<< ターゲット別コマーシャル戦略 | main | 12月9日『経営戦略の思考法』 第10章「顧客ダイナミクス」 >>

第9章 戦略的思考法の具体例〜思考法を身につけるための見本例の紹介〜

本章の目的は、今まで説明してきたメカニズム解明法を実際に使用している具体例を示し、戦略的思考法がどのようなものであるか、鍛える方法を解説する本の紹介と読み方そのものを紹介することである。戦略と聞くと、多くの人はビジョンの事だと思うかもしれないが、ビジョンを描くためには現実的なシナリオが必要だ。2つとも重要なのは確かだが、戦略的思考法を身につけるためには、何に集中すべきかを選択しなくてはならない。そのため、まずシナリオを描けるようになる事が重要になる。そしてこのシナリオを描く作業というのが、メカニズムを解明していく作業と同じになるのである。
本章では3冊の本を紹介する。1つ目は伊丹敬之の『経営戦略の論理』だ。この本の中では、複雑な戦略を考える基本経路を空間→時間→相互作用の3ステップとしている。このステップは、ダイナミックな時間展開の中で環境や競合他社などがどう変化していくかを考慮したものであるため、戦略的思考を養うのに役立つだろう。2つ目は、小倉昌男の『小倉昌男 経営学』である。この本は、クロネコヤマトの宅急便を創始した経営者が経営の考え方をまとめたものである。ヤマト運輸がデパートの配送業務から宅急便ビジネスをはじめるにあたって、デパートの配送業務=儲からないビジネスという考えが役員に広まっている中、なぜ儲からないのかというメカニズムを解明していく思考過程が書かれている。優れた経営者の考え方の中にもメカニズム解明法を読み取る事が出来るのだ。3つ目は葛西敬之の『未完の「国鉄改革」-巨大組織の崩壊と再生』である。この本は、現JR東海会長の葛西氏が国鉄改革当時の話を書いたものである。重要な決定を下さなくてはならない場合には常にメカニズムを解明していくことが重要であるが、その際には数字を繋ぎ合わせるだけでなく、生きた人間の変化や相互作用を盛り込むことが重要になる。葛西氏の本の中には、そういった人間臭さの部分が盛り込まれたメカニズム解明の思考が見て取れる。
今回紹介した3冊は、メカニズム思考法を身につける上で大変参考になる本である。もちろん普通に読み進めても大変興味深い名著であるが、書き手と同じように世の中を見るように深読みする必要があるだろう。

本章のディスカッションでは、100均業界のSeriaを事例に、シナリオを描き戦略を立てるという事を行った。今回シナリオ作成にあたり、こびとを何人か作成し、そのこびと同士の関係性を考えた上で時間とともにこびとと100均業界がどう変化していくかを考え、それを元に戦略を立てるという手順で行った。今回のディスカッションでは、こびとを―子大生 一人暮らし 2.30代主婦 ブロガーである主婦 と設定した。それぞれの関係性は、女子大生と2.30代の主婦がブロガーである主婦のブログから影響を受けるという関係である。その後、時間展開とともに―子大生は日用品を買うようなる、2.30代主婦は子供が小学生になり、お弁当を作るようになるためお弁当関連の物を買うようになる、ブロガーである主婦も同じようにお弁当関連の物を買うようになる、と変化するとした。また、100均業界に関しては、各社海外展開が進む、高品質化、化粧品が減り日用品や雑貨の取り扱いが増える、高価格化、PBの拡大、と変化するとした。以上を踏まえ、戦略としては1.雑貨や化粧品などそれぞれの専門店をつくる 2.海外から雑貨を輸入する 3.ブロガーとコラボしたPBを作る 4.100均の商品を使ったキャラ弁講座を開く といった4つの戦略を取るべきであるという結果になった。今回の議論では、こびとが漠然としたものになってしまったことや、時間展開を10年という短い期間で考えてしまった。実際戦略を立てる上では、多くのデータを元にリアルなこびとを作り出し、10年ではなく、より長い期間で時間展開を考えていく必要があるだろう。

さとう(4年)

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