原因を推論する 序章 説明という試み

 「親の所得が高いと子供(15歳)の学力が高い」という主張に関して、^果関係のメカニズムと適切な検証方法についてディスカッション行った。

 ^果関係のメカニズムでは、原因と結果がどのような経路を経て流れていくのか議論を行った。今回のディスカッションでは、親の所得が高いと子供の教育費や塾代に費用をかけるため子供の学力が高くなるという結論になった。反論として、親が塾に通わせても子供がきちんと勉強しているとは限らないのではないかという意見も出てきた。というのは、子供のやる気がなければ学力向上には繋がらないと考えるからである。しかし、塾などの教育費はお金がかかるため所得と関係しているという考えが多かった。2番目に多く支持を得たのが、幼い頃から子供の勉強する環境が整っているからという意見である。これは親が子供に勉強するよう働きかけていたことや子供が通っている幼稚園や小学校の周りの人の環境に影響され子供の学習意欲が向上し、学力が高くなったとの考えだ。また少数の意見ではあったが、親の所得が高いということは親がいい職業に就いているからとの意見もあった。親の姿を見る子供は、自分もそのようになりたいと考え勉強に励むというメカニズムだ。さらに他には、子供の習い事などの選択肢が増えるのが理由だと考える人もいた。しかし、習い事には学力に繋がらないようなものもあるとの意見もあり、この意見に対しての支持は少なかった。以上がメカニズムを解決するディスカッションである。

 適切な検証方法についてのディスカッションでは、親の所得と子供の学力はどのように測定すべきかについて議論した。まず、親の所得については年収で測定する考えで一致した。次に子供の学力について議論した。持っている資格で判断すべきとの意見もあったが、偏差値で測定すべきという結論になった。議論を進める中で、親の所得がどこから高いといえるのかという疑問を多くの人が感じていた。なぜなら、所得の基準を平均値か中央値のどちらで捉えるかによって高所得が異なるからだ。そこで、所得の高低で比べるのではなく、散布図を用いることで関係を分析するとの意見が出た。分析方法のディスカッションでは所得と学力の測定方法に加えて、高いという判断をどのような基準で行うのか議論した。

 今回のディスカッションには議論の余地がさらにあるのではないかと私は考えた。^果関係のメカニズムでは、結論である教育にかける費用と2番目に支持を得ていた幼いころからの学習環境が相互に関係しているのではないかという点だ。親の所得が高いと教育費にお金をかけ、子供を塾や受験を考えている幼稚園に通わせたりする。そのような学習する環境や周囲の人々が、子供の学習意欲を高め学力の向上につながるのではということだ。つまり、教育費は子供の学習環境に影響し、学習環境をよい状態にするためには費用が必要だというように相互に関係しているというわけである。適切な検証方法についてのディスカッションでは、散布図を用いて分析する意見があったが、散布図から調べられることは相関関係であって、因果関係ではない。所得と学力の相関関係を確かめることができても、因果関係については述べられないのだ。これらは今回、ディスカッションを行わなかったが議論の余地があるポイントだと考えた。

 序章のディスカッションは、本書を読み知識を得る前の私たちがどのように原因を推論するかを目的として行った。次章から分析方法を身につけ、経験的・実証的な議論を行っていきたい。

まさや(3年)

再生可能エネルギーを普及させるために

 日本創成会議(2014)によると、日本における地方の人口減少の抑止剤として再生可能エネルギーが注目されているという。縦に長い日本列島はその地域ごとにさまざまな再生可能エネルギーに恵まれている。火山国であるため地熱資源量は世界第3位であり温泉熱が豊富な上、北海道・東北などでは風力に恵まれ、資源は豊富なのだ。  
 
 そもそも再生可能エネルギーを利用することのメリットは何なのであろうか。資源エネルギー庁HPによると、再生可能エネルギーは太陽光や風力など自然界に存在するエネルギーであるため永久に枯渇することがない。また、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないため、環境にとても優しいのである。日本はエネルギーの8割以上を石油や石炭などの化石燃料に頼っており、さらにそれらの多くは海外からの輸入に頼っているため、先進国でありながらエネルギー自給率は極めて低い。このような状況の中で、資源の枯渇の心配がなく環境への負荷が少ない再生可能エネルギーの導入は、いち早く進められるべきことなのである。

