起業の科学 Chapter2


【要約】
 前章でリーンキャンバスを用いた課題仮説を練り上げた。そこで。本章ではカスタマーとの課題の一致を目的に、課題仮説を磨き上げる方法を紹介している。
 
前の章で作り出したPlan Aはあくまでユーザーと話す前の「仮説」である。そのため、課題を磨きこむ必要がある。実際に、失敗したスタートアップの74%は課題の検証を十分に行わずにいきなりプロダクト開発を行っていた。これが、プレマチュア・スケーリングと言われるスタートアップが死んでしまう一番の理由なのである。このような重要であるはずの課題の検証をスキップする原因の一つに思考のバイアス、思い込みがある。これは誰にもあることだが起業家は特に確証バイアスが強い人が多い。そこで、この思い込みの罠にはまらないために自分自身が物事や課題をどう認識しているかについて客観的にとらえ、それを可視化・言語化する「メタ認知」の視点が必要になる。自分の考え方を可視化・言語化するツールとして、ペルソナ分析・カスタマージャーニーなどいくつかの方法を本章で取り上げている。

 課題を検証するときの最初のステップは、マーケティングの定石であるペルソナの想定だ。このペルソナを想定する3つの目的があり、1つ目がプロダクトの設計プロセスを人間中心、課題中心にするためである。2つ目に、特定の人に刺さるサービスを考えていくアプローチを取ることで、スタートアップが陥りがちな「あらゆる人に気に入られなくてはいけない」という無駄な考えを拭い去るため。3つ目に、チーム内でイメージを共有するためだ。そして、このペルソナ像をさらに深堀する時に使えるのがエンパシーマップである。これは、対象となるペルソナの心理状態を深堀する時に活用できるフレームワークである。しかし、ペルソナやエンパシーマップを使っても、ペルソナのみだと柔軟すぎることがある。そこで、それを回避し、よりリアルなカスタマー像を浮かび上がらせるためにはカスタマージャーニーを考えてみることが重要である。カスタマージャーニーとは、現在カスタマーがどのような心理状態でどのようなステップを踏み、ある行為を完遂しようとしているのかをカスタマーの動きに沿って明らかにしていくものである。

 ここまでで、課題仮説はより臨場感あふれるものになってきた。この見えてきた課題仮説をさらに深堀する手段として「ジャベリンボード」が薦められている。ジャベリンボードはカスタマージャーニーで出てきた複数の課題をどの課題の痛みが強いのか、代替案は役に立たないのかなど要素を絞り込むものである。そして、これらによって検証すべき前提条件が洗い出され言語されてきたら、カスタマーと直接対話することになる。その時には、どのようにインタビューの相手はどう選定すればよいのだろうか。そこで薦められているのが「エバンジェリスト」や「アーリーアダプター」と呼ばれる、流行に敏感な人達である。実際にこのような人たちにコンタクトすることが出来たら、インタビューに移る。その際の心得として5つのポイントが述べられている。
 そして、このインタビュー結果をベースにして課題の真因を言語化する手段として有効なのがKJ法である。KJ法では、インタビュー内容を分析して、建前やリップサービスなどのノイズの奥から本音、潜在的課題、現象の裏側にある真因を引き出せるかがフォーカスである。


【ディスカッション】

 本書P130にあるプロダクトの全体設計を受け持つファウンダー自ら、カスタマーの本当に欲しいものが何かを深く知っていることが、大企業に対するスタートアップの最大の競争優位性になると述べられている。
しかし、私達はスタートアップの最大の競争優位性は他のところにあるのではないかと考え、ゼミ生が考える大企業に対するスタートアップの最大の競争優位性は何かについてディスカッションした。

 まず挙がった意見としては、本書で述べられていることこそが最大の競争優位であるという意見である。実際大企業でもカスタマーが本当に欲しいものを知っているが、スタートアップの場合、その情報をファウンダー自らが持っているため、直接製品に活かすことが出来る。もしくは、大企業の場合知っている情報は、N数だけ多い情報で、実際にインタビューまでは行っていなくて、そこまで深い情報を得ようとしてはいないのではないかという意見だった。

 しかし、当初考えていたように本書で述べられている競争優位以外にも様々な意見が挙がった。多く挙がったのが、組織の小ささからくるものだった。組織が軽い分、意思決定のスピードが速くなることや、組織が小さい分、情報の共有がしやすいなどである。その他にも自分がやりたいことを持っている人が集まるためパワーをもって仕事をすることが出来ること、ステークホルダーが少ない分、しがらみがないので様々なことに挑戦することが出来るなどの意見が挙がった。しかし、競争優位はもちろん1つではないため、それぞれの考え方が挙がり、最大という1つに集約することは出来なかったが、課題検証の点においては本書で述べられている意見が最大の競争優位性になるのではないかと結論付けた。

つばき(4年)

