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センスメーキングインオーガニゼーション(第2章前半 pp22-59)

【要約】
 第2章では、観察者が用いるマニュアルや鍛え上げられた想像力のための手引きとして、センスメーキングの7つの特性について紹介している。今回は7つのうちの4つ目までを取り上げる。まず1つ目は、アイデンティティ構築に根付いたプロセスについてである。センスメーキングはセンスメーカーなくしては始まらない。センスメーカーとは、自分自身が進行中のパズルで再定義を繰り返し、その都度他者に対してある自己を提示し、いずれの自己が適切かを決定しようとしている存在のことを言う。自己の定義から状況が定義されることと同様に、状況の定義から自己が定義されることもよくある。これこそが、アイデンティティの確立と維持がセンスメーキングの中核的な前提となる理由である。

 2つ目は、回顧的プロセスについてである。回顧的センスメーキングとは、内省がなされる際に多数の異なるプロジェクトが進行しているために、多くの意味がありうるが、それらを統合する活動である。つまり、プロジェクトについての価値観・優先順位・明確さが必要であるということだ。回顧的センスメーキングは、最終結果に達するのを複雑にした因果連鎖の多くを消し去る。しかし、あるプロジェクトを完遂させたいとき、過去の不確定なものについて秩序を強調し、因果性を単純化するような読み間違えは、それが誤った歴史であろうとも、プロジェクトの遂行には効果的な行為をもたらしてくれるのだ。

 3つ目は、有意味な環境をイナクトするプロセスについてである。本書では、組織の生において自分の直面する環境の一部を自分が生み出しているという事実を強調するために、イナクトメントという言葉を用いている。つまり、行動はセンスメーキングにとって決定的に重要であるということだ。行動とは、“主体”そのものと“客体”そのものを関係づけることではなく、2つの活動を関係づけることである。プロセスについて理解が深まると、センスメーキングを研究する上でブレーキとなるものがあることに気づく。それは、存在論上のふらつきである。しかし、センスメーキングを研究する人は存在論上ふらつくもので、このふらつきこそが理解を促してくれるのだ。

 4つ目は、社会的プロセスについてである。センスメーキングは、個人レベルのものと思わせる響きがあるが、社会的プロセスであると言われている。なぜなら、個々人の思考・感情・行為は他者の存在によって影響されるからだ。私たちは他者との相互作用というコンテクストの中で新しい考えを生み出し、それを広範なコミュニティに伝達する。そのアイデアがコミュニティで存続し続けると、一般化され文化となるのだ。センスメーキングへの社会的影響は、単に物理的な存在から生じることだけでなく、想像上の存在から生じることを忘れてはならない。

【ディスカッション】
 第2章のセンスメーキングの特性3つ目の有意味な環境をイナクトするプロセスの中から、P.52L11では、「問題は信じるか信じないかとなる。なぜならそれが自己成就的行為を作動させるからである。信頼はセンスメーキングの媒介である。」と書かれている。つまり、センスメーキングにおいて問題を信頼すれば、自然と自己成就的行為を作動させることができるということだ。私たちはこのセンスメーキングのプロセスを、今年度の中野ゼミにおける選考を例に考えてみた。今年度の中野ゼミの選考におけるビジョンは「当事者意識をもってシェアードリーダーシップを発揮する組織」である。掲げたビジョンは、中野ゼミにとって必要なことである。また、ゼミ選考の話し合いにおいて全員の合意のもと決定されたので、ビジョンに対して疑いのある人はいない。したがって、ゼミ生はこのビジョンを信じているため、ビジョン達成に向けた行動ができるはずであると考えた。しかし、事前にアンケートを取ると、リーダーシップを発揮できていないと回答する人が多く、ビジョンを信じていても行動に現れていなかった。

このことから、「当事者意識をもってシェアードリーダーシップを発揮する組織」という内容を信じるだけでは、ゼミ生が自己成就的行動を起こすのに不十分であると考えた。そこで、ディスカッションポイントを「どのような内容を信じれば、シェアードリーダーシップを発揮した組織になるために、中野ゼミ生は自己成就的行為を作動できるのか」に設定した。今回の議論において、「シェアードリーダーシップを発揮した組織」というのは、自分が与えられた役職にとらわれることなく、時には全員が自分の強みを活かして他者(複数名)に働きかける状態のことと定義した。具体的な例としては、積極的に意見を出して議論を引っ張る、議論が錯綜したときに議論を回す、ゼミ生にアドバイスする、コミュニケーションを促す、ゼミ生を正すなどが挙げられる。