 しかし、国内の再生可能エネルギー普及率はまだまだ低い。倉阪(2017)によると、都道府県単位での再生可能エネルギー自給率を見てみると、1位は温泉熱を利用した大分県であるが32.2%にとどまっている。また、再生可能エネルギーによるエネルギー自給率(地域社会が消費する電気や熱などのエネルギーを、地域内で作った再生可能エネルギーで賄う割合)が100%以上の市区町村は約4%であり、再生可能エネルギーはまだまだ浸透していないことがわかる。

 では、再生可能エネルギーの普及率はなぜ上がらないのだろうか。資源エネルギー庁HPは再生可能エネルギー導入の課題として、設備価格の高さ、供給電力の不安定さ、余剰電力処理の難しさや発電コストの高さを挙げている。これらの問題点により、再生可能エネルギーは売る側も作る側もなかなか事業者が集まらなかった。そこで、2012年7月より政府主導で「固定価格買取制度」が実施された。この制度は、経済産業大臣に認定された再生可能エネルギー事業会社は、電力会社に固定された価格で電力を売ることができるという仕組みである。高価格である再生可能エネルギーは、電力会社になかなか取り扱ってもらえなかったが、この制度の導入により取引量が多くなることが期待された。しかし、結果としてエネルギーの中で再生可能エネルギーが占める割合は、2011年から2014年にかけて1.4%から3.2%に増加するものの、大きく変化しなかった。

 「固定価格買取制度」を導入したのにも関わらず、普及率があまり上がらなかったのはなぜであろうか。最も大きな問題は賦課金の負担が大きかったことであると考える。賦課金とは、「固定価格買取制度」によって電力の買取りに要した費用を、使用料に応じて顧客に負担させるものである。この賦課金は年々上昇傾向にあり、2012年には1kWhあたり0.22円であったのに対し、2017年には2.64円と、約12倍に跳ね上がっていることが分かる。これらの数値は今後、上がることはあっても下がることはなさそうである。この賦課金を下げることはできないのであろうか。朝野(2017)によると、賦課金額を下げることは極めて困難であるという。理由としては、「固定価格買取制度」は20年間などの長期固定で買い取ることが法律で定められているからだ。価格は1年ごとに見直されてはいるが、その新しい価格が適用されるのは翌年以降に認定された設備のみとなっている。この制度では、認定された時点での価格が固定されるため、一度認定された事業者は、少なくとも20年間は賦課金額が下がることはない。現在、太陽光発電における買い取り総額58.6兆円のうち賦課金額は44.1兆円と買い取り総額の大半を企業や個人が負担している。この状況では再生可能エネルギーの普及率を上げることは難しいのである。

 同様の賦課金問題を抱えている国として、ドイツがある。ここでも日本同様に、賦課金増大で国民の不満が高まっていた。資源エネルギー庁(2014)は、その背景として、買取価格の高い太陽光発電の導入拡大に加え、大規模需要家を対象とした費用負担免除によるその他需要家の賦課金の増額、再生可能エネルギー電気の増加に伴う卸電力取引市場価格の低下を挙げている。具体的には、それまで順調に伸ばしてきた新規再生可能エネルギー導入量が、2010年以降爆発的に伸びてしまった。これにより、賦課金額が増大してしまったのである。また、ドイツでは電力多消費産業であるため賦課金減免制度というものが存在する。これは、大規模需要家に対しては賦課金を減免するというもので、その分は他の需要化が負担しており、これも問題になっていた。さらにドイツでは、電源は北部に多く存在するのに対して、需要は南部に多い。そのため、電気をスムーズに運ぶためのインフラ整備が課題となっていたのだ(新エネルギー小委員会 2014)。

 では、ドイツではこの問題をどのように対処したのであろうか。ドイツでは、2017年1月より、「固定価格買取制度」に加え「市場プレミアム制度」を導入した。「市場プレミアム制度」とは、市場で取引される卸価格の変動に応じて、プレミアムが変動するシステムである。太陽光などは、天気によって電力量が左右されてしまい、電力調達が不安定になるため、投資した額を回収できるかは不透明になる。その分の額を補填するのがプレミアムなのである。「固定価格買取制度」では、価格が一定に定められてしまっていたため、市場価格に柔軟に対応することができなかった。そのため市場価格が高い時も国民の負担額は変わらず多く払っていてしまっていたのだ。一方、「市場プレミアム制度」では、市場の価格の変動に応じて賦課金額を変えることができるため国民の負担額を常に一定に保つことができる。この制度を導入することによって、事業者が自由に価格を設定することができるため賦課金額の予算編成がしやすく、結果的に家庭に入ってくる電気料金も下げることができるのだ。

