ファンデリーの顧客を増加させるアプローチとは

 内海(2017)によると、ファンデリーは2000年に設立され、健康弁当の通信販売と栄養相談を行っている会社である。ファンデリーは、弁当を購入する顧客に対して、栄養士が電話でカウンセリングすることを最大の売りとしている。また、顧客が負担するのは弁当代のみで、登録料やカウンセリング料はかからない。ファンデリーが運営している健康弁当の通販サイトでは400種類以上の弁当を取り揃えており、カロリー制限、たんぱく質調整、ケア食など様々な顧客の要望に対応可能である。ファンデリーはこのような弁当を500円程度で提供している。
 
 私はファンデリーの方針に賛成である。その理由は3点ある。

 1点目は、顧客の幅が広い点である。ファンデリーが顧客として扱っているのは、自宅で栄養管理が必要な患者、高齢者、健康志向である人などである。利用者には、血液検査などを用いて、一人一人に合わせたカウンセリングを行っている。高齢者には咀嚼しやすいように柔らかい弁当を提供し、健康志向である人には、カロリーが弁当一つ一つに表示してあることからなど簡単に自分で健康管理ができるようになっている。このように栄養管理を通じて食生活全般からアドバイスしている。

 2点目に、顧客の視点から適切な価格の設定でサービスを受けられる点である。食生活から健康を改善するには継続することが大切であり、それには費用もかかる。ファンデリーの健康弁当は、朝食、昼食、夕食の指定もなく一食500円程度で提供されているため、客が利用しやすい価格である。東京都(2012)より、平日の昼食一食にかける平均金額は500円以上800円未満が一番多いことが分かる。そのためファンデリーは顧客を掴むための優れた価格設定をしていると言えるだろう。
 
 3点目は、ファンデリーの視点から、ロスを最小限まで抑えている点である。1点目に挙げたようにファンデリーは多種類の弁当を取り揃えている。多種類の製品を取り扱っていればそのコントロールは難しくなる。そうするとどうしてもロスが増えてしまう。そこで、ファンデリーは弁当を冷凍にすることで賞味期限を3ヶ月〜1年にしている。賞味期限を長くすることで顧客の発注の量に合わせて長期的に在庫量を調節することができるようになるため、廃棄ロスをゼロまで抑えることができるのである。
 
 しかし、現在のファンデリーは、自社のサービスで対応できる顧客を全て掴むことができていない。そこで、私はファンデリーの顧客へのアプローチ方法を変える必要があると考える。その際に考慮すべき点として、外部環境要因が二点、内部環境要因が一点存在する。

 まず、外部環境要因の一点目について述べていく。日本経済新聞(2017)によると、配食産業市場は一貫して伸張傾向であり、今後も拡大することが予想されている。これに合わせてファンデリーも市場を拡大していかなければ他社に市場を奪われてしまうだろう。二点目の外部環境要因として、配食産業にすでに競合他社の存在していることが挙げられる。配食産業の顧客は定期的または長期的に利用するため、スイッチングコストが高いと言われている。さらに、スイッチングコストが高いことは、他社に乗り換えられるリスクが低いという長所となる。一方で、他社からファンデリーに乗り換えさせることは簡単でない点も短所として挙げられる。そこで、ファンデリーは市場拡大に適応するために、新規顧客に注力したアプローチをすることが必要であると考えた。

 最後に内部環境要因として、ファンデリーの売上高のおよそ90パーセントが配食サービスで占められていることが挙げられる。時代の流れによるリスクを回避するために多角化する企業もあるが、事業を単一にすることで、資本や労働力を一つに集中し、効率的に事業を進めることができる。さらに、健康食宅配サービス市場が拡大していくため、ファンデリーは他事業を始めるのではなく、今後も配食サービスに特化していくべきだと考える。

 ファンデリーの競合他社の顧客は、ファンデリー同様主に病人や健康志向の強い人などであるため、現在ファンデリーは顧客へのアプローチにおいて他社と差別化することができていない。そこで、私はファンデリーへ顧客へのアプローチ方法を変えることを提案したい。ファンデリーが個人顧客へのアプローチだけではなく、健康食サービスを必要としている病院や介護施設といった組織へのアプローチを始めるということである。

 この提案により、ファンデリーは上記の三点の方針をさらに活かすことができると考える。まず、もともとファンデリーのサービスは顧客の要望に柔軟に対応しているため、アプローチ方法を変えることによって増加する顧客に対しても容易に対応することができる。つまり、既存サービスのまま新規顧客への対応が可能なのである。次に、弁当が安価であることから、顧客を獲得しやすい点が挙げられる。患者は退院したからと言って完治したわけではなく、退院後も長期間に及ぶ栄養管理を自宅で行わなければならない場合もある。その点で、ファンデリーは他社と比べ比較的安価に弁当を提供しているため、患者は長期的に利用することができるだろう。さらに、顧客へのアプローチ方法を変えたとしてもロスが増えることはない。なぜならファンデリーは弁当を冷凍して管理しているため、現在のロスもゼロに近く、顧客数が多くなったとしてもロスの増えにくいことが予想されるからである。

 これらに加えて、一つの組織にアプローチできれば効率的に新規顧客を増やすことができるというメリットも考えられる。ファンデリーは、現在新規顧客の獲得を顧客とオペレーターの一対一で対応している。しかし、ファンデリーのリソースは少なく、顧客数を増やしていくことに時間がかかってしまう。そこで、ファンデリーの顧客としたい人々を多く抱える病院や介護施設にアプローチすることで、間接的に数十人、数百人規模で新規顧客を取り込むことにつながるのである。つまり、アプローチ方法を変えることで、ファンデリーはリソースの少なさに制限されることなく新規顧客を増やすことができるのである。

 しかも、この提携によるメリットは、ファンデリーに加えその顧客と提携先である病院や介護施設にもあると考えられる。まず、病院や介護施設は入院患者一人一人に合わせた病院食等を提供しているが、患者個人の好みに合わせるという対応はできていないところが多い。その点ファンデリーのサービスでは、利用者が豊富な種類から弁当を選択することができるため、容易に利用者の好みに合わせることができる。また、病院や介護施設は、介護士やヘルパーの労働量を軽減することができるのもメリットである。日本経済新聞(2017)によると、高齢者は増加の一途をたどる一方であり、介護施設では深刻なヘルパー不足が叫ばれている。その施設内で個人単位の食事を管理する労力はとても大きい。今後高齢者が増加し、ますますヘルパーの仕事量の増加が予想されているため、外部に委託できる作業のアウトソーシングを積極的に取り入れていくべきであると考える。このように病院や介護施設が入居者の栄養状況など健康の管理をファンデリーに委託することで、ヘルパーの労働量を削減できるのだ。つまり、ファンデリーとの提携によって、顧客や病院、介護施設もメリットを享受することができるのである。

 高齢化により、宅食サービスを扱う企業が増加し、今後も市場の拡大が見込まれている。しかし、ファンデリーは、新規顧客獲得のアプローチをオペレーターが一対一で行っているため、効率的に顧客を増やすことができていない。そのため、現在のままでは今後市場の成長スピードに追いつくことができなくなることが予想される。そこで、ファンデリーは新規顧客の獲得をするために、病院や介護施設といったファンデリーの顧客としたい人々を既に多く抱えている組織にアプローチすることにより、ファンデリーは効率的に新規顧客を獲得できるようになるのである。つまり、競合他社が既に多く存在しており、かつ成長が見込まれている市場では、企業や法人にアプローチを拡大することで、他社よりも効率的に顧客を取り込めるようになると私は考える。

〈参考文献〉
株式会社ファンデリー (2014) 「経営方針 事業等のリスク」http://www.fundely.co.jp/ir/management_policy/risk_factor 2017年7月3日閲覧.
日本経済新聞 (2017) 「介護職員、離職16.7%、昨年度調査、人手不足が常態化。」 『日本経済新聞』 2017年8月5日, 夕刊, 8 2017年9月12日閲覧.
日本経済新聞 (2017) 「矢野経済研究所、「メディカル給食・在宅配食サービス市場に関する調査」結果を発表」 http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0452557_01.pdf 2018 2017年9月12日閲覧.
東京都(2012) 「外食・中食で使用する金額」 『都民の食習慣と外食・中食の利用状況』 http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2012/07/60m7v106.htm 2017年6月26日閲覧.
内海真希 (2017) 「栄養士と二人三脚で健康に」 『日経ビジネス』 1895, 118-119.

