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プラットフォーム企業のグローバル戦略(第4章後半 P149〜173)

【要約】
 第4章後半部分では、プラットフォーム競争戦略の有効性について、ネットワーク分析の手法を用いて説明されている。ネットワーク分析の結果として、事例となっている半導体産業でオープン標準化が起きたことで、ネットワークに3つの変化が生じていることがわかった。まず、複数のコミュニティを媒介するハブ・ノードが継続的に発生した。そしてハブ・ノードのバーゲニング・パワーにより、コネクタノードが周辺ノードに押しやられ、よりハブ・ノードに媒介機能が集約された。そのため、コミュニティ間の紐帯が小さくなり、ネットワークのモジュラー化が進んだ。

【ディスカッション】
 本書には、「プラットフォーム戦略では、コミュニティ間の媒介機能がハブに位置取りしたプラットフォーム企業に集約されていく一方、従前はコミュニティ間の媒介していたコネクタノードは、周辺ノードに追いやられてしまう。」(P.162,L.13-17)とあった。 実際にP.150-151の図を確認すると、AMATがハブに位置取りしたことでニコンはコネクタノードから周辺ノードへと変化している。そこで、ニコンが今後ハブノードになるためには、コミュニティ内取引とコミュニティ間取引のどちらを増加させるべきかを今回のディスカッションのテーマとした。議論を行うにあたって、次の条件であるという設定を行った。1つめは、ニコンの現状として主力事業が衰退しており資金難に陥っている。ニコンのなかで事業シェアの低い半導体事業には多くの資金を投資できない。そのため、コミュニティ間取引かコミュニティ内取引のどちらかにしか注力できないようだ。2つめは、半導体装置市場の現状は、1位が台湾、2位が韓国、3位日本、4位中国、5位シンガポールとした。3つめは、半導体業界は比較的変化が激しい業界であるため、3年間ほどの中期的な戦略となる。4つめはハブに位置取るメリットが「情報アクセス優位性」「情報コントロール優位性」であり、このメリットを得るためにハブに位置取ろうとしている。

 コミュニティ内を重視する意見とコミュニティ間を重視する意見に分かれた。まず、コミュニティ内の意見を重視する意見としては、ハブノードになるためには、現在のコミュニティ間取引は充分ではないが、足りているため、コミュニティ内の取引を進めていくことによってハブノードに近づくという意見があった。また、過去のネットワークポジションを確認すると、ニコンがコミュニティ間取引に力を入れていたことが感じられる。しかし、ハブには位置取りできていない事実がある。よって、コミュニティ間取引に力を入れてもプラットフォームのハブとなる数値には近づくことができないため、コミュニティ内取引を重視すべきとの意見があった。また、AMATに情報が集約されているため、コミュニティ間取引に注力しても、新たに多くの情報を取ることができないとの意見もあった。このように、コミュニティ内取引を重視する意見が序盤は多かった。しかし、2003年以降にオープン化標準した事実に注目し始めると、コミュニティ間取引の意見が出始めた。具体的には、ハブノードに位置するためには、新興国企業に販売を行うことが重要であるという4章前半の実証実験の結果を踏まえて、新興国に販売することがハブに近づくということだ。さらにコミュニティ間取引である市場には新規参入企業が増えてきているため、今後も市場として成長していくことが見込まれる。よって、AMATがハブに位置取っているが、参入して新規顧客を獲得する可能性があるとの意見もあった。また、標準化によって、日本の半導体装置産業は技術的優位が下がっているため、新興国と取引すべきとの意見もあった。結果、オープン標準した際のプラットフォームの戦略として本書で述べられている通り、新興国産業に販売率を高めることを重視する人が多く、コミュニティ間取引を進める流れとなった。

 では、AMATがハブに位置取りする台湾半導体市場においてコミュニティ間取引を進めていくには、ニコンはどのような取り組みをしていけば良いのだろうか。具体的な案を話し合った。すると、次のような意見が出た。AMATがまだ取引を行っていない場所に新しいコミュニティを作る。AMATの下についてAMATが手掛けなかったところをもらい情報を集め、いずれは自社のみで取引をできるようにする。台湾半導体市場のTELと手を組み、情報を得るといったことだ。

 今回のディスカッションでは、設定した条件下において、ニコンはコミュニティ間取引を重視すべきという結論になった。実際のニコンの戦略を見てみると、コミュニティ内取引に重きを置いていた。すると、同じ露光機メーカーであるASMLが徐々に拡大してきた。結果、2000年以前はニコンがASMLを上回っていたが、2010年頃の露光機市場においてASMLがシェア約8割、ニコンが約2割とシェアが逆転した。もし、ニコンが新興国に向けて販売し、今回のディスカッションで出てきた工夫を行ったら、現在とは異なる結果がでてきたかもしれない。

くまざき・まさや(4年)

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