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世界標準の経営理論(第37, 第38章 pp686-721)

【要約】
 第37章では、アントレプレナーシップ領域が取り上げられている。一般に、「スタートアップ」「起業」「ベンチャー」「アントレプレナーシップ」といった言葉は、ほぼ同義に解釈されがちである。しかし、学術的にアントレプレナーシップはより広い意味を持ち、スタートアップ、起業、ベンチャーはその一部に過ぎない。新時代のアントレプレナーシップ領域として、4つの新たなアントレ領域が顕在化してきている。ICTの発展により急速な国際化が可能になったことによる「国際アントレ」、社会的・公共的な目的をスタートアップ企業による「社会アントレ」、政府機関が取り組むべき制度改革を市井の民間人が行う「制度アントレ」、大企業内で起業家を育てる「イントラプレナーシップ」である。また、アントレプレナーシップ領域において「事業機会は見つけるものか、つくり出すものか」という論争が生じている。事業発見型は「事業機会は起業家の存在とは独立して何かの外的な環境変化により生じる」という立場を取り、事業創造型は「事業機会とは企業家が行動を起こすことで起業家によってつくられ、後になって認知される」という立場を取る。近年は、創造型の思考の軸となりうる理論群を学校教育などで伝えることが注目されている。
 第38章では「企業組織の在り方」について述べられている。企業組織の存在範囲を規定する、5つのドライビングフォースが存在する。それは、取引費用の大きさが企業と市場の境界線を決める「効率性」、企業固有のリソースを持つ範囲が存在範囲を決める「コンピタンス」、他組織との相対的な力関係で存在範囲を決める「パワー」、アイデンティティの確立の度合いによって存在範囲を決める「アイデンティティ」、個人が持つ様々なつながりによって存在範囲を決める「ネットワーク」である。時代とともに、組織のあるべき姿は変化してきた。これから、今以上に組織を越えた人の流動化が進み、人が多様につながる。ネットワークに中心はなくなり、その中で人が自律分散的に動く組織(=ティール組織)になっていく可能性がある。

【ディスカッション】
 今回は当初予定していたDPを変更し、「東洋大学の講義は創造型の思考を高められているのか」というテーマで議論した。本書では、創造型は「ビジョンを熱く語る」「人を腹落ちさせる」など、極めて属人的・暗黙知的であり、学校教育や社内研修で伝えることが容易ではないと述べられていた。では実際に、東洋大学では創造型を育てる講義が行えているのかという問題意識を持ちこのテーマを選定した。
 この問いに対して、フロアーから上がった意見の大半が創造型の思考を高める取り組みが機能していないというものであった。その理由は以下の通りである。
・経営学特別講義(本書で述べられているような、企業家を招き経験談等を聞く講義)やソーシャルビジネス実習講義などの比較的創造型の思考を高めうる講義を受講している人でさえ、企業に向けたアクションを取っている人が周りにいないから。
・他学部の講義などはインプットばかりで、知の探索・深化になっていない。アイディアを育む講義が少ないから。
・インプットがゴールになっていて、そもそもアウトプットしようというマインドになっていないから。
・ゼミ内で読んだ教科書などから、創造型の視点は得られたが、行動を起こすには至っていないから。
 このように、多くの講義がインプット面ばかりに注力しておらず、アウトプットの機会が少ないことや、得た知識を実践で活かす場面が少ないことなどが理由として挙げられた。

 次に、どのようにしたら東洋大学の講義が創造型を高める講義として機能しうるのかについて話し合った。フロアからは様々な意見が上がった。
・様々な学部の生徒を集めて、お互いの知識を活かして議論することで、知の探索・深化を行うことができる。
・実際にアイディアを形にする講義をもっと設ける(美術や和歌の講義であれば、インプットだけでなく手を使って美術作品や和歌を創る)。
・カリキュラムとして実際にビジネスをやるなど、アウトプットの機会をより増やす。
・起業家を輩出するためのプログラムや学部を新たに作る。
・経営学特別講義などの講義で、経験談を聞いたり、感想を書くだけではなく、企業家の話し方や振る舞いをロールプレイング形式で実践する。
・大学内で完結するのではなく、実際に企業に飛び込む(インターンへの参加等)ことに単位を付与する仕組みづくり
 このように、さらなるアウトプットの機会を講義の中に組み込むことによって、創造型の思考が高められるといった意見が多く見受けられた。また、企業との連携や企業家のスキルの吸収など、実践形式の講義を設けることが改善策になりうるといった意見もあがった。

【まとめ】
 今回のディスカッションから、創造型の思考を高める取り組みとして東洋大学の講義は機能していないと学生側は認識していることがわかった。その最も大きな要因は、アウトプットの機会が少ないということであった。プログラムの中にアイディアを創造する試みを組み込むことや、身体を使って実戦形式でスキルを身に着けるような講義の必要性が再確認された。
 しかし、本ディスカッションでは詰めきれていない点がいくつかある。一点目は、「機能している」状態をどこに設定するかということである。今回上がった改善策は、自ら行動して実践形式で学んでいくことや、アイディアを実際に形にしていくという点で、創造型思考を育む講義として機能しうると考えられる。しかし、機能している状態を、アントレプレナーシップ領域の観点から「起業に向けた何かしらの行動をとっている」とした場合、果たして今回の改善案で本当にそのような学生が育成できるのかという疑念が残る。
 二点目は、評価基準の問題である。例えば実戦形式の講義が導入されたとして、何をもって評価を決めるのかが定かではないということだ。さらに、学生が評価し得るだけの成果を出せるのかといった問題も生じる。これらの点が、本ディスカッションの限界である。
 結局、創造型の思考を身に着けるためには「まずはやってみる」というマインドを持つことが重要なのは間違いない。今回の解決案によって創造型の思考が伸びる可能性はあるが、やはりまずは自分で行動し、実践の場に飛び込むというマインドを持つことが一番の近道なのかもしれない。

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