きむら(3年)

役職定年制導入に伴うモチベーション低下の解決方法

西(2017)によると、成果主義の定着や役割定年制¹の導入に伴い、年下の上司を持つミドルが増えている。役職定年制とは、役職者が一定年齢に達した場合、ライン系の管理職ポストをはずれて、非ライン系等の専門職などに移動する人事制度である(水谷, 2015)。この制度は、長期雇用慣行のもとで人事費抑制や若手の育成、従業員のモチベーション向上を狙いとしている。

 私は企業側の視点に立った時、役職定年制に賛成である。理由は3つ挙げられる。1つ目は、若手を育成することができる点である。役職に定年を設ければ、比較的に早い段階で次の世代に役職業務を任せることになり、早い段階で役職者となった若手の従業員にとっては成長の機会を得ることができる。このように、若手を育成することで組織の新陳代謝を促し、さらに企業が成長していくことが可能となる。2つ目は、人件費を抑えることができる点である。長期雇用慣行の下では、年齢を重ねるごとに役職が上がっていき、その分給料も増えていく。しかし、役職から外すことで役職手当が無くなり、その分の人件費を抑えることが可能となる。3つ目は従業員のモチベーションを上げられることである。ここでは若手の従業員とする。役職者の定年を設けることにより、若手の従業員が早めに役職に就くことができる可能性があるため、仕事に対するモチベーションを上げることができる。

 しかし、役職定年制導入によって従業員側に生じるデメリットが3つ考えられる。1つ目は、役職から外された従業員 の社内のキャリア形成が阻害されてしまう点である。年功序列制度下では途中で役職が下がることはない。しかし、役職定年制が導入されたことにより、一定年齢に達すると役職から外されてしまう。つまり、役職定年制導入前に役職者が考えていた社内のキャリアが阻害されてしまうのだ。2つ目は、役職から外された従業員の賃金が下がってしまう点である。年功序列制度下では年齢や勤続年数が上がるにつれて収入が上がっていく。しかし、役職定年制を導入したことによって、役職手当が無くなるため、その分の賃金が低下してしまうのだ。3つ目は役職から外された従業員のモチベーションが低下してしまう点である。Hackman&Oldman(1975)によると、仕事がもつ人を動機づける要素には技能多様性・タスク完結性・タスク重要性・自律性・フィードバックという5つの中核的職務次元があり、これらの要素を多くもつ仕事ほど内発的動機づけが高まると言われている。しかし、現場での活動では、HackmanとOldmanが述べていたタスク完結性、タスク重要性、自律性は役職についていた時よりも低下してしまうと考えられる。まず、タスク完結性が低下してしまう理由は、役職についていた時は管理職として会社全体を管理していたが、現場での仕事となったことで全体の一部分のみにしか関与することができなくなってしまうからである。次に、タスク重要性が低下する理由については、現場での仕事は役職についていた時よりも会社全体に与える影響が少なくなるから、と考えられる。最後に、自律性が低下する理由は、現場での仕事は既にマニュアルなどで定められていることが多いからである。臨機応変に対応しなくてはならない役職者の仕事に比べて、自律性は低下してしまうだろう。以上のことから、役職を外れた後、タスク完結性、タスク重要性、自律性が低下してしまうため、仕事に対するモチベーションも低下してしまうと言える。
 
 このように、役職定年制導入によるデメリットは存在するが、私は役職定年制を導入すべきだと考える。少子高齢化によって現場に入ってくる若手の人数が減少し、現場の労働力が減少してしまっている。そこで、役職定年制を導入することで、人の集まり過ぎている役職から現場へ人員移動をして、役職で持て余していた人材を現場で新たな労働力として使うことができる。そうすることで、役職手当の抑制と現場の労働力の増加が見込めるため、企業にとって導入すべきであると考える。

 しかし、デメリットで挙げたように、役職を外された従業員のモチベーションが低下してしまう場合がある。それでは、役職を外された従業員にたいしてどのような対策をすべきなのか。私は、役職を外された従業員同士の売上を比較し競争させることで、仕事に対するモチベーションを維持することができるのではないかと考える。例えば、現場が人員不足とされている飲食業界では、役職定年制導入によって役職を外された従業員が店長として店舗へつき、前年度からの売上高の伸び率を比較し、それに応じて報酬を定める方法である。

 これによって、Hackman&Oldman(1975)が述べていた5つの中核的職務次元のうち、タスク重要性、タスク完結性、自律性、フィードバックを得ることができると考える。第一に、タスク重要性を得る理由については、その店舗のトップとして配置されるため、自分の仕事がその店舗全体に大きな影響を与えるからである。第二に、タスク完結性を得る理由は、接客業務といった一部の仕事だけでなく、仕入れやシフト作成といったすべての仕事を最初から最後までマネジメントするからだ。第三に、自律性を得る理由については、店長として配置し、仕事に関する権限が与えられることで、自分の考えで進めることができるからである。第四に、フィードバックを得る理由は、売上の伸び率について比較をしているため、仕事の結果を目に見える形で評価されるからだ。以上のことから、タスク重要性、タスク完結性、自律性に加えてフィードバックも得ることができるため、役職を外された従業員のモチベーションを維持することができると考える。

 上記の提案は飲食業界に限らず、自社で店舗をもつ業界ならば適応することができると考える。なぜなら、店舗ごとに前年度からの売上の伸び率を比較することができれば、競争させることが可能となるからだ。ただ、役職を外された従業員の仕事に対するモチベーションを維持するためには、仕事において競争させる必要がある。つまり、自社で店舗を持つ業界に役職定年制を導入する際には、現場において役職を外された従業員が相手と競争できる環境を整えなくてはならないのだ。

やくら(3年)

【参考文献】
Hackman, J.R. and Oldman, G.R.(1975). Development of theJob Diagnostic Survey. Jornal of Applied Psychology, 60(2), 159-170.
水谷英夫 (2015) 『労働者+使用者側 Q&A新リストラと労働法 ―PIPリストラ、ロックアウト解雇、追い出し部屋、ハラスメント、有期使用、成果主義、役職定年制―』日本加除出版.
西雄大 (2017) 「全国3000万ミドルの新・処世術 年下上司のなつかせ方」『日経ビジネス』1898, 44-49.

¹役職定年制のことだと思われる。

再生可能エネルギーを普及させるために

 日本創成会議(2014)によると、日本における地方の人口減少の抑止剤として再生可能エネルギーが注目されているという。縦に長い日本列島はその地域ごとにさまざまな再生可能エネルギーに恵まれている。火山国であるため地熱資源量は世界第3位であり温泉熱が豊富な上、北海道・東北などでは風力に恵まれ、資源は豊富なのだ。  
 
 そもそも再生可能エネルギーを利用することのメリットは何なのであろうか。資源エネルギー庁HPによると、再生可能エネルギーは太陽光や風力など自然界に存在するエネルギーであるため永久に枯渇することがない。また、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないため、環境にとても優しいのである。日本はエネルギーの8割以上を石油や石炭などの化石燃料に頼っており、さらにそれらの多くは海外からの輸入に頼っているため、先進国でありながらエネルギー自給率は極めて低い。このような状況の中で、資源の枯渇の心配がなく環境への負荷が少ない再生可能エネルギーの導入は、いち早く進められるべきことなのである。

 しかし、国内の再生可能エネルギー普及率はまだまだ低い。倉阪(2017)によると、都道府県単位での再生可能エネルギー自給率を見てみると、1位は温泉熱を利用した大分県であるが32.2%にとどまっている。また、再生可能エネルギーによるエネルギー自給率(地域社会が消費する電気や熱などのエネルギーを、地域内で作った再生可能エネルギーで賄う割合)が100%以上の市区町村は約4%であり、再生可能エネルギーはまだまだ浸透していないことがわかる。

 では、再生可能エネルギーの普及率はなぜ上がらないのだろうか。資源エネルギー庁HPは再生可能エネルギー導入の課題として、設備価格の高さ、供給電力の不安定さ、余剰電力処理の難しさや発電コストの高さを挙げている。これらの問題点により、再生可能エネルギーは売る側も作る側もなかなか事業者が集まらなかった。そこで、2012年7月より政府主導で「固定価格買取制度」が実施された。この制度は、経済産業大臣に認定された再生可能エネルギー事業会社は、電力会社に固定された価格で電力を売ることができるという仕組みである。高価格である再生可能エネルギーは、電力会社になかなか取り扱ってもらえなかったが、この制度の導入により取引量が多くなることが期待された。しかし、結果としてエネルギーの中で再生可能エネルギーが占める割合は、2011年から2014年にかけて1.4%から3.2%に増加するものの、大きく変化しなかった。

 「固定価格買取制度」を導入したのにも関わらず、普及率があまり上がらなかったのはなぜであろうか。最も大きな問題は賦課金の負担が大きかったことであると考える。賦課金とは、「固定価格買取制度」によって電力の買取りに要した費用を、使用料に応じて顧客に負担させるものである。この賦課金は年々上昇傾向にあり、2012年には1kWhあたり0.22円であったのに対し、2017年には2.64円と、約12倍に跳ね上がっていることが分かる。これらの数値は今後、上がることはあっても下がることはなさそうである。この賦課金を下げることはできないのであろうか。朝野(2017)によると、賦課金額を下げることは極めて困難であるという。理由としては、「固定価格買取制度」は20年間などの長期固定で買い取ることが法律で定められているからだ。価格は1年ごとに見直されてはいるが、その新しい価格が適用されるのは翌年以降に認定された設備のみとなっている。この制度では、認定された時点での価格が固定されるため、一度認定された事業者は、少なくとも20年間は賦課金額が下がることはない。現在、太陽光発電における買い取り総額58.6兆円のうち賦課金額は44.1兆円と買い取り総額の大半を企業や個人が負担している。この状況では再生可能エネルギーの普及率を上げることは難しいのである。