 この制度を日本で導入する際に、事業者からの反発が予想されるのは容易であろう。なぜならば、電力会社は「固定価格買取制度」による単価と回避可能費用の差分を交付金として受け取ることができるが、この制度が導入されることにより、得られる交付金が下がるからだ。再生可能エネルギー事業には、回避可能費用というものがある。回避可能費用とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができた費用のことである。この移行は再生可能発電事業者が電力卸市場価格の変動リスクを負うことになるので、事業者からの強い反対が予想されるのだ(松村 2015)。

 しかし、私は「市場プレミアム制度」を日本でも導入するべきだと考える。現在日本では、賦課金額の高さから、再生可能エネルギー普及率がなかなか上がらない。そこで、この「市場プレミアム制度」を導入することで事業者が価格を自由に決めることができ、結果的に家庭の電気料金も下がることが期待できるのだ。また、松村(2015)は、事業者からの反発による問題は一定程度解決できる理由を4つ挙げている。1つ目に卸市場価格の変動はすべての発電事業者が負う、事業者が当然に負うべきリスクとも考えられること。2つ目にプレミアム分が固定であれば「変動率」は他電源に比して小さくなること。3つ目に将来先物市場が発達すればこのリスクは一定程度回避できること。4つ目に卸市場価格の低下は小売事業者にとっては利益で、発電事業者と小売事業者の相対契約でお互いのリスクを軽減する契約も可能であるということだ。

 では、ドイツで導入されている「市場プレミアム制度」をそのまま日本にも適用することは可能であるのだろうか。私は難しいと考える。なぜならば、日本では「市場プレミアム制度」に移行しても価格競争を起こすことができないと考えたからだ。ドイツでは、総電力に対して再生可能エネルギーが占める割合は、2015年で30%を超えている。対して日本は12.2%にとどまっているのである。このように、市場プレミアム制度を導入すると、普及率の高いドイツでは、再生可能エネルギー事業者同士で、ある程度競争が起こりそうである一方で、普及率の低い日本では、大手事業者の一人勝ち状態になってしまう可能性が否めない。大手事業者の一人勝ち状態になってしまうと、自由競争の市場プレミアム制度下であっても、価格は大手の提示する1択になってしまい、下がらないだろう。市場価格を下げるためには、価格競争を起こさなければならず、その価格競争を起こすためには競合他社が必要なのである。そのため、価格競争が起こらないと市場プレミアム制度を導入する意味は全くなくなってしまうのだ。

 日本でこの制度を導入する目的は、賦課金額を減らし、価格競争を起こすことによって電気料金を下げることにあると私は考える。しかし、資源が多く、規模も大きい大手事業者に新規の事業者が価格競争を挑むことは無謀であろう。そこで私は利用者があえて新規の事業者を選択したくなるようなサービスを提案する。まず、再生可能エネルギー事業者を選択してくれると予想されるターゲット層は、子育てを終えた、もしくは子供のいない家庭であると私は考える。なぜならば、再生可能エネルギーは他電源と比べ料金が高いため、金銭的に余裕のない家庭はまず選択しないと考えられるからだ。そこで、そのようなターゲット層を獲得するために、通常の電気供給に加え3年に一回の頻度で家のエアコンや換気扇の専門的な掃除を業者が行うというサービスの付加を提案する。エアコンや換気扇は自分ではなかなか掃除がしにくい。しかし、放置するとほこりが溜まってしまい、故障の原因にもなりかねないため、多少値段は張るものの専門業者に依頼する人が多いのだ。一般的にこのような専門的な掃除を頼むと、1回で約4〜8万ほどかかってしまう。そこで、通常の電気料金に少し上乗せをして3年ごとで費用を積み立てると考えれば、金銭的にも無理がないため、主婦層に支持を得られるのではないだろうか。さらに、専門的な掃除をしてくれることで、換気扇やエアコンの中のほこりを取り除くことができ、無駄な電気料金を削減することもできる。これは、利用者にとっても非常に大きなメリットになるだろう。一方、再生可能エネルギー事業者側は、3年後の大よその契約数を事前に把握することができるため、まとまった数の契約を一度に専門業者に依頼することになる。これによって、一般的な価格より安価なサービスの提供を交渉し、その費用を抑えられる可能性が高くなるのである。さらに、顧客は3年毎にサービスを見直すなど、比較的長期の契約を見込めるので、今後の需給の見通しが立てやすくなるのである。