起業の科学 Chapter 1-4 PlanA (最善の仮説)を作成する

[要約]
1.リーンキャンバスの書き方
 前回までの章では、主にアイデアをブレストするときのヒントになるものが書かれていたが、本章ではそのアイデアを形にしてく方法が述べられていた。
 アイデアを形にしていく方法の一つとして、事業計画書が存在する。基本的にはこれが使われているが、作成するための時間がかかりすぎるため、スタートアップ企業には向いていないと筆者は述べている。そこで推奨しているのが「リーンキャンバス」である。「リーンキャンバス」はホワイトボード一枚で10分程度で完成させることができる。
 「リーンキャンバス」とは、アッシュ・マウリャ氏が著書の『Running Lean』で提唱していたスタートアップのビジネスモデルをビジュアル化するためのツールのことである。これに近いものとして、ビジネスモデルキャンバスというものが存在する。しかし、これはリソースがある大企業が新規事業を検討するときに、最適なフレームワークのため、スタートアップには不適切であるという。ちなみに「Lean」とは無駄のないという意味があり、そのようなスタートアップにとってはあまり関係のないリソースの部分を削り、⑴カスタマー⑵課題⑶プロダクトという、スタートアップにとって重要な部分に焦点を当てて作られたのが「リーンキャンバス」である。
 「リーンキャンバス」は9つのブロック(_歛雖顧客セグメントF伴の価値提案ぅ愁螢紂璽轡腑鶚ゥ船礇優覘収益の流れД灰好塙渋き┝舁彁愽賢圧倒的な優位性)に分けられており、それぞれの項目をうめていく。誰のどんな課題を解決するのか、ということがスタートアップの土台になるため、〜をしっかり考えるべきであり、それ以外は〜が変わることでガラリと変化することがあるので、そこまで深掘りする必要はないという。
 近年はAirbnbやメルカリなどのツーサイデッド・マーケット市場が拡大してきている。供給サイドと需要サイドにカスタマーがいるビジネス市場であるため、供給側が増えれば需要側が増え、需要側が増えると供給側が増えるというサイクルになっている。そのため、両者にとって高いバリューを提供する必要がある。なので、供給側と需要側の二つにわけてリーンキャンバスを書き込む必要があるという。

2.リーンスタートアップ型モデル
 代表的な二つのビジネスモデルがある。
 一つはウォーターフォール型モデルである。これはプロダクトの要件を最初に磨き込んで仕様書通りにリリースするモデルである。そのため、時間がかかり、学習タイミングが遅くなることや使わない機能が発生する可能性がある。
 もう一つは、リーンスタートアップ型モデルである。これは、プロダクトの完成形を作らず、検証目的の最小限のプロダクトをリリースするモデルである。早い段階からカスタマーのフィードバックを得られるため、顧客目線で軌道修正を行うことができ、早い段階での学習をすることができる。近年、プロダクトの移り変わりが早くなってきたので有効な手段であるという。

3.ピボッドの重要性と留意点
 ピポッドとは、「ビジョンを変えずに戦略を変えること」である。ピポッドを行うことは、スタートアップ全体の方向転換にあたる非常にインパクトのある行動である。そのため、メンバーの納得感がないまま、ピポッドを行うと組織崩壊につながる可能性がある。また、ピポッドは積み上げてきたものを捨て去る行為なので、時間も資金もないスタートアップが気軽に行うべきではない。
 このようなことにならないためにも「リーンキャンバス」を使用すべきだという。リーンキャンバウを使い、見える化することでメンバー内でブレストし、みんなが納得するビジネスモデルを構築していくべきである。
 しかし、ピポッドしていいのはあくまで戦略だけであり、ビジョンをピポッドしてはいけない。ビジョンをピポッドしてしまうと全く違う企業になってしまうし、自分ごとから離れていってしまうからである。
 スタートアップ企業がPMFを達成するまでの道のりはかなり険しいという。それは資金が尽きるまでにピポッドを繰り返し行い、軌道に乗せなければならないからである。「スタートップは”Hard Things”の連続であり、”Hard Way”を歩んだものだけが成功する」というベン・ホロウィッツの言葉通り、スタートアップ企業は険しい道を乗り越えていかなければならないのである。

[ディスカッション]
 本章で取り上げられているリーンスタートアップ型モデルが提唱されたのは、2008年である。この時期と比べると大きく外部環境の変化が起こったと考えられる。
 そうすることで、リーンスタートアップ型モデルに対する否定的な意見も見受けられるようになってきた。それでもなお、本書で取り上げられていたり、企業に使われている実態がある。
 しかし、これは代替案がないため使われているのではないかと考えた。
 そこで、『その欠点を企業はどのように対応して、利用しているのか?』ということを議題に今回はディスカッションを行った。

