ブラックスワンの経営学(5章)

【要約】
エクセレントカンパニーが「優良企業に条件」八つの条件を導き出した。しかし、これは「必要条件」に過ぎなかった。必要条件と十分条件を確かめるためには学の手順を踏む必要がある。これらを導出する手法は主に二つである。まずは、一致法である。これは同じ結果を示す複数の事例を比較して、そこに共通する要因を探るもので、共通の結果をもたらした要因を推論する方法。これは必要条件を明らかにするのに適している。次は裁縫である。これは十分条件を明らかにするのに適しているといえる。

 そこで、最優秀論文賞に選ばれた事例研究から一致法、差異法の用い方について学ぶ。この研究は二段階で行われている。一段階目は、考えられる要因を抽出する。それを基に仮説を設定する。そして、それに当てはまると考えられる事例を選び出す。この事例を分析した結果、仮説通りの結果にならなかった。本来ならここで、大きく方向を変えることが多いが、本研究では再分析することで新しい仮説を探した。
 
次に二段階目の分析である。ここでは一段階目の分析をもとに極端な結果を示した二つの事例に対して、差異法を用いて分析を行った。その結果一段階目で設定した仮説でなく、全く別の要因が結果に影響していることが判明した。また、この結果妥当性を確かめるために、ほかの事例にあてはめることで、妥当性の向上を図った。このように、仮説の研究に不利であっても事実と向き合い本当の原因を探ることが大切である。

 本研究で注目すべき点は二つある。一つは、定説通りにいくことはない。それを疑うことが必要であるということ。二つ目は、問題意識を見失わないことが重要である。どんなに仮説通りにいかなくても問題意識を見失わなければ、立ち直ることができる。失敗してしまったときに集めたデータを基に再び仮説を導出し分析をすることができる。

 事例研究におけるポイントについて説明する。それは二つある。一つ目は、問題意識を明確にすることである。問題意識を明確にすれば、どんなに仮説通りにいかなくても折れることなく新たな仮説を導き、分析を行うことができる。二つ目は、往復運動である。分析を行った結果導き出された要因を他の事例にあてはめる。果てはまれば仮説の妥当性を高めることができる。

【DP】
中野ゼミナールで行われるディスカッションではすべての参加者が発言することができる。しかし、上の学年が意見を言い合っているとき(特に4年生)、2年生が発言しづらいのは往年の課題であると考えられる(少なくとも去年、今年はそのような状況が想起される)。本書ではイノベーションの普及には専門家集団の間にある「社会的・認知的境界」が障壁になっていたと述べられている(第二段階の調査P.185~)。しかし、この「社会的・認知的境界」は専門家集団に限らず、我々の中にも存在すると考えた。それがディスカッションにおける障壁になっていると考える。そこで、今回ディスカッションポイントを「ディスカッションにおける2年と4年の間にある社会的・認知的境界を乗り越えるためにはどうすればよいか」とし、ディスカッションを行った。

 今回のディスカッションにおける条件は以下のとおりである。

・タコツボ化
→内部で変革を促すのは得意とする。しかし、外部からの刺激を受用するのが苦手。
*内部=同期内
*外部=ほかの学年

・社会的・認知的境界
社会的境界(「社会的距離」p.192の表現を借用)=集団間の紐帯の強度
→特に学年、年齢による距離感を想定する
認知的境界(広辞苑の定義と元論文の「Knowledge Boundary」との兼ね合いより)=知ること、知識を持つこと。特に直観的でなく推理、思考に基づく。

・今回のディスカッションにおいて、発言をする意見を持ち合わせていないとなると、それで議論が終了してしまうと考えられる。そこで、あくまで言いたいことがあっても言えないときの壁の乗り越え方について議論するものとする。
・今回期待する意見として、二年生主体の意見を期待する。その理由として、ディスカッションに参加する成員は一度二年生を経験していることから、様々な意見が出ると考えるから。一方四年生側の意見は、四年生になったことのない人が多いので、非常に限られたメンバーのみが主張することになると考えるためである。また、四年生は現状ディスカッション中に、発言を促すような言動をとるので、一旦それで良いと考えたから。

 今回のディスカッションによって、各学年で行えるアプローチが導き出された。まず二年生である。二年生は臆さずなんでも言うことが重要である。しかし、それを行うことは簡単なことではない。その時、同期と競争意識を持つことやどんなに意見を否定されても人格までは否定されていないと考えることがあげられた。さらに、上の学年が何を言っても冷静アになること。学年が上だからと言って正しいとは限らない。一度冷静になって意見を聞いてみることも重要である。また、どんなにアプローチの方法があっても結局個人がどれだけ勇気を振り絞ることができるかに依存する部分が大きいことも分かった。
 
次に四年生である。四年生に求められるのは環境づくりである。心理的安全性という言葉があるように、みんながなんでも言える環境を作り出すことが重要なのではないか。所かまわず否定するのではなく、同調することも時には重要になると考える。また、直接アプローチをすることで、下級学年の背中を押すことができるということも分かった。

最後に三年生である。残念なことに三年生にできることはほとんどない結果になってしまった。三年生が背中を押すことが提案されたが、そこに学年の差はなく四年生にされようが三年生にされようが関係ないという。それ以外の意見が出なかったので、本当に社会的、認知的境界があるのは三年生なのかもしれない。今回のディスカッションを設定した私は三年生なので大変皮肉めいた結果になってしまった。今回の結果を踏まえて今後のディスカッションの処方箋として利用していただきたいと考える。

にしむら(3年)

ブラックスワンの経営学(第6章)

【要約】
 NHKスペシャルの過去を追跡して「不思議」 を解き明かしていく方法は事例研究に似ており、とても参考になる。本書ではその中の「女と男」という作品を紹介している。この作品は男と女のそれぞれの立場から、恋愛において何を相手に求めるのかを解き明かした作品である。男と女は一見、相思相愛であっても、男は容姿で相手を決めるのに対し、女は中身で相手を決めており、男性と女性では視点が全く異なるというのである。