 現在の日本では、太陽光発電事業者の倒産が相次ぎ、再生可能エネルギーは儲からないというイメージが拭えない。そのため、多少再生可能エネルギーに着手している大手事業者も、力を入れているとは言えないのが現状である。しかし、まだまだ未開の再生可能エネルギー消費者を開拓していくためには、事業者同士で価格競争を起こし、価格を下げなければならない。そのためには大手事業者に張り合うような競合他社の存在が必要なのである。現状では、価格面で大手事業者と戦うのは難しい。そこで、本提案のように、再生可能エネルギーを選択してくれるような層にメリットとなるようなサービスを付加し、利用してもらえるように工夫を凝らした事業者が必要なのである。日本で再生可能エネルギーが普及するためには、このような事業者の増加と価格競争が求められるのである。

さわだ(3年)

【参考文献】
・朝野賢司(2017)「2030年までに国民負担は44兆円 日本版FITは最悪の失敗政策」『日経ビジネス』1917.80−81.
・関西電力HP「再生可能エネルギー発電促進賦課金」  
https://kepco.jp/ryokin/kaitori/re_energy1 2017年11月20日閲覧.
・経済産業省資源エネルギー庁HP「なっとく!再生可能エネルギー」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/family/index.html 2017年10月22日閲覧.
・経済産業省HP「お知らせ」
http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160318003/20160318003.html 2017年11月13日閲覧.
・倉坂秀史(2017)「地域存続の貴重な財源に 専門家による自治体支援を」『日経ビジネス』1899.78−79.
・諸富徹(2015)「再生可能エネルギー政策の「市場化」―2014年ドイツ再生可能エネルギー改正法をめぐって―」『経済学論叢(同志社大学)』第67巻第3号、pp.149-174
・松村敏弘(2015)「再エネ普及を妨げる回避可能費用の問題点」『EPREPORT』1824.2017年12月23日閲覧.
・資源エネルギー庁(2014)「再生可能エネルギーを巡る現状と課題」
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/001_03_00.pdf2017年10月22日閲覧.
・資源エネルギー庁(2015)「再生可能エネルギーの導入促進に係る制度の現状と課題」『総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 第20回会合 資料3』
・新エネルギー小委員会(2014)「欧州調査」
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/002_01_00.pdf 2018年1月23日閲覧.

回転寿司チェーン店の都市部出店における問題解決

 河野・須永(2017)によると、回転寿司チェーン「スシロー」は2017年5月29日に東京・JR五反田駅から徒歩3分ほどの場所に都市型店舗をオープンした。大阪発祥のスシローは、郊外のロードサイドを中心に400店舗以上出店してきたが、そんなスシローが東京の都市部に出店したのである。
 
 しかし、スシローが都市部に出店したのはこれが初めてではない。過去に「スシロー」というブランドネームを用いず、回転レーンも置かずに全て職人が寿司を握るフルサービスの形態をとった2種類の店舗を都市部に出店した。だが、いずれも1年ほどで閉店している。河野・須永(2017)によると、新業態店舗の1年での閉店の反省を活かして、SUSHIRO南池袋店を出店した。改善した点は、ロードサイド店のように「スシロー」のブランドネームを用いた回転寿司店にしたことである。実際に行ってみても、アイドルタイムでもほぼ満席であるほどの賑わいを見せていた。しかし、市場関係者からはスシローの都心ビジネスはまだ心もとないという声もある(河野・須永,2017)。では、何が都心ビジネスの問題なのだろうか。
 