 同様の賦課金問題を抱えている国として、ドイツがある。ここでも日本同様に、賦課金増大で国民の不満が高まっていた。資源エネルギー庁(2014)は、その背景として、買取価格の高い太陽光発電の導入拡大に加え、大規模需要家を対象とした費用負担免除によるその他需要家の賦課金の増額、再生可能エネルギー電気の増加に伴う卸電力取引市場価格の低下を挙げている。具体的には、それまで順調に伸ばしてきた新規再生可能エネルギー導入量が、2010年以降爆発的に伸びてしまった。これにより、賦課金額が増大してしまったのである。また、ドイツでは電力多消費産業であるため賦課金減免制度というものが存在する。これは、大規模需要家に対しては賦課金を減免するというもので、その分は他の需要化が負担しており、これも問題になっていた。さらにドイツでは、電源は北部に多く存在するのに対して、需要は南部に多い。そのため、電気をスムーズに運ぶためのインフラ整備が課題となっていたのだ(新エネルギー小委員会 2014)。

 では、ドイツではこの問題をどのように対処したのであろうか。ドイツでは、2017年1月より、「固定価格買取制度」に加え「市場プレミアム制度」を導入した。「市場プレミアム制度」とは、市場で取引される卸価格の変動に応じて、プレミアムが変動するシステムである。太陽光などは、天気によって電力量が左右されてしまい、電力調達が不安定になるため、投資した額を回収できるかは不透明になる。その分の額を補填するのがプレミアムなのである。「固定価格買取制度」では、価格が一定に定められてしまっていたため、市場価格に柔軟に対応することができなかった。そのため市場価格が高い時も国民の負担額は変わらず多く払っていてしまっていたのだ。一方、「市場プレミアム制度」では、市場の価格の変動に応じて賦課金額を変えることができるため国民の負担額を常に一定に保つことができる。この制度を導入することによって、事業者が自由に価格を設定することができるため賦課金額の予算編成がしやすく、結果的に家庭に入ってくる電気料金も下げることができるのだ。

 この制度を日本で導入する際に、事業者からの反発が予想されるのは容易であろう。なぜならば、電力会社は「固定価格買取制度」による単価と回避可能費用の差分を交付金として受け取ることができるが、この制度が導入されることにより、得られる交付金が下がるからだ。再生可能エネルギー事業には、回避可能費用というものがある。回避可能費用とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができた費用のことである。この移行は再生可能発電事業者が電力卸市場価格の変動リスクを負うことになるので、事業者からの強い反対が予想されるのだ(松村 2015)。

 しかし、私は「市場プレミアム制度」を日本でも導入するべきだと考える。現在日本では、賦課金額の高さから、再生可能エネルギー普及率がなかなか上がらない。そこで、この「市場プレミアム制度」を導入することで事業者が価格を自由に決めることができ、結果的に家庭の電気料金も下がることが期待できるのだ。また、松村(2015)は、事業者からの反発による問題は一定程度解決できる理由を4つ挙げている。1つ目に卸市場価格の変動はすべての発電事業者が負う、事業者が当然に負うべきリスクとも考えられること。2つ目にプレミアム分が固定であれば「変動率」は他電源に比して小さくなること。3つ目に将来先物市場が発達すればこのリスクは一定程度回避できること。4つ目に卸市場価格の低下は小売事業者にとっては利益で、発電事業者と小売事業者の相対契約でお互いのリスクを軽減する契約も可能であるということだ。

 では、ドイツで導入されている「市場プレミアム制度」をそのまま日本にも適用することは可能であるのだろうか。私は難しいと考える。なぜならば、日本では「市場プレミアム制度」に移行しても価格競争を起こすことができないと考えたからだ。ドイツでは、総電力に対して再生可能エネルギーが占める割合は、2015年で30%を超えている。対して日本は12.2%にとどまっているのである。このように、市場プレミアム制度を導入すると、普及率の高いドイツでは、再生可能エネルギー事業者同士で、ある程度競争が起こりそうである一方で、普及率の低い日本では、大手事業者の一人勝ち状態になってしまう可能性が否めない。大手事業者の一人勝ち状態になってしまうと、自由競争の市場プレミアム制度下であっても、価格は大手の提示する1択になってしまい、下がらないだろう。市場価格を下げるためには、価格競争を起こさなければならず、その価格競争を起こすためには競合他社が必要なのである。そのため、価格競争が起こらないと市場プレミアム制度を導入する意味は全くなくなってしまうのだ。

 日本でこの制度を導入する目的は、賦課金額を減らし、価格競争を起こすことによって電気料金を下げることにあると私は考える。しかし、資源が多く、規模も大きい大手事業者に新規の事業者が価格競争を挑むことは無謀であろう。そこで私は利用者があえて新規の事業者を選択したくなるようなサービスを提案する。まず、再生可能エネルギー事業者を選択してくれると予想されるターゲット層は、子育てを終えた、もしくは子供のいない家庭であると私は考える。なぜならば、再生可能エネルギーは他電源と比べ料金が高いため、金銭的に余裕のない家庭はまず選択しないと考えられるからだ。そこで、そのようなターゲット層を獲得するために、通常の電気供給に加え3年に一回の頻度で家のエアコンや換気扇の専門的な掃除を業者が行うというサービスの付加を提案する。エアコンや換気扇は自分ではなかなか掃除がしにくい。しかし、放置するとほこりが溜まってしまい、故障の原因にもなりかねないため、多少値段は張るものの専門業者に依頼する人が多いのだ。一般的にこのような専門的な掃除を頼むと、1回で約4〜8万ほどかかってしまう。そこで、通常の電気料金に少し上乗せをして3年ごとで費用を積み立てると考えれば、金銭的にも無理がないため、主婦層に支持を得られるのではないだろうか。さらに、専門的な掃除をしてくれることで、換気扇やエアコンの中のほこりを取り除くことができ、無駄な電気料金を削減することもできる。これは、利用者にとっても非常に大きなメリットになるだろう。一方、再生可能エネルギー事業者側は、3年後の大よその契約数を事前に把握することができるため、まとまった数の契約を一度に専門業者に依頼することになる。これによって、一般的な価格より安価なサービスの提供を交渉し、その費用を抑えられる可能性が高くなるのである。さらに、顧客は3年毎にサービスを見直すなど、比較的長期の契約を見込めるので、今後の需給の見通しが立てやすくなるのである。

 現在の日本では、太陽光発電事業者の倒産が相次ぎ、再生可能エネルギーは儲からないというイメージが拭えない。そのため、多少再生可能エネルギーに着手している大手事業者も、力を入れているとは言えないのが現状である。しかし、まだまだ未開の再生可能エネルギー消費者を開拓していくためには、事業者同士で価格競争を起こし、価格を下げなければならない。そのためには大手事業者に張り合うような競合他社の存在が必要なのである。現状では、価格面で大手事業者と戦うのは難しい。そこで、本提案のように、再生可能エネルギーを選択してくれるような層にメリットとなるようなサービスを付加し、利用してもらえるように工夫を凝らした事業者が必要なのである。日本で再生可能エネルギーが普及するためには、このような事業者の増加と価格競争が求められるのである。

さわだ(3年)

【参考文献】
・朝野賢司(2017)「2030年までに国民負担は44兆円 日本版FITは最悪の失敗政策」『日経ビジネス』1917.80−81.
・関西電力HP「再生可能エネルギー発電促進賦課金」  
https://kepco.jp/ryokin/kaitori/re_energy1 2017年11月20日閲覧.
・経済産業省資源エネルギー庁HP「なっとく!再生可能エネルギー」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/family/index.html 2017年10月22日閲覧.
・経済産業省HP「お知らせ」
http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160318003/20160318003.html 2017年11月13日閲覧.
・倉坂秀史(2017)「地域存続の貴重な財源に 専門家による自治体支援を」『日経ビジネス』1899.78−79.
・諸富徹(2015)「再生可能エネルギー政策の「市場化」―2014年ドイツ再生可能エネルギー改正法をめぐって―」『経済学論叢(同志社大学)』第67巻第3号、pp.149-174
・松村敏弘(2015)「再エネ普及を妨げる回避可能費用の問題点」『EPREPORT』1824.2017年12月23日閲覧.
・資源エネルギー庁(2014)「再生可能エネルギーを巡る現状と課題」
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/001_03_00.pdf2017年10月22日閲覧.
・資源エネルギー庁(2015)「再生可能エネルギーの導入促進に係る制度の現状と課題」『総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 第20回会合 資料3』
・新エネルギー小委員会(2014)「欧州調査」
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/002_01_00.pdf 2018年1月23日閲覧.