 このように、異なる立場に着目し、過程を追跡しながら、不思議が発生するメカニズムを解き明かした論文がある。それは、テキサス大学准教授メリッサ・グラブナーによるベンチャー企業のM&Aにおける売却/買収の意思決定のプロセスを調査した論文である。グラブナーは、1999年から2000年代にかけてのインターネットバブルの時代のM&Aの事例8個を対象にした。その8つの事例のうち6つについてはリアルタイムで情報取集を行い、残りの2つについても交渉成立の6か月以内に情報を聞き出した。また、グラブナーは売却/買収のプロセスを売り手と買い手、双方の視点から調査を行った。調査の結果、売却/買収のプロセスは5つのフェーズに分かれており、それぞれのフェーズにおいて、売り手の経営者と買い手の経営者とでは信頼の重みの認識が基本的にちがうということが判明したのである。M&Aの際、基本的に売り手は買い手が信頼できるかどうかを最重要視し、信頼できるのではあれば、本来やるべきはずの確認や準備を怠ってしまっていた。一方の買い手は売り手が信頼できるかどうかはほとんど気にしていないため、入念に確認や準備を行い、自分が有利になるように交渉をすすめていった。さらに、その信頼の認識に対するずれは双方にとって想定外の結末をもたらすということまで明らかとなったのである。買い手は、売り手が自分たちのことを信頼している利用し、交渉の際、欺きを活発に行う傾向がみられたのである。その欺きが明るみにでると、売り手は相手に裏切られたと思い、その会社を去って行ってしまった。その後、買い手は重要な資産を失ったことに気づいたのである。

 この研究から私たちが学べることは何だろうか。それは、ある事象の過程をリアルタイムで様々な視点から追跡することで、その事象が発生した本当の原因を探ることができることではないだろうか。事例研究で陥りがちなバイアスが3つある。それは、^貶的な視点からにバイアス⊃兇衒屬蠅離丱ぅ▲広M尭嚇な質問から生じるバイアスである。グラブナーは、売り手と買い手双方の企業に入り込み、リアルタイムで情報収集をした。このことにより、,鉢△離丱ぅ▲垢鯣鬚韻襪海箸棒功している。しかし、全ての調査対象をリアルタイムで追跡することはコストもリスクもあるので難しい。そこで、著者は「リアルとレトロの組み合わせ」を提案している。このやりかたは、結果がわかっている事例をうまく活用することで、調査方法を適切に決めることができ、また、重要なポイントだけをインタビューできるため、効率的である。

【ディスカッション】
 本章では、M&Aの際、買い手は売り手のことを入念に調べると述べられていた。つまり、買い手は誰よりも売り手のことを理解しているはずである。しかし、買い手は売り手の経営陣の価値については失うまでは気づかなかったと本章では述べれられていた。また、グラブナーの論文にも、技術系のベンチャー企業におけるM&Aでは従業員と経営陣の関係性は非常に重要であり、経営陣が従業員のモチベーションになっているとも述べられていた。しかし、買い手は売り手の経営陣の価値については失うまでは気づかなかったと本章では述べれられていた。そこで、私たちは「なぜ、買い手の企業のリーダーは売り手の経営陣が去る前に、その経営陣の価値に気づけないのか」というテーマでディスカッションを行った。

前提条件

    買い手(大企業) 売り手(ベンチャー企業)
創業年数  60年      3年
従業員数  1500人  50人
経営陣の人数  5人      3人
経営者の特徴 雇われ経営者  若い(20代)

・技術系(ネットのソフトウェア)のM&A
・買い手はシナジー効果を見込んで買収に取り掛かっている
・M&Aの価格は400億円
・売り手の従業員のほとんどが創業メンバー
・M&A後、重大な欺きが明るみに出て、まず経営陣が去り、その後従業員の過半数が去ってしまった。
・本章の5つフェーズを追ってM&Aが行われた

 議論の中ででた意見としては、売り手を技術や売り上げなどの数字でしか見ていない、売り手側の従業員の働く要因(経営陣のビジョン、人柄など)を買い手側が理解できなかった、売り手側の経営陣と従業員の関係性を軽視した、重大な欺き➡買い手側の交渉力が高いので、自分に有利になるように交渉を進めた結果、利益などを追い求めすぎた、技術が欲しくて焦った、などの意見が出た。

 このディスカッションをまとめると、買い手側がM&Aの際、売り手の経営陣の価値に気づくことを阻害する要因というのは、主に3つあると考えられる。それは、’磴ぜ蠅技術や売り上げなどの数字しか見ていない⊇抄醗と経営陣の関係性を軽視した8鮠栂呂売り手より高まっていた、である。さらに、今回の議論ではこの3つの中でもっとも根源的な要因は,任△襪箸いΨ誅世忙蠅辰拭なぜなら、利益や技術ばかりを追い求める結果、経営陣と従業員との関係性が見えなくなったり、利益や技術を追い求めるために買い手は交渉力を高めようとするからである。つまり、本ディスカッションの結論は、なぜ、M&Aの際、、買い手の企業のリーダーは売り手の経営陣が去る前に、その経営陣の価値に気づけないのかというと、買い手のリーダーが利益や技術などの数字で判断できる部分しか重要視していなかったからであるということとなった。

 私たちは今後、様々な場面で、企業にとってのM&Aのような重要な決断を下さなければいけない時があるだろう。そのときに、買い手のようにある側面だけをみて判断を下すと後々後悔することになる。そのようなときは多面的に物事を捉えて判断を下さなければならない。このことがわかっていただければ、本ディスカッションは意義のあるものになったのではないのだろうか。

とみざわ(3年)

ブラックスワンの経営学(第3章)

【要約】
 まずキティ・ジェノヴィーズ事件という事例が取り上げられている。この事件は、ある女性が刺されても周りの人が警察に通報しなかったということで、当時のニューヨークでもありえないことであった。この事例を実験室実験と自然実験の2つ実験検証している。一つ目の実験室実験とは、環境を人為的に作り出し行う実験であり、脈格(コンテキスト)をコントロールできるという点が強みである。二つ目の自然実験とは、事件そのものの事例のことである。前者の方法は当時と同じ環境を人為的に作り出すためどうしても普段の生活における自然の反応や行動を観察することが難しい。しかし、後者の方法はその事件そのものを事例としても挙げることで似たようなコンテキストの事例を加えていくことで有益な知見を得ることができる。
 続いて、ギルバードの組織慣性の研究である。これは、組織がこれまでにない大きな変化に直面し、その脅威を感じ取ったとき、どのような反応をするのかを研究したものであるこの研究結果として2つの見解が見られている。1つ目は脅威を感じとると、組織慣性はまって変革が促される。2つ目は脅威を感じ取ると、組織慣性は強まって変革が妨げられる。この2つの見解は正反対である。これについてギルバードは何について慣性かをしっかり整理していないから相違が起きると指摘している。この見解が異なることを本書では、「ねじれ現象」と呼んでいる。そこで組織慣性には2種類あると述べられている。資源頑強性とルーチン頑強性である。このどちらの慣性がどのように変化するのかをギルバードは新聞業界を事例に研究を行った。結果として有益な知見が得られたのであるが、その理由としてギルバードは、状況をコントロールしつつ、比較できる理想的な事例選定を行い十分な情報を集めて、厳格な手続きを行うことによって「ねじれ現象」を明らかにした。また何度も反復実験を行うことによって信憑性を高めていったのである。
 以上の研究から得られることとして筆者は2つ指摘している。1つは自然実験発想で反復実験をすることの大切さである。ここで事例の数にこだわるのでなく、仮説明確にしたうえで事例を観察していくことが確かな結論を導くことができる。2つ目に反復実験がうまくいかなかった場合の考察である。仮説を明確にしてもその仮説あてはまらない事例もでてくる。そのような事例に対して、徹底的になぜそのような結果になったのかを考えることが必要である。どのような時と場合にこの結果が得られ、このような時と場合にはこの結果は得られないといった具合に場合分けが重要なのである。
 