 まずは、みんなに欠点だと思うことを挙げてもらい、それにどのように対応しているのだろうかということを議論していった。
 まず挙がった欠点として、最小限でも早く市場に商品を出すためプロダクトの情報が漏れてしまい、模倣される可能性があるのではないか?という欠点が挙がった。これに対応するために企業は、口止め料を払うや特許を取るという対応策が挙がった。資金が少ないスタートアップが口止め料を支払うだけの余裕がないので、大企業にとっては有効な策であるのではないかと議論された。特許を取るということに関しては、両者にとって有効的な対応策なのではないかとなった。
 次にニーズが多様化してきたため、フィードバックをもらったときにどの課題が本質的な課題なのかを判断するのが難しくなっているのではないかという意見が出た。それに対して、企業はアーリーアダプターに聞くこと、自分たちがターゲットにしようと考えている層にアプローチする、AIに学習させて検証を行う、という意見が挙がった。AIに学習させて検証を行うというのは、技術が発達してきた現代だからこそできる対応策であり、ユニークな意見が挙がった。
 次に大企業に関しての欠点として、未完成品を出すことでブランドイメージが傷つく可能性があるのでは?という意見が挙がった。これに対して、大企業はウォーターフォール型モデルを使うべきではないか、ペルソナ像をしっかりと想定し、そこの課題を解決できるような商品を作る、自社の名前を使わずに他の会社に作ってもらうorそういう会社を作る、という意見が挙がった。実際に様々な大手企業が自社の名前を隠しPBを作るなどの策を利用しているため、有効的な対応策なのではないかとなった。
 最後に近年はSNSが広まり簡単に情報が拡散される時代になったため、スタートアップにとっては未完成な商品を出すことで、企業の第一印象が悪くなってしまうのでは?という意見が挙がった。これに対して企業は、逆に改善された時も情報が拡散されやすいのでイメージアップにつながるのではないか、逆に炎上することを狙って少しでも注目してもらうことを狙っている企業もあるのではないかということが挙げられた。

 2008年と比べると、SNSやAIなどの技術が発展し、それを含んだ意見が多く挙げられた。AIを使って検証させることや、SNSを逆に利用し戦略を考えることなどユニークな意見も多く見受けられた。
 ここ10年で外部環境が大きく変化し、企業の取り巻く環境が変化してきた。そうすることで、より、プロダクトの変化も激しくなってきたのではないか。従来通りのやり方では乗り遅れてしまう企業も多く出てくると考えられる。しっかりと、時代の流れを読むことが大切であり、リーンスタートアップ型モデルで学習をいち早く行い、検証を繰り返すことの重要性が、より一層感じられる議論となった。
 今後、SNSなどの外部環境を含めたリーンスタートアップ型モデルに代わる、新たなモデルが提唱されていくのではないか。

うすくら(4年)

起業の科学 Chapter1-3


【要約】
本章ではスタートアップの肝でもあるアイデアの蓋然性を検証する方法を紹介している。つまり、自分がやろうとしているアイデアが、自分の人生を懸けてまで取り組むに値するかに判断を下すということだ。その判断において、なぜ今やるのかが非常に大切であると述べている。市場は常に変化するため、自分のアイデアが“今”受け入れられるのかを検証する必要がある。ベストなタイミングを見つける方法の1つとして、プロダクトの進化が止まっている領域を探すことが良いという。進化がとまっている原因は規制であるかもしれないし、市場がリーダーによって寡占されている場合など様々であるが、いずれにせよプロダクトの進化が止まっている領域に、その市場を再定義できるようなアイデアを投入することが有効な方法であると述べている。
 
この例のように市場の流れを読むことで自らのアイデアの蓋然性を検証することができる。このように市場の流れを読む際には、ミクロな視点ではなくまずマクロな視点で全体像を見る必要がある。そのために本書ではPEST分析が紹介されている。PEST分析とは4つの項目の頭文字をとっていて、それぞれP=politics(政治)、E=Economy(経済)、S=society(社会)、T=Technology(技術)である。政治について、法律や政治、規制の動きによってチャンスが到来することがある。例えば、一般住宅での旅行者宿泊を認める法案が2018年に施行される見通しだが、これは民泊事業関連のスタートアップには追い風である。経済について、アメリカの富裕層と貧困層の平均所得の格差拡大が進む中、貧困層を対象にした教育サービスなど、経済的な変化にもチャンスは隠れている。社会について、最近の健康志向などがまさにそれだろう。人々の嗜好の変化に合わせたアイデアが受け入れられるのだ。技術について、インターネットやスマートフォンがそうであったように、この先のテクノロジーの変化にもスタートアップのチャンスがある。技術の流れを把握したい場合は、『<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則』をぜひ参照して頂きたい。このようにPEST分析によってアイデアの蓋然性を検証することができる。
 
次にスタートアップのアイデアを検証する際、大企業と競争にならない事を確認しておきたい。大企業の戦う市場は競争が激しく、毎年、各社前年度の自社製品や他社製品を超えるべく活動している。そのため、大企業は持続的なイノベーションを行っているといえる。しかし、リソースで劣るスタートアップが持続的なイノベーションの中で戦うことは自殺行為である。スタートアップは、持続的イノベーションを壊す破壊的なイノベーションを起こさなくてはならない。破壊的なイノベーションに繋がる市場は、小さい場合やまだ誰も気づいていない可能性が高いが市場の成長性は高く、これをスタートアップが「組織の中心」に据えた組織デザインができれば、対企業に勝つための数少ない強みになる。
 
