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JR東日本の鉄道自動運転化に向けて

 現在、JR東日本は国鉄時代に入社した社員の大量退職が始まっている。そのためここ数年のペースで採用しても、5年後には社員が5,000人ほど減少する見通しだ。また、若手の乗務員が技術を身につけるには時間がかかるので、技術の伝承に不安が残るとされている。このような背景もあり、JR東日本は鉄道に自動運転を導入する方針を固めた。大西(2017)によると、自動運転の導入により、現在JR東日本が直面している乗務員減少を補うことができ、また混雑に合わせた柔軟な運行ができると考えている。

 自動運転は、すでに高架鉄道や地下鉄のように外部からの障害物が入りにくい路線で、ホームドアの完備などを条件に導入されている。例えば、ゆりかもめでは列車に乗務員がいない自動運転を導入している。しかし、自動運転であるからといって全く人が関わっていないというわけではない。ホームを映し出したモニターを中央指令所でチェックすることにより、安全に運転ができている。

 では、障害物が入る可能性が高い一般的な鉄道の路線では、自動運転を導入すべきであろうか。

 私は、現状では鉄道の自動運転をすべきでないと考える。なぜなら、鉄道会社は第一に乗客の安全を考えなくてはならないが、自動運転には安全面で課題があるからだ。1年あたりの鉄道運転事故・運送障害の件数は、ゆりかもめがそれぞれ0件/km・0.408件/km(ゆりかもめ, 2017)であったのに対し、JR東日本は0.02件/km・0.19件/km(JR東日本, 2017)であった。ゆりかもめでは、障害物が少なく、ぶつかる要素もないうえに比較的低速で走行していてブレーキがかかりやすい。このような新交通システムでさえも、自動運転を導入していない鉄道より運送障害が多い。JR東日本のような一般的な鉄道では、ホーム・踏切・線路など障害物が入ってくる可能性が高く、ブレーキから停車までは最長で600mかかる。ゆえに、JR東日本が自動運転を導入した際には、運送障害がさらに増加するのではないだろうか。

 そこで、JR東日本の運送障害の内訳を見てみると、約半数を占めるのは部外要因である。部外要因とは線路内立ち入りや自殺などのJR東日本に起因しないものだ。これらの部外要因は、事前に予測できず突発的であるという特徴がある。雨や風のような気象は一定程度予測できるため、自動運転でもモニターの監視により対応できる。しかし、突発的な要因に対してはモニターでの監視で対応できず、自動運転化では安全に運転ができない。

 このような自動運転に安全の課題がある一方で、乗務員の減少は避けられない。総務省(2014)によると、15〜64歳の生産年齢人口は2013年12月時点では7,883万人まで減少しており、今後の予測では2060年に4,418万人まで大幅に減少すると見込まれている。このような人口の減少により、人件費も高くなるだろう。乗務員減少を補うためには自動運転化が欠かせない。

 自動運転化の課題である部外要因の対策は、人や物が入らないようにする点と入ってしまった障害物を感知する点の二点だ。前者の対策としては、すでにホーム上にホームドアを設置し始めている。また、踏切に関しては、立体交差化を進めることによってその廃止に努めている。しかし、線路への侵入を完全になくすことは現状では不可能だ。そのため、線路内に侵入した障害物に対しての感知が必要となるだろう。

 現在、JR東日本はAIカメラを取り付けることによって自動運転化を進めようとしているが、暗い場面や見通しの悪い場所では障害物を十分に感知できない可能性がある。そこで、私はAIカメラを導入する動きに加えて、遠距離の障害物を感知するレーダーを取り付けることによって、安全な運転ができると考える。日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)によると、同社は前方遠距離センサーとして前方ロングミリ波レーダーを開発した。このレーダーは、車両から200m離れた障害物の感知が可能である。たしかに、鉄道の停止距離は最長600mなので必ず停止できるとはいえない。しかし、このレーダーを用いることによって、現在の運転手がいる状況と同じ安全水準で運行する分には十分であると考える。なぜなら障害物が多い場面で列車が停止できるからだ。AIカメラと遠距離の障害物を感知するレーダーに加えて、踏切ではすでに障害物感知装置が設置され始めているため、踏切に関してはその装置によって対処できる。さらに、落し物や人の転落が多いホームでは、電車が速度を十分に落としていることから、200m前で感知をしても多くの場合で停車は難しくない。障害物が比較的多いとされる踏切とホームで安全に停車することができるので、現状の安全水準を満たした運転が可能になるのではないだろうか。

 将来、技術が進歩することによって精度の高いAIカメラが開発されたり、広範囲を感知できる障害物感知装置が設置されたりするかもしれない。しかし、既存の技術で自動運転化を進めるためには、AIカメラだけでは障害物を確実に感知することが難しい。そこで、200m先の障害物を感知することができる遠距離感知レーダーをともに用いることが必要である。AIカメラと遠距離感知レーダーがJR東日本の自動運転化を可能にするのだ。

<参考文献>
日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)「HITACHI HP」2018年1月15日閲覧, http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/10/1003.html
JR東日本(2015)「会社概要」2017年11月13日閲覧, http://www.jreast.co.jp/company/outline/
JR東日本(2017)「CSR報告書2017」2017年10月10日 閲覧, https://www.jreast.co.jp/eco/report/2017.html
大西孝弘 (2017)「交通プラットフォーマーへの野望 鉄道の自動運転 JR東日本が始動」『日経ビジネス』1908,10-14.
総務省(2014)「我が国の労働力人口における課題」2017年11月13日閲覧, http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html
ゆりかもめ(2017)「安全報告書2017」http://www.yurikamome.co.jp/wp-content/uploads/2017/09/d2bac930f163e70e3178e67736cd2dcc.pdf
ゆりかもめ(2017)「会社概要」2017年11月13日閲覧, https://www.yurikamome.co.jp/aboutus/overview-2/

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