【ディスカッション】
 本書では、組織において、ある種の慣性は脅威によって緩和されるが、別の種の慣性は脅威によって強化されると述べられている。このような事態を本書では、「ねじれ現象」と呼んでいる。この慣性には2つの種類がある。1つ目は経営資源の配分の仕方にかかわる慣性である(資源頑強性)。この慣性が強いと新しい資源配分パターンを実施することができない。2つ目は業務のオペレーションについての慣性だ(ルーチン頑強性)。これが強いと業務プロセスの変革が妨げられる。それではゼミのチーム研究という組織において「ねじれ現象」が起きてしまった場合。どのように解消するのかディスカッションをおこなった。

「前提」
 あるゼミナールのチームである1班は3年生3人、2年生2人でチーム研究をおこなっていた。そこで、3年生がスーパーマーケットのテーマを出し、研究を進めることになった。チーム研究は、3年生が主導で行い、2年生の意見を聞き入れてもらえない(テーマに対して不満)現状があった。3年生と2年生の意思疎通はあまりはかれていなかった。1班は2週に1回進捗情報を発表しなければならなかった。1班では、発表に間にあわせれば良いという考えが3年生の中で強かった。2年生は十分な情報収集を行い、チームで話し合いながら研究を進めていきたいと考えている。
そしてこの場合、資源頑強性を「知識・時間・労力をかけること」とし、ルーチン頑強性を「今まで通りテーマを決め方、活動の仕方」とし、脅威を「リサーチクエスチョンがこのままではいけない」こととする。

 議論の中で出た意見として、まず人間関係の意見として、2年生の意見を聞いてみる、試しに2年生主体でやってみる、チーム全員が主体となれる環境をつくること、他のゼミ生からの意見を活用することがあげられた。次に時間に関しての意見として、あえて時間を短くしてみる、個人でできる作業はあらかじめ済ましておくことがあげられた。最後に研究のテーマについての意見として、ルーチンを変えてみる、フィールドワークからテーマを見つける、なぜこのテーマではいけないのか考える、研究の穴からテーマを決めることがあげられた。

 今回の議論をまとめると、チーム研究においてねじれ現象が起こってしまったときの解消法として、2つのことが重要であることがわかった。1つは時間を有効的に活用することである。もう1つはテーマを決める・変える際に工夫を凝らしてみることである。このことから、チーム研究においてねじれ現象が発生してしまったら、上記の2つのことを意識してみては良いのではないだろうか。

やまざき(3年)

ブラックスワンの経営学 (第4章)

【要約】
 創刊男の異名をとる起業家、くらたまなぶ氏は、インタビューの際に必ず相手の生活空間に飛び込むそうだ。生活空間というのは、その人が自然体でいられるコンテキストである。くらた氏流のマーケティングのポイントは、ものごとの本質を見極めるときには、堅苦しいインタビュー調査ではなく、相手が心を開いてくれるような環境と設定で行うべきだということだ。相手がいつも通りにふるまえるような現場の環境でなければ見つけられないブラックスワンもいるようである。このことは、学術についても同じだ。学術研究においても現場で観察し、それと並行するようなかたちでインタビューを行うのが理想的である。本章では、現場の調査を通じて意外な事実を見出す方法について紹介する。

 本章で紹介する研究論文は、理想的な現場観察とインタビュー調査の一つのお手本である。エルズバッハとクラマーはハリウッドで、実際のピッチミーティングを間近で観察し、インタビューすることで、脚本家の創造性がどのように判断されるのかの実態に迫った。アカデミー・オブ・マネジメントは、彼らの研究を非常に高く評価して、最優秀論文賞を授与した。

 この最優秀論文賞受賞論文から学べることは何だろうか。それは一言で言えば、現場から情報を収集し、コンテキストを大切にしながら解釈して分析を行うことの大切さであろう。エルズバッハとクラマーは、コンテキスを大切にして調査をしている。ここでは2つのポイントに沿ってコンテキスの大切さを確認する。1つ目のポイントは、現場で聞き出すということである。現場でなければ確かめられないことはたくさんある。インタビューや観察も然りだ。現場だと、言葉になりにくい暗黙知なども聞き出せるのである。2つ目のポイントは、仮説を持ち込みつつも執着してはならないことである。現場が宝の山だからだと言って、闇雲に飛び込めばいいというものではない。仮説があるからこそ「その通り」「違う」ということが明確になる。違うにしても、何が違うのか、考えを深めることができるのだ。ただし、実際の調査では、そもそも、最初に持ち込んだ仮説が全く的外れであったということも少なくない。それゆえ、特定の仮説に執着するのは得策ではないのだ。事例研究の一つの特徴は、厳密な検証にこだわり過ぎることなく、柔軟に、本質を探索することができる点である。予期しない形で、思いもしなかった本質にたどり着くことができるのだ。

【ディスカッション】
 本章では、インタビューを行う際に、相手の生活空間に入り込むことが大切であると述べられている。企業でよくあるインタビューで、白い壁と事務用デスクの会議室に招いて向き合って聞くという光景があるが、これは最悪の対面インタビューである。なぜなら、現場から遠い特殊な環境で意見を聞き出そうとしても、なかなか本音を聞き出せるものではないからである。しかし、実際に企業にインタビューを行う際、本章で最悪と言われている、会議室に招かれインタビューを行うことが多いと感じる。そこで、「チーム研究のインタビューで、白い壁と事務用デスクの会議室に招かれた場合、どのようにインタビューを行えば、相手の本音を聞き出せるか。」というディスカッションを行った。

