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プラット・フォーム企業のグローバル戦略(第5章:P177〜221)

【要約】
 前章まではオープン標準化を用いてグローバル・エコシステムを形成し複数市場を仲介するハブになる事例を取り上げていた。本章では、意図的に周辺市場へ参入することによりエコシステムを形成する事例としてインテルを取り上げる。
 CPUをコア事業とするインテルがPentiumシリーズのCPUを市場へ拡大させるために、その周辺の市場にあたるチップセット市場への参入とマザーボード市場への参入を積極的に行った。この2つの市場参入の意図は周辺市場の囲い込みのためではなく、周辺市場の刺激のためである。
 この戦略を実現するにあたり、インテルはコア事業と周辺市場事業を1つの事業部として組織統合を行った。結果として、インテルの意図通り周辺市場は刺激され、新興国企業による生産が活性化し、自社CPUにとって優位に働く規格を普及させバーゲニング・パワーを得ることができた。
 
【ディスカッション】
 本章では、「プラットフォーム企業のインテルは、戦略的標準化を行い、パソコンの製品アーキテクチャをオープン領域とクローズ領域に二分した。これにより、パソコンのエコシステムが拡大するに従って、自社に付加価値が獲得できる仕組みが完成した。」(P.220,L.25-27)とあった。実際にインテルではコア領域のCPU事業に対応する周辺市場への参入を通じて周辺領域をオープン化し、パソコン製品の標準化を戦略的にすすめ、自社のコア領域であるCPUに付加価値を獲得する仕組みを作ることに成功した。私たちはこれに対し、インテル以外の企業でも同じような事がいえるのだろうかと考えた。オープン・クローズ戦略において、オープン化させる事が必ずしもメリットにつながるとは限らず、模倣・盗用・代替の恐れや周辺特許を取得される等々のデメリットも考えられる。この事から、本章に対して「オープン化するタイミングはどのようなタイミングであるか、オープン化する相手はどのように選ぶか、そして自社の技術をどこまでオープン化するのか」を疑問に思った。
 この疑問を解消すべく、私たちはディスカッションを行うにあたり、日本企業を事例としてあげた。経済産業省によると、日本は特許大国とされており、2013年時点で日本の企業が特許取得数1位でありながら、日本企業の課題として戦略的な知的財産マネジメントが必要とされており、日本企業は世界に比べて遅れをとっているとされている。知的財産をマネジメントする方法としてオープン・クローズ戦略が提唱されているが、日本企業は知的財産を生かしきれていない。ではなぜ日本企業はこの知的財産を生かしきれていないのか、その原因をフロアから考えうる限り募った。‘探と標準化というポイントで下記のような意見が上がった。
 ‘探の意見としてそもそも特許は技術者に対するものであり、知財部門が独立してしまっているのではないか。特許を取った技術に投資した分を回収するためには自社のみで外部を頼らず、その技術を使用してしまっているのではないか。その技術自体に対して特許をとってしまっていて、もはや取得が目的となってしまっているなどの意見が上がった。
 △良現牴修琉娶として、そもそもオープン化するやり方がわからず、探り探りになってしまっているのではないか。差別化が図りにくくなってしまうのではないかなどの意見が上がった。

 本章に挙げられるエコシステム形成の戦略や、上記のフロアから挙げられた原因をふまえ、『先進国企業である日本企業が抱える特許に関する問題を解決するには、外部(周辺市場)と内部(組織統合)のどちらを優先すべきか』をディスカッションポイントを立てた。
 外部を優先すべきとする意見では、周辺市場のうまくいっている企業と協力する、周囲にコア技術を見せる等々を行い、自社製品や技術そのものではなく、周辺市場で特許を取るべきだという意見が上がった。また、内部で戦略を調整するには時間がかかってしまう・統合しきれないと考えることから、死蔵特許となってしまう可能性や、考慮した上で技術を生かしてもうまく行くとは限らない、試作として技術を出し反応をみて修正を行うことが出来るという意見が上がった。
 内部を優先すべきとする意見では、内部での具体的な検討なしに戦略を取るということは根本の解決にはならず、自社内で知識の共有をすべきであり、知財部門の独立を解消すべきであるという意見が上がった。その場しのぎの外部を優先するよりも、内部の知識共有に時間を費やすべきだという意見が上がった。また、外部を優先するにも内部の統合が必要であるという意見が上がった。
 また、内・外部の議論とは別に、特許をうまく活かす術を持たない企業はむやみに特許を取ることを行わないべきだという意見も上がった。

 議論のまとめとしては、日本企業が知財マネジメントを行えていない原因として、特許を取る事が目的になってしまっていること、技術自体に特許を取ってしまっていること、知財部門が独立してしまっているため外部との協力が取れていないこと、知財に付加価値を獲得するための標準化をすすめていくオープン化のノウハウがないことが考えられる。このような日本企業における特許の問題を解消するためには、内部における調整を行うよりもスピードを優先させることができるという理由から、外部も重要であるが、スピード重視で無意味となってしまうことを防ぐためにも、内部を統制し知識や情報を共有する上で戦略を検討することも重視すべきであるという結論に至った。また2択という形式にしなければ、特許を取ってもうまく生かせないのであれば取らないという結論に至ったかもしれない。

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