回転寿司チェーン店の都市部出店における問題解決

 河野・須永(2017)によると、回転寿司チェーン「スシロー」は2017年5月29日に東京・JR五反田駅から徒歩3分ほどの場所に都市型店舗をオープンした。大阪発祥のスシローは、郊外のロードサイドを中心に400店舗以上出店してきたが、そんなスシローが東京の都市部に出店したのである。
 
 しかし、スシローが都市部に出店したのはこれが初めてではない。過去に「スシロー」というブランドネームを用いず、回転レーンも置かずに全て職人が寿司を握るフルサービスの形態をとった2種類の店舗を都市部に出店した。だが、いずれも1年ほどで閉店している。河野・須永(2017)によると、新業態店舗の1年での閉店の反省を活かして、SUSHIRO南池袋店を出店した。改善した点は、ロードサイド店のように「スシロー」のブランドネームを用いた回転寿司店にしたことである。実際に行ってみても、アイドルタイムでもほぼ満席であるほどの賑わいを見せていた。しかし、市場関係者からはスシローの都心ビジネスはまだ心もとないという声もある(河野・須永,2017)。では、何が都心ビジネスの問題なのだろうか。
 
 私は、都心ビジネスの問題点は2つあると考える。1つ目は人件費である。地域別最低賃金を見てみると、都市型店舗のある東京都は958円であるのに対して、ロードサイド店のある埼玉県は871円(厚生労働省,2017)と、約90円の差がある。また、回転寿司業界では労働力不足から賃金を上げる傾向にある。結果、人件費が上昇しロードサイド店より費用がかさみ、利益が減少してしまう。実際に、SUSHIRO南池袋店では上昇した人件費を商品の価格に転嫁することで、利益の減少を防いでいると考えられる。加えて、稼働率を上げたり、他の費用を削減するなどの対策を行うことが必須になる。2つ目は顧客の収容人数である。実際にSUSHIRO南池袋店に行ってみたが、ロードサイド店より店舗の面積が狭いと感じられた。面積が狭く収容人数が少ないことでその分の顧客がウェイティング客として店の外に溢れていたのだ。だが、ウェイティング客の存在はお店にとってメリットだと考える。なぜならウェイティング客が多いことは人気店の証であり、顧客への宣伝効果にも繋がるからだ。しかし、ウェイティング客が多すぎると待ち時間が長くなり、入ることをためらう顧客がいるかもしれない。結果、潜在顧客を失うことになってしまう。
 
 1つ目の問題について、スシローは設備を導入することで解決した。例えば、顧客自身で支払いできるセルフレジの導入である(大澤,2017)。顧客が自ら支払いをでき、レジに店員を置く必要がないため、スシローは人件費を抑えられるのだ。また、来店予約ができるスマートフォン向けアプリもある(河野・須永,2017)。以前は店員が他の業務の合間に電話を取って対応していた。だが、顧客がアプリで予約することが可能になったため、店員の業務減少につながっている。しかし、スシローは2つ目の問題点の解決までには至っていない。なぜなら都心の地代はロードサイドよりも高いからだ。店舗面積の拡大によりお金がかかることから問題解決の有効な手段にはならないと考える。では、この問題を解決するにはどうしたら良いのだろうか。
 
 そこで、私は6人がけのテーブル席を2人がけと4人がけの席に分割することを提案する。なぜなら、ロードサイド店舗と都心店舗では顧客の対象が異なるからだ。ロードサイド店舗である幸手店に行ってみたところ、圧倒的に家族連れが多く、5〜6人で来店している顧客が多く見られた。しかし、都心店舗ではロードサイド店のような団体客は見られない。SUSHIRO南池袋店では、5〜6人の集団よりは2〜4人の顧客が多く、6人がけのテーブル席に2人だけ座っている姿を多々確認できた。現状のままではウェイティング客は入らず、稼働率も上がらない。そこで、座席を小規模に分割することによって、デッドスペースに並んでいた顧客を収容できるようになる。結果、ウェイティング客の減少と稼働率上昇につながるだろう。
 
 回転寿司チェーン店の都心出店にはロードサイド店舗で最適化されている設備や店内構造が足枷となっている。しかし、少人数のグループが多い都心顧客に合わせて設備や店内構造を最適化することによって、足枷となっていた問題を解消することができる。つまり、回転寿司チェーン店の都市部出店への問題解決には、郊外店とは異なる都心顧客を対象とする適した取り組みが必要なのである。

【参考文献】
河野紀子,須永太一郎 (2017) 「スシローグローバルホールディングス 雌伏10年、悲願の上場」 『日経ビジネス』 1887, 60−64.
厚生労働省 (2017) 「地域別最低賃金の全国一覧」 2017年9月26日閲覧
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
大澤昌弘 (2017) 「なぜ、スシローは都心に進出したのか」 「マイナビニュース」 2017年8月23日閲覧
http://news.mynavi.jp/articles/2017/08/09/sushiro/

あらき (2年)

JR東日本の鉄道自動運転化に向けて

 現在、JR東日本は国鉄時代に入社した社員の大量退職が始まっている。そのためここ数年のペースで採用しても、5年後には社員が5,000人ほど減少する見通しだ。また、若手の乗務員が技術を身につけるには時間がかかるので、技術の伝承に不安が残るとされている。このような背景もあり、JR東日本は鉄道に自動運転を導入する方針を固めた。大西(2017)によると、自動運転の導入により、現在JR東日本が直面している乗務員減少を補うことができ、また混雑に合わせた柔軟な運行ができると考えている。

 自動運転は、すでに高架鉄道や地下鉄のように外部からの障害物が入りにくい路線で、ホームドアの完備などを条件に導入されている。例えば、ゆりかもめでは列車に乗務員がいない自動運転を導入している。しかし、自動運転であるからといって全く人が関わっていないというわけではない。ホームを映し出したモニターを中央指令所でチェックすることにより、安全に運転ができている。

 では、障害物が入る可能性が高い一般的な鉄道の路線では、自動運転を導入すべきであろうか。

 私は、現状では鉄道の自動運転をすべきでないと考える。なぜなら、鉄道会社は第一に乗客の安全を考えなくてはならないが、自動運転には安全面で課題があるからだ。1年あたりの鉄道運転事故・運送障害の件数は、ゆりかもめがそれぞれ0件/km・0.408件/km(ゆりかもめ, 2017)であったのに対し、JR東日本は0.02件/km・0.19件/km(JR東日本, 2017)であった。ゆりかもめでは、障害物が少なく、ぶつかる要素もないうえに比較的低速で走行していてブレーキがかかりやすい。このような新交通システムでさえも、自動運転を導入していない鉄道より運送障害が多い。JR東日本のような一般的な鉄道では、ホーム・踏切・線路など障害物が入ってくる可能性が高く、ブレーキから停車までは最長で600mかかる。ゆえに、JR東日本が自動運転を導入した際には、運送障害がさらに増加するのではないだろうか。

 そこで、JR東日本の運送障害の内訳を見てみると、約半数を占めるのは部外要因である。部外要因とは線路内立ち入りや自殺などのJR東日本に起因しないものだ。これらの部外要因は、事前に予測できず突発的であるという特徴がある。雨や風のような気象は一定程度予測できるため、自動運転でもモニターの監視により対応できる。しかし、突発的な要因に対してはモニターでの監視で対応できず、自動運転化では安全に運転ができない。

 このような自動運転に安全の課題がある一方で、乗務員の減少は避けられない。総務省(2014)によると、15〜64歳の生産年齢人口は2013年12月時点では7,883万人まで減少しており、今後の予測では2060年に4,418万人まで大幅に減少すると見込まれている。このような人口の減少により、人件費も高くなるだろう。乗務員減少を補うためには自動運転化が欠かせない。

 自動運転化の課題である部外要因の対策は、人や物が入らないようにする点と入ってしまった障害物を感知する点の二点だ。前者の対策としては、すでにホーム上にホームドアを設置し始めている。また、踏切に関しては、立体交差化を進めることによってその廃止に努めている。しかし、線路への侵入を完全になくすことは現状では不可能だ。そのため、線路内に侵入した障害物に対しての感知が必要となるだろう。

 現在、JR東日本はAIカメラを取り付けることによって自動運転化を進めようとしているが、暗い場面や見通しの悪い場所では障害物を十分に感知できない可能性がある。そこで、私はAIカメラを導入する動きに加えて、遠距離の障害物を感知するレーダーを取り付けることによって、安全な運転ができると考える。日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)によると、同社は前方遠距離センサーとして前方ロングミリ波レーダーを開発した。このレーダーは、車両から200m離れた障害物の感知が可能である。たしかに、鉄道の停止距離は最長600mなので必ず停止できるとはいえない。しかし、このレーダーを用いることによって、現在の運転手がいる状況と同じ安全水準で運行する分には十分であると考える。なぜなら障害物が多い場面で列車が停止できるからだ。AIカメラと遠距離の障害物を感知するレーダーに加えて、踏切ではすでに障害物感知装置が設置され始めているため、踏切に関してはその装置によって対処できる。さらに、落し物や人の転落が多いホームでは、電車が速度を十分に落としていることから、200m前で感知をしても多くの場合で停車は難しくない。障害物が比較的多いとされる踏切とホームで安全に停車することができるので、現状の安全水準を満たした運転が可能になるのではないだろうか。

 将来、技術が進歩することによって精度の高いAIカメラが開発されたり、広範囲を感知できる障害物感知装置が設置されたりするかもしれない。しかし、既存の技術で自動運転化を進めるためには、AIカメラだけでは障害物を確実に感知することが難しい。そこで、200m先の障害物を感知することができる遠距離感知レーダーをともに用いることが必要である。AIカメラと遠距離感知レーダーがJR東日本の自動運転化を可能にするのだ。