 設定として、我々のチームは「農業参入した企業の多くは撤退しているが、なぜマサヤファームは事業継続できているのか」ということを明らかにしたいと考えており、株式会社マサヤファームの代表取締役社長のマサヤ様(45)にインタビューを行う。マサヤファームは農業事業を行っており、ほうれん草の生産及び販売をしている。従業員数は30名であり、代表取締役社長であるマサヤ様も従業員とともに農業を行っている。また、マサヤファームは各メディアで注目されており、本も出版している。インタビュー時間は60分で、こちらからのインタビュー参加人数は1〜5名を予定している。ちなみに、今回現場となる農地は遠い場所にあるため、インタビュー日に行くことができない。インタビューの主な質問項目として、「なぜマサヤファームは事業継続ができているのか」「どのようにノウハウを得たのか」等についてインタビューを行おうと考えている。

 議論を行う中で出た意見として、相手を褒める、事前に本を読んだりしてマサヤ様がどんな人なのかを調べる、少々オーバーリアクションをする、お土産を持っていく、相手が言ったことを反復するなどの意見がでた。また、本章で言われているように仮説をあらかじめたてる、事前に農家の方にもお話を伺う、相手に共感した上で自分の考えを言う、なぜを繰り返すという意見もでた。おもしろい意見として、マサヤファームに興味を持っていることをアピールするためにマサヤファームのほうれん草を事前に食べたり、実際にほうれん草を持っていくという意見をあった。

 今回の議論をまとめると、相手の本音を聞き出すためには2つのことが重要であることが分かった。1つ目は、相手を褒める、共感するなど、相手がもっと話したいと思える雰囲気をつくることである。2つ目は、事前に本を読む、農家の方にお話を伺う、なぜを繰り返すなど、主体性をもって事前準備や当日のインタビューを行うことである。以上の2点が相手の本音を聞き出す際に重要な点になると考えた。

 我々はチーム研究や卒業論文などの調査で実際にインタビューに行くことが多い。また、社会人になれば、様々な人と話す機会も多くなるだろう。その際に今回の議論が活かせれば、この議論は非常に意味のあるものになったのではないかと考える。

よしだ(3年)

ブラックスワンの経営学(2章)

【要約】
たったひとつの事例でも価値がある。価値といっても、典型的な姿を伝える場合や、常識を覆すきっかけとなる場合もあり、様々な価値を持つ。そのような事例研究は、先端事例、代表事例、逸脱事例、原型事例という4つに整理・分解できる。
1つ目の先端事例とは、他社が検討しているアクションを、他社に先駆け起こされた事例である。当初はありえないと思われるが、将来の代表事例になりうる。2つ目の代表事例はある関心ごとについての典型例である。その中でも、中庸的存在を典型とみなす場合と、代表例を典型例とみなす場合がある。この事例では、典型例を見つけるためにカテゴリーを絞る必要がある。3つ目の逸脱事例は、通説に適合していない事例である。これによって、既存の理論の限界を示し、イノベーションの着想を得ることができる。先端事例との違いとして、、現在も将来も逸脱事例であることが挙げられる。4つ目の原型事例は、ある関心ごとを生み出した最初の事例である。この事例によって、その関心ごとの本質の理解が得られる。これら4つの事例の中でも、これまでの通説を覆す、逸脱事例の研究は社会的にも高く評価される。
組織変化というのは経営学会の中でも非常に関心の高いテーマである。アカデミー・オブ・マネジメントでも多くの権威によって研究されていて、その中の通説の1つに、「小さな変化が積み重なるだけでは『抜本的な変化』には至らない」というものがある。この通説の代表格が「断続的均衡モデル」であり、マイケル・ダッシュマンはこのモデルを提唱し、組織変化の権威となった。このように、リーダーシップが組織変化には欠かせない要素として言われているのが通説である。しかし、プルーマンらはある事例を観察したことで、この通説に疑問を持つ。その事例が教会で起きた組織変化である。そこでは、小さな変化が増幅して大きな変化となった。
この逸脱事例において、不安定な脈絡のもとでは、小さな変化は、他の小さな変化を誘発し、変化が増幅することがわかった。そして、このような変化のあり方は、このような変化のあり方はリーダージップの役割の通説に疑問を投げかけることにもなる。それが、従来の
ような変化を生み出し、その引き金を引くのだけがリーダーの役割なのではなく、小さな適応をキャッチし、それをうまく言葉で表現することもリーダーの役割であるということだ。
この事例が逸脱であると言い切れるのは、この調査が慎重なデータ集め、最新の注意を払った分析によって行われているからである。まず、データ集めにおいては、オープンエンドのインタビューを複数人で行い、書き起こしもして、きちんとインタビューノートを取ることが重要である。また、エリートバイアスや振り返りのバイアスを避けるためには、前者は組織に関わる全てのスタッフにインタビューを行う、出来事が起きた時に記録された資料と突き合わせて事実確認を行う必要がある。
次に、分析においては、組織を見るための様々なレンズについて吟味してテーマを決め、そのテーマについて、要因として議論する。議論したのちコード化によって集めた情報を概念化する必要がある。これらの作業を複数人で行い、複数の視点で見ることが事例研究において、重要なのである。

【ディスカッション】
本書において、コード化は1人でやると不安定な結果になるため、2人以上で行うのが良いと述べられていた。しかし、2人以上でやる場合、よく意見を言う人が間違っていたら、その間違っている人に引っ張られてしまい、かえって1人でやるときよりも間違った結果になってしまうと考えた。そこで、ディスカションテーマとして、「コード化は一人でやるのと二人以上でやるのとどちらが良いのだろうか?」というものを挙げた。
だが、前提固めの不足によって、一人一人のイメージする状況ごとに意見が出てしまう、主観的な意見が出てしまうことによって議論がまとまらないとの結論に至り、本ディスカッションテーマは破棄することにした。そこで、新しいディスカッションテーマとして、「ゼミのチーム研究において逸脱事例を研究対象とするのは本当に面白いのか?」について議論した。

