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プラットフォーム企業のグローバル戦略(第8章 p291~337)

【要約】

 本章では、今まで見てきた事例研究を踏まえて本書の問いであった4つの下位命題の検証を行っている。最初3つの命題については支持されたものの、最後の1つは条件付きでの結論となった。本研究では、一概にはどちらとも言えなかったのである。

【ディスカッション】

 私たちは、本研究では一概な答えは出ず、条件付きの結論となった下位命題4に注目した。そもそも、ユーザー企業の産業で「参入規制が存在する」もしくは「いち早く新規企業・既存企業の転換が起きる」場合、ユーザー企業産業では国際的な産業構造転換は発生しない。その場合、共存企業の産業に国際的な産業構造転換の圧力が集中し、より深刻な国際的な産業構造転換が発生するとはどういう状況なのだろうか。これを噛み砕いて考えると、なんらかの影響を受けてユーザー産業が先進国企業で埋め尽くされた場合、ユーザー産業では国際構造転換は起こらない。これらの先進国企業は一定程度差別化が終わり、もはやコストで戦うしか手がなくなってきてしまっている企業である。そうなると、必然的により安い仕入先を求める為、共存産業は新興国企業で埋め尽くされるのである。その場合は、共存産業では国際構造転換が激しく起こるのである。これらの本書の状況を考えると、逆にユーザー産業に一定程度新興国企業がいた場合は、共存産業の中で一定程度先進国を選ぶ企業がいると推測できる。これが、「より深刻な」の状態であるからだ。では、なぜユーザー産業の新興国は、共存産業にコストが高いと予想される先進国を選ぶのだろうか。これらの問いについては私たちファシリテーター、及びフロアから、大企業という信頼性、自社のイメージアップ、技術蓄積、仕事の拡張可能性、などという意見が出た。

 ここまでを踏まえると、ユーザー企業においては先進国、新興国という立場の違いから共存企業にどのような企業を選ぶのか分かれることがわかった。ここで私たち担当者は、現在の日本であったらどちらを選択すれば良いのかという疑問を抱いた。というのも、本書では先進国と新興国という両極端の企業側の視点しか描かれていなかったが、先進国ではあるものの国際競争力は低下し、販路も限られるような日本中小メーカーは一概に本書における先進国と位置付けられないのではないかと考えたからだ。自社を先進国と置くか、新興国と置くかによって選択は変わるが、どちらのメリットデメリットも踏まえた上で、今後も生き残っていく為にはどちらの選択をするべきなのかを今回のディスカッションテーマとし、話し合った。

 議論は、先進国を選ぶ人、新興国を選ぶ人とほぼ半々に分かれた。まずは、先進国を選ぶという主張である。これは、経験のあるところの方がリスクが少ない、技術的な差別化ができる、技術によって資金を得ることができる、同じユーザー産業の先進国が強いから、などという意見が出た。対して新興国を選ぶという意見では、同じ製品なら安い方がいい、交渉力の強さ、共存の先進国は相手にしてくれないのではないか、候補企業の多さ、共存企業の競争力の高さなどの理由が挙げられた。議論が進むにつれて、新興国寄りになったが、完全に傾くことはなかった。

 これらの議論をまとめると、ゼミ生の間では日本の現在の状況を先進国であると考える人は一定数いないと言える。しかし、先生の見解ではやはりどんな状況でも新興国と組む方が良いとのことだった。コストの問題は大きく、メリットが大きいからだ。これから私たちが社会に出ていく中で、規模の大小はあれど、このような状況に直面することは想定できる。プラットフォームの波が現れ、先進国、新興国の動きが激しくなっていく中で、自社は将来を見据えてどの企業と組むべきなのか考えなければならない。そのようなことを踏まえて、今回のディスカッションが少しでもその助けとなれば幸いである。


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