<参考文献>
日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)「HITACHI HP」2018年1月15日閲覧, http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/10/1003.html
JR東日本(2015)「会社概要」2017年11月13日閲覧, http://www.jreast.co.jp/company/outline/
JR東日本(2017)「CSR報告書2017」2017年10月10日 閲覧, https://www.jreast.co.jp/eco/report/2017.html
大西孝弘 (2017)「交通プラットフォーマーへの野望 鉄道の自動運転 JR東日本が始動」『日経ビジネス』1908,10-14.
総務省(2014)「我が国の労働力人口における課題」2017年11月13日閲覧, http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html
ゆりかもめ(2017)「安全報告書2017」http://www.yurikamome.co.jp/wp-content/uploads/2017/09/d2bac930f163e70e3178e67736cd2dcc.pdf
ゆりかもめ(2017)「会社概要」2017年11月13日閲覧, https://www.yurikamome.co.jp/aboutus/overview-2/

まさや(2年)

CCCがさらに成長していくためには〜今後の実店舗の在り方〜

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)は、DVDやCDなどのソフトレンタルショップ「TSUTAYA」をフランチャイズ中心に展開してきた。染原(2017)は、現在音楽CDやDVDレンタルは、音楽・映像配信サービスなどのネットビジネスの影響を直接受ける商品であり、従来のレンタル事業は縮小の危機にあると主張している。実際、CDレンタル店舗は1999年の4264店舗から2016年には2243店舗まで減少している(日本レコード協会2016)。
 
 このような背景から、CCCは「大型複合店」の出店という新たな事業を展開し始めた。ネット通販が全盛の時代でも存在意義がある店舗にするために『モノを売るのではなく、ライフスタイルを売るというビジネスモデルを展開していく』とCCCの増田社長は述べている(染原2017)。そのため、新店舗では既存店舗でも取り扱っていた書籍や音楽、既存の店舗では展開していなかったカフェやレストラン、ペットサービスや家電などを融合して展示し、生活に密着した店舗を展開している。

 私はCCCが行うライフスタイル提案を行う店舗の展開に、基本的に賛成である。消費者は以前に増して、「モノ」よりも「コト」に価値を大きく感じるようになっている。店舗ではモノを販売するだけではなく、その店舗でしか体験できないコトを提供することが重要になる(河合2014)。そこで、CCCが代官山にオープンした「代官山蔦屋書店」に実際行ってみた。TSUTAYAの既存店舗や一般的な書店では、「コミック」や「文庫」、「雑誌」など「モノ」を起点に棚が作られている。一方、代官山蔦屋書店では「旅行」「スポーツ」「料理」などライフスタイル別に独立した小部屋のような空間や棚づくりをしている。この店舗で提案されているものは、今の生活がほんの少しでも豊かになりさらに充実するためのアイディアである。つまりそれは少し手を伸ばせば掴み取れる憧れの生活だ。CCCは、来店した顧客がこのアイディアの中から自分の求めているものを選択し、購買につなげるための店舗づくりを行っている。私が行った際には、「料理」のコーナーでは「パンのある生活」が特集されていた。そこではパンの作り方の書籍、都内のパン屋の特集本、サンドイッチ専門店の書籍に加え、パンに関する雑貨、パンを載せるお皿、バターナイフ、ジャムなども、実際にパンを食べるときのように展示されている。また、それぞれのコーナーには手書きでコンシェルジュによるコメントが添えられており、それを読むことで興味をもってもらえる工夫もされていた。顧客はこのディスプレイから新たなパンへの興味や、今の自分の生活にはないが取り入れたらもっと生活が豊かになるものを発見し、書籍や雑貨を購入するのである。このように、書籍を読んだ先にある価値観や生活感、新たな興味や知識などを「コト」として提案する店舗が作られていた。そのため、私はライフスタイルを提供する店舗には賛成である。
 
 一方で、2017年6月現在既存店舗は全国に1461店ある。レンタル事業の縮小や書籍のデジタル化の影響は今後拡大していくため、既存の店舗でも大型新店舗で展開しているようにライフスタイルを提案していくべきである。しかし、私は既存の店舗では、大型新店舗のようなすべての人をターゲットにしたさまざまなライフスタイルの提案は、難しいと考える。なぜならば、既存店舗の売り場面積は大型新店舗に比べ狭いうえに、ライフスタイルは多様化しているため、幅広い顧客をターゲットにした提案は難しい。では、既存の店舗を活用してライフスタイルの提案をするためにはどうしたらよいのだろうか。

 そこで私は、店舗ごとにそれぞれターゲットを徹底して絞った店舗の展開を提案する。なぜならば、ライフスタイルやニーズは、世代、性別、地域によって多様化しており、ライフスタイル提案を既存店舗の限られている狭いスペースで行うためにはターゲットを絞る必要があると考えるからである。

 ターゲットを絞った例として20代30代の女性をターゲットにした料理中心の店舗の展開を考えたい。20代30代の女性は新しい情報や感性に敏感である。また、女性の社会進出が進んでおり、趣味を持ち、自分自身に時間やお金をかける人が増えているため、市場の規模が大きく、消費性向も高い(片岡 2013)。そして、多くの女性の関心が高く、生活に密着している料理の提案を行うことで興味を持ち、来店してもらえると考える。

 この店舗では、料理の雑誌や書籍、調理器具、また、料理に関連するものなどを一緒に提案し、料理の専門家をコンシェルジュとしておく。そこで、この店舗で提案する様々な料理の特集について考えたい。例えば、「クッキングラム」というコーナーではインスタグラム映えするような色鮮やかなお皿、箸置き、キャラ弁のレシピや、オシャレな盛り付け方の雑誌、またオシャレな写真の撮り方の雑誌や、カメラ本体などもともに展示する。そこで、コンシェルジュが写真映えするテクニック、料理がおいしくきれいに見えるコツや方法、おすすめの雑誌や写真の撮り方などを紹介するのだ。また、「10分ごはん」というコーナーでは簡単にできるレシピ雑誌や、レンジのみで調理できるような調理器具、万能調味料などを一緒に展示する。そこでもコンシェルジュが実際に簡単にできる調理器具の実践販売や、時短の料理テクニック、またおすすめの書籍を紹介することも考えることができるだろう。
 
 つまり、この店舗では、漠然と何かを探しに来ている顧客には普段の「食生活」や「料理」の新しい楽しみや暮らし方のアイディア、目的があって来店した顧客にはそれぞれのニーズに合わせたサービスを提供する。いままで料理にこだわりを持っていなかった人や、自分の料理を少しでもおいしく見せ、SNSに投稿したいと思っている人、料理はしたいが時間がない人など、さまざまなライフスタイルを持っている人々が新たな暮らし方を発見することができるのだ。また、コンシェルジュによるサービスやアドバイスから、雑誌・調理器具をともに購買してもらえるきっかけを作る。このように狭小な既存の店舗を活用してライフスタイルを提案するためには、ターゲットやコンセプトを明確にすることで、実店舗の強みを活かした取り組みを行っていくべきであると考える。

 近年、消費者の価値を感じるものが「モノ」の所有から「コト」の経験に変化している。また、ネットビジネスの影響により、様々な小売店が売り上げ低迷や店舗縮小の危機にある。その中で、CCCはスペースが限られている既存店舗でもターゲットやコンセプトをより明確にし、顧客に新しい価値観や生活感、新たな興味や知識を提供する店舗を造っていくことで、事業をさらに拡大していけると考える。つまり、今後の小売店の勝敗を決定するのは、その店舗でしかすることのできない買い物体験の提供や、顧客が商品を購入した先にあるライフスタイルの提供ではないか。

【参考文献】
一般社団法人日本レコード協会「CDレンタル店調査」
http://www.riaj.or.jp/f/report/rental/2016.html 2017年5月28日閲覧.
河合政尚(2014)「モノ消費だけでなくコト消費の時代へ」『Nikkei BP』
http://www.nikkeibp.co.jp/article/matome/20140220/384639/ 2017年7月4日閲覧.
片岡敏彦(2013)「増える働く女性、高い消費性向 女性市場が注目される3つの理由」『ダイヤモンドオンライン』
http://diamond.jp/articles/-/32571 2017月8月8日閲覧.
下原口徹(2016)「ネットに勝る「快適」磨く CCC・増田社長の胸の内」
『日本経済新聞』 2017年5月28日閲覧
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO98996230Z20C16A3H11A00/
2017年5月28日閲覧.
染原睦美(2017)「脱レンタル店の実像」『日経ビジネス』1892,52-60.
CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)HP「TSUTAYAの歴史」
https://www.ccc.co.jp/showcase/sc_004049.html?cat=tsutaya2017年6月21日閲覧.

よこせき(2年)

うどんチェーン店に顧客予測システムを導入すると廃棄したものが減らせるか?