 私は、都心ビジネスの問題点は2つあると考える。1つ目は人件費である。地域別最低賃金を見てみると、都市型店舗のある東京都は958円であるのに対して、ロードサイド店のある埼玉県は871円(厚生労働省,2017)と、約90円の差がある。また、回転寿司業界では労働力不足から賃金を上げる傾向にある。結果、人件費が上昇しロードサイド店より費用がかさみ、利益が減少してしまう。実際に、SUSHIRO南池袋店では上昇した人件費を商品の価格に転嫁することで、利益の減少を防いでいると考えられる。加えて、稼働率を上げたり、他の費用を削減するなどの対策を行うことが必須になる。2つ目は顧客の収容人数である。実際にSUSHIRO南池袋店に行ってみたが、ロードサイド店より店舗の面積が狭いと感じられた。面積が狭く収容人数が少ないことでその分の顧客がウェイティング客として店の外に溢れていたのだ。だが、ウェイティング客の存在はお店にとってメリットだと考える。なぜならウェイティング客が多いことは人気店の証であり、顧客への宣伝効果にも繋がるからだ。しかし、ウェイティング客が多すぎると待ち時間が長くなり、入ることをためらう顧客がいるかもしれない。結果、潜在顧客を失うことになってしまう。
 
 1つ目の問題について、スシローは設備を導入することで解決した。例えば、顧客自身で支払いできるセルフレジの導入である(大澤,2017)。顧客が自ら支払いをでき、レジに店員を置く必要がないため、スシローは人件費を抑えられるのだ。また、来店予約ができるスマートフォン向けアプリもある(河野・須永,2017)。以前は店員が他の業務の合間に電話を取って対応していた。だが、顧客がアプリで予約することが可能になったため、店員の業務減少につながっている。しかし、スシローは2つ目の問題点の解決までには至っていない。なぜなら都心の地代はロードサイドよりも高いからだ。店舗面積の拡大によりお金がかかることから問題解決の有効な手段にはならないと考える。では、この問題を解決するにはどうしたら良いのだろうか。
 
 そこで、私は6人がけのテーブル席を2人がけと4人がけの席に分割することを提案する。なぜなら、ロードサイド店舗と都心店舗では顧客の対象が異なるからだ。ロードサイド店舗である幸手店に行ってみたところ、圧倒的に家族連れが多く、5〜6人で来店している顧客が多く見られた。しかし、都心店舗ではロードサイド店のような団体客は見られない。SUSHIRO南池袋店では、5〜6人の集団よりは2〜4人の顧客が多く、6人がけのテーブル席に2人だけ座っている姿を多々確認できた。現状のままではウェイティング客は入らず、稼働率も上がらない。そこで、座席を小規模に分割することによって、デッドスペースに並んでいた顧客を収容できるようになる。結果、ウェイティング客の減少と稼働率上昇につながるだろう。
 
 回転寿司チェーン店の都心出店にはロードサイド店舗で最適化されている設備や店内構造が足枷となっている。しかし、少人数のグループが多い都心顧客に合わせて設備や店内構造を最適化することによって、足枷となっていた問題を解消することができる。つまり、回転寿司チェーン店の都市部出店への問題解決には、郊外店とは異なる都心顧客を対象とする適した取り組みが必要なのである。

【参考文献】
河野紀子,須永太一郎 (2017) 「スシローグローバルホールディングス 雌伏10年、悲願の上場」 『日経ビジネス』 1887, 60−64.
厚生労働省 (2017) 「地域別最低賃金の全国一覧」 2017年9月26日閲覧
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
大澤昌弘 (2017) 「なぜ、スシローは都心に進出したのか」 「マイナビニュース」 2017年8月23日閲覧
http://news.mynavi.jp/articles/2017/08/09/sushiro/

あらき (2年)

JR東日本の鉄道自動運転化に向けて

 現在、JR東日本は国鉄時代に入社した社員の大量退職が始まっている。そのためここ数年のペースで採用しても、5年後には社員が5,000人ほど減少する見通しだ。また、若手の乗務員が技術を身につけるには時間がかかるので、技術の伝承に不安が残るとされている。このような背景もあり、JR東日本は鉄道に自動運転を導入する方針を固めた。大西(2017)によると、自動運転の導入により、現在JR東日本が直面している乗務員減少を補うことができ、また混雑に合わせた柔軟な運行ができると考えている。

 自動運転は、すでに高架鉄道や地下鉄のように外部からの障害物が入りにくい路線で、ホームドアの完備などを条件に導入されている。例えば、ゆりかもめでは列車に乗務員がいない自動運転を導入している。しかし、自動運転であるからといって全く人が関わっていないというわけではない。ホームを映し出したモニターを中央指令所でチェックすることにより、安全に運転ができている。