逸脱事例を対象にする面白さとして、少し考えてもわからない事例であることや、その事例によって新しいイノベーションが生まれることが意見として挙げられた。また、そのような事例がなぜ今まで起きなかったのか、明らかになっていなかったことを理論的に説明しうることも研究対象にする面白みであるとの意見が出た。
一方、面白くない点としては、事例研究の中でも特に逸脱事例は一般化が難しいこと、一般化が難しいためにインプリケーションが得にくいことが挙げられた。
フロアの全体的な雰囲気として、逸脱事例を研究することは、テキストでも言われているように今までになかった新たな発見を見つけられるので面白いという意見で一致していた。しかし、実際、中野ゼミで逸脱事例を研究していても、研究発表においてゼミ生や先生から、「その研究の面白みは?」と聞かれてしまっている。そこで、次に、「なぜ面白くないと言われてしまうのか?」をフロアに聞いてみた。
意見として出たのは、逸脱の度合いが弱いこと、意味のある逸脱事例を見つけられないこと、知識不足によって今までの理論とどう違うのか説明できないこと、事例自体は逸脱でもRQの設定が面白くないことなどが挙げられた。また、RQの設定に関連して、どのよう観点で見るのか定まっていないことも挙げられた。これらフロアの意見は大きく2種類に分けられる。1つは、今までの理論と異なった面白い逸脱事例を見つけられないこと。もう1つは、逸脱事例を見つけられても、理論的な観点での面白みを説明できないことである。いずれにしても知識不足が主な原因としてあげられた。

この議論をまとめると、チーム研究において逸脱事例を研究することは面白いが、そのせっかくの面白みがゼミのチーム研究においては発揮されていないという結論に至った。その理由として、知識不足による、逸脱事例の発見の困難さ、理論的に逸脱性を説明することの至難さがあげられた。したがって、そのためにはゼミ活動でのアウトプットだけを重視するのではなく、普段の授業をきちんと受けて知識をインプットする必要がある。

【感想】
今回の議論では、自分の持ってきたテーマではなく、フロアが持ってきたテーマについて意見を出してもらった。しかし、本来であれば、自分たちファシリテーターが出したテーマについて議論するべきである。したがって、粗末なテーマを持ってきた自分の甘さについてはよく反省したい。また、新しく出したテーマにおいても進行能力の稚拙さによって、フロアの意見を活発にすることができなかった。これもいい経験にはなったが、改めてファシリテーターの役割とはどのようなものなのかについてインプットすることから始めたい。

やざわ(3年)

ブラックスワンの経営学(まえがき 1章)

【要約】
 本書のタイトルである「ブラックスワン」とは、「ありえない事象のこと」を意味している。学術者の果たすべき役割とは、この「ブラックスワン」を世に広めることなのである。また、ブラックスワンを見つけるのに適している研究方法として本書で挙げられているのは事例研究である。

事例研究とは、大量にデータを集める統計的調査とは異なり、少数の事例に注目し、その事例から得られる示唆を探究する研究方法である。事例研究は、1つ1つの事例における状況を非常に重要視して研究を進めるため、その事例で成り立っても他の事例に一般化できるとは限らない。しかし、統計学的研究にはない素晴らしい力を持っているのだ。本書では、三つの力が挙げられている。

 まず、人間の知性を活発にする力である。それぞれの事例における細かなコンテキスト(脈略や状況)を大切にするのが事例研究である。例えば、何か未知の状況が起こった理由を他の事例から探すとなった場合には、その他の事例におけるコンテキストと、今解明したい未知の状況におけるコンテキストの違いをよく見極める必要があるのだ。このように、コンテキストの細かいところまで解読しようとすることで、人間の思考力は向上するのだ。次に、複雑な現象に対応する力がつくと言われている。複雑な社会現象を読み取って新たな因果関係を解明するという点において、複雑な現象を対処することが出来るようになるのだ。そして3つ目には将来を切り開く力が挙げられている。これはつまり、前例が少なくても有効な仮説を導く力のことだ。少ない事例の中でも、コンテキストをしっかり細かいところまで読み取って仮説を類推することで、現在起こっている未知の現象における仮説を導くことが出来る。

 少し前まで、事例研究は「不十分な研究手法である」と見下されてきた。しかし、上記で挙げた3つの力を得ることが出来るという点や、今まで解明できなかった因果関係を明らかに出来るという点から、決して軽視してはいけない研究手法なのだ。このように、因果関係を明らかにするという点において強みを持っている研究手法であるため、統計的調査などとの併用が進められている。事例研究で因果関係を明らかにし、仮説を立てることが出来たら、その仮説の一般化のために統計調査を行うといった形で、これらの研究手法は補完し合うのだ。

【ディスカッション】
 本書にて、「ある領域では未知のことであっても別の領域では既知かもしれない。そこで、他領域であっても時間的に先を行く過去の事例に答えやヒントを求めることがよくある」と述べられていた。しかし、本当に他領域の事例から学ぶことが出来るのだろうかという疑問を持った。そこで私たちは、「コンテキストは非常に似ているが他領域の事例」と「コンテキストは異なっているが同じ領域の事例」の2つがあった時、どちらから学びを得るかということを議題に、ディスカッションを行った。

 前提としては以下の通りである。私たちはセージフィルムの新規事業推進部である。セージフィルムはフィルムカメラを製造販売する中小企業であり、早急に多角化を行いたいが、自分たちが持っている技術の活かし方、多角化における資本や人員のやりくりの仕方がわかっていない。そこで、過去の多角化における成功事例から学びを得ることにした。研究対象候補は2つある。まず1つ目は、フィルムカメラ事業における大手企業であるコージフィルムである。コージフィルムはフィルムカメラ事業においてシェア1位を誇っており、化粧品業界へ多角化することで成功を収めた。ポイントは、同業種であり技術の活かし方を学ぶことは出来るが、企業規模が異なるため資本、人員のやりくり方法は活かせない可能性がある。そして2つ目の事例は、家庭用ゲーム機業界からドローン事業へ多角化し成功を収めたニンタンドーである。企業規模はセージフィルムと非常に似ており、事業内のシェア、資本金、従業員数は同じである。つまり、人員や資本の活用方法は学べるが使用している技術は異なるため技術の活用法を学ぶことは出来ないのである。このように2つの事例があった時にどちらの事例を研究しセージフィルムの多角化への学びとするかの議論を行った。

 コージフィルムを研究するという意見としては、「技術の活用方法を学ぶことが先である」「技術の活かし方を学べる方が多角化を進めるにおいてのメリットが大きい」などの意見が挙げられた。今回の議論の「早急に多角化を進めなくてはならない」という前提が非常に重要なポイントであると考えている人が多く、早急に多角化を進めるにはまずは技術を学ぶことが先だろうという意見が多かった。一方で、「大手企業の多角化を研究しても中小企業である自分達の実践に落とし込めない」という懸念から、「ニンタンドーを研究する」という意見も挙げられた。ニンタンドーを研究することで学べる知見としてフロアが重要視したのは、多角化における組織構造である。組織構造がもし失敗したら簡単には持ち直せないため、まず多角化を確実に行えるような組織を作るべきだという意見が挙げられた。

 まとめとしては、組織構造に関して学べることが少ないとしても、まずはそもそも技術をどう活かすかを考えるべきであるという意見の方が多く挙げられた。また、前提として私たちが「新規事業推進部」であるということから、私たちが果たす使命としては、まずセージフィルムがこれから自分たちの技術をどう活かすかを決定させることであろう。このように、私たちがこれから何をしていくかを考えた際に、セージフィルムの今後の方向性をまず考えるべきだという意見が多かった。今回の議論では、コンテキストが異なっていても同業種からの方が学びが多いという結果になったが、重要なことはコンテキストをどれだけ正確に読み取れるかということである。よって、コンテキストが違う事例を研究するとしたら、どの部分が異なっているのかなどをしっかり考慮したうえで、研究を進めたい。
 
ほりいけ(3年)


「バカな」と「なるほど」 経営成功の決め手!