 ローソンは2015年10月までに、全店舗でセミオート発注システムを導入した。このシステムは、弁当や総菜などの発注業務を人工知能(AI)で支援するものである。島津・武田・小笠・山崎(2017)によると、各店舗の販売実績や天候、ポイントカードで把握した顧客属性など、約100項目のデータを基に分析するので、発注すべき品目と商品数を算出できる。この支援によって、業務時間が短くなったり、賞味期限が短い食品を最適な数量で仕入れたり、機会損失と廃棄ロスを削減したりすることができるようになった。実際、対応商品に関しては、全店舗平均で売り上げが3%、粗利益率が2ポイント向上したということだ。

 もしこのようなAIを用いた顧客予測システムをうどんチェーン店に導入すると、機会損失が減らせるし、廃棄ロスを削減することもできるだろう。農林水産省(2015)によると,食品産業全体の食品廃棄物等の年間発生量は20,096千トンであり、前年に比べて2.9%の増加となった。このうち、外食産業は1,995千トンであると推計されている。これにはうどんチェーン店の廃棄物も含まれている。それでは、実際にうどんチェーン店ではどのように廃棄ロスが出るのだろうか?私が働いていたうどんチェーン店を例にして考えてみよう。そのうどんチェーン店ではうどんを茹でる量を管理するのはシフトリーダーの役目である。彼らは基本的にマニュアルの通りに茹でる量を管理していたが、客の来るタイミングを正確に測るのはなかなか難しいようだった。その結果、冷凍のうどんを茹ですぎて、廃棄ロスを出すこともあった。例えば、ある店で午後3時に10名顧客が来ると予測したとしよう。マニュアルに従えば、店員は11名分のうどんを事前に茹でておくことになる。しかし、実際には顧客5名しか来なければ、残りの6人分のうどんは、賞味期限を過ぎれば捨てることになる。これが廃棄ロスを生む原因なのである。ここでもしAIを用いた顧客予測システムを導入すれば、人間の性向や行動などが分析できるようになり、シフトリーダーの予測よりも正確にタイミングが分かるようになるので、最適な数量のうどんを茹でることができるようになるだろう。このように、顧客予測システムをうどんチェーン店に導入することによって、廃棄ロスは今までより減少するはずである。

 しかし、このようにうどんチェーン店に顧客予測システムを導入することに全く問題はないのであろうか? 私は2つの問題があると考える。第一に、そもそもファストフード店に届く食材は冷凍されているものがほとんどという点である。つまり、それを一度でも温めない限りは廃棄ロスにはならないのだ。したがって、発注に関する予測の必要性はあまりないのである。第二に、顧客予測システムの導入に多額のコストがかかる点である。シフトリーダーがきちんとマニュアルを理解してさえいえば、一定程度の顧客の予測は現在でも行われている。通常の顧客予測システムを導入するコストに比べれば、現状のうどん廃棄コストは圧倒的に低い。したがって、各企業が顧客予測システムを導入するのはなかなか現実的でないのである。

 しかし、シフトリーダーがきちんとマニュアルの通りにうどんを茹でたとしても廃棄ロスは必ず出てしまう。残念ながら、うどんチェーン店の廃棄ロス自体はなかなか減らすことができない。では、うどんチェーン店の食品廃棄物を安価に再利用することはできないだろうか?一つの方法として、 うどんのリサイクルが考えられる。実際に香川県ではうどんまるごと循環プロジェクトというコンソーシアムでリサイクルに取り組んでいる。角田(2014)によると、回収した廃棄うどんを発酵装置でバイオエタノールとして再生し、それを燃料にしてうどん店は茹でる。また、バイオエタノール抽出後に生成される残渣に生ごみを混ぜて生成されるバイオガスを用い、それを燃焼させて発電を行うというものである。
 
 このような、うどんリサイクルという取り組みをチェーン店で実現するためには、多額のコストがかかる。しかし、農林水産省が実施している食品リサイクルループ構築支援の補助金(農林水産省2017)を用いれば、ある程度のお金がかかるものの安価に実現できるだろう。では、チェーン店でうどんリサイクルを実現することでどのようなメリットがあるだろうか?まず、取組に対する努力をアピールすることができる。また、 バイオマス燃料を作る量が多ければ多いほど、 発酵装置システムを設置するコストは上がるが、 バイオマス燃料を作る一単位あたりのコストは安くなる(Combined Heat And Power Partnership,2007)。したがって、チェーン店の廃棄うどん量が多ければ多いほど、 一単位あたりのコストはどんどん安くなるだろう。このように、チェーン店は個別うどん店では実現できないコスト削減方法で、より高い費用対効果を得ることができる。

 うどんチェーン店に顧客予測システムを導入しても、廃棄ロス自体はなかなか減らせない。しかし、今までのように廃棄ロスを出せば、食品廃棄物自体は減少させることができない。前述のように、うどんチェーン店が廃棄したうどんをそのまま捨てるのではなく、リサイクルすることができれば、新たなエネルギー資源を生み出すことができる。つまり、廃棄したものを無駄にせず、活用することができるのである。

<参考文献>
Combined Heat And Power Partnership(2007) Biomass Combined Heat and Power Catalog of Technologies,2007;41 2017年11月06日閲覧。
https://www.epa.gov/sites/production/files/2015-07/documents/biomass_combined_heat_and_power_catalog_of_technologies_v.1.1.pdf
島津翔、武田健太郎、小笠原啓、山崎良兵(2017)『AI世界制覇の攻防』『日経ビジネス』1892. 39。 
農林水産省(2015)『平成27年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率』2017年6月29日閲覧。http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syokuhin/attach/pdf/kouhyou-9.pdf 
農林水産省(2017)『食品リサイクルループ(メタン化事業)』2017年11月28日閲覧。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_8-3.pdf
角田富雄(2014)『うどんづくしの循環で、ゼロ・エミッション』『Life and Environment』59(7)、58−60  2017年7月06日閲覧。
Https://docs.wixstatic.com/ugd/b742d0_e1ceaaf85df0499e8be57273a289c1a2.pdf

タン (2年)

WASHハウスの利用者獲得のためには 〜顧客目線での差別化戦略〜

 宇賀神(2017)によると、宮崎発の「WASHハウス」というコインランドリーが、「暗い、狭い」といったイメージを変えつつある。運営面の特徴としては、3点ある。1点目は、フランチャイズチェーン(FC)方式で展開していること。2点目は、店舗運営はWASHハウス本部が担い、FCオーナーは直接関与しないこと。3点目は、本社にあるコールセンターで全店舗を遠隔管理によって一括管理していることである。2004年から九州を中心に店舗網を広げ、現在は、大阪、東京にも出店している。
 
 現在WASHハウスだけでなく、コインランドリーの店舗数自体も増加しつつある。なぜなら、女性の社会進出によって働く女性が増え、昔よりも忙しく時間に余裕がなくなったので、コインランドリーのニーズが高まってきたからである。そのため、特に主婦の利用者が増えた。しかし、家庭用洗濯機の普及率は単身世帯で95.2%、二人以上の世帯では98.8%である(総務省統計局2015)。このような普及率の高さにもかかわらずコインランドリーが使われる理由は、家庭用洗濯機よりも洗濯、乾燥を短時間で行え、布団やカーペットなどの大物も洗うことができるからである。特に雨の日には洗濯物を外に干せず乾かしにくいが、コインランドリーでは乾燥機で洗濯物を素早く乾かすことができるので、利用者が増えている。そのため、10年前よりもコインランドリーの店舗数は約400店増え、現在は16693店である(厚生労働省2013)。
 
 また、同じクリーニング業としてはクリーニング店があり、布団やカーペットなどの大物も洗濯できる。しかし、コインランドリーの店舗数は増加しているのに対し、クリーニング店の店舗数は年々減少している(厚生労働省2012)。減少している理由は3点あると考える。1点目は、前述したように家庭用洗濯機とコインランドリーが増加しているからである。2点目は、コインランドリーの方がクリーニング店よりも値段が一般的に安いからである。例としてクリーニング業界第一位である白洋舎とWASHハウスで布団の料金を比較していきたい。白洋舎の布団の料金は物によって異なるが、4000〜9000円ほどかかる(白洋舎2012)。それに対してWASHハウスの料金は、布団の洗濯に該当する12キロと22キロがあり、12キロは400〜600円、22キロは700〜1000円である(WASHハウス2017)。したがってコインランドリーの方がかなり安く仕上げられるのではないか。3点目は、コインランドリーの方が早く仕上げられると考えるからである。料金と同じように白洋舎とWASHハウスを例に比較していきたい。白洋舎はサービスによってはドライ・ワイシャツなど一定の時間までに預ければ、その日のうちに仕上げられるものもある(白洋舎2012)。店によって時間は異なるが、午前中に預けて夕方に受け取れたりする。一方で、WASHハウスは洗濯30〜40分、乾燥は目安30分である(WASHハウス2017)。このようにクリーニング店でもサービスによっては当日に仕上げられるが、コインランドリーはWASHハウスのように1時間ほどで仕上げられるので、コインランドリーの方が早く仕上げられるのではないだろうか。以上3点の理由からクリーニング店は減少していると考える。
 