 では、障害物が入る可能性が高い一般的な鉄道の路線では、自動運転を導入すべきであろうか。

 私は、現状では鉄道の自動運転をすべきでないと考える。なぜなら、鉄道会社は第一に乗客の安全を考えなくてはならないが、自動運転には安全面で課題があるからだ。1年あたりの鉄道運転事故・運送障害の件数は、ゆりかもめがそれぞれ0件/km・0.408件/km(ゆりかもめ, 2017)であったのに対し、JR東日本は0.02件/km・0.19件/km(JR東日本, 2017)であった。ゆりかもめでは、障害物が少なく、ぶつかる要素もないうえに比較的低速で走行していてブレーキがかかりやすい。このような新交通システムでさえも、自動運転を導入していない鉄道より運送障害が多い。JR東日本のような一般的な鉄道では、ホーム・踏切・線路など障害物が入ってくる可能性が高く、ブレーキから停車までは最長で600mかかる。ゆえに、JR東日本が自動運転を導入した際には、運送障害がさらに増加するのではないだろうか。

 そこで、JR東日本の運送障害の内訳を見てみると、約半数を占めるのは部外要因である。部外要因とは線路内立ち入りや自殺などのJR東日本に起因しないものだ。これらの部外要因は、事前に予測できず突発的であるという特徴がある。雨や風のような気象は一定程度予測できるため、自動運転でもモニターの監視により対応できる。しかし、突発的な要因に対してはモニターでの監視で対応できず、自動運転化では安全に運転ができない。

 このような自動運転に安全の課題がある一方で、乗務員の減少は避けられない。総務省(2014)によると、15〜64歳の生産年齢人口は2013年12月時点では7,883万人まで減少しており、今後の予測では2060年に4,418万人まで大幅に減少すると見込まれている。このような人口の減少により、人件費も高くなるだろう。乗務員減少を補うためには自動運転化が欠かせない。

 自動運転化の課題である部外要因の対策は、人や物が入らないようにする点と入ってしまった障害物を感知する点の二点だ。前者の対策としては、すでにホーム上にホームドアを設置し始めている。また、踏切に関しては、立体交差化を進めることによってその廃止に努めている。しかし、線路への侵入を完全になくすことは現状では不可能だ。そのため、線路内に侵入した障害物に対しての感知が必要となるだろう。

 現在、JR東日本はAIカメラを取り付けることによって自動運転化を進めようとしているが、暗い場面や見通しの悪い場所では障害物を十分に感知できない可能性がある。そこで、私はAIカメラを導入する動きに加えて、遠距離の障害物を感知するレーダーを取り付けることによって、安全な運転ができると考える。日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)によると、同社は前方遠距離センサーとして前方ロングミリ波レーダーを開発した。このレーダーは、車両から200m離れた障害物の感知が可能である。たしかに、鉄道の停止距離は最長600mなので必ず停止できるとはいえない。しかし、このレーダーを用いることによって、現在の運転手がいる状況と同じ安全水準で運行する分には十分であると考える。なぜなら障害物が多い場面で列車が停止できるからだ。AIカメラと遠距離の障害物を感知するレーダーに加えて、踏切ではすでに障害物感知装置が設置され始めているため、踏切に関してはその装置によって対処できる。さらに、落し物や人の転落が多いホームでは、電車が速度を十分に落としていることから、200m前で感知をしても多くの場合で停車は難しくない。障害物が比較的多いとされる踏切とホームで安全に停車することができるので、現状の安全水準を満たした運転が可能になるのではないだろうか。

 将来、技術が進歩することによって精度の高いAIカメラが開発されたり、広範囲を感知できる障害物感知装置が設置されたりするかもしれない。しかし、既存の技術で自動運転化を進めるためには、AIカメラだけでは障害物を確実に感知することが難しい。そこで、200m先の障害物を感知することができる遠距離感知レーダーをともに用いることが必要である。AIカメラと遠距離感知レーダーがJR東日本の自動運転化を可能にするのだ。

