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世界標準の経営理論(第35,36章 pp643-685) 

【要約】  

 

 第35章では企業ガバナンスの経営理論について説明されている。企業ガバナンスは取締役会や株主構成など企業内部におけるガバナンス分野、そして法制度や外部の監査機関といった外部のガバナンス分野が存在する。本章ではこの企業ガバナンスを説明する上で、本書でも今まで扱ってきたエージェンシー理論は必修理論であると言われている。エージェンシー理論を用いることで株主の経営陣の関係や、経営陣へのインセンティブ付けの在り方などを説明することができる。またエージェンシー理論とは対極に位置するスチュワードシップ理論での説明もされている。これら2大理論では企業ガバナンスの難しさ、複雑さを示唆している。つまり企業ガバナンスの在り方は必ずしも一様ではなく、経営者を始め企業を取り巻く当事者たちが世界をどう見ているかが企業ガバナンスを構成する上で重要なのである。

 

 第36章ではグローバル経営と経営理論について説明されている。グローバル経営において企業が海外に進出する際の「進出タイミング」「進出先の選択」「進出形態」を説明するために独自の「理論のようなもの」が存在する。それはOLIパラダイムとウプサラモデルである。前者では企業が固有に持つ強みをまず理解し、その強みを活かせる進出先を選択、そして企業内で「内部化」する構造をつくるという3つの要素を考慮して海外進出に関して説明されている。後者のウプサラモデルでは、「企業の学習」がベースとなっており、どの企業も始めは距離的に近い国、進出形態としてはライセシングといったような形態をとり徐々に拡大していくという説明がされる。この2つの理論は意思決定を異なる視点で説明しているが今まで本書で扱ってきた理論を用いて説明ができただの応用にすぎないものである。またこれらは「理論のようなもの」であり、グローバル経営において「独自の理論」は存在しない。それは「国境」が大きく関係してくる。従来は「国境を超えること」=「グローバル経営」と捉えられてきたが、実際は「ビジネス環境が異なること」=「グローバル経営」であると筆者は主張しており、このように考えるとビジネス環境が異なる際には今まで扱ってきた理論を応用することで十分に説明することができるのである。つまり今後は「国境とは何か」を深く考えることが企業にとって重要なのである。

 

 【ディスカッション】

 

 今回のディスカッションではグローバル経営の今後の展望についての部分に着目した。本書では今後取引コストが下がればスタートアップ企業(中でも創業間もなくグローバル展開を行うボーングローバル企業)が台頭すると言われていた。では同様に取引コストが下がれば大企業もグローバル展開を行うことができるのかということについて議論を行った。しかし今回初めに持ってきたディスカッションでは「できる」「できない」という形でフロアに投げかけてしまったため、議論の進展がすぐには見られなかった。そこで「大企業はグローバル展開ができない」と仮定し「グローバル展開できない」理由をまずは挙げてもらった。その挙がった意見に対し、では「グローバル展開するためにはどうするか」について再度議論する流れとなった。グローバル展開ができない理由としては、意思決定のスピードが遅いであったり、リスクを取りたがらない、社内で反対意見が出てくるなどの意見が挙がった。そこで対策としては、スタートアップ企業や進出先の企業を買収を行ったり、国内で今まで取引してきた繋がりを利用する、海外にまずは現地調査を行い検証するなどといった意見が見られた。

 

 これらディスカッションをまとめると、取引コストが下がればスタートアップ企業と同じように大企業がグローバル展開を行えるのではなく、実際にグローバル展開を行うかどうかの意思決定のスピードがスタートアップ企業と比べ遅かったり、また現状シェアが国内で高ければリスクをとることに社内で反発が起きるなどの障壁も存在する。このような障壁を乗り越えるためにソーシャルキャピタル理論で説明されていたように、国内で取引していた今までの繋がりを通じて進出先の企業との繋がりを見つけたり、センスメイキング理論で説明されていたように経営者がビジョンを示しリスクを取ることを社員に納得させるなどといった施策が必要となる。以上が本ディスカッションの結論である。

 

【まとめ】

 

 今回のディスカッションでは実際にボーングローバル企業と言われている「テラモーターズ」の海外進出の成功事例を基に事例作成を行った。「テラモーターズ」では取引コストの低下が海外進出する上でプラスに働いたこと要素でもあるが、他にも企業の組織構造であったり、リスクを恐れない行動などが影響したとある記事では言われていた。本ディスカッションでもこの部分について少しでも触れることができたのは良かった。実際、中小企業、大企業に就職するゼミ生が多い中、今一度グローバル展開を行う体制がその企業にはあるかどうかを見つめなおすきっかけになったら幸いである。また今回は「できる」か「できない」かの問いの立て方ではなく、グローバル展開を行ったうえで今後活躍していくためにはどうするか、など具体的な部分について問いを立てれていたらフロアからの意見ももう少し出たかもしれない。是非次回はこの反省を活かすようにしていきたい。

 

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