【要約】
中堅企業が海外進出する際には、言葉のハンデや文化の違い、進出する国の業界、金融事情に対する知識が少ないという障害物が存在する。これらハンデを乗り越えるためには、相当な人・金・時間がかかり、失敗すれば高い授業料を払わなければならないという点において海外進出は非常に難しい。
海外進出の際にこれらのハンデを乗り越えるためには、製品と技術で乗り越える方法がある。具体的には、製品そのものの強さ、製品開発の能力、生産管理、品質管理といった能力で様々なハンデを克服している。海外進出で成功した企業はこれらを国内でしっかりと確立している。だからこそ、進出当初に出くわす障害にも対処することができたのである。
次に、他人依存ではなく、自力で行うということを強調して述べられている。なぜならば、自分でやることが一番勉強になるし、自分たちの経営理念を貫くためには自分が主体的に行う必要があるからである。たとえ自力ではなくパートナーと組んで行う場合にも、パートナーが信頼に足る存在なのかをきちんと見極める必要があり、パートナーは能力ではなくて、人柄で選ぶべきだと述べられている。
海外事業に進出し成功するためのキーファクターとして、企業のトップが海外進出に対して強い関心を持ち、トップが主導になる必要がある。トップが主導になるということは、全社的に取り組むべき事業であり、その企業にとっては大きなプロジェクトとして、認識される。事業部長にこの海外進出を任せることは企業全体というよりは一部で行なっているこじんまりとした事業になりかねない。だから、トップが主導になる必要がある。
また、海外進出をする際に、気をつけなければならないことと、避けるべきことについて、計画した予算や人、時間よりも3倍の人・金・時間を用意するべきであると述べられている。予期せぬ事態に遭遇した場合でも余裕を持つことによって、冷静に対処することが可能になる。避けるべきこととして、海外をあてにしていくことと真似されやすい製品で海外進出をすることが挙げられている。国内でうまくいっていない企業が海外で成功する可能性は極めて低いからである。また、模倣が可能な製品については、価格競争に陥るので質を重視する日本では勝てない。
【ディスカッション】
企業が海外進出する際に、パートナーと合弁会社を設立する際、パートナーとなる相手は能力よりも人柄で選ぶべきだと本書では述べられていた。しかし、どのような場合に人柄で選べば良いのか、また、能力で選ぶことにも利点はあるのではないかと疑問を持ちディスカッションを行なった。
「現在、海外事業進出を行い、販売網を獲得し長期的に利益を出したい、と考えている企業は、能力重視の企業(A社)と人柄重視の企業(B社)、どちらの企業と合弁することで、目的を達成することができるのか」
出てきた意見としては、能力重視の企業は、自社とA社の技術を組み合わせることで、さらなる相乗効果を期待できる、技術的にも優位ななA社と合弁した方が勝率はぐっと上がる、互いに対等な関係でやっている以上、相手の技術を回収し、販売販路も独自なものを毛一斉することできれば問題はない。といった意見が多かった。また、リスクを考えなくても良い点において、A社と組む方が良いという意見が出てきた。一方で、人柄重視の企業では、長期的に利益を出す場合は、やはりリスクに対してどれだけ備えることができるかという点で、B社を選ぶ人が多かった。初めから能力重視で合弁するのではなく、強いパートナーシップを結ぶことで、シェアの拡大を目指すこともできるとしてB社を選ぶ意見が多く出た。

まとめとしては、本書でも述べられていた通り、コミュニケーションを取れる人柄重視でパートナーを選ぶ方が良いという結論に至った。しかし、現実の問題として、仲良しこよしでパートナーを結ぶ企業はまずなく、お互いの利害をきちんと示したあとに、互いに利益になるように合弁しするのが実情であるようだ。そのために、技術を吸収され、切られてしまうなんてことは往々にしてあり、そうならないためにも日頃からのコミュニケーションは必要不可欠であるという結論に至った。

ただ(3年)


「バカな」と「なるほど」 経営成功の決め手!

【要約】
 企業の長期における成長には多角化が不可欠である。多角化とは経営資源を熟成、衰退していく分野から成長する分野にシフトさせることである。
 
 本章ではイビデンを事例に、多角化の成功要因を探っている。当時イビデンは将来性のない事業しか持っておらず、絶望的な状況だった。そこで、イビデンはヾ存の蓄積技術の利用可能な分野⊂陛杜老燭了業分野9睇娉嘆礎佑巴亮噂弧鷁修諒向に合致する加工産業
の3つの方針の元、プリント配線板事業に進出した。その中でイビデンはいくつかユニークな戦略を取った。まず、衰退していた既存事業から経営資源を集中投入し、大企業の強みを生かして大規模な設備投資や、技術陣の厚みやノウハウを当時中小企業の分野とみられていたプリント配線板に行った。また、特殊化と差別化を追求し、汎用品を作るのではなく、各社のスペックに合わせた注文品作りを追求した。さらに、危機的状況にイビデンがあったため、社内の合意づくりが容易に行えたが、通常、社内の合意づくりは難しく、特に既存事業を縮小させながら、新規事業を拡大させていくことは容易ではない。そのため、トップがリーダーシップを発揮して合意づくりを行う必要がある。これらのイビデンのケースから多角化の成功要因は技術シナジーの追求、ユニークかつロジカルな戦略、トップのリーダーシップであると本社では述べられている
 
 また、成熟産業においても非常識な戦略は有効である。実際、アルメタックスや川崎電気、平安堂などの企業は他社から軽蔑されるバカな戦略を採用し、脱成熟化に成功している。バカな戦略は、他社が自社の成功を見てからじゃないと模倣してこないので創業者利益を生み出すことができる点で脱成熟化においても有効なのである。