 このようにコインランドリーのニーズは特に主婦に対して高まり、最近では待ち時間を有効活用できたり、様々な差別化をしている店舗も現れ、「暗い・狭い」という昔のイメージを変えつつある。そのような変化の中でWASHハウスは、運営面では差別化できているかもしれないが、現状では顧客目線での差別化はあまりできていないのではないかと私は考える。宇賀神(2017)によると、利用者にとってWASHハウスを選ぶ決定打に欠けている面もある。なぜなら、最近ではチェーン展開する競合も現れ、また洗濯・乾燥機自体は技術的に成熟しているため、どのコインランドリーも違いはないからだ。つまり、機器の性能に差があまりないので、利用してもらうためには他で差別化をする必要がある。したがって、私はWASHハウスの顧客目線での差別化が必要だと考える。
 
 では、どのようにすれば顧客目線での差別化が可能であろうか。私は、既存の店舗に加えて店舗を個室化し、そこにAIカメラを導入することを提案したい。個室化する理由は、人目を気にせずにプライバシーを保つことができるからである。実際に私はWASHハウス新宿7丁目店に行き1時間滞在していたところ、利用者10人のうち9割が女性であった。女性の場合、下着を見られたくない人や、あまり人に会いたくない人もいるだろう。そこで個室にすることで、そのような見られたくないものや他人を気にすることなく利用できるようになる。次になぜAIカメラを導入するかというと、不審・異常な動きや音から危険を検知し、知らせることができるので、より事前にトラブルを防止できるようになるからである。WASHハウスには既に店内にライブカメラが設置されている。実際に行ってみると、カメラの映像を写したモニターが洗濯・乾燥機の間に設置されていた。盗難を防ぐことや機器のトラブルが起きた時に、カメラを通じて利用者と話し遠隔操作で解決することができる。店内がどのように写っているのか分かるので、他社よりも安心・安全を意識していると言えるだろう。しかし、店内は無人なので盗難などその場で対応できない問題もある。そこでAIカメラを導入すれば、このような問題が起きる可能性を事前に検知できる。このように個室化とAIカメラを導入することによって、顧客は今までよりも安心・安全に利用できるようになり、プライバシーの保護にも繋がる。このような取り組みが顧客目線での差別化に繋がるのではないか。

 現在、女性の社会進出などからコインランドリーのニーズは高まりをみせ、店舗数も増加し、競合他社も現れつつある。しかし、どのコインランドリーも機器の性能に差がないことから、設備面で利用してもらうための決定打に欠けているのだ。その中でもWASHハウスは、カメラを導入することで、問題があった時には迅速に対応し解決しているなど他社よりも安心・安全を意識している。他社と機器以外で差をつけるためにも、今までの取り組みに加えて、個室化とAIカメラを導入しプライバシーを保護することで、女性客を中心とした顧客がより気軽に利用できる環境を作ることができるだろう。WASHハウスが運営面だけでなく、他社との差別化を図るためには、以上のような顧客目線での新たな取り組みを行うことが必要である。

【参考文献】
白洋舎 (2012)「料金試算・料金表」2017年8月1日閲覧.
http://www.hakuyosha.co.jp/cleaning/price/table02/#price03 
白洋舎 (2012)「サービス」2017年8月1日閲覧. 
http://www.hakuyosha.co.jp/cleaning/clothes/ 
厚生労働省 (2012)「クリーニング業の実態と経営改善の方策」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei22/dl/h22/cleaning_housaku.pdf 
厚生労働省 (2013)「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/pdf/coin-operated_laundry.pdf 
厚生労働省 (2015)「平成27年度衛生行政報告例の概況」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka3.pdf 
総務省統計局 (2015)「平成26年全国消費実態調査主要耐久消費財に関する結果」2017年7月25日閲覧.
http://www.stat.go.jp/data/zensho/2014/pdf/gaiyo.pdf
宇賀神宰司 (2017)「WASHハウスコインランドリーチェーンの運営 遠隔管理で400店舗を展開」『日経ビジネス』1891, 60-61.2017年8月23日閲覧.
WASHハウス (2017)「サービスサイトWASHハウスの安心・安全」2017年8月6日閲覧.
https://www.wash-house.jp/services/

よしかわ(2年)

マナボが教育の地域格差解消に貢献する

 スマートフォンなどを用いた教育ビジネスを行っているマナボという会社がある。西(2017)によると、マナボのサービスは、これらの機器を介しているので時間や場所の制限がなく、いつでもどこでも必要なときに指導を受けられるという家庭教師サービスだ。授業は、生徒が分からない問題を質問し、先生がその問題を解説するというものである。先生には、東京大学や一橋大学など難関大学の学生2500人が登録しており、24時間365日体制で質問を受け付けている。つまり、勉強をしていて分からない問題にぶつかってしまったその瞬間に好きな先生から解説を受けられ、解決できるのが特徴だ。

 小林・榎戸・戸田・築家(2016)によると、首都圏には多くの予備校や難関大学の受験経験を持つ家庭教師が多くいるが、地方では予備校や家庭教師が不足していてまだまだ手に届くところにない。さらに東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター(2009)によると、子どもの受ける教育や進学率が、親の所得差によって影響され、「教育格差」につながっていることが明らかになっている。上記のようなサービスで、マナボは地域格差と所得格差の課題を解決し、学習機会の均等化を目指しているが、今のビジネスモデルで本当に地域格差と所得格差の課題を解決し、学習機会を均等化することはできるのだろうか?

 教育における地域格差は、学習機会の地域格差と所得の地域格差の二つに分けられる。一つ目の学習機会の地域格差については既に解決されている。なぜなら、マナボは周りに予備校や家庭教師が不足している地方の人でも、都心の人と同様にスマホで授業を受けることを可能にしたからである。しかし、所得の地域格差についてはどうだろうか。

 私は、今のマナボのビジネスモデルでは所得の地域格差を解決することはできないと考える。厚生労働省(2013)によると、都道府県平均年収ランキングで1位は東京都の580万円、最下位は沖縄県の333万円という結果が出た。この結果から、住んでいる地域によって大きな所得格差があり、特に地方の人の方が都心の人に比べて平均所得が少ないことがわかる。では、この地域の所得格差は学力となにか関係があるのだろうか。文部科学省(2015)によると、公立学校に通う中学3年生を対象とした通塾率(家庭教師の先生に教わっている場合も含む)の調査を行ったところ、1位は神奈川県の74.1%、最下位は秋田県の30.1%であり、偏差値に関しても全く同じ順位という結果が出ている。つまり、所得の地域格差を解決しない限り、地方の人が都市部の人よりも学力が低いという現状は変わらないのである。
 
 文部科学省(2008)によると、中学生の保護者調査を行ったところ、学習塾に通わせない理由で多かったのが「学習塾の経費が家計を圧迫するから」という意見だった。この調査から、学習塾に通っていない子供たちの中には、通いたいと思っていても家計が苦しいために諦めている者もいるということが考えられる。たとえマナボの授業料金が安価だとしても、塾に通わせる余裕がない家庭の子供たちが利用できないという現状は変わらない。つまり、今のマナボのビジネスモデルでは所得の地域格差を解決できないのである。

 学習塾に通う余裕がない子どもたちを対象に、無料の学習会・キャリア支援活動などの教育支援事業を行っているNPOは多数ある。これらのNPOは、主に学生・社会人などから講師になってくれる人をボランティアで募り、行政や民間の施設を会場にして活動を行っている。しかし、自分の志望する高校・大学に進学するための受験対策を目的とする活動を行っているNPOは少ない。その理由としては、運営資金や人手の不足、そして受験科目の全てを教えられる講師を集めるのが難しいといったことが考えられる。また、地方の町に来てもらう場合、移動の時間が多くかかってしまうので講師の確保が難しいのである。

 では、所得の地域格差がある中で学習機会の均等化を図るにはどうすれば良いのだろうか。私はマナボが教育支援活動を行っているNPOと積極的に提携し、家庭の経済状況などの理由から塾や予備校に通うことができない学生に向けた学習サービスを提供することを提案したい。この学習サービスは、難関大学に合格することを目指して勉強したいが、塾や予備校に通うことができない人に向けた受験対策を目的とするものである。その使用料金については、NPOがマナボに支払い、学生は無料で利用できるものとする。では、どのようにこのサービスを実施していくか説明していこう。まず、NPOはセンター試験や大学入試の過去問題を過去に受験を終えた大学生などから寄付してもらう。次に、行政や民間の施設を会場にして、その集めた大学入試の過去問題を学生に解かせ、解答・解説を見ながら自己採点をさせる。その際、過去問題に付いている解答・解説を見てもわからなかった問題についてはマナボを利用することになる。始めにマナボでその問題に関する解説動画があるかを探す。次に解説動画がある場合はそれを利用し、ない場合にはマナボの講師に直接教えてもらう。

 このようなサービスを行うことは、学生・マナボ・NPOの三者にとってメリットがあると私は考える。まず、家庭の経済状況や住んでいる場所などの理由で塾や予備校に通うことのできなかった学生が、受験校の過去問題の解説授業を無料で利用可能になる点だ。これにより、今までは難しかった志望校の対策を十分にできるようになるのである。次にマナボにとっては、多くのNPOと提携することで、過去問題の解説動画を蓄積することができる点だ。蓄積された動画を有効活用することで、今までは全ての質問に対して先生が答えていたが、先生の介在なしにその動画で指導することが可能になると見込める。そのため、将来的に先生の人件費を削減することができるのである。最後にNPOにとってのメリットは、マナボを利用することで人手不足の問題を解消できる点だ。マナボの使用料を払うことにはなるが、代わりにマナボが講師を集めて授業をしてくれるため、人件費を削減することができる。その結果、NPOが抱える人手不足の問題を解消でき、子供たちに向けて安価に継続的な活動を行うことが可能になると私は考える。

