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世界標準の経営理論(第11,12,13章 p.200-250)

【要約】
 本書の第2部はマクロ心理学―主に認知心理学―をベースとする理論を解説し、それらは特に組織学習やイノベーションについて高い説明力を持つ。

 第11章のBTFは経済学への批判をもとに、組織の行動のメカニズムについて展開している。人・組織の認知には限界があるからこそサーチ活動を行い、満足度が高まると慢心してしまう傾向がある。だからこそうまくいっているときにも、目線を高く保つことが重要なのだ。

 次に12,13章で取り扱うのは、イノベーションと組織学習に多大な貢献を与えた「知の探索・知の深化の理論」である。知の探索により新しい知を追求し、知の深化により既知を活用する。多くの組織は知の深化ばかりに傾斜してしまうため注意が必要である。

 知の探索・知の深化を同時に行うのが両利きの経営で、それを促すのはオープンイノベーション・組織の構造的な両利き・ダイバーシティ、などが知られる。

【ディスカッション】
 知の探索のオープンイノベーション戦略に関して、日本で期待したいのは、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)であるという。従来型のCVCであるスタートアップと大企業が相互に連携する形態は、主に欧米で取り入れられている。一方で日本では「知の探索の源泉である知は、日本の大企業に活用されないまま埋もれている人材にある」という仮説をもとに、独自の知の探索も出てきている。ここで、日本の大企業には、知を持つ人材が埋もれてしまうのかについて疑問を抱いた。そこで今回はこの仮説が正しいと仮定し、
 ,覆次崙本の大企業で活用されないまま人材が埋もれてしまっているのだろうか」
 △海譴蕕陵由(課題)に対して、どのように解決すればいいのだろうか
というディスカッションを、企業で人材を管理できる立場として考えて行った。

 理由について出た意見は、まず会社の業務に関する制度面での問題が挙げられた。例えば分業制について、分業されてしまっているから決まった仕事しかできず、コミュニケーションも決まった人としかとらなくなってしまっているというのだ。或いは年功序列であることから、若手が任せてもらえる仕事の範囲が限定されてしまっているという意見が出た。

 また理由について社員が声を挙げづらく、たとえ挙げたとしても実行されづらいことも挙げられた。その背景にあるのは年功序列であることや成果主義でないこと、評価の仕方が短期的であることがある。それらの意見に対して批判も出た。例えば成果主義である場合より短期的な思考に陥ってしまったり、そもそも声を挙げるインセンティブが給料なのかといった意見である。

 理由はその他にも、まず企業の軸にイノベーションを置いていないこと、それに対してイノベーションを行う意識はすでに持っていることや、そもそも人材が埋もれてしまう理由になっていないという反対意見が出た。また大企業だから人材が多く人材の能力の把握が難しく、企業の下層から上層までの間で役職が多く分断されてしまっているという意見が出た。それゆえ末端の意見が上まで上がるのが遅かったり、そもそも上がってこないという意見出て、それに対して意見が上がりにくいのは大企業に限った話なのかという疑念や問いと同義反復になっているのではという反対意見も出た。

 次に上記の理由を解決する方法についてである。まず声を上げづらいことや短期的思考に陥っていることなどを解決する意見として挙げられたのは従業員にモニタリングコストをかけプロセスを評価することである。ただしモニタリングをかけすぎるとかえってプレッシャーになり萎縮して声を挙げない可能性もあるため、方法には注意が必要である。次に出たのはトップの下に現場の声を聴くチームを作るという現場と上をつなぐ機会を設けることである。また評価制度の問題点に対して、全体の活動内容をチェックすることで適切な評価を下す解決方法、それに対し経営層側がそれを行えるのかという懸念点も出た。さらに大企業だから人材を把握するのが難しいことを解決するために、経営者と従業員がインフォーマルなコミュニケーションを行ったり、どのような意見を持っているか徹底的な話し合いを行ったりすること、これはトップが行うことは莫大な労力が必要ではないかと指摘されていた。加えて分業制の課題に対してジョブローテーションの推進、頻度を高め、能力に見合った職を見つけてもらうことが挙げられた。

 ディスカッションの結論は、日本の大企業に人材が埋もれている理由には、主に声を挙げづらいことや業務の制度面の問題点が挙げられ、それらを解決する方法として社内の声を拾うシステムの構築が考えられたが、指摘があったように、いずれも日本企業がすでに取り組んでいる内容であろう。すなわち、人材が埋もれていることに気が付いても、それを発掘することを考えることは難しい。しかし、それでもイノベーションが足りないといわれている日本において、いかに人材を発掘するかが重要であるため、さらに考える価値はある。片や自分が社員の立場でアイデアを持っていた時に、いかに発掘してもらうかが重要で、そのためにも声を挙げ続ける必要もある。

【おわりに】
 人材が埋もれている理由と解決方法は複数挙げられ、それらの反対意見も出て、議論らしい議論を繰り広げることができた。議論のまとめとして意見を収斂させることは難しかったが、後日談として議論が楽しかったという意見をいただいた。それはフロアの意見の活発さやファシリテーターとしても反対意見を出したことに加え、下記URLに添付したようなツールを使用したからと考えている。このツールには意見をメモするばかりでなく、発言者の名前や反対意見も書くように設計した。その理由はゼミの議論が、ただ意見を出して終わりになったり誰の意見かわからないと議論として盛り上がりに欠けることが課題と考えたからである。そこに反対意見や名前を参照するというタスクSMMを共有する工夫をしたのだ。ただし人の認知には限界があり知の深化によって改善をする或いは、知の探索でさらによいツールを模索することも可能だろう。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1_z93ABjtCChRgqP-fUleYV4rGmERbfEg20FyrX8SPYE/edit?usp=sharing

すみた(3年)

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