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フォーエバー21が国内事業を続けるために

 ファストファッションブランドとは、世界的な流行をデザインに取り入れつつ、低価格におさえた衣料品を大量に生産し、短いサイクルで販売するブランドのことをさす。飯泉・津久井(2018)によると、2009年ごろからブームを巻き起こしたファストファッションブランドがかつての勢いを失っている。この原因として、「メルカリ」による中古市場の活況や「ゾゾタウン」によるインターネット販売の台頭などが挙げられる。さらに、日本経済新聞(2019)によると、米ファストファッション大手の「フォーエバー21」は2019年10月でオンラインストアも含め日本事業から撤退することとなった。しかし一方で、「GU」、「ZARA」などは最近店舗数を伸ばしている。

 では、なぜ国内でファストファッションブランドが低迷している中、「GU」や「ZARA」は店舗数を拡大でき、「フォーエバー21」は撤退する事態となってしまったのか。実際に私は2019年1月下旬、新宿にある「GU」、「ZARA」、「フォーエバー21」の3店舗に直接行ってきた。この時期は主に冬物の商品が多かったが、新作では何点か春物も取り入れられていた。まず「GU」では、トップスやインナーはシンプルなものが多く、アウターやパンツは最近の流行を取り入れたオーバーサイズのものやワイドパンツなどが置かれていた。次に価格帯としては全体的に低く、安いものは399円から1990円程度、高価格なものでも3990円から5990円程度のものが多かった。また顧客層としては20代から40代の女性を中心に20代前後の学生がちらほら見られた。次に「ZARA」では、トップスやインナーはシンプルなものよりも柄物や派手なものが多く見られた。アウターやパンツも普通のコートやダウンよりは、ZARA独自のシックな黒系のものやパリコレなどで見られるような他の人とはかぶらなそうなデザインのものが多かった。次に価格帯は「GU」と比べると高く、低価格なものでも2000円から4000円程度、高価格なもので7000円から15000円程度の商品が置かれていた。また顧客層は男女問わず20代〜50代であった。では、「フォーエバー21」に実際に行ってみると、若者向けな商品が多く、トップスはシンプルなパーカーなどもあれば柄物のシャツなども置かれていた。アウターは、デニムジャケットやMA-1などがあり、中には奇抜な色のブルゾンジャケットなども置かれていた。価格帯は「GU」と同じくらい低く、安いもので990円から2400円程度、高価格なもので3000円から6000円程度で売られていた。顧客層は男女問わず10代から20代が多かった。品質についても比較するために3店舗のロングTシャツを実際に比べてみると、「GU」は綿100%などの普通のロングTシャツだが、「ZARA」はシルク製のものもあり、他ブランドと比べると高品質であった。「フォーエバー21」はポリエステル100%で少し生地は薄かった。

 上記より、この3社では価格帯、顧客層、品質という面で違いがあった。まず価格帯では、「フォーエバー21」と「GU」の2社が同じくらい低価格で商品を提供しているのに対し、「ZARA」は高価格の商品が多かった。次に、顧客層では「GU」と「ZARA」の2社が20代から50代と幅広い顧客層に対し、「フォーエバー21」は若者の顧客が中心であった。最後に、品質面では比較的「GU」「ZARA」が高品質なのに対し、「フォーエバー21」は低品質であった。以上のことより「フォーエバー21」は顧客層や品質といった面で「ZARA」や「GU」より劣っていた。これが撤退の一因であったのではないかと考える。
 
 では、「フォーエバー21」が「ZARA」や「GU」のように人気のあるファストファッションブランドに対抗するにはどうすれば良かったのか。私は3つの取り組みが必要であったと考える。まず1つ目は、商品の品質の向上である。2009年ごろファストファッションが流行し始めた当時は安ければ消費者に買ってもらえたが、最近は安いだけでは消費者には受け入れてもらえない。その理由として、この数年間で多くのファストファッションブランドが台頭したからである。同じようなデザイン性で同じような低価格帯であれば、消費者は品質の差で判断する。実際に「フォーエバー21」にとって競合となったのは、先ほど挙げた「GU」である。「GU」は低価格に加えて価格に見合った品質の商品を提供することで人気を得ることができたと考える。したがって安さだけでない製品の品質という面が重要となってくる。

 2つ目は、顧客層の拡大である。「フォーエバー21」は若者を中心のターゲットとしてきたが、若者だけをターゲットに商品展開を行うのは難しかったと考える。有井(2016)によると、近年若者のファッション離れが起きており、若者がファッションに興味を示さなくなっているという。そうなると、「ZARA」や「GU」のように幅広い顧客層をターゲットとし若者以外の顧客から人気を得ることが必要となってくる。

 そして3つ目は、消費者の流行に敏感に対応することである。先ほども述べたように、ここ数年間で多くのファストファッションブランドが台頭した。そのため同じようなデザインの商品を扱う店舗が多く存在する。実際に3店舗に行ったときも全く同じではないが似ているデザインの商品をそれぞれの店舗で扱っていた。そうなると、いかに早く消費者の流行を捉えた商品展開を行えるかがカギとなる。この商品展開の速さで人気を獲得したのが「ZARA」である。波多野(2017)によると、「ZARA」は2週間というサイクルで新商品を導入し、消費者を飽きさせない商品展開を行っている。この流行を捉える速さが遅いと、他のファストファッションブランドに模倣され、デザインに差がない商品が提供されるのである。これら3つの取り組みを行うことで「フォーエバー21」も「GU」や「ZARA」に対抗できたのではないだろうか。