 今の日本は、あらゆる面で様々な格差が広がっている。その中でも、親の所得や住む場所によって子供の教育格差が生まれ、しかも世代を超えて格差が継承されてしまう状況は深刻だ。しかし、マナボの現状のサービスでは、首都圏と地方での教育の地域格差を解消することは非常に難しい。それでも子供たちが夢や目標に向かって自由に勉強できる環境を作るため、マナボがNPOと提携することで、所得や住んでいる地域に関係なく、学習機会を均等化していくことができると私は考える。

[参考文献]
小林雅, 榎戸貴史, 戸田秀成, 築家まき (2016)「”スマホ家庭教師”は教育の地域格差を解決する−注目のベンチャー特集『マナボ』(1)【K16C-MNB #1】」2017年5月17日閲覧,
https://industry-co-creation.com/recommend/6982
厚生労働省 (2013)「平成25年賃金構造基本統計調査」2017年5月24日閲覧, http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2013/
文部科学省 (2008)「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告について」2017年6月13日閲覧, http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/08/08080710.htm
文部科学省 (2015)「全国学力・学習状況調査」2017年5月24日閲覧, http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/
西雄大 (2017)「いつでもどこでも家庭教師」『日経ビジネス』.1888, 64-65.
東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター (2009)「高校生の進路と親の年収の関連について」2017年6月7日閲覧, http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/crump/resource/crump090731.pdf

やまもと(2年)

たばこコミュニケーションの代わりとなるもの

 近年、飲食店や会社で全面禁煙を求める声が高まるなど、禁煙政策を巡る議論が盛り上がっている。五十嵐(2017)によると、たばこがもたらすデメリットは、経済的なものと疫学的なものの二つである。五十嵐氏の推計では、1人の喫煙者が禁煙すると、禁煙しなかった場合に比べて大幅な医療費削減とQALY(余命とQOLの双方への影響の評価を可能にするもの)の増大が見込めることが明らかになっている。以上のことから、五十嵐氏は、たばこ対策は財政と公衆衛生の双方の観点から優先されてしかるべき政策である、と述べている。

 私は、五十嵐氏のたばこ対策を優先すべきだ、という考えに賛成である。なぜなら、たばこは喫煙者本人のみでなく、私たち非喫煙者にも大きなデメリットとなるからだ。国立がん研究センター(2010)によると、受動喫煙による肺がんや虚血性心疾患により、国内で年間おおよそ6800人が死亡している。また、医療経済研究機構(2010)によると、喫煙者が一消費者として負担しきれずに属している共同体に負担させている経済的損失は、健康面、施設・環境面、労働力損失の3つの点において、1年間で総額約4兆3000億円にものぼる。しかし、これらの喫煙によるコストは、すべて喫煙率を下げることにより将来的に減少させることが可能なものである。

 現在、多くの企業がこのコストを抑えようと、全社禁煙へと進んでいる。星野リゾートグループでは、「喫煙者は採用しておりません」という採用サイトに掲載された文字が話題を呼んだ。代表の星野氏は、「全社禁煙を進めることで、作業効率、施設効率、職場環境の3つの要素において競争力を高めることができる」と述べている(星野グループ採用サイト)。また、規模や事業範囲が異なるようなその他の企業も、全社禁煙への取り組みを行っている。

 では、たばこにはメリットはないのだろうか。私は、たばこはデメリットだけではなく、メリットももたらしていると考える。松岡(2014)によると、喫煙者は「喫煙所内で他部門とのコミュニケーションが取れている」と実感していて、社内のヒエラルキーに関係なくたばこを吸うというだけで部門を超えたコミュニケーションが進んでいる、とされている。たばこを一本吸うのにかかる約5分という短い時間で、役職や年齢関係なく、非公式コミュニケーションを手軽にとれることが、たばこの唯一のメリットだと私は考える。普段話すことのないような人と対面でコミュニケーションがとれる喫煙所は、情報交換や意見交換の場となり、デスクでは出ないようなアイデアが生まれる貴重な機会となっている。では、たばこ以外でこの非公式コミュニケーションの機会を作ることはできないのだろうか。

 そこで私は、全社禁煙が進められ各フロアの喫煙所が撤去されることにより生まれる新たなスペースを、コミュニケーションスペースとして活用することを提案する。具体的には、喫煙タイムをエクササイズタイムに変えるということである。例えば、各フロアのスペースにフィットネス用のトランポリンを導入し、「トランポビクス」(日本トランポビクス協会ホームページ)を5分程度行う。「トランポビクス」とは、一人用の小さなトランポリンの上で行う運動で、地面や床の上で運動するよりも身体にかかる負担が軽減されるため、年齢・能力を問わず健康増進運動を楽しむことができる。大きな効果として、トランポビクスでの大きな上下運動が血液やリンパの流れを活発にするため、生活習慣病の予防・改善も期待されている。また、トランポリンは優れた運動効果をもっており、ランニングの1.7倍のカロリーを消費でき、五分程度跳ぶことで一キロのジョギングに相当する(jump oneホームページ)。日比野(1976)によると、トランポリンは老若男女すべての人を満足させる全身運動であることから、今日では職場でもレクリエーションとして取り入れられており、職場での発展も期待できる、とされている。共通のエクササイズをすることで、その楽しさや辛さから連帯感が生まれ、さらに普段話すことのないような人との会話の糸口になると考える。

 このように問題を解決することの更なるメリットは、以前までは非公式コミュニケーションをとる場が少なかった非喫煙者もその機会を得ることができる点だ。日本たばこ株式会社(2017)によると、2017年5月の時点で国内の喫煙者率は、男性で28.2%、女性で9.0%となっており、男女合計でも18.2%と低い。つまり、たばこによる非公式コミュニケーションの機会は、会社の約2割の人々のみしか得ることができないのである。それに比べてエクササイズはどうだろうか。株式会社インサイト(2009)によると、「運動することが好きですか」という質問に、「好き・どちらかというと好き」と答えた人は男性で70%、女性で49%、男女合計で59%ということが分かっている。また、「どちらともいえない」と答えた人を加えると、男女合計で79%にまで上り、喫煙者の4倍の人々が非公式コミュニケーションの機会を得ることができると考えられる。また、非喫煙者は身体にも悪影響を及ぼすたばこを高い壁に感じるだろうが、健康にも良いエクササイズならば運動嫌いな人々もあまり壁を感じず、「試してみよう」と思えるのではないか。

 20年ほど前は社内での喫煙は普通とされていて、全社禁煙など考えられなかったが、現在は多くの企業が禁煙対策に取り組んでいる。こういった変化はたばこのメリットである非公式コミュニケーションの機会を奪ってしまうこともあり、気づかぬうちに企業へ損失をもたらす危険をはらんでいる。しかし、たばこではなく誰でも行えるエクササイズで代替することで、喫煙所で行われていたコミュニケーションより健康的に、より多くの人が非公式コミュニケーションの機会を得ることができるだろう。これからの時代、様々な環境の遷移が非公式コミュニケーションの機会を奪うかもしれない。しかし、今あるその機会が失われないような代替案を模索することで、環境の遷移をプラスの力に変え、会社の更なる発展に繋げられるだろう。

【参考文献】
五十嵐中 (2017) 「財政と健康の双方に寄与、より積極的なたばこ対策を」 『日経ビジネス』 1896, 92-93. 2017年6月28日閲覧,
独立行政法人国立がん研究センター (2010) 「受動喫煙による死亡数の推計について」
2017年6月28日閲覧, http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/20101021_tobacco.pdf
日比野朔郎 (1976) 「トランポリン運動の体育学側面からの考察()」 『京都府立大学学術報告(理学・生活科学)』 27, (B), 43-48 2017年7月5日閲覧, https://kpu.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=5300&item_no=1&attribute_id=19&file_no=1&page_id=13&block_id=17
星野グループ採用サイト 2017年7月5日閲覧, http://recruit.hoshinoresort.com/tabacco/tabacco.html
医療経済研究機構 (2010) 「禁煙政策のありかたに関する研究 〜喫煙によるコスト推計〜 報告書」 2017年7月12日閲覧, https://www.ihep.jp/publications/report/search.php?dl=26&i=1
jump oneホームページ 2017年7月5日閲覧, https://www.jumpone.jp/
株式会社インサイト (2007) 「運動/スポーツについてのアンケート」2017年7月27
日閲覧, http://www.insearch.jp/sapporo/report/Report_090928.pdf
松岡利昌 (2014) 「理想の分煙環境を考えるvol.2」 『日経BPインフラ総合研究所リポート』 2017年7月27日閲覧, http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/infra/pdf/bunen01.pdf日本たばこ株式会社 (2017) 「全国たばこ喫煙者率調査」 2017年7月27日閲覧, https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/2017/0727_01.html
日本トランポビクス協会ホームページ 2017年7月27日閲覧, http://www.trampobics.jp/

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