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起業の科学 Chapter1-3


【要約】
本章ではスタートアップの肝でもあるアイデアの蓋然性を検証する方法を紹介している。つまり、自分がやろうとしているアイデアが、自分の人生を懸けてまで取り組むに値するかに判断を下すということだ。その判断において、なぜ今やるのかが非常に大切であると述べている。市場は常に変化するため、自分のアイデアが“今”受け入れられるのかを検証する必要がある。ベストなタイミングを見つける方法の1つとして、プロダクトの進化が止まっている領域を探すことが良いという。進化がとまっている原因は規制であるかもしれないし、市場がリーダーによって寡占されている場合など様々であるが、いずれにせよプロダクトの進化が止まっている領域に、その市場を再定義できるようなアイデアを投入することが有効な方法であると述べている。
 
この例のように市場の流れを読むことで自らのアイデアの蓋然性を検証することができる。このように市場の流れを読む際には、ミクロな視点ではなくまずマクロな視点で全体像を見る必要がある。そのために本書ではPEST分析が紹介されている。PEST分析とは4つの項目の頭文字をとっていて、それぞれP=politics(政治)、E=Economy(経済)、S=society(社会)、T=Technology(技術)である。政治について、法律や政治、規制の動きによってチャンスが到来することがある。例えば、一般住宅での旅行者宿泊を認める法案が2018年に施行される見通しだが、これは民泊事業関連のスタートアップには追い風である。経済について、アメリカの富裕層と貧困層の平均所得の格差拡大が進む中、貧困層を対象にした教育サービスなど、経済的な変化にもチャンスは隠れている。社会について、最近の健康志向などがまさにそれだろう。人々の嗜好の変化に合わせたアイデアが受け入れられるのだ。技術について、インターネットやスマートフォンがそうであったように、この先のテクノロジーの変化にもスタートアップのチャンスがある。技術の流れを把握したい場合は、『<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則』をぜひ参照して頂きたい。このようにPEST分析によってアイデアの蓋然性を検証することができる。
 
次にスタートアップのアイデアを検証する際、大企業と競争にならない事を確認しておきたい。大企業の戦う市場は競争が激しく、毎年、各社前年度の自社製品や他社製品を超えるべく活動している。そのため、大企業は持続的なイノベーションを行っているといえる。しかし、リソースで劣るスタートアップが持続的なイノベーションの中で戦うことは自殺行為である。スタートアップは、持続的イノベーションを壊す破壊的なイノベーションを起こさなくてはならない。破壊的なイノベーションに繋がる市場は、小さい場合やまだ誰も気づいていない可能性が高いが市場の成長性は高く、これをスタートアップが「組織の中心」に据えた組織デザインができれば、対企業に勝つための数少ない強みになる。
 
以上のようにアイデアの蓋然性を検証するには、まずアイデアが市場の流れを読んだ結果のものであるか。そして、大企業の持続的イノベーションを壊す破壊的イノベーションになりうるかを検討する必要があることを学んだ。


【ディスカッション】
なぜ、イノベーションのジレンマの概念を知っていても大企業は過剰機能を付け続けるのかというテーマで議論を行った。要約で大企業は持続的イノベーションを行っていると述べたが、時にそのイノベーションが顧客の求めるニーズを超え、行き過ぎたものになる場合がある。大企業自身もそのことにはうすうす気がついているが持続的イノベーションから抜けることができないといい、これをイノベーションのジレンマと呼ぶ。では、なぜ大企業は持続的イノベーションから抜け出すことができないのか、という問題意識のもと上記のテーマで議論をするにいたった。

 まず、挙がった意見として競争優位のためという意見があった。大企業の戦う市場は市場規模も大きく市場の成長性も高いため、新しいものを出していかないと他社にシェアを奪われてしまう。そのため、前年より新しい機能やスペックで製品を開発し、それが結果として持続的イノベーションから抜け出せない要因ではないかということだ。他の意見として、持続的イノベーションを続ける中で破壊的イノベーションが生まれることを期待して、持続的イノベーションを続けているのではないかという意見があった。持続的にイノベーションを続けることで、実はその市場を再定義するような破壊的なイノベーションを引き起こすことを期待しているという。また、持続的イノベーションを行う市場は、企業にとって金のなる木であるために、他の事業に資金を回すためにも持続的イノベーションから抜け出すことができないのではないかという意見であった。また、技術者は自分たちが前年に開発した製品より低いスペックのものを市場に出すことに抵抗があるのではないかという意見もあった。これは、単純に自分たちが前年に開発できたものより低いスペックのものを開発することに抵抗があるのではないかという考えや、大企業ゆえに組織が縦割りに分断されていて、各部門ごとで利益を上げなくてはならない中、前年よりスペックの落ちたものを市場に投入して利益が落ちてしまった、なんてことはできるわけがないという意見もあった。これらの理由から、持続的にイノベーションを行うことに目線が向いてしまいニーズを反映できていないや、うすうす持続的イノベーションの限界に気がつきながらも続けてしまうのではないかという意見が挙げられた。

 議論はおおよそ以上の3つの意見に大別できた。これらをまとめると、大企業はその大きな組織をまとめるために、組織を分断する必要がある。その分断によって、大企業に所属する人々は組織全体ではなく自分の所属する小組織の目線から、利益、ステークホルダー、外部環境を考えるという状況に陥ってしまい、結果的には持続的にイノベーションを続けるという意思決定をとるという結論が導き出せたと考える。この結論はリアルだと感じていて、例えば自分が部を任される管理者であった場合、部が成績を落とすことに抵抗を感じるだろう。したがって、前年の自分たち、競合他社よりもいいもの、いい営業、いい企画など様々な面で持続的な改善を行ってしまうのではないか。このように考えるのもすべて、自分が“部”という縦割りされた組織を任されているからだ。正直、自分が末端の若手営業マンであれば、新しいことに挑戦し仕事に対して自分の色身を出したいと考えるが、大企業という組織の構造上、その縦割り組織のうちの1つを任されれば話は違う。本書で言われている通り、大企業が90点を取るための選択をするのと同様に、大企業の小組織である部においても90点を取る選択をすると思う。これが、大企業がイノベーションのジレンマの概念を知っていても過剰機能を付け続けてまう原因であると私たちは考えた。


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