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世界標準の経営理論(第24・25章 p.439-478)

【要約】
 第24章からは、社会学ディシプリンの経営理論について解説されている。ビジネスにおける社会学的な研究はエコノミック・ソシオロジーと呼ばれ、経済学への批判として、ビジネス環境における人と人とのつながりを捨象している点、意思決定メカニズムが常に一様化されている点を挙げた。
 本章で解説されるエンベデッドネス理論(別称:埋め込み理論)は、「人は他者とのつながりのネットワークに埋め込まれており、その範囲内でビジネスを行い、したがってその関係性に影響を受ける」ことを基本主張とする。つながりには〃从儚愿な意思決定をしがちになるアームス・レングス(浅い関係)なつながり⊂綮覆班下などのヒエラルキー上のつながりヒューリスティック(経験に基づく直感的な)意思決定に頼る埋め込まれたつながりがある。本理論は特に埋め込まれたつながりにおいて、人は他の2種類とは異なる意思決定を行う、と考える。埋め込まれたつながりには、関係性の埋め込み、構造的な埋め込み、位置的な埋め込み、意思決定の促進、私的情報交換、という5つの法則が存在し、どれも埋め込まれたつながりによる様々な効能を説明している。このような埋め込まれた人と人とのつながりは従来の企業・市場とは異なる次元の強さ、しなやかさを持っているため、これまでの企業の存在意義は薄れ、埋め込まれた人のつながりのネットワークが台頭する、とされる。
 第25章では、弱いつながりの強さ(Strength of a weak ties: 以下SWT)理論について解説される。つながりの強い、弱いに絶対的な定義はない。ビジネスで例えるなら、強いつながりは10年仕事を共にするような同僚、弱いつながりは異業種交流会で何度か会いメールする程度の相手、となる。カギとなるのは、ソーシャルネットワークには伝播、感染(ビジネスで伝播、するのは情報、アイデア)する力に差があることだ。SWT理論において欠かせない概念が、ブリッジ(Bridge)だ。一般に2つの点をつなぐ唯一のルートがある時、それをブリッジと呼ぶ。ブリッジはつながりが弱い時に限り、それはつながりが強い際、仝鯲の頻度⊃翰的効果N犹性が高くなってしまい。ブリッジが存在しなくなってしまうからである。多人数で構成されるソーシャルネットワークにおけるブリッジの効能は、「ブリッジのある、弱いつながりから成るソーシャルネットワーク(希薄なネットワークと呼ぶ)は、ネットワーク全体に多様な情報が素早く、効率的に、遠くまで行き渡る」ことである。この効能はイノベーションにおいても役立ち、弱いつながりを持つ人は幅広い知と知を組み合わせ、新しい知を生み出せるのだ。これからはソーシャルネットワークのさらなる発展により、遠くの人とつながりやすくなるため、世界は狭くなっていくだろう。

【ディスカッション】
 本章において、イノベーション知の探索も知の深化も、アイデアの創造も実行も必要なため強いつながり、弱いつながりの両方が必要となる、としている。しかし、筆者は日本では圧倒的に弱いつながりが不足しているという。理由としては、終身雇用制による社外との弱いつながりの乏しさ、大企業での事業部間の交流の少なさ等を挙げている。この筆者の主張が正しいとして、「あなたが大企業の経営者なら、どのようにして弱いつながりを作るだろうか?」というディスカッションポイントを立てた。企業の条件として従業員300人以上、事業部が5個以上ある企業を想定し、またフロアからの意見から、食事会等の交流会、副業や兼業、共同ワークスペースの利用、と施策あらかじめ設定し、この中からより効果的な方法を議論していく運びとなった。
 まず、交流会においては、事業部間や企業間ををまたいでの開催をすることが必要という意見が出る中、実際に開催するだけでは人が集まらないため、参加するだけのインセンティブが必要になる、という意見が見られた。また、交流会を会社のカフェテリアなどのスペースで開催することで、参加しやすくなるだけでなく、コストも削減できるという意見も見られた。副業、兼業においては、企業外に出て行うことで、弱いつながりを作れるのではないか、という意見が出た。また、大企業であれば事業所が別の場所にあるため、企業内でも十分な効果が見込めるのではないか、という意見も見られた。また、副業兼業においても、作った弱いつながりの結果、生まれる知を企業に還元できるような動機づけがなければ、弱いつながりを作るのは難しい、という意見も挙がった。共同ワークスペースにおいては、企業の境界に関わらず様々なビジネスマンが集まるという性質から、利用するだけでも弱いつながりを作ることができるため、共同ワークスペースを利用することそのものの促進が必要、という意見が出た。

【まとめ】
 上記の意見から共通点を探っていくと、2つ共通する点があると考える。まずは、インセンティブの設定が必要であることだ。今までもこれらの施策は弱いつながりに関係なく行われてきたものである。しかし、それでも弱いつながりを作れていないという現状があるため、大企業の経営者はその施策を行う上で、従業員が弱いつながりを作ろうとするようなインセンティブ、動機づけを行うことが必要となるだろう。2点目は、どの施策においても、弱いつながりを作っていく上では企業や事業部の「境界」を超えて行動を起こすことが必要となる点だ。本章においても、これから人とのつながりという点においては、人々が企業などの境界を越えてネットワークを構築していくことが述べられていた。弱いつながりを作っていく上では、積極的に境界を越えることが必要となるのではないだろうか。自らがイノベーションを起こす立場になった時、今回見られた共通点を思い出し行動を起こして頂ければ幸いである。

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