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ブラックスワンの経営学(まえがき 1章)

【要約】
 本書のタイトルである「ブラックスワン」とは、「ありえない事象のこと」を意味している。学術者の果たすべき役割とは、この「ブラックスワン」を世に広めることなのである。また、ブラックスワンを見つけるのに適している研究方法として本書で挙げられているのは事例研究である。

事例研究とは、大量にデータを集める統計的調査とは異なり、少数の事例に注目し、その事例から得られる示唆を探究する研究方法である。事例研究は、1つ1つの事例における状況を非常に重要視して研究を進めるため、その事例で成り立っても他の事例に一般化できるとは限らない。しかし、統計学的研究にはない素晴らしい力を持っているのだ。本書では、三つの力が挙げられている。

 まず、人間の知性を活発にする力である。それぞれの事例における細かなコンテキスト(脈略や状況)を大切にするのが事例研究である。例えば、何か未知の状況が起こった理由を他の事例から探すとなった場合には、その他の事例におけるコンテキストと、今解明したい未知の状況におけるコンテキストの違いをよく見極める必要があるのだ。このように、コンテキストの細かいところまで解読しようとすることで、人間の思考力は向上するのだ。次に、複雑な現象に対応する力がつくと言われている。複雑な社会現象を読み取って新たな因果関係を解明するという点において、複雑な現象を対処することが出来るようになるのだ。そして3つ目には将来を切り開く力が挙げられている。これはつまり、前例が少なくても有効な仮説を導く力のことだ。少ない事例の中でも、コンテキストをしっかり細かいところまで読み取って仮説を類推することで、現在起こっている未知の現象における仮説を導くことが出来る。

 少し前まで、事例研究は「不十分な研究手法である」と見下されてきた。しかし、上記で挙げた3つの力を得ることが出来るという点や、今まで解明できなかった因果関係を明らかに出来るという点から、決して軽視してはいけない研究手法なのだ。このように、因果関係を明らかにするという点において強みを持っている研究手法であるため、統計的調査などとの併用が進められている。事例研究で因果関係を明らかにし、仮説を立てることが出来たら、その仮説の一般化のために統計調査を行うといった形で、これらの研究手法は補完し合うのだ。

【ディスカッション】
 本書にて、「ある領域では未知のことであっても別の領域では既知かもしれない。そこで、他領域であっても時間的に先を行く過去の事例に答えやヒントを求めることがよくある」と述べられていた。しかし、本当に他領域の事例から学ぶことが出来るのだろうかという疑問を持った。そこで私たちは、「コンテキストは非常に似ているが他領域の事例」と「コンテキストは異なっているが同じ領域の事例」の2つがあった時、どちらから学びを得るかということを議題に、ディスカッションを行った。

 前提としては以下の通りである。私たちはセージフィルムの新規事業推進部である。セージフィルムはフィルムカメラを製造販売する中小企業であり、早急に多角化を行いたいが、自分たちが持っている技術の活かし方、多角化における資本や人員のやりくりの仕方がわかっていない。そこで、過去の多角化における成功事例から学びを得ることにした。研究対象候補は2つある。まず1つ目は、フィルムカメラ事業における大手企業であるコージフィルムである。コージフィルムはフィルムカメラ事業においてシェア1位を誇っており、化粧品業界へ多角化することで成功を収めた。ポイントは、同業種であり技術の活かし方を学ぶことは出来るが、企業規模が異なるため資本、人員のやりくり方法は活かせない可能性がある。そして2つ目の事例は、家庭用ゲーム機業界からドローン事業へ多角化し成功を収めたニンタンドーである。企業規模はセージフィルムと非常に似ており、事業内のシェア、資本金、従業員数は同じである。つまり、人員や資本の活用方法は学べるが使用している技術は異なるため技術の活用法を学ぶことは出来ないのである。このように2つの事例があった時にどちらの事例を研究しセージフィルムの多角化への学びとするかの議論を行った。

 コージフィルムを研究するという意見としては、「技術の活用方法を学ぶことが先である」「技術の活かし方を学べる方が多角化を進めるにおいてのメリットが大きい」などの意見が挙げられた。今回の議論の「早急に多角化を進めなくてはならない」という前提が非常に重要なポイントであると考えている人が多く、早急に多角化を進めるにはまずは技術を学ぶことが先だろうという意見が多かった。一方で、「大手企業の多角化を研究しても中小企業である自分達の実践に落とし込めない」という懸念から、「ニンタンドーを研究する」という意見も挙げられた。ニンタンドーを研究することで学べる知見としてフロアが重要視したのは、多角化における組織構造である。組織構造がもし失敗したら簡単には持ち直せないため、まず多角化を確実に行えるような組織を作るべきだという意見が挙げられた。

 まとめとしては、組織構造に関して学べることが少ないとしても、まずはそもそも技術をどう活かすかを考えるべきであるという意見の方が多く挙げられた。また、前提として私たちが「新規事業推進部」であるということから、私たちが果たす使命としては、まずセージフィルムがこれから自分たちの技術をどう活かすかを決定させることであろう。このように、私たちがこれから何をしていくかを考えた際に、セージフィルムの今後の方向性をまず考えるべきだという意見が多かった。今回の議論では、コンテキストが異なっていても同業種からの方が学びが多いという結果になったが、重要なことはコンテキストをどれだけ正確に読み取れるかということである。よって、コンテキストが違う事例を研究するとしたら、どの部分が異なっているのかなどをしっかり考慮したうえで、研究を進めたい。
 
ほりいけ(3年)


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