以上のようにアイデアの蓋然性を検証するには、まずアイデアが市場の流れを読んだ結果のものであるか。そして、大企業の持続的イノベーションを壊す破壊的イノベーションになりうるかを検討する必要があることを学んだ。


【ディスカッション】
なぜ、イノベーションのジレンマの概念を知っていても大企業は過剰機能を付け続けるのかというテーマで議論を行った。要約で大企業は持続的イノベーションを行っていると述べたが、時にそのイノベーションが顧客の求めるニーズを超え、行き過ぎたものになる場合がある。大企業自身もそのことにはうすうす気がついているが持続的イノベーションから抜けることができないといい、これをイノベーションのジレンマと呼ぶ。では、なぜ大企業は持続的イノベーションから抜け出すことができないのか、という問題意識のもと上記のテーマで議論をするにいたった。

 まず、挙がった意見として競争優位のためという意見があった。大企業の戦う市場は市場規模も大きく市場の成長性も高いため、新しいものを出していかないと他社にシェアを奪われてしまう。そのため、前年より新しい機能やスペックで製品を開発し、それが結果として持続的イノベーションから抜け出せない要因ではないかということだ。他の意見として、持続的イノベーションを続ける中で破壊的イノベーションが生まれることを期待して、持続的イノベーションを続けているのではないかという意見があった。持続的にイノベーションを続けることで、実はその市場を再定義するような破壊的なイノベーションを引き起こすことを期待しているという。また、持続的イノベーションを行う市場は、企業にとって金のなる木であるために、他の事業に資金を回すためにも持続的イノベーションから抜け出すことができないのではないかという意見であった。また、技術者は自分たちが前年に開発した製品より低いスペックのものを市場に出すことに抵抗があるのではないかという意見もあった。これは、単純に自分たちが前年に開発できたものより低いスペックのものを開発することに抵抗があるのではないかという考えや、大企業ゆえに組織が縦割りに分断されていて、各部門ごとで利益を上げなくてはならない中、前年よりスペックの落ちたものを市場に投入して利益が落ちてしまった、なんてことはできるわけがないという意見もあった。これらの理由から、持続的にイノベーションを行うことに目線が向いてしまいニーズを反映できていないや、うすうす持続的イノベーションの限界に気がつきながらも続けてしまうのではないかという意見が挙げられた。

 議論はおおよそ以上の3つの意見に大別できた。これらをまとめると、大企業はその大きな組織をまとめるために、組織を分断する必要がある。その分断によって、大企業に所属する人々は組織全体ではなく自分の所属する小組織の目線から、利益、ステークホルダー、外部環境を考えるという状況に陥ってしまい、結果的には持続的にイノベーションを続けるという意思決定をとるという結論が導き出せたと考える。この結論はリアルだと感じていて、例えば自分が部を任される管理者であった場合、部が成績を落とすことに抵抗を感じるだろう。したがって、前年の自分たち、競合他社よりもいいもの、いい営業、いい企画など様々な面で持続的な改善を行ってしまうのではないか。このように考えるのもすべて、自分が“部”という縦割りされた組織を任されているからだ。正直、自分が末端の若手営業マンであれば、新しいことに挑戦し仕事に対して自分の色身を出したいと考えるが、大企業という組織の構造上、その縦割り組織のうちの1つを任されれば話は違う。本書で言われている通り、大企業が90点を取るための選択をするのと同様に、大企業の小組織である部においても90点を取る選択をすると思う。これが、大企業がイノベーションのジレンマの概念を知っていても過剰機能を付け続けてまう原因であると私たちは考えた。


ちば(4年)

起業の科学 Chapter 1

 本書では、スタートアップについて述べられている。スタートアップが成功する基準として、PMFがあり、スタートアップが成功するにはPMFの達成が鍵となる。しかし、多くのスタートアップはプロダクトを作る段階でアイデアが十分に検証されていため、失敗するケースが多い。そのような事態に陥らないためには、課題の質を高めて自分たちのアイデアが市場から求められているものなのかを検証することが重要であると筆者は述べている。課題の質を決める要素として、ファウンダー自身が高い専門性や業界の知識、市場の変化に対する理解度を持っていることが求められる。また、ターゲットとする課題が「自分ごと」であることも求められる。

 誰が聞いても良いアイデアは避けるべきだと筆者は主張している。誰が聞いてもいいアイデアは大企業が好むものであり、スタートアップがその市場で勝負するのは得策ではないと主張している。スタートアップは言語化して人に伝えられないような課題のほうが好まれる。近年では、ITの進歩で、マーケットのパラダイムシフトが高速化していることやビックデータとスマホの普及によって、ユーザーのサービスに対するロイヤルティールーブが極端に高速化していることなどの理由からクレージーなアイデアが求められている。

