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WASHハウスの利用者獲得のためには 〜顧客目線での差別化戦略〜

 宇賀神(2017)によると、宮崎発の「WASHハウス」というコインランドリーが、「暗い、狭い」といったイメージを変えつつある。運営面の特徴としては、3点ある。1点目は、フランチャイズチェーン(FC)方式で展開していること。2点目は、店舗運営はWASHハウス本部が担い、FCオーナーは直接関与しないこと。3点目は、本社にあるコールセンターで全店舗を遠隔管理によって一括管理していることである。2004年から九州を中心に店舗網を広げ、現在は、大阪、東京にも出店している。
 
 現在WASHハウスだけでなく、コインランドリーの店舗数自体も増加しつつある。なぜなら、女性の社会進出によって働く女性が増え、昔よりも忙しく時間に余裕がなくなったので、コインランドリーのニーズが高まってきたからである。そのため、特に主婦の利用者が増えた。しかし、家庭用洗濯機の普及率は単身世帯で95.2%、二人以上の世帯では98.8%である(総務省統計局2015)。このような普及率の高さにもかかわらずコインランドリーが使われる理由は、家庭用洗濯機よりも洗濯、乾燥を短時間で行え、布団やカーペットなどの大物も洗うことができるからである。特に雨の日には洗濯物を外に干せず乾かしにくいが、コインランドリーでは乾燥機で洗濯物を素早く乾かすことができるので、利用者が増えている。そのため、10年前よりもコインランドリーの店舗数は約400店増え、現在は16693店である(厚生労働省2013)。
 
 また、同じクリーニング業としてはクリーニング店があり、布団やカーペットなどの大物も洗濯できる。しかし、コインランドリーの店舗数は増加しているのに対し、クリーニング店の店舗数は年々減少している(厚生労働省2012)。減少している理由は3点あると考える。1点目は、前述したように家庭用洗濯機とコインランドリーが増加しているからである。2点目は、コインランドリーの方がクリーニング店よりも値段が一般的に安いからである。例としてクリーニング業界第一位である白洋舎とWASHハウスで布団の料金を比較していきたい。白洋舎の布団の料金は物によって異なるが、4000〜9000円ほどかかる(白洋舎2012)。それに対してWASHハウスの料金は、布団の洗濯に該当する12キロと22キロがあり、12キロは400〜600円、22キロは700〜1000円である(WASHハウス2017)。したがってコインランドリーの方がかなり安く仕上げられるのではないか。3点目は、コインランドリーの方が早く仕上げられると考えるからである。料金と同じように白洋舎とWASHハウスを例に比較していきたい。白洋舎はサービスによってはドライ・ワイシャツなど一定の時間までに預ければ、その日のうちに仕上げられるものもある(白洋舎2012)。店によって時間は異なるが、午前中に預けて夕方に受け取れたりする。一方で、WASHハウスは洗濯30〜40分、乾燥は目安30分である(WASHハウス2017)。このようにクリーニング店でもサービスによっては当日に仕上げられるが、コインランドリーはWASHハウスのように1時間ほどで仕上げられるので、コインランドリーの方が早く仕上げられるのではないだろうか。以上3点の理由からクリーニング店は減少していると考える。
 
 このようにコインランドリーのニーズは特に主婦に対して高まり、最近では待ち時間を有効活用できたり、様々な差別化をしている店舗も現れ、「暗い・狭い」という昔のイメージを変えつつある。そのような変化の中でWASHハウスは、運営面では差別化できているかもしれないが、現状では顧客目線での差別化はあまりできていないのではないかと私は考える。宇賀神(2017)によると、利用者にとってWASHハウスを選ぶ決定打に欠けている面もある。なぜなら、最近ではチェーン展開する競合も現れ、また洗濯・乾燥機自体は技術的に成熟しているため、どのコインランドリーも違いはないからだ。つまり、機器の性能に差があまりないので、利用してもらうためには他で差別化をする必要がある。したがって、私はWASHハウスの顧客目線での差別化が必要だと考える。
 
 では、どのようにすれば顧客目線での差別化が可能であろうか。私は、既存の店舗に加えて店舗を個室化し、そこにAIカメラを導入することを提案したい。個室化する理由は、人目を気にせずにプライバシーを保つことができるからである。実際に私はWASHハウス新宿7丁目店に行き1時間滞在していたところ、利用者10人のうち9割が女性であった。女性の場合、下着を見られたくない人や、あまり人に会いたくない人もいるだろう。そこで個室にすることで、そのような見られたくないものや他人を気にすることなく利用できるようになる。次になぜAIカメラを導入するかというと、不審・異常な動きや音から危険を検知し、知らせることができるので、より事前にトラブルを防止できるようになるからである。WASHハウスには既に店内にライブカメラが設置されている。実際に行ってみると、カメラの映像を写したモニターが洗濯・乾燥機の間に設置されていた。盗難を防ぐことや機器のトラブルが起きた時に、カメラを通じて利用者と話し遠隔操作で解決することができる。店内がどのように写っているのか分かるので、他社よりも安心・安全を意識していると言えるだろう。しかし、店内は無人なので盗難などその場で対応できない問題もある。そこでAIカメラを導入すれば、このような問題が起きる可能性を事前に検知できる。このように個室化とAIカメラを導入することによって、顧客は今までよりも安心・安全に利用できるようになり、プライバシーの保護にも繋がる。このような取り組みが顧客目線での差別化に繋がるのではないか。

 現在、女性の社会進出などからコインランドリーのニーズは高まりをみせ、店舗数も増加し、競合他社も現れつつある。しかし、どのコインランドリーも機器の性能に差がないことから、設備面で利用してもらうための決定打に欠けているのだ。その中でもWASHハウスは、カメラを導入することで、問題があった時には迅速に対応し解決しているなど他社よりも安心・安全を意識している。他社と機器以外で差をつけるためにも、今までの取り組みに加えて、個室化とAIカメラを導入しプライバシーを保護することで、女性客を中心とした顧客がより気軽に利用できる環境を作ることができるだろう。WASHハウスが運営面だけでなく、他社との差別化を図るためには、以上のような顧客目線での新たな取り組みを行うことが必要である。

【参考文献】
白洋舎 (2012)「料金試算・料金表」2017年8月1日閲覧.
http://www.hakuyosha.co.jp/cleaning/price/table02/#price03 
白洋舎 (2012)「サービス」2017年8月1日閲覧. 
http://www.hakuyosha.co.jp/cleaning/clothes/ 
厚生労働省 (2012)「クリーニング業の実態と経営改善の方策」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei22/dl/h22/cleaning_housaku.pdf 
厚生労働省 (2013)「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/pdf/coin-operated_laundry.pdf 
厚生労働省 (2015)「平成27年度衛生行政報告例の概況」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka3.pdf 
総務省統計局 (2015)「平成26年全国消費実態調査主要耐久消費財に関する結果」2017年7月25日閲覧.
http://www.stat.go.jp/data/zensho/2014/pdf/gaiyo.pdf
宇賀神宰司 (2017)「WASHハウスコインランドリーチェーンの運営 遠隔管理で400店舗を展開」『日経ビジネス』1891, 60-61.2017年8月23日閲覧.
WASHハウス (2017)「サービスサイトWASHハウスの安心・安全」2017年8月6日閲覧.
https://www.wash-house.jp/services/

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