<参考文献>
日立オートモティブシステムズ株式会社(2017)「HITACHI HP」2018年1月15日閲覧, http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/10/1003.html
JR東日本(2015)「会社概要」2017年11月13日閲覧, http://www.jreast.co.jp/company/outline/
JR東日本(2017)「CSR報告書2017」2017年10月10日 閲覧, https://www.jreast.co.jp/eco/report/2017.html
大西孝弘 (2017)「交通プラットフォーマーへの野望 鉄道の自動運転 JR東日本が始動」『日経ビジネス』1908,10-14.
総務省(2014)「我が国の労働力人口における課題」2017年11月13日閲覧, http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html
ゆりかもめ(2017)「安全報告書2017」http://www.yurikamome.co.jp/wp-content/uploads/2017/09/d2bac930f163e70e3178e67736cd2dcc.pdf
ゆりかもめ(2017)「会社概要」2017年11月13日閲覧, https://www.yurikamome.co.jp/aboutus/overview-2/

まさや(2年)

CCCがさらに成長していくためには〜今後の実店舗の在り方〜

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)は、DVDやCDなどのソフトレンタルショップ「TSUTAYA」をフランチャイズ中心に展開してきた。染原(2017)は、現在音楽CDやDVDレンタルは、音楽・映像配信サービスなどのネットビジネスの影響を直接受ける商品であり、従来のレンタル事業は縮小の危機にあると主張している。実際、CDレンタル店舗は1999年の4264店舗から2016年には2243店舗まで減少している(日本レコード協会2016)。
 
 このような背景から、CCCは「大型複合店」の出店という新たな事業を展開し始めた。ネット通販が全盛の時代でも存在意義がある店舗にするために『モノを売るのではなく、ライフスタイルを売るというビジネスモデルを展開していく』とCCCの増田社長は述べている(染原2017)。そのため、新店舗では既存店舗でも取り扱っていた書籍や音楽、既存の店舗では展開していなかったカフェやレストラン、ペットサービスや家電などを融合して展示し、生活に密着した店舗を展開している。

 私はCCCが行うライフスタイル提案を行う店舗の展開に、基本的に賛成である。消費者は以前に増して、「モノ」よりも「コト」に価値を大きく感じるようになっている。店舗ではモノを販売するだけではなく、その店舗でしか体験できないコトを提供することが重要になる(河合2014)。そこで、CCCが代官山にオープンした「代官山蔦屋書店」に実際行ってみた。TSUTAYAの既存店舗や一般的な書店では、「コミック」や「文庫」、「雑誌」など「モノ」を起点に棚が作られている。一方、代官山蔦屋書店では「旅行」「スポーツ」「料理」などライフスタイル別に独立した小部屋のような空間や棚づくりをしている。この店舗で提案されているものは、今の生活がほんの少しでも豊かになりさらに充実するためのアイディアである。つまりそれは少し手を伸ばせば掴み取れる憧れの生活だ。CCCは、来店した顧客がこのアイディアの中から自分の求めているものを選択し、購買につなげるための店舗づくりを行っている。私が行った際には、「料理」のコーナーでは「パンのある生活」が特集されていた。そこではパンの作り方の書籍、都内のパン屋の特集本、サンドイッチ専門店の書籍に加え、パンに関する雑貨、パンを載せるお皿、バターナイフ、ジャムなども、実際にパンを食べるときのように展示されている。また、それぞれのコーナーには手書きでコンシェルジュによるコメントが添えられており、それを読むことで興味をもってもらえる工夫もされていた。顧客はこのディスプレイから新たなパンへの興味や、今の自分の生活にはないが取り入れたらもっと生活が豊かになるものを発見し、書籍や雑貨を購入するのである。このように、書籍を読んだ先にある価値観や生活感、新たな興味や知識などを「コト」として提案する店舗が作られていた。そのため、私はライフスタイルを提供する店舗には賛成である。
 
 一方で、2017年6月現在既存店舗は全国に1461店ある。レンタル事業の縮小や書籍のデジタル化の影響は今後拡大していくため、既存の店舗でも大型新店舗で展開しているようにライフスタイルを提案していくべきである。しかし、私は既存の店舗では、大型新店舗のようなすべての人をターゲットにしたさまざまなライフスタイルの提案は、難しいと考える。なぜならば、既存店舗の売り場面積は大型新店舗に比べ狭いうえに、ライフスタイルは多様化しているため、幅広い顧客をターゲットにした提案は難しい。では、既存の店舗を活用してライフスタイルの提案をするためにはどうしたらよいのだろうか。