 スタートアップとスモールビジネスの違いについて本章では述べられている。「起業=スタートアップ」というイメージがついていることに異議を主張している。スタートアップとスモールビジネスを成長方法やターゲットの市場規模、スケールへの姿勢、ステークホルダー、対応可能市場、イノベーションの手法の項目別に比較している。スタートアップはPMFを達成すると一般企業に成長するため組織が再構築されていく。永遠にスタートアップであり続けることは理論的にはありえないと主張している。スタートアップは一般企業では良しとされていることがスタートアップに良くないとされていることがある。またスタートアップには忘れ去るべき常識がある。100点満点の解答用紙正しい答えを埋めようとすることや上司に上手く報告するゲーム、多くの人から好かれようとすることなど述べられている。

【ディスカッション】
「日本でキャッシュレス化を流行らせるためにはどうしたらいいか」ということをテーマに行いました。最初に、日本でキャッシュレス決済が流行らない理由を述べてもらい、その中で最も大学生が使わない理由を用いて、その理由を解決できる提案をディスカッションをしました。大学生の選定理由は、課題のセグメントを明確にしないと広すぎるため、自身が大学生で全員の考えが一致しやすいと判断したため今回は断定しました。
キャッシュレス化が流行らない理由として、様々な意見が挙がった。現金主義が根付いていることや、複数人で飲食店に行った際に割り勘で支払うことが多くクレジットカードや電子マネーではできなくて不便なこと、日本はATMが全国の至る所にあり、現金がなくてもすぐに引き出して使えるのでキャッシュレス決済を利用する必要がないこと、現金で支払った際にはお金を支払ったと感じるが、キャッシュレス決済を利用した場合お金を使用した感覚がないこと、請求に追われるのが嫌なこと、キャッシュレス決済の利便性を理解していないため使おうとは思わないからなどの意見が挙がった。
次に、上記で挙がった意見に対して最も大学生が使わない理由を選定しました。ここでは多数決を取り決めました。使った感覚がなく使い過ぎてしまうことを恐れて使えないことと、請求に追われるような生活はしたくないからと言った理由が中野ゼミでは当てはまった。
最後に、上記の大学生がキャッシュレス決済を使用しない課題を解決するために、両者もしくは片方の課題に対して解決できるサービスや仕組みを考えました。挙がった意見として、上限金額を3万円などの低い設定にし、使い過ぎを防止する。キャッシュレス決済をしたときにラインに通知がすぐ来るようにする。クレジットカードのような後払いではなくデビットカードを普及させる。デビッドカードの場合、大学と提携して学生証をデビッドカードと普及させて学食や生協、コンビニなどの支払いを出来るような仕組みを構築するといいのではないかという意見が出ました。しかし、デビッドカードでは口座にある分しか使えないため、好ましくないという意見も出た。その中で、学生の間は使い放題で社会人になったら支払えるようなカードが欲しいという発言があった。それに対して肯定的な意見が多く、ある一定の上限を設けることや、大学4年生で就活が終わって内定書や大学の卒業見込み証明書などを提示すれば社会人になっても支払い能力があることがわかるため、カードを作るための条件にすればいいのではないかという追加の意見も出た。
今回のディスカッションでは、大学生という視点を入れたことによりニーズはせまくなってしまったが、日本がキャッシュレス決済を活発化させるための課題の解決に成り得る意見も多々出すことができた。

(4年 軒口)

技術者間における知識移転の促進要因-情報獲得者の観点から-

本稿では、新製品開発プロジェクトにおける技術者間の知識移転を促進する要因を明らかにするために研究が行われた。実証分析の結果、部門内と部門間では知識移転の促進・阻害要因が異なることが明らかになった。そこで、私たちはチーム研究(部門内)において、知識移転を促進するにはどうすればよいかを疑問に持ち、ディスカッションのテーマに選んだ。
 
現在、チーム研究の発表に対する質疑では、3年生ばかりが答えていることから、チーム内で知識移転が行われていないと考え、これをディスカッションの前提とした。いざ議論を始めたところ、ここでの知識移転は知識共有ではないかということになったが議論を進めていくことになった。最初に、なぜ知識移転が行われていないのかを話合った。この質問に対して、期限に迫られてしまうことで結局3年生が進めてしまう、信頼関係を築けていない、2年生が3年生を信頼しているからこそ知識移転を阻害している、その場にいなかった人への共有ができていない、その場で分からないと思っても聞けない、研究を進めていく中で2年生がついていけてない、などの意見が出た。
 
次に、知識移転が行われない理由に対しての解決策を挙げ、議論を行った。いなかった人への共有をするためには、その日に話し合った内容を形式知化し伝える。これに関してはネット内でお互いが集めた資料を共有しているチームがあった。2年生が研究についていけない、その場で分からない問題に対して、定期的に質問の時間を設けるという意見が出た。これを行うことで、2年生も内容をより理解できるからである。また、3年生がもっと積極的に2年生に理解できているかを確認するという意見も出た。理解するという点で、ホワイトボードを使う際には2年生に書いてもらうことなど、アウトプットする機会を増やすいという意見もあった。
 
