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コンビニが生き残っていくためには

 飯泉・浅松(2018)によると、物販のほか様々なサービスを提供するコンビニエンスストアが、一部でそのサービスを中止し始めている。中止されてきている理由は、増え続けるコンビニの店内業務による人手不足、サービスの多様化と運送会社の人手不足による荷物の管理の大変さと置き場がないこと、外国人従業員の業務の不慣れなどが挙げられる。このような原因により、店舗ごとにサービスの種類に差が出てきているコンビニチェーン店もある。ただ、実際これまでコンビニ業界では、チェーン運営の原則のもと、国内約1万7000店が均一のサービスを提供することが当たり前であった。現在もコンビニ本部は、可能な限り全てのサービスを全店舗で提供しようとしている。

 では、なぜコンビニが全店舗で均一のサービスを提供できなくなっているのだろうか。それは、サービスの多様化により、FCオーナーがサービスを取捨選択せざるをえない状況になったからである。コンビニ店舗の種類には直営店とFCがある。直営店はコンビニ本部が直接経営する店舗であるため、本部の決めたサービスを行うことが義務である。一方、FCは契約上独立した商店主であり、各店舗がどんなサービスを提供するか決めて良い。これまではコンビニ業界以外との競争は激しくなかったため、今よりサービスは少なく、FCオーナーがサービスを取捨選択する必要はなかった。そのため、コンビニ本部側の決めたサービスを行えるFC店舗が多かったのである。しかし、ドラッグストアやスーパーの台頭により、さらなる差別化をはかろうとコンビニ本部側がサービスの多様化を進めるようになってきた。

 このサービスの多様化に伴い、店舗ごとにFCオーナーが自分のお店に必要なサービスを取捨選択するようになってきた。全てのサービスを行おうとすると、人手が必要となり、さらに人件費がかかって経営が厳しくなってしまうからだ。日経MJ(2018)によると、各店舗でアルバイトの人手不足と人件費の上昇が問題になっている。さらに日経MJ(2016)によると、アルバイトの担い手である学生に「コスパ思考」が広がっている。できるだけ時給の高い仕事が選ばれるようになって来ているのだ。そのため、コンビニではアルバイトを雇うことが難しい。そこで、アルバイトより人手を確保しやすい派遣社員を雇って人手不足を解消する必要が出てくる。しかしこの派遣社員の単価はアルバイトよりも高い。直営店では、派遣社員を雇う人件費の問題は全額本部が負担してくれるため、直接的に経営の厳しさには繋がらない。一方FC店舗では、余剰資金が少ないので、派遣社員を雇うほどの余裕はない。このことから、FCオーナーは今の人手でできるだけのサービスをし、できない部分についてはサービスを辞めざるをえないのだ。
 
 しかし、私は、コンビニはチェーンごとに全店舗均一のサービスを提供するべきであると考える。その理由は2つある。1つ目は複数店舗がひしめく場所において各コンビニチェーン店が選ばれるためである。自宅や職場の近くで複数店舗ある場合、消費者は自分の利用したいサービスが提供されている店を選択する。複数あるチェーン店の中からその店舗を選んだということは、その消費者がサービスに対して満足しているということでもある。身近にあるコンビニは、利用する頻度が高い。何回も通うことでそのコンビニチェーン店に対して愛着がわき、またプラスのイメージを持つ。もし別の場所で同じチェーン店に行った時、普段使っている店舗では使えたサービスを使うことができなかったら、消費者はそのチェーン店に失望するだろう。今まで感じていたプラスのイメージが崩れると、自分が普段使っていない場所で複数チェーンのお店がある場合、その中からそのチェーンのお店を選ばなくなる。このようなことから、消費者がそのチェーン店に持つプラスのイメージを保つために、各チェーン店は全店舗均一のサービス提供を行わなければならない。
 
 2つ目は近年成長著しいスーパーやドラッグストアとの差別化を図るためである。日経MJ(2018)によると、コンビニの経営悪化の要因として人手不足に続き多かったのが異業種との競合の激化であった。その中で影響の大きい異業種としてドラッグストアが全体の87.5%を占めている。最近のドラッグストアは24時間営業を開始したり、食品を安価で販売したりするなど、各コンビニチェーンにとって脅威の存在になって来ている。しかしドラッグストアは急成長を遂げているとはいえ、サービスの提供に関してATMを利用できる店舗や24時間営業の店舗は限られていたり、置いてある食品に差があったりするなど、消費者自身がそれぞれの店舗でどのようなサービスを受けられるか把握しなければならない状況である。ここで各コンビニチェーンが多様なサービスを全店舗で均一に提供することができれば、消費者は初めて行った土地でも、自分の利用したいサービスを受けることができるという安心感を与えられる。東京で利用できるサービスを地方でも同じように受けることができるという安心感だ。価格ではドラッグストアに負けるが、どんな時でも24時間同じサービスを受けられることが、消費者の「困ったらあのコンビニチェーンに行けば安心!」というコンビニチェーンに対する信頼へと繋がる。初めて行った土地や緊急で必要なものが出たとき、消費者は利用したいサービスがあるかどうかわからないドラッグストアではなく、どの店舗に行っても利用したいサービスを受けられる安心感があるコンビニチェーンの店の方を選ぶのだ。この各コンビニチェーンの均一なサービス提供による安心感が、店舗によってサービス提供に差があるドラッグストアに対しての差別化になる。