 しかし、国内で「フォーエバー21」が生き残こるのは、以上の取り組みだけでは難しかったと考える。なぜなら、上記の取り組みを行っただけでは、「GU」、「ZARA」に追いつくことができても、消費者から人気を得られるとは限らないからである。そのため「フォーエバー21」が生き残るためには、さらに差別化を図る必要があった。では、「フォーエバー21」がどのように差別化を図ったら生き残れたのだろうか。「フォーエバー21」の特徴は、主に低価格な商品を提供していること、多様なデザインの商品を扱っていること、店舗面積が広いこと、である。そこで、私は「フォーエバー21」にサブスクリプション型の家具レンタルサービスを利用する、これらの特徴を活かした新たな売り場づくりを提案したい。具体的には、「フォーエバー21」が家具レンタルサービスの企業から月額制で家具や雑貨を揃え、既存のアパレル商品と組み合わせた売り場づくりを行うことである。

 この提案によって「フォーエバー21」が差別化を図れる理由を2点挙げよう。1点目は、家具や雑貨を衣服の周りに取りそろえることで、消費者に「フォーエバー21」の衣服を着ているイメージを持たせることができる点である。現在の「フォーエバー21」の店舗は、衣服をただ並べているだけで、マネキンが着ている衣服もどこのシーンで着る服なのかいまいちイメージのしにくいものが多い。そこで、派手でポップなデザインの衣服には明るいカジュアルな家具・雑貨を揃えた空間を、ドレス系の衣服ならばゴージャスで大人びた家具・雑貨を揃えた空間を提供することで、消費者に衣服を着ているイメージを持たせることができる。Kotler(1974)によると、店舗空間の雰囲気は消費者の知覚的・感情的反応を刺激するので、消費者の購買意思決定において商品そのものよりも大きな影響を持つという。つまり、アパレル商品にあった売り場を作ることで消費者の購買意欲を高めることができると考える。2点目は、「フォーエバー21」の店舗面積を活用できる点である。「フォーエバー21」の店舗数は2019年10月現在で全国に14店舗あった。店舗数は少ないが、他のファストファッションブランドの店舗と比べてそれぞれの面積は大きい。この店舗面積の大きさを活用すれば、上述したような様々なライフシーンでの売り場づくりを提案することができる。
 
 では、なぜサブスクリプション型の家具レンタルサービスを利用する必要があるのか。理由としては2点ある。まず1点目に売り場づくりのための家具・雑貨を取り揃えるコストを抑えられるからである。例えば「subsclife」という家具レンタルサービス企業を利用したとしよう。subsclife(2019)によると、「subsclife」は60ブランドの中から店舗の要望に合わせた家具や雑貨を月額500円から提供してくれる。そのため、「フォーエバー21」が他社から家具・雑貨を仕入れるよりも低コストで売り場づくりを実現することができる。2点目に時期や消費者の流行に合わせて家具や雑貨を変えることができる点である。「フォーエバー21」の商品サイクルは基本4週間で新商品が店頭に並ぶ。このサイクルに合わせて店内の売り場を変えようとすると、家具・雑貨を購入するだけで非常にコストがかかる。しかし、サブスクリプション型で家具・雑貨をレンタルすることによって、安価かつ柔軟に家具・雑貨を変えることができる。そうすれば消費者の流行に敏感に対応することができ、顧客が実店舗に足を運ぶきっかけを作ることができると考える。
 
現在、国内では中古市場の活況やネット販売の台頭により、ファストファッションブランドが低迷している状況にある。特に海外から国内に進出してきた外資系ブランドの「オールドネイビー」や「フォーエバー21」はわずか十数年で日本から撤退している。今後国内でファストファッションブランドが生き残るためには、独自の強みを活かした店舗展開が必要である。「フォーエバー21」も強みを活かして、サブスクリプション型の家具レンタルサービスを利用し、自社のアパレル商品に合った売り場づくりを行うことができれば、日本国内でも生き残れたのではないのだろうか。

【参考文献】
FOREVER21 (2019) 「店舗案内」 2019年7月30日閲覧, https://www.forever21.co.jp/shop
波多野久美 (2017) 「ZARAの最速を実現する仕組み」『商業界ONLINE』 2019年5月16日閲覧, http://shogyokai.jp/articles/-/56
飯泉梓, 津久井悠太 (2018) 「メルカリ人気、格安衣料が失速」『日経ビジネス』1965, 11-5.
Kotler, P. (1974). Atmospherics as a marketing tool. Journal of Retailing. 49(4), 48-64.
日本経済新聞(2019) 「フォーエバー21破綻、日本など40カ国から撤退」『日本経済新聞』 2019年9月30日,夕刊, 3. 2019年10月31日閲覧.
Subsclife (2019) 「subsclifeとは」 2019年10月31日閲覧, https://subsclife.com/about-subsclife-2b/
有井太郎 (2016) 「『若者のおしゃれ離れ』は本当に行っているのか」 『DIAMOND online』 2019年5月8日閲覧, https://diamond.jp/articles/-/99973

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