まず初めに、どのようなことを信じれば良いのか、信じる内容について議論を行なった。事前にアンケートを取った際に、現状行動を起こせていない理由として挙げられていた、「帰属意識を持てていないから」「理想と現実にギャップを感じているから」「他人任せになってしまっているから」「発揮する場面がないから」を解決できるように意見を出してもらった。「帰属意識を持てていないから」を解決できるものとして、ゼミを好きになることや、飲み会などに誘ったらみんな来てくれると信じることが挙げられた。「理想と現実にギャップを感じているから」に関しては、議論を発展させるとゼミにとって良いと信じることや、自分がリーダーシップを発揮したら、みんなも自分の背中を見てやってくれると信じるなどの意見が出た。「他人任せになってしまっているから」では、自分の意見は組織の議論の活性化に役立つと信じる、シェアードリーダーシップを発揮できていない組織はよくないということを信じる、自分の意見は組織の議論の活性化に役立つと信じるなどが挙げられた。「発揮する場面がないから」に関しては、小さな発言でも議論の活性化に役立つと信じれば良いのではないかという意見が出た。他にも、ゼミ生を正すために、自分は絶対にミスをしないということを信じると言う意見も挙げられた。ゼミ生に信じる内容を挙げてもらうと、ゼミ中の議論の場についての意見が多かった。ゼミの議論をもっと盛り上げたいと思っている人が多いから、このような意見がたくさん出るのではないかと感じた。

続いて、たくさん挙げてもらった信じる内容について、「11月20日のゼミ選考まで(あと2回のゼミ)に信じられるものはどのようなものか」という時間的制約をつけてさらに議論を深めた。もちろん上記に挙げられた内容全てを信じることができたら良いが、現実的に短期間で全てを信じることは難しいと考える。そのため、自分は絶対にミスをしないことを短期間で信じるのは難しいのではないかという意見が出た。理由としては、逆に気を張ってしまってミスするのではないかというものだった。他にも、議論が錯綜したときやゼミが長時間になっているときに、切り込んで発言することによって周りの人も意見を言いやすくなると信じるというのは、長期間経験や自信をつけていかないと難しいのではないかという議論にもなった。逆に、シェアードリーダーシップを発揮できていない組織はよくないということを信じるのは、ゼミ生全員が今すぐにでも信じられるものではないかという意見が出た。また、議論が錯綜したときに切り込んでいくことは難しいけれど、自分の1つ1つの意見が議論の活性化に役立つと信じることはできるのではないかというゼミ生もいた。他にも、議論を発展させるとゼミにとって良いと信じることは、長時間のゼミに対して意味を持たせることに繋がるため、短期間でも実現可能性があるのではないかという声も挙がった。

【まとめ】
 今回は、「どのような内容を信じれば、シェアードリーダーシップを発揮した組織になるために、中野ゼミ生は自己成就的行為を作動できるのか」というディスカッションポイントのもと、信じる内容について議論を行なった。信じる内容についての意見は様々出たが、11月20日のゼミ選考までという時間的制約をつけると、出てきた意見全てをゼミ生が信じることは現実的に難しいことが議論によって明らかになっていった。その結果、中野ゼミにおいてシェアードリーダーシップを発揮した組織になるためには、「シェアードリーダーシップを発揮できない組織はよくないこと」「小さな発言でも議論の活性化に役立つ」「議論を発展させるとゼミにとって良い」の3つを信じれば、自己成就的行為を作動できるという結論に至った。この3つの信じる内容が、今回のディスカッションポイントのアンサーになる。

 議論を通じて、中野ゼミが目指している組織はどのようなものなのか、目指すビジョンを達成するためにはどのようなことを信じれば良いのか、再確認できたように思う。ゼミ選考の始まる約1ヶ月という期間の中で、ゼミ生皆が今回導き出した3つの内容を信じ、シェアードリーダーシップを発揮した組織を作っていくための行動を起こしていく必要がある。いや、今回議論した内容を信頼すれば、自然と行動は起こせていけるはずだ。この議論をきっかけに、中野ゼミがより良い組織となることを切に願う。

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