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空き家ゼロの未来に

 林(2016)によると、2033年には、日本の住居人のいない空き家が総住宅数の30%を占めるようになると予測されている。国土交通省(2013)によると、ここ20年で空き家は倍増している。空き家にも、売却用の住宅、賃貸用の住宅、二次的住宅、その他の住宅の4つの分類がある。この中でも、賃貸または売却の予定がなく、別荘等でもない「その他の住宅」が増加している。その他の住宅は、使い道がないので、管理が不十分になってしまう。このように空き家の管理が不十分となると、倒壊、屋根・外壁の落下、火災発生のおそれなどの防災性の低下、犯罪の誘発などの防犯性の低下、ゴミの不法投棄、衛生の悪化、風景、景観の悪化などの外部不経済が生まれる。
 
 これに対して国も対策をしていないわけではない。その目玉の一つが、空き家の物件情報を提供する「空き家バンク一元化」である。空き家バンクとは、空き家の賃借・売却を希望する人から申し込みを受けた情報を、空き家の賃貸や購入を希望する人に紹介する制度である。これまで、この空き家バンクは自治体ごとに運営されてきたが、新たに民間の不動産情報提供会社と提携することで、ネット上で一か所に空き家情報を集約することになった。これにより住宅購入希望者とのマッチングを強化する狙いがある。
 
 しかし、空き家バンク一元化だけでは不十分だと私は考える。なぜなら、空き家というのは中古住宅になるのだが、そもそも中古住宅の購入を考えていない人が多いからである。実際、平成23年から24年にかけての中古住宅の成約件数が約1万件(公益財団法人東日本不動産流通機構 2016)なのに対して、同年の新築住宅着工数が約84万件(国土交通省 2011)。すなわち、日本では中古住宅市場というのは活性化していないと言える。したがって、空き家バンク一元化をしても空き家問題は解決されないのだ。さらに、2013年の総住宅数は6063万戸、既に総世帯数の5245万戸(総務省統計局 2013)を大幅に上回っている。加えて、年90万戸の住宅が新たに造られ続けている。このような供給過剰問題を解消しない限り、空き家問題を解決に導くことは出来ないのだ。
 
 では、この空き家問題をどのように解決していけばいいのだろうか。私は空き家になれば、その家屋は解体するべきだと考える。その理由は、中古住宅市場が活性化していないからである。住宅を売ろうと思っても中古住宅の購入を考えている人は少なく、売却が難しい。そのため、空き家が増えてしまう。
 
 しかも、空き家の解体は高額だ。通常は解体代を自分で支払うが、払えない人がいる。このような時に行う行政代執行では、法律上は行政が所有者に解体費用を請求できるが、多くの対象者は支払い能力を持たないので、現実的には支払われることがない。このように、今の日本の制度では解体費用が回収出来ない場合、個人の所有物を解体するために税金が使われている。つまり、自分で解体をする人が損をしている状況にある。これでは不公平感があるので、解体が進んでいないのではないか。
 
 そこで私は、すべての人から解体費用を回収するために、住宅を建てた時とその後毎年、地方税として解体費用を所有者から回収するという方法を提案したい。その仕組みとしては、まず住宅を新築する際、その住宅の建築確認時に解体費用の一部を徴収する。また、残りの解体費用として毎年一定額を徴収する。もちろん、家の造りによって解体費用は異なるので、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート、長期優良住宅など、その造りに合わせた税率でお金を徴収することになる。そして、徴収した税金は地方自治体が管理し、空き家となった際には解体代金として用いることになるのだ。徴収した税金で解体費用がまかなえない場合、不足額については、他の空き家の解体の際に余ったお金で補う形にするのである。これによって新築の建物は個人費用を用いることなく解体できる。
 
 また、税金の徴収方法としては、賦課方式で行いたいと考える。なぜなら、賦課方式は納める税金が経済状況に応じたものなので、解体費用が高額になったとしても対応することが出来る。反対に積立方式は、将来の解体のために現時点で一定の額を積み立てておいても、急激なインフレや給与水準の上昇があると、その額の価値が減少してしまう可能性がある。(厚生労働省 2014)この税金は空き家を全て解体するということ目的としているため、価値が減少し空き家を解体することが出来ないというような積立方式のリスクを無視することは出来ない。そのため、賦課方式で徴収する方が望ましいと考える。

 では、既存の6063万戸の解体はどうすればよいのだろうか。私は、これらについても税金を徴収してまかなうべきだと考える。その理由としては、既に建てられている住宅なので、これから建てられる新築よりも早く空き家になる可能性が高い。そのため、先に既存の住宅を解体できるだけの費用は回収しなければならないからである。既にある住宅に対しては、建築年数の記録は地方自治体に残っているので、建築年数に応じた税率で金額を法律制定以降回収すれば、その住宅の解体費用も回収することが出来る。また、賦課方式で税金を徴収するため、あと数年で解体するような家屋でも不足額は賄うことが出来る。そして、今空き家となっているところをこの税金の回収のタイミングで一掃することが出来る。

 今後さらに問題となっていくであろう空き家問題。国が対策として行っている空き家バンクの一元化だけでは、問題を解決するには限界がある。解体費用をあらかじめ徴収しておけば、その住宅がもし空き家となったとしても解体できる。このように、空き家となったら徴収した税金で解体する、この提案が空き家問題の根本解決につながるのではないかと私は考える。
 
 〔参考文献〕
林英樹 (2016)「空転する国交省の空き家対策」『日経ビジネス』1846, 10-11.
公益財団法人東日本不動産流通機構 (2016)「首都圏不動産流通市場の動向」
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_201504-201603.pdf 2016年12月5日閲覧
厚生労働省 (2014) 「公的年金の財政」
http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/index.html 2016年1月7日閲覧
国土交通省 (2011)「建築着工統計調査報告」
http://www.mlit.go.jp/common/001129725.pdf 2016年12月5日閲覧
国土交通省 (2013)「空き家問題の現状と取組みについて」9-10
file:///C:/Users/PCUser/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/JW5AK71F/1akiyamondai.pdf 2017年2月1日閲覧
総務省統計局 (2013)「住宅・土地統計調査」
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/pdf/nihon01-1.pdf 2016年12月5日閲覧

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