以上のように、知識移転が行われていない理由を挙げ、それに対しての解決策を考えながら議論を行った。知識共有の話になってしまいがちであったが、、研究の進め方として活かしていける議論を行えたと感じた。先生からも指摘されたように、今回は部門内でのディスカッションになり、部門間での議論を行えていなかった。チーム内でも問題はあるが、今後チームで研究を行っていく際は、部門間でのつながりも意識する必要がある。なぜなら、集団的教育指導を行うことで、他のチームも含めお互いが成長できるからである。これはチームの成長だけでなく、ゼミという組織においても成長できると考える。そのためにも共有だけでなく、確認も行うことで、お互いが成長してける。今回のディスカッションを参考にしながら、今後の研究を進めていきたい。

よしかわ(3年)

ルーチン形成における管理者の認識とパワー ー自動車販売現場における管理者の役割ー

本稿では、既存の組織ルーチンのもとでパワーを獲得した管理者がどのようにして新しい組織ルーチンの形成を促進できたかを、自動車ディーラーの店舗へのインタビューを元に明らかにしている。ここでいう組織ルーチンの形成とは、組織において安定的に繰り返される行動のパターンが見られるときのことを指す。結論としては、新しい組織のルーチンを形成するためには、管理者が組織全体のパフォーマンスへの意識と、長期的なパフォーマンスへの意識という2つの認識を変化させることが重要である。

多くの企業では、本稿の結論と同様に、組織ルーチンを形成する際には管理者のパワーや認識というものが深く関わってくるだろう。しかし、ゼミナールのような管理者が絶大なパワーや決定力を持っているのではない組織では、何が組織ルーチンの形成を促進するのかという疑問を抱いた。そこで、中野ゼミナールで今年度からコミュニケーションの活発化を目的に新設された「イベント」という活動を例に挙げ、これがなぜ今組織ルーチンとして形成されていないのかをディスカッションテーマとした。イベントという活動にはその管理者であるイベント係がおり、イベント係が毎回のイベントの企画、スケジューリング、実行までを行なっている。前提として、全員が必ずイベントに出席するようになるということが、ルーチンが形成されたことを意味する。

ディスカッションの中で出てきた意見として、まだ実施回数が少ないから、コミュニケーションの活性化があまり見られず参加してもつまらないから、行かないことを容認している雰囲気が出てしまっているからなどがあげられた。しかし、中でも活発に出た意見は、学園祭実行委員会の集まりという1年前から決まった予定があるなど、参加したくてもできない人も多いという解決が困難な理由であった。そこで議論は、そもそもイベントにおける組織ルーチンの形成は、全員が必ず出席することではないのではないかという点に移った。仕方のない理由で来れない人は、前々から決まった予定が無い限りは出席するということで、参加率は組織ルーチンの形成には関係ないのではないかと考えられたからである。では、どのような状態が本ゼミナールのイベントにおける組織ルーチンの形成にあたるのだろうか。これに対しての意見は、イベント係以外の人が企画を考えるなどイベントへの貢献が現れることや、イベントではない場でも積極的なコミュニケーションを取るようになることなどに纏まった。

反省点としては、ディスカッションの前提が皆の納得のいくものではなかった為、そこで大幅に時間を取ってしまい、新たな前提を用いてディスカッションを行えなかった。ディスカッションテーマの大きな意図として、イベントに対する個々の意見を引き出すということがあったが、時間が足りず限られた人の意見しか知ることが出来なかったことが大変残念だった。次回ディスカッションテーマを決める際は今回の反省を踏まえ、より多くの人の意見を引き出せるようにし、テーマとなった活動に対してプラスの影響を与えられるようにしたい。

くまざき(3年)

イノベーションの資源動員と技術進化:カネカの太陽電池事業の事例

 本稿は、イノベーションの実現プロセスにおいて「知識創造」と「資源動員」がどのように関わり成果に結びつくのかを、特定事例の詳細な研究を通して浮き彫りにし、この二つの側面を考慮したイノベーションのプロセスに関する新たな仮説を得ることを目的としている。カネカの太陽電池事業の事例は、技術シーズとその用途が複数存在しあうイノベーションのプロセスであり、カネカにとっては技術を応用すべき製品と顧客の探索を含むイノベーションである。この事例から、イノベーションの推進に寄与する四つの知見をえることができた。一つ目は、新たな知識を創造するだけでなく、それがより確実な未来の提示につながる必要があるということ。二つ目は、短期的なサイクルで技術開発をしてイノベーションを成し遂げることが、長期的な目標のための資源動員を助けるということ。三つ目は、短期的なイノベーションを乗り越えるには、補完技術を柔軟に活用できる能力が必要だということ。最後は、資源動員の側面から、長期のイノベーションと短期のイノベーションでは、発揮すべき能力が異なるという知見を得ることができた。