【ディスカッション】
 本書では、PPMで言われている「金のなる木」から「花形」や「問題児」へ経営資源を回すのがセオリーだが、実際それを実行するのは相当難しいことであると述べられており、多角化の際はその金のなる木の事業に捨て石の役割のいかに果たしてもらうのかが重要であると述べられていた。また、多角化には経営者がリーダーシップを発揮して、自らが主導で行うべきであると述べられている。これらのことから今回は、「『金のなる木』に捨て石の役割を果たしてもらう際、経営者はその事業の人たちを説得し、納得させるほうがいいのか、独断でやるほうがいいのか」ということについてディスカッションを行った。まず、ディスカッションで対象としたのはプラモデル業界でシェア1位、従業員500人で売上高500億円のタカラトミザワ株式会社である。この会社は他にもミニカー事業とカードゲーム事業をやっている。さらに最近、ドローン事業を始めた。PPMの位置づけとしては、金のなる木→プラモデル、負け犬→カードゲーム、問題児→ミニカー、ドローンであり、この会社はとしてはプラモデル事業からドローン事業に経営資源を移行して、ドローン事業を花形にしたいと考えている。議論としては、まず「説得し、納得させる」方の意見が多く出た。意見としては、今までの社員の努力を大切にしないと、不満がたまる、反発をできるだけ抑えて優秀な人材を自社にとどめておくことができるなどの意見や、まだプラモデル事業が顕在であるため新規事業拡大を焦る必要はなく、時間をかけて説得するべきだという意見も出た。しかし、ドローン市場は競争が激しいという点から、独断でやらないと事業拡大のスピードが遅くなってしまうため、市場でのチャンスを失う恐れがあるという意見も出た。また独断派の他の意見としては、プラモデルが今後衰退していくということを社員にわからせるのは、今のこの状況ではかなりのコストがかかる、事業部全員を説得するのは不可能、独断でやればもし失敗しても社員全員にその新規事業のノウハウなどがしみわたってないのでリスクを回収しやすい問う意見も出た。このような意見が出たうえで説得派からはさらに、事業部全員を説得できれば、その全員の力をドローンに一気に注ぎ込めるので、説得のために時間をかけてドローン市場で後れを取っても、後発で技術力などを駆使してシェアを奪えるのではないのかという意見が出てきた。つまり、独断でやるメリットのうちのスピードという部分において、たとえ後れを取っても後で全員が束になれば巻き返せるのではないかということである。それに対して独断派からは、一度シェアを取られたら、先行者優位を取られるので奪い返すのは相当コストもかかるので難しい、やはり先に手を打って市場での先行者優位を獲得すべきだという反論が出た。さらに独断で既存事業から新規事業へ経営資源を移行させ、先行者優位を獲得したあとに既存事業の人たちに「新規事業が成功したのはあなたたちのおかげ」と説明し、アフターケアをしっかり行えば不満も少なくなるのではないかという意見が出た。

 この議論をまとめると、確かに説得せずに独断で経営資源の移行を行うと既存事業部に不満がたまりやすくなる。しかし、その説得に時間をかけていてはそのうちに他社に新規事業分野での先行者優位を獲得されてしまい、拡大を思うように行えなくなる可能性が高い。そのため、まずは他社に後れを取らないためにも独断で経営資源を移行させ、新規事業を拡大し、その後、既存事業部の人たちにアフターケアを行って不満を解消させるのが良いのではないかという結論に至った。

とみざわ(3年)

「バカな」と「なるほど」 経営成功の決め手!.pp.112-144

【要約】
9.社内事情より社外事情を優先
 日本の人事の典型的なパターンは、集団主義的な年功序列という形態である。これに対して野村證券は若手登用の人事、キープヤングの人事を行っている。その理由は三つある。それは情報化、国際化、ハイテク化である。これらに対しては、若い人の方が御年を召した方より優れている。しかし、社内の軋轢などの社内事情により、キープヤングを実施できない企業もある。つまり、野村証券のキープヤング人事は社外事情優先の人事といえる。

10. 女が分からないで経営できるか
 消費財、消費サービスの購入において女性の発言力が高くなっている。そのため、これらを作るのも男性ばかりでなく女性を活用する方がいい。その理由として三つあげられる、一つ目は、家内に優秀、意欲的な人材が埋もれているからである。二つ目は、女性向けの仕事が増えているからである。昨今は量より質、質より感性が求められており、これらは男性より女性の方が敏感なのである。三つ目は、男性社員のやる気が上がるからである。

11. 人づくりは人選びから
 経営の成功のためには、優秀な人材が不可欠である。つまり、経営は人なのである。重要な人材を企業にとって望ましい人材に変えるにはどうしたらいいか。答えは人材を外部から調達することである。すでに社内にいる人材を変えることは困難であるからだ。人材を獲得するときに注意するべきことは、企業は学生によって選別されているという事実に気づくことである。そのために、企業イメージは重要になる。時には企業イメージの革新が必要になることもあるだろう。

12. 計画のグレシャムの法則
イノベーションの行えない企業の原因として、計画のグレシャムの法則がある。これは日常業務がイノベーションのための計画業務を駆逐するということである。その理由として、イノベーションのための計画業務は期限、評価基準、業務内容の不透明性により後回しにされるからだ。その解決策として期限、評価、内容を明確にすることがあげられる。その中でも期限の順守が重要だ。その理由は、人はタイムプレッシャーがかかると良質なアイデアを出せるからだ。また、「継続は悪、変化は善」という考え方をベースに、とにかく変えてみることが重要になる。

【ディスカッション】
本書では望ましい社員を作りたいならば作り変えるより外部から調達した方が大切と述べられている。しかし、本当に外部からの調達で望ましい人材を獲得することができるのだろうか。このような問題意識に基づき以下のディスカッションを行った。

あなたは昨今のグローバル化の波に乗りたい中野エレクトロニクスの社長です。そこで社内人材を刷新したい。択として主に以下がある。
 嵋召泙靴た雄燹廚鮗茲襪海箸冒肝呂鮹蹐亜また来てくれた人からしか選べない(5〜7人取る)
△垢任砲い訖雄(1〜3年の新人13人)を教育して、「望ましい人材」に全力で作り替える。
このどちらかで進めていきたい。というのも、わが社は深刻な財政難に有る。そのため、どちらかにしかリソースを割くことができないと予測される。さてあなたならどうする。

【望ましい人材】
 ̄儻譴できる(TOEIC700点〜)
▲┘鵐献縫▲好好ル
C蘋真
ざ調性
*「取る」の場合これらの要素を必ず持つ。また、「変える」の場合必ずこれらの要素を持つ人材に変わるものとする。

