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世界標準の経営理論(第5, 6章 p.95〜132)

【要約】
 SCP・RBVは、第3章で挙げられていた『4条件』をいかに崩していくか」が根底にあった。しかし、「組織」「組織・市場を構成する個人」への深い洞察は、そこでは行われていなかった。

 そこで第5、6章では、組織の経済学を用いて、「企業が抱える構造問題の本質は何か、組織・個人がビジネス取引で直面する問題は何か、そもそも企業組織はなぜ存在するのか」といったSCP・RBVでは説明できない深い疑問に答えていく。

 具体的に第5、6章では、情報の非対称性のもとに、取引、やり取りの前に起こる問題を扱う「情報の経済学」、取引成立後に組織で起こる問題を説明する「エージェンシー理論」について説明されている。これらを思考の軸とすることは、情報の非対称性を味方につけること、組織内で起こるモラルハザードの解決方法を考えることに有効である。

【ディスカッション】
 本書では、情報の非対称性が生じる状況で、相手の私的情報を見抜くための「目利き力」を高めるために、経験による学習が経営学で最も主張されていると述べられていた。しかし現在では、あらゆる事柄において、以前であれば自分が経験しないと私的情報が入手できなかったことでも、口コミサイトなどのように他人の経験を通して私的情報を入手することが容易となっている。つまり、自分で経験することの必要性が薄れているのではないかという点に着目した。そこで、私的情報を見抜く「目利き力」をつけるためには、経験による学習が最善なのだろうかというディスカッションを行った。なお、シチュエーションを「新たに始めるアルバイト先の選択をするとき」と設定し、経験を「過去に4種類のアルバイトを行ってきたという経験」、学習を「バイト探しサイト等には掲載されていない私的情報を得たこと」、最善を「より目利き力をつけられ、バイト先に満足できること」と定義した。また、今回選択するアルバイト先は、過去に一度だけ経験したことのある業種とし、この状況の中で、仝コミや友人の勧めを受けずに、自分の経験から判断する、⊆分の経験を無視し、口コミや友人の勧めなどの情報のみで判断する、という選択肢を設け、ディスカッションを行った。

 まず,鯀択したゼミ生の意見として、「自分の向き・不向きは、他人の意見では判断できない」「口コミは人によってとらえ方が異なる」「業務内容のイメージが持てる」といった意見が挙がった。しかし実際には、自分の経験に基づく判断をした結果、バイト先の選定に失敗してしまった方もいたようで、数回の経験では目利き力が高まるわけではないことも明らかとなった。

 次に、△鯀択したゼミ生の意見としては、「情報をたくさん集めることができる」「経験則での意思決定はうまくいかない」「経験にはバイアスがかかっている一方、△任詫諭垢併訶世任両霾鵑魑甸囘・多角的にとらえることができる」「私的情報は内部の人間のみが分かるが、経験では内部の情報までは知ることができない」「バイト先の人間関係・雰囲気がわかる」といった意見が挙がった。

 これらの意見を踏まえると、どちらにもメリット・デメリットがあり意見が両立してしまったため、今回のディスカッションではどちらか一方に決めることが出来ず、「どちらもより目利き力を高めることができる」という結論になった。しかし今回のディスカッションにおいて、あえて「経験からの情報しか使えない状況」と「経験以外の情報しか使えない状況」といった両極端な状況をゼミ生に考えてもらうことで、「過去に自分は、経験に基づいて正しい判断を行うことができたのか」「他人の情報で、正しい判断を行うことができたのか」ということを改めて考え直す機会を作ることができた。今後多くのゼミ生が就職活動などの際に、自分の経験から判断するのか、他人の意見から判断するのかといった状況に置かれることが増えるだろう。そのため、今回のディスカッションで挙がった各選択肢の良い側面・悪い側面を、今後経験するであろう重要な意思決定の際に思考の軸にすることが、より良い選択につながるのではないだろうか。


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