 本稿の最後に、カネカの事例を通して示した仮説は単一事例にもとづいており、その一般可能性については慎重に検討する必要があると書かれている。これに対して、「カネカの事例を一般化するにはどうすればいいのか」という質問が挙げられた。他にも、「カネカの事例を単一事例研究として選択した理由はなにか」という質問があげられ、それについて多くの意見が交わされた。具体的には、既存の研究で言われている理論や仮説に対して、「反証の事例として本研究が用いられており、新しい仮説を構築するためではないか」という意見や、「新たな仮説を構築するまではいかないが、既存の理論を改善するための新しい見方を加えることではないか」といった意見があげられた。このように、一人の質問に対して多くの意見があがったことで、予定の時間を超えた議論にまで発展した。


 カネカの事例では、想定外のイノベーションが当初の目的である野心的なイノベーションに結実したため、想定外のイノベーションの重要性が強調されている。一方、資源に恵まれた組織は狙った用途に向けた技術開発に適している反面、試行が進まないために想定外のイノベーションが生まれる可能性は低くなると述べられている。そこで、狙った用途に向けて一直線に技術開発をし、イノベーションを推進できる資源に恵まれた組織は、当初の目的とは違った不確実性の高い想定外のイノベーションが生まれる可能性が現れたときに、資源を動員するべきなのか、という疑問を抱き下記のディスカッションテーマを選択した。


 それは、「資源に恵まれた組織は、想定外のイノベーションを生み出す必要があるのだろうか」というものだ。しかし、イノベーションを生み出す必要があるのだろうか、という言葉に対して、イノベーションとはそもそも狙って起こすのではなく、想定外に起こるものではないかという質問をいただいた。確かにイノベーションとは、最初から狙って起こせるものではないが、本稿ではあえて当初の狙いと突然現れたものを区別するために、イノベーションと想定外のイノベーションという言葉が分けられて用いられていた。私たちは、本稿の内容にもとづいてディスカッションテーマを定めたのだが、その意図がうまく伝わらず、最初に思い描いていた議論を展開することができなかった。議論が上手くできなかった理由として、発表側と聞き手側の論文の理解度の差、意図を端的に伝えることができない低い文章力が考えられる。このことから、相手に想いを伝えるためには、相手の立場に立って初見でも理解しやすい文章を書き、誤解を招かない丁寧な説明が必要だということを改めて学ぶことができた。


やまもと(3年)

第10章 単一事例研究の用い方

 因果効果の確認を単一の観察に基づいて行う方法として、決定的事例研究が挙げられている。しかしキング=コヘイン=ヴァーバは、このような逸脱事例によって理論を検証するアプローチを2つの理由から批判している。1つ目は、観察が1つでは確定的なことは言えないからという理由で、2つ目は観察には誤差が生じるからという理由である。しかし決定的事例研究は、理論仮説の検証ではなく仮説の構築や改善に用いられるものだと筆者は述べている。たしかに観察事例が1つでは、理論を検証してもそこから決定的な確証を得ることや反証することは難しいだろう。しかしながら、単一事例で理論仮説の改善すらも行ってよいのかという点に疑問を感じ、今回のディスカッションテーマとした。

 しかし、理論仮説の改善について行ってよいかという問いでは、すでに行われているため適切ではないという意見が出たため、改善すべきかどうかというテーマでディスカッションを行うこととした。また、これだけでは議論が難しいと考えたため、実際の例として「資源の呪い」理論をベネズエラの事例を用いて改善したダニングと、経済成長と民主化の関係について中国やインドを用いた事例を取り上げた。意見としては、改善すべきという立場がほとんどであった。その理由として、改善しているというよりも既存の理論にプラスアルファで追加しているイメージだからや、新しいデータとして理論に含めるべき、なぜ逸脱事例であるのかを論理的に説明できるのであれば改善してもよい、といった意見が出た。逆に改善すべきではないという立場の人からは、複数事例ならば改善してもよいが単一では難しいのではないかや、その事例が外れ値であったら改善すべきではないという意見が出た。

 今回は、逸脱事例と外れ値の事例についての区別が自分でも明確にできていなかったため、改善すべきという意見に議論が偏ってしまった。私個人としては、単一であるからこそ簡単に改善してはいけないと考えていたので、もう少し意見にばらつきが出ると考えていた。しかしながら、単一事例研究は単一であるからこそ、その事例を選んだ理由や、その事例が既存理論に対してどのような役割を果たすのかを考えて研究する必要がある。その点を考える上では、今回の議論は意味のあるものであったと思いたい。

ことう(3年)

第9章 比較事例研究の可能性

 第9章では、少数の事例を絞って質的研究の因果推論を行う上での方法について述べられていた。質的研究の因果推論を行う方法としては、ジョン・スチュアート名づけたの差異法と合意法に二つに分類される。一つ目は差異法である。差異法とは異なる結果を占めている複数の事例を比較して、その違いをもたらした原因を推論する方法である。二つ目は合意法である。合意法では、複数の事例にともに生じたある事象の原因として、これらの複数の事例に共通して存在する要因を探すことで、因果関係の推論を行う方法である。しかし、二つの質的研究の因果推論を行う方法をそれぞれのメリットとディメリットがあるので、このような方法は実際に私たちが就活するにあたって少数の先輩を絞って就活のことを聞く時に、どちらの方法を使った方がいいのだろうか。そこで、私達が実際に就活を始めた時に、差異法と合意法どちらを使うべきだかという疑問を持ったため、このテーマにディスカッションを行なった。