 このようなことから、私はFC店舗が抱える人手不足の問題を解消するために、全店舗でレジの業務内容を自動化する必要があると考える。消費者自身が購入する商品をコンビニスタッフの手を借りることなく精算するところまで行えるようにするのだ。中桐・平田(2018)によると、セルフレジは有人レジより少ない従業員でレジを稼働させることができ、レジサービスの時間短縮を図れることがわかった。これまでコンビニスタッフの業務内容としてとても大きな割合を占めていたレジ業務を自動化することで、今までできなかった他のサービス業務に時間を充てることができる。このことにより、FC店舗でも今の人手で全店舗均一なサービスに対応することができるようになるのだ。実際にローソンでは2019年4月からセルフレジの導入が始められるという発表があった(日本経済新聞, 2019)。

 このセルフレジ導入に伴い、顧客にはどのようなメリットがあるのだろうか。今までは同じレジで商品の購入から公共料金の支払い、宅配荷物の受け取りなどを行なっていたため、レジの混雑によって待ち時間が長くなるという消費者のストレスもあった。これがレジを自動化し、その他のサービスにはコンビニスタッフが対応するといったように窓口を分けることで待ち時間が短くなるので、消費者のストレス軽減にも繋がる。流通ニュース(2017)によると、実際にGUがセルフレジを試験的に導入したところ、清算時間を最大で3分の1に短縮でき、混雑時のレジ通過人数が約1割アップし、レジ混雑が緩和されるという結果が出ている。このことからもセルフレジ導入は待ち時間短縮になり、消費者のストレス軽減につながると考えられる。

 しかし、このセルフレジの導入によって懸念されるのが、多額の費用の問題である。現状としてFC店舗では余剰資金が少なく、とてもセルフレジに費用を割ける余裕などない。しかし人手不足が深刻化している今、全店舗均一のサービス提供を行うためには早期のセルフレジ導入が求められる。FC店舗がセルフレジ導入に対して投資できないのであれば、本部がFC店舗に対して設備投資を行い支援していかなくてはならない。なぜなら、各コンビニチェーンの大部分はFC店舗が占めており、そのFC店舗の売上総利益に対して本部はロイヤリティを受け取っているからだ。これはFC店舗の売上アップがそのままコンビニ本部の利益上昇へ直結することを指す。セルフレジを導入することで、FC店舗は今まで以上の人件費をかけることなく、多様なサービス提供を行うことができる。この多様なサービス提供がFC店舗の売上上昇へと繋がる。つまりセルフレジ導入は、コンビニ本部の投資に見合う利益が得られるということだ。このことから、利益を得るためにもコンビニ本部がセルフレジ導入における費用を負担するべきなのである。

 コンビニ業界では、各社の大量出店により各チェーン店の競合が強まり、また、ドラッグストアの台頭による業界外の競争も激化している。その中で各コンビニチェーン店が生き残っていくためには、全店舗均一のサービス提供が必要である。そしてこの全店舗均一のサービス提供を行うためには、セルフレジを導入して、人手不足を解消しなくてはならない。つまり、今後のコンビニの生き残りの鍵となる全店舗均一のサービス提供には、セルフレジの導入が必要不可欠だ。

【参考文献】
飯泉梓・浅松和海(2018)「『便利なコンビニ』に限界」『日経ビジネス』1959, 10-11.
諸富聡・宮住達朗・伊神賢人 (2016)「時給1500円の足かせ、小売り・外食、『人材来ない』、チェーン経営に試練」『日経MJ』2016年2月22日, 1. 2018年11月12日閲覧,
中桐斉之・平田直也 (2018)「セルフレジによるレジサービスへの影響『マルチエージェントモデルによるシミュレーション解析』」『兵庫県立大学環境人間学部研究報告』20, 41-52.
日経MJ (2018)「第39回コンビニエンスストア調査『人手不足一段と、進む外国人採用、ドラッグ店と競合、経営環境「悪化」7割』」『日経MJ』2018年7月25日, 5.
2018年10月17日閲覧,
日本経済新聞 (2019)「ローソン全店セルフレジ、10月までに1万4000店導入」『日本経済新聞』2019年4月1日朝刊, 1. 2019年4月7日閲覧,
流通ニュース (2017)「ジーユー/セルフレジ176店舗に導入、精算時間を3分の1に短縮」2019年2月12日閲覧, https://www.ryutsuu.biz/it/j040621.html

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