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世界標準の経営理論(第7,8章 p.133〜166)

【要約】
 第6章においては、近代経営学においても影響力を持つ取引費用理論(Transaction Cost Economics:以下TCE)を紹介した。TCEは、「人は限定された合理性の元で動いており、機械主義の下、不測自体の予見困難性、取引の複雑性、資産特殊性が高い時、市場での取引コストがかかりすぎるので、取引相手のビジネスを自社内に取り込んでコントロールすべき」という理論である。
また、TCEは取引を外部で行うか、内製化するかを扱うため、古典経済学では説明できなかった「企業の範囲」を説明できるともしている。
 第7章では、多くの理論の背景に存在している「ゲーム理論」を説明する。本章では大きく分けて2つのゲームに焦点を当て、数量面の決断が企業の関心ごとである「クールノー競争」、価格設定がより重要である「ベルトラン競争」の2つを挙げた。これらは同時ゲームと呼ばれ、相手の行動を読み合い、自社の最適な戦略を探し出すことで定まる結果を「ナッシュ均衡」と呼んだ。

【ディスカッション】
 TCEにおいて、その主張を実証する研究は多く蓄積されており、おおむねTCEを支持する結果が多く得られている。しかし、TCEについての論文の中には、企業の範囲を決める際に、TCEが実際に企業の意思決定基準として十分であるかについて議論は成熟していないと主張するものも存在した。そのため、中野ゼミにおいてもこの議論を行いたいと考え、開発設計から販売などまでのサプライチェーンの中に存在する製造業を営む企業において、TCEは企業の取引の範囲を決める要因として十分なのか、という議論を行った。なお前提として、現状では、生産。流通を担う企業であり、場合によっては取引を内製化する余裕を持つ企業を想定することとした。
 意見としては十分である、十分でないともにいくつか見られた。十分でないという意見では、「取引関係において、第3者の技術革新も考慮する必要がある」「内部化したときに予想しなかったコストが発生するかもしれないため、十分でない」「内製化が差別化の要因になるのなら、例えコストが高くても企業は行動を起こすのでは?(TCEとは逆の行動をとる)」などが見られた。一方で、十分であるという意見に多く見られたのが、十分でないという意見に見られた要因が、よく考えるとTCEで言われていたコストに該当するのでは、という意見である。例えば、第3者の技術進歩や、内部化したときの予想できないコストなどが挙げられ、これらはTCEで言及された「不測の事態」に該当するのでは、というものである。
 本来であれば、あくまでTCEで述べられた条件を他の要因と検討し、TCEの意思決定基準としての妥当性について議論を行いたかった。しかし、ディスカッションの中盤からは、十分でないという意見に見られた要因が、TCEで言及された条件に当てはまるかどうか、という議論に傾いてしまったため、反省点と言えるだろう。
 その点を反省点とした上で今回のディスカッションをまとめると、TCEは第3者の技術進歩や内部化したときの予想不可能なコストなども「取引における不確実性」としてTCEの要因の一つだと説明できるものであり、よってTCEは企業の範囲を決める際の意思決定基準として十分なのではないか、となるだろう。
 今後さらにディスカッションを深めていくのならば、今回の私たちのディスカッションにおいてTCEの要因の一つとされた内部化したときの予想不可能なコストなどが、本当にTCEに当てはまるものなのか検証する必要があるだろう。

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