 そこで私は、店舗ごとにそれぞれターゲットを徹底して絞った店舗の展開を提案する。なぜならば、ライフスタイルやニーズは、世代、性別、地域によって多様化しており、ライフスタイル提案を既存店舗の限られている狭いスペースで行うためにはターゲットを絞る必要があると考えるからである。

 ターゲットを絞った例として20代30代の女性をターゲットにした料理中心の店舗の展開を考えたい。20代30代の女性は新しい情報や感性に敏感である。また、女性の社会進出が進んでおり、趣味を持ち、自分自身に時間やお金をかける人が増えているため、市場の規模が大きく、消費性向も高い(片岡 2013)。そして、多くの女性の関心が高く、生活に密着している料理の提案を行うことで興味を持ち、来店してもらえると考える。

 この店舗では、料理の雑誌や書籍、調理器具、また、料理に関連するものなどを一緒に提案し、料理の専門家をコンシェルジュとしておく。そこで、この店舗で提案する様々な料理の特集について考えたい。例えば、「クッキングラム」というコーナーではインスタグラム映えするような色鮮やかなお皿、箸置き、キャラ弁のレシピや、オシャレな盛り付け方の雑誌、またオシャレな写真の撮り方の雑誌や、カメラ本体などもともに展示する。そこで、コンシェルジュが写真映えするテクニック、料理がおいしくきれいに見えるコツや方法、おすすめの雑誌や写真の撮り方などを紹介するのだ。また、「10分ごはん」というコーナーでは簡単にできるレシピ雑誌や、レンジのみで調理できるような調理器具、万能調味料などを一緒に展示する。そこでもコンシェルジュが実際に簡単にできる調理器具の実践販売や、時短の料理テクニック、またおすすめの書籍を紹介することも考えることができるだろう。
 
 つまり、この店舗では、漠然と何かを探しに来ている顧客には普段の「食生活」や「料理」の新しい楽しみや暮らし方のアイディア、目的があって来店した顧客にはそれぞれのニーズに合わせたサービスを提供する。いままで料理にこだわりを持っていなかった人や、自分の料理を少しでもおいしく見せ、SNSに投稿したいと思っている人、料理はしたいが時間がない人など、さまざまなライフスタイルを持っている人々が新たな暮らし方を発見することができるのだ。また、コンシェルジュによるサービスやアドバイスから、雑誌・調理器具をともに購買してもらえるきっかけを作る。このように狭小な既存の店舗を活用してライフスタイルを提案するためには、ターゲットやコンセプトを明確にすることで、実店舗の強みを活かした取り組みを行っていくべきであると考える。

 近年、消費者の価値を感じるものが「モノ」の所有から「コト」の経験に変化している。また、ネットビジネスの影響により、様々な小売店が売り上げ低迷や店舗縮小の危機にある。その中で、CCCはスペースが限られている既存店舗でもターゲットやコンセプトをより明確にし、顧客に新しい価値観や生活感、新たな興味や知識を提供する店舗を造っていくことで、事業をさらに拡大していけると考える。つまり、今後の小売店の勝敗を決定するのは、その店舗でしかすることのできない買い物体験の提供や、顧客が商品を購入した先にあるライフスタイルの提供ではないか。

【参考文献】
一般社団法人日本レコード協会「CDレンタル店調査」
http://www.riaj.or.jp/f/report/rental/2016.html 2017年5月28日閲覧.
河合政尚(2014)「モノ消費だけでなくコト消費の時代へ」『Nikkei BP』
http://www.nikkeibp.co.jp/article/matome/20140220/384639/ 2017年7月4日閲覧.
片岡敏彦(2013)「増える働く女性、高い消費性向 女性市場が注目される3つの理由」『ダイヤモンドオンライン』
http://diamond.jp/articles/-/32571 2017月8月8日閲覧.
下原口徹(2016)「ネットに勝る「快適」磨く CCC・増田社長の胸の内」
『日本経済新聞』 2017年5月28日閲覧
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO98996230Z20C16A3H11A00/
2017年5月28日閲覧.
染原睦美(2017)「脱レンタル店の実像」『日経ビジネス』1892,52-60.
CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)HP「TSUTAYAの歴史」
https://www.ccc.co.jp/showcase/sc_004049.html?cat=tsutaya2017年6月21日閲覧.

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