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認証保育園のすすめ

 「保育園落ちた日本死ね!!!」。最近、このようなタイトルで始まる、子供を保育園に入れられなかった女性が書いたブログが話題となり、待機児童問題が注目されるようになった。厚生労働省(2015)によると、2015年4月現在、認可保育園に入れていない待機児童が2万3167人おり、さらに潜在的待機児童という保育園に入れないだろうと最初から諦めている児童数を含めると170万人もいるとされている。

 日本の保育園には、認可保育園と認可外保育園が存在する。認可保育園とは、国によって定められた施設の広さや職員数などの設置基準を満たした保育園のことである。対して認可外保育園とは、設置基準を満たしていない保育園のことである。認可外保育園に入園させることは認可保育園よりも容易であるが、多くは民間で運営されているため金銭面や安全面では不安が残る。そのため保護者は子供を認可保育園に入れたがることにより、待機児童問題が起きているのである。

 これまで、待機児童問題の対策が全くされてこなかったわけではない。水野・広岡(2016)によると、2015年4月時点の認可保育園(幼保連携型認定こども園含む)の数は、前年同月比4.3%増の2万5464カ所で、利用児童数も2.8%増の6万3845人と、どちらも増加していることがわかる。しかし、このような新たな保育園の開設は、結婚や出産を理由に一度仕事を辞した若い女性の就労意欲を向上させる。その結果、保育園への申し込みが増加し、再び待機児童が増加するという循環に陥っているのである。

 しかし、人口が集中し広い土地の確保が困難な首都圏等においては、認可保育園の開設は容易ではない。それでは、首都圏等ではどのようにして保育園を増やせばよいのだろうか。私は、東京都が独自に定めた設置基準である認証保育園を増加させるべきであると考える。

 東京都福祉保健局(2016)によると、東京都の待機児童数は8466人と全国の中で最も多い。東京都に待機児童数が多い原因は、人口の一極集中によるものである。しかし、東京都区部では国の設置基準を満たせる大きさの保育園が設置できるような土地を確保することは困難である。したがって、独自に新たな設置基準を設けたのである。例えば認可保育園では0歳児・1歳児一人につき3.3屬量明僂必要であるが、認証保育園では2.5屬泙粘墨造靴討い襦このように認可保育園ほど厳しくはないが、安全面を十分に考慮した設置基準を満たしている保育園が認証保育園である。満員のため認可保育園に入れない児童を認証保育園が受け入れれば、待機児童問題は緩和するだろう。

 しかし、認証保育園にも問題点は存在する。その問題点とは、保育料が高額だということである。認証保育園の保育料は保育園側が自由に設定できるため、園によっては家賃以上の保育料がかかるなど高額になりがちである。したがって、保護者は認証保育園を敬遠してしまう。しかし、認証保育園には認可保育園にはないメリットが主に二つある。一つ目は13時間以上の開所が義務付けられているということ、二つ目は事務的ではない自由な保育が行われていることである。一つ目の開所時間は、認可保育園では保護者の就労時間によって利用可能時間が11時間または8時間と定められているが、認証保育園では保護者の就労時間にかかわらず13時間以上の開所が定められている。このような開所時間の差は、働く保護者にとっては大きな差となる。例えば急に長時間預ける必要が出た時には、認可保育園よりも融通が利きやすい。また二つ目の事務的ではない保育に関しては、認可保育園は公営で行われているのに対して、認証保育園は民営なので、自由な保育を行うことができるのである。例えば、パン作りや絵を描くことなどの保育を行うことで、子供に様々なものを触れさせ、豊かな感性を育むことができる。このようなメリットが保護者に伝わると、保育料が安くなりさえすれば入園させたいと考える人も出てくるであろう。

 では保育料の問題をどのように解消していくべきか。私は、認可保育園の保育料に充てられている補助金の一部を、認証保育園に給付するということを提案する。現在、認可保育園に対しては国や都道府県などの自治体から保育料として補助金が給付されている。一方で、認証保育園や認可外保育園に対しては一部自治体から多少の補助金が給付されてはいるものの、それだけでは運営費を全て賄うことは不可能である。そのため、認証保育園や認可外保育園の保育料は自然と高額になってしまうのである。認証保育園の場合は、土地の広さという点では認可保育園に劣るが、広さ以外の点では認可保育園にも劣らないため、国や自治体からの補助金を認可保育園同様受け取るべきであると考える。

 しかし、国や自治体の予算にも限界がある。そこで、世帯年収によって補助金の額に差をつけることを提案する。現在、国の定めにより世帯年収に応じて保育料の徴収額は異なる。しかし、東京都などの一部自治体は独自に補助金を給付し、保育料の上限を抑えているというのが実態だ。例えば、世帯年収が1130万円以上の高所得世帯からは月額10万円程度徴収することが国により定められているが、自治体からの補助金があるため、実際は月額4〜5万円程度に抑えられている。この認可保育園に通う高所得世帯への補助金を六割程度減額し、その分を認証保育園に通う低所得者層に給付するべきである。こうすることで、認可保育園と認証保育園の実質的な金銭負担の差が少なくなるため、認証保育園に通わせやすくなるだろう。

 今までは認可保育園の保育料だけが異様に安かったため入園の希望が殺到していたが、この提案によって保育料に縛られずに多くの保育園から希望を選べるようになるため、認可保育園のみに希望が偏ることもなくなる。したがって、認証保育園に入園させたいと考える保護者も出るため、うまく双方に分散されるのではないか。

 東京都などの人口過密地域を中心に待機児童問題が起こっている昨今の日本において、東京都では認可保育園の数を増やすにも土地が不足しているため限度がある。しかし、上記の提案によって認可保育園と認証保育園の金銭的負担を実質的に縮めることによって、入園させたい子供の認可保育園への集中を緩和できるようになるのではないか。補助金負担の軽減による認証保育園と認可保育園の両立こそ、待機児童問題の緩和に一役買うと私は考える。


[参考文献]
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水野孝彦, 広岡延隆 (2016)「待機児童問題への提言」『日経ビジネス』 1842, 44-47.



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