 今回のディスカッションの前提は、内定をもらった先輩と内定をもらっていない先輩という従属変数を設定したのである。独立変数は、ゼミナールのメールリストの就活報告メールを読むことが原因とした。また、他の変数では、ゼミナールのメールリストの就活報告メールを読むこと以外として、就活の動きの時間や勉強時間などがあった。議論を始める前に、ゼミ生がどちらかを使うか人数を測り、30人の中に差異法を使う人数は20人だった。一方で、合意法を使う人数は10人だった。多くの人が差異法を使う理由としては先輩の失敗した要因を知ることができること、自分と照らし合わせ、細かいことまで分かり、面接する時に、同じような失敗を起きないように別の言い方ができる。しかし、ディメリットとしては、実際に先輩たちが失敗した本当の要因が分からない。その要因を知っても役に立たない。そして、合意法のメリットは、成功した先輩の共通点が見つかりやすく、参考になる。成功した人に成りきることができること。自分に関係している事が含まれていることなどがあげられる。一方で、合意法のデメリットとしては、先輩が受かった理由がわからないこと、失敗した人を見てもプラスにならないことなどがあげられた。

 このような議論が進んでいるなか、私が1日前という時間の条件を入れたことによって、多くの人が合意法の方を選択することがわかった。一方で、差異法が良いと考えるゼミ生もいた。理由は、直前に失敗する理由を見ることが大事と考える人もいた。議論の最後に、人数をはかった結果、30人の中に差異法を使うと人数は11人になって、一方で合意法を使う人数は19人になった。そこで、分かったことは時間的制約を設けなければ差異法が多かったが時間的制約を設けた結果、合意法の方が多くなった。就職活動を行う上で始めたころは、差異方を用いて先輩の就活を分析し、自分に合ったやり方を見つけることが大切である。また、時間がなくなった場合は合意法で成功要因などを分析して面接に臨む方が良いと考える。

タン(3年)

原因を推論する 第7章 他の変数の統制

 P129では、因果的推論を確実に行うことはできないという問題があると言われている。そこで、その問題を解決するために本章では2つの解決方法が挙げられていた。1つ目は科学的解決である。これは、ある因果関係が過去の科学的知識と同質であるということを認めることで解決する方法である。2つ目は統計的解決である。これは、自分たちでランダムサンプリングを行うことで他の変数を統制することを可能にし、問題を解決する方法である。本章では、因果推論を確実に行うことができないという問題に対して2つの解決方法が挙げられていた。そこで私は、実際に因果関係を推論する際にどちらを使うべきかという疑問を持ったため、ディスカッションポイントのテーマとした。

 ディスカッションの前提として、レジュメには研究をうまく進めていくためにはどうするべきかと記したが、実際には因果関係を推論するにはどちらの方法を取るべきかを前提として議論を進めていった。まず科学的解決方法を用いたほうが良い側としては、過去ですでに実証されていることだから正しい、同じような理論をさがすなら科学的なものを使用したほうがよい、統計的な解決で自分たちで行うのには限りがあるため不可能である、などの意見が挙げられた。一方で統計的解決方法を用いたほうが良い側としては、自分たちが欲しいと思っているデータを得ることができる、科学的理論を全く同じものとして使うことはできない、過去ではなく今の状況に合わせたデータを得ることができる、などの意見が挙げられた。

 以上のように、科学的解決と統計的解決の良い点と悪い点が挙げられた。ここで私は、ディスカッションを行ったことで、因果関係をより確実に推論できるのは統計的解決ではないかという印象を持った。その一番の理由は、統計的解決を使うことで今の環境にあった最善のデータを得ることができるからだ。科学的解決を行う場合、同質なものを見つけてそれを使うことはできるが、それが現在の因果関係を確実に説明できるわけではない。また、例え同じような理論があったとしても、それを実証した時と今では時代背景が異なるため、本当に現在の因果関係を推論するために使うことはできないだろう。しかし、統計的解決の場合はサンプル数に限界はあるが、自分たちが欲している今の時代にあったデータを得ることができるだろう。

 因果推論を確実に行えないという問題を解決するために、科学的解決と統計的解決のどちらを使うべきなのかについて議論をしたが、どちらにも利点があり一概にどちらを使うべきだということは言えなかった。しかし、今回の議論では、因果関係を確実に推論するにはどちらかというと統計的解決をすべきという意見のほうが強かったのではないかと感じた。また、この統計的解決においてランダムサンプリングを使用することで、独立変数以外の変数を統制することができるだろう。したがって、本章のテーマである他の変数の影響を考慮する上で因果関係の推論を行う重要さというものが理解できたと言える。

やくら (3年)

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