【中野エレクトロニクス】
 中野エレクトロニクスはテレビ事業を営む中小企業である。販路は国内のみである。国内のシェアは5位である。去年より順位が落ちた。従業員は70人である。

ディスカッションの流れとしては、ゼミ生が仮想の企業である中野エレクトロニクスの社長として、「望ましい人材」を取ることに全力を注ぐのか、すでにいる人材(1〜3年の新人13人)を教育して、「望ましい人材」に全力で作り替える。以上二点についてどちらが望ましいかについて議論を行った。出てきた意見としては、社外からの人材調達である。その理由として、育成する場合社内で働ける人材が不足するため。また、社内に新しい風が吹くため。これは長い目で見ても社内を変えられるという意見が出た。これに対して、社内の人材を育成する意見として、新人が入ってきたとしても社内が変わることはないという意見が出た。また、新人に期待しすぎるとその後の失望の度合いが高まるという意見も出た。さらに、すでにいる人材を教育しないという選択をとれば、すでにいる人材の可能性を軽視しているため、モチベーションが下がってしまうのではという意見が出た。

まとめると、すでにいる人材の育成という選択肢は総じて社内事情を優先した意見が多かった。これらの意見は社外からの調達より多かった。そのため今回の議論においては、社内の従業員のモチベーションや社外人材のポテンシャルを考慮して社内の人材を全力で育成するべきという結論に至った。

にしむら(3年)

「バカな」と「なるほど」 経営成功の決め手!P.77-111

【要約】
5.マイナス情報に”情け”をかけよう
一般に、社長など経営者には、現場第一線の情報、とくに具合の悪い情報はなかなか伝わらず、裸の王様になってしまう。このように情報の受け手に不愉快な気持ちを与えるような内容の情報のことを本書ではマイナス情報と呼んでいる。マイナス情報を得ることは経営活動の現状の問題点や弱点を改めたり、解決することができる。この点において、マイナス情報はイノベーションの源泉ということができるにも関わらず、マイナス情報が経営者のもとに届かないのはなぜか。それは、情報の発信の場や送信途中、受信のところで身を隠す傾向があるからだ。したがって、マイナス情報が欲しければ、マイナス情報に情けをかけてやる必要があるのだ。

6.組織慣性との戦い
 企業の多くは企業変身のための戦略的な事業革新の計画を立てても、その計画の着手には10年もの時間がかかる。最大の理由は組織慣性である。組織慣性とは、組織が環境と同じ速さで変化できない力のことを指し、これが企業変身にブレーキをかけている。組織慣性を生む要因には、忠誠心ないし一体化、パワーバランス、サンクコスト、計画のグレシャムの法則、リスク回避がある。そこで、企業は企業変身計画を立て、着手するために危機感を探し出し自覚させる必要があるのだ。本書では危機感を相対的危機感と絶対的危機感の2つに分けている。絶対的危機では変化への抵抗は消え去り組織慣性はなくなるが、ここで行動するのは遅い。相対的危機をバネにして組織慣性に打ち勝つことが望ましいのだ。

7.人事スペシャリスト不用論
 一般に、人事は一生人事の仕事をするものである。しかし、野村證券の人事部員は原則2年で交代する。野村證券の考えているのは「人事は現場の事情に精通している人間によって評価させるほうがよい」、「人事の偏った評価を避けるため」、「人事部のパワーを与えないようにし、人事部から現場に戻れるようにするため」ということである。一見「バカ」に見えるこの仕組みにも「なるほど」と思う合理性があるのだ。

8.カラ元気のリーダーシップ
 新事業が軌道に乗るまでには長い期間の経過が必要で、その間には予期せぬ様々な問題が発生し、予想外の赤字が出ることもある。この状況を耐え抜き、成功に導く上で必要なことはトップの強力的なリーダーシップである。苦境に直面した際に従業員が見るのはトップの顔である。そのため、トップは内心でしまったと思っていても、その不安を顔に出してはいけない。たとえカラ元気に支えられた自信であっても自信満々の態度で接することが大切なのだ。

【ディスカッション】
 今回のディスカッションポイントは、「組織慣性に打ち勝つためには相対的危機感を与える必要がある。では、相対的危機感を与えても打ち勝てない場合、どうすればよいか」である。対象としたのは、固定電話の製造・販売を行なっている従業員数40人のA社である。A社は風通しのよい企業のため、従業員の考えが社長に届きやすいことが特徴だ。次に、A社の置かれている状況を説明する。携帯電話の普及により、固定電話の家庭利用は減少しており、今後も低成長が予測されている。そこで、A社の社長は固定電話事業をやめて新事業に進出することを考えている(A社のリソースは限られているため多角化はできない)。A社が「10年遅かった」にならないために、社長はなるべく早く従業員たちを納得させる必要がある。一方、従業員は新事業の合理性を理解しているものの、まだ固定電話の需要があるので大丈夫だと考えている。
 議論で出てきた意見は、従業員の情に訴える方法と根拠を示し合理性をより高める方法の2つに分けることができた。情に訴える方法としては、全員で話し合いの場を設ける、なぜ反対しているのか意見を聞く、という意見が出た。一方、根拠を示し合理性をより高める方法としては、新事業に変えたことで得ることのできるメリットをデータ化する、メリットだけでなくデメリットも示しそれをどのように乗り越えるかまで説明する、既存事業のノウハウを活かせることを示す、新事業チームをつくりデータ集めや準備をする、という意見が出た。この意見のうち、「データを示すという方法は一見説得力が高いように見えるが、データは所詮予想であり、確実なものではないのではないか」という意見が出た。それに対する解決策として、進んだ業界において需要が減り衰退していった企業のデータや海外の事例など、同じような状況に置かれているところのデータを示すとよいのではないかという意見が出た。確かに、それならA社と全く同じ条件ではないものの、自分たちも同じようになるのではないかと親近感を持ってそのデータと接することができるかもしれない。また、予測データではなく事実のため、説得力があるかもしれない。また、本書では一体感に基づく変化への抵抗を取り除く方法として資金の投入が要求される場合があると述べられていたことから、クラウドファンディングを行うのはどうかという意見も出た。
 次に、これらの方法を実行する場合、どのような順番でアプローチすれば従業員が納得するのか議論した。従業員が納得できない理由として変化への抵抗が考えられることから、まずは話し合いの場を設けて既存事業の現状と新事業の詳細について説明すること。続いて、新事業チームをつくりデータ集めなど合理性を高める準備をし、それをもとに2回目の話し合いを行うこと。そして、必要であればこれらを繰り返すことにより、従業員が納得するのではないかという結論に至った。

たけおか(3年)

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