適切な学習行動は生まれないため、チーミングには新しいタイプのリーダーシップが必要であるのだ。
【ディスカッション】
変わり続ける世界の中で成功を収めるために、組織が学習する必要があることは、今では誰もが知っている。(P26 L2~)
学習しない組織は革新的で適応力のある競争相手に後れを取ることになる。(P36 L7~)
これらの文章に限らず、組織は「学習する」ということを怠ってはいけないこと、組織において学習が必要であることが何度も述べられていた。そこで、私たち中野ゼミ全体がゼミにおいてあまりモチベーションがないというていにし、「中野ゼミという組織に所属している私たちが「モチベーション(インナー大会本戦に出場するためのマインド)を持つ組織」に変えていくにはどうするべきか」というテーマを設定した。
出た意見としては、まず、過去の発表を見て分析し、それを目標として自分のやる気を起こさせる意見があった。また、 テストを行って順位を付け、成績の悪い者は落単、レポート課題といった意見もあった。しかし、これらの意見に対してはモチベーションが上がる、上がらないは人それぞれであり、全員がモチベーションを持つことは難しいのではないかという意見が多かった。他には、やる気のない人に成功体験を与えてあげる、インナー大会に出たいという意志を伝えることでチームを活性化させる、チームの中での役割を明確にし、リーダー的存在、インナー大会で負けてしまった悔しさをバネにする雰囲気づくりが必要であることやインナー大会に出場している他のゼミの人と話せる機会を作る必要があるのではないかという意見もあった。
【まとめ】
今回の意見としては、大きく2つに分かれると考える。それは、内部的モチベーションと外部的モチベーションである。自分でモチベーションをあげることや規則を作り、強制的にやらせるという方法は内部的モチベーションにあたり、中野ゼミ以外の人と接することでモチベーションをあげる、チーム内でのチームワークを高めたり、思いを伝え合ってモチベーションをあげることは外部的モチベーションであると考える。
今回のディスカッションでは最初に内部的モチベーションの意見が多く出ていたが、それと同時に反対意見も多く出た。しかし、外部的モチベーションに関しては反対意見はあまり見受けられなかった。ここからチーミングが組織の成長に関わってくるのではないかと考える。本書でも、新たなアイデアを生み、答えを探し、問題を解決するために人々を団結させることがチーミングであると書かれている。(P38 L1〜)これらから、複雑化する現代社会においてチーミングが重要になってくるのではないだろうか。
まだ、第1章前半ということもあり、たびたび登場する「学習する」という言葉やチーミングの必要性が具体的に書かれていなかった。今後、このことを意識して読み進めていく必要がある。
ディスカッションにおいての反省点としては、今回ゼミにおいてチーミングが必要であるという方向性に持っていきたかったのであるが、それが上手くいかなく様々な意見が出てしまうディスカッションとなってしまった。今後そのような部分も気をつけて、自分含め担当者はディスカッションに臨むべきである。
おさだ(3年)
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ゼミのひとコマ
2022-05-02T16:23:00+09:00
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JUGEM
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