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ブラックスワンの経営学(2章)

【要約】
たったひとつの事例でも価値がある。価値といっても、典型的な姿を伝える場合や、常識を覆すきっかけとなる場合もあり、様々な価値を持つ。そのような事例研究は、先端事例、代表事例、逸脱事例、原型事例という4つに整理・分解できる。
1つ目の先端事例とは、他社が検討しているアクションを、他社に先駆け起こされた事例である。当初はありえないと思われるが、将来の代表事例になりうる。2つ目の代表事例はある関心ごとについての典型例である。その中でも、中庸的存在を典型とみなす場合と、代表例を典型例とみなす場合がある。この事例では、典型例を見つけるためにカテゴリーを絞る必要がある。3つ目の逸脱事例は、通説に適合していない事例である。これによって、既存の理論の限界を示し、イノベーションの着想を得ることができる。先端事例との違いとして、、現在も将来も逸脱事例であることが挙げられる。4つ目の原型事例は、ある関心ごとを生み出した最初の事例である。この事例によって、その関心ごとの本質の理解が得られる。これら4つの事例の中でも、これまでの通説を覆す、逸脱事例の研究は社会的にも高く評価される。
組織変化というのは経営学会の中でも非常に関心の高いテーマである。アカデミー・オブ・マネジメントでも多くの権威によって研究されていて、その中の通説の1つに、「小さな変化が積み重なるだけでは『抜本的な変化』には至らない」というものがある。この通説の代表格が「断続的均衡モデル」であり、マイケル・ダッシュマンはこのモデルを提唱し、組織変化の権威となった。このように、リーダーシップが組織変化には欠かせない要素として言われているのが通説である。しかし、プルーマンらはある事例を観察したことで、この通説に疑問を持つ。その事例が教会で起きた組織変化である。そこでは、小さな変化が増幅して大きな変化となった。
この逸脱事例において、不安定な脈絡のもとでは、小さな変化は、他の小さな変化を誘発し、変化が増幅することがわかった。そして、このような変化のあり方は、このような変化のあり方はリーダージップの役割の通説に疑問を投げかけることにもなる。それが、従来の
ような変化を生み出し、その引き金を引くのだけがリーダーの役割なのではなく、小さな適応をキャッチし、それをうまく言葉で表現することもリーダーの役割であるということだ。
この事例が逸脱であると言い切れるのは、この調査が慎重なデータ集め、最新の注意を払った分析によって行われているからである。まず、データ集めにおいては、オープンエンドのインタビューを複数人で行い、書き起こしもして、きちんとインタビューノートを取ることが重要である。また、エリートバイアスや振り返りのバイアスを避けるためには、前者は組織に関わる全てのスタッフにインタビューを行う、出来事が起きた時に記録された資料と突き合わせて事実確認を行う必要がある。
次に、分析においては、組織を見るための様々なレンズについて吟味してテーマを決め、そのテーマについて、要因として議論する。議論したのちコード化によって集めた情報を概念化する必要がある。これらの作業を複数人で行い、複数の視点で見ることが事例研究において、重要なのである。

【ディスカッション】
本書において、コード化は1人でやると不安定な結果になるため、2人以上で行うのが良いと述べられていた。しかし、2人以上でやる場合、よく意見を言う人が間違っていたら、その間違っている人に引っ張られてしまい、かえって1人でやるときよりも間違った結果になってしまうと考えた。そこで、ディスカションテーマとして、「コード化は一人でやるのと二人以上でやるのとどちらが良いのだろうか?」というものを挙げた。
だが、前提固めの不足によって、一人一人のイメージする状況ごとに意見が出てしまう、主観的な意見が出てしまうことによって議論がまとまらないとの結論に至り、本ディスカッションテーマは破棄することにした。そこで、新しいディスカッションテーマとして、「ゼミのチーム研究において逸脱事例を研究対象とするのは本当に面白いのか?」について議論した。

逸脱事例を対象にする面白さとして、少し考えてもわからない事例であることや、その事例によって新しいイノベーションが生まれることが意見として挙げられた。また、そのような事例がなぜ今まで起きなかったのか、明らかになっていなかったことを理論的に説明しうることも研究対象にする面白みであるとの意見が出た。
一方、面白くない点としては、事例研究の中でも特に逸脱事例は一般化が難しいこと、一般化が難しいためにインプリケーションが得にくいことが挙げられた。
フロアの全体的な雰囲気として、逸脱事例を研究することは、テキストでも言われているように今までになかった新たな発見を見つけられるので面白いという意見で一致していた。しかし、実際、中野ゼミで逸脱事例を研究していても、研究発表においてゼミ生や先生から、「その研究の面白みは?」と聞かれてしまっている。そこで、次に、「なぜ面白くないと言われてしまうのか?」をフロアに聞いてみた。
意見として出たのは、逸脱の度合いが弱いこと、意味のある逸脱事例を見つけられないこと、知識不足によって今までの理論とどう違うのか説明できないこと、事例自体は逸脱でもRQの設定が面白くないことなどが挙げられた。また、RQの設定に関連して、どのよう観点で見るのか定まっていないことも挙げられた。これらフロアの意見は大きく2種類に分けられる。1つは、今までの理論と異なった面白い逸脱事例を見つけられないこと。もう1つは、逸脱事例を見つけられても、理論的な観点での面白みを説明できないことである。いずれにしても知識不足が主な原因としてあげられた。

この議論をまとめると、チーム研究において逸脱事例を研究することは面白いが、そのせっかくの面白みがゼミのチーム研究においては発揮されていないという結論に至った。その理由として、知識不足による、逸脱事例の発見の困難さ、理論的に逸脱性を説明することの至難さがあげられた。したがって、そのためにはゼミ活動でのアウトプットだけを重視するのではなく、普段の授業をきちんと受けて知識をインプットする必要がある。

【感想】
今回の議論では、自分の持ってきたテーマではなく、フロアが持ってきたテーマについて意見を出してもらった。しかし、本来であれば、自分たちファシリテーターが出したテーマについて議論するべきである。したがって、粗末なテーマを持ってきた自分の甘さについてはよく反省したい。また、新しく出したテーマにおいても進行能力の稚拙さによって、フロアの意見を活発にすることができなかった。これもいい経験にはなったが、改めてファシリテーターの役割とはどのようなものなのかについてインプットすることから始めたい。

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