認証保育園のすすめ

 「保育園落ちた日本死ね!!!」。最近、このようなタイトルで始まる、子供を保育園に入れられなかった女性が書いたブログが話題となり、待機児童問題が注目されるようになった。厚生労働省(2015)によると、2015年4月現在、認可保育園に入れていない待機児童が2万3167人おり、さらに潜在的待機児童という保育園に入れないだろうと最初から諦めている児童数を含めると170万人もいるとされている。

 日本の保育園には、認可保育園と認可外保育園が存在する。認可保育園とは、国によって定められた施設の広さや職員数などの設置基準を満たした保育園のことである。対して認可外保育園とは、設置基準を満たしていない保育園のことである。認可外保育園に入園させることは認可保育園よりも容易であるが、多くは民間で運営されているため金銭面や安全面では不安が残る。そのため保護者は子供を認可保育園に入れたがることにより、待機児童問題が起きているのである。

 これまで、待機児童問題の対策が全くされてこなかったわけではない。水野・広岡(2016)によると、2015年4月時点の認可保育園(幼保連携型認定こども園含む)の数は、前年同月比4.3%増の2万5464カ所で、利用児童数も2.8%増の6万3845人と、どちらも増加していることがわかる。しかし、このような新たな保育園の開設は、結婚や出産を理由に一度仕事を辞した若い女性の就労意欲を向上させる。その結果、保育園への申し込みが増加し、再び待機児童が増加するという循環に陥っているのである。

 しかし、人口が集中し広い土地の確保が困難な首都圏等においては、認可保育園の開設は容易ではない。それでは、首都圏等ではどのようにして保育園を増やせばよいのだろうか。私は、東京都が独自に定めた設置基準である認証保育園を増加させるべきであると考える。

 東京都福祉保健局(2016)によると、東京都の待機児童数は8466人と全国の中で最も多い。東京都に待機児童数が多い原因は、人口の一極集中によるものである。しかし、東京都区部では国の設置基準を満たせる大きさの保育園が設置できるような土地を確保することは困難である。したがって、独自に新たな設置基準を設けたのである。例えば認可保育園では0歳児・1歳児一人につき3.3屬量明僂必要であるが、認証保育園では2.5屬泙粘墨造靴討い襦このように認可保育園ほど厳しくはないが、安全面を十分に考慮した設置基準を満たしている保育園が認証保育園である。満員のため認可保育園に入れない児童を認証保育園が受け入れれば、待機児童問題は緩和するだろう。

 しかし、認証保育園にも問題点は存在する。その問題点とは、保育料が高額だということである。認証保育園の保育料は保育園側が自由に設定できるため、園によっては家賃以上の保育料がかかるなど高額になりがちである。したがって、保護者は認証保育園を敬遠してしまう。しかし、認証保育園には認可保育園にはないメリットが主に二つある。一つ目は13時間以上の開所が義務付けられているということ、二つ目は事務的ではない自由な保育が行われていることである。一つ目の開所時間は、認可保育園では保護者の就労時間によって利用可能時間が11時間または8時間と定められているが、認証保育園では保護者の就労時間にかかわらず13時間以上の開所が定められている。このような開所時間の差は、働く保護者にとっては大きな差となる。例えば急に長時間預ける必要が出た時には、認可保育園よりも融通が利きやすい。また二つ目の事務的ではない保育に関しては、認可保育園は公営で行われているのに対して、認証保育園は民営なので、自由な保育を行うことができるのである。例えば、パン作りや絵を描くことなどの保育を行うことで、子供に様々なものを触れさせ、豊かな感性を育むことができる。このようなメリットが保護者に伝わると、保育料が安くなりさえすれば入園させたいと考える人も出てくるであろう。

 では保育料の問題をどのように解消していくべきか。私は、認可保育園の保育料に充てられている補助金の一部を、認証保育園に給付するということを提案する。現在、認可保育園に対しては国や都道府県などの自治体から保育料として補助金が給付されている。一方で、認証保育園や認可外保育園に対しては一部自治体から多少の補助金が給付されてはいるものの、それだけでは運営費を全て賄うことは不可能である。そのため、認証保育園や認可外保育園の保育料は自然と高額になってしまうのである。認証保育園の場合は、土地の広さという点では認可保育園に劣るが、広さ以外の点では認可保育園にも劣らないため、国や自治体からの補助金を認可保育園同様受け取るべきであると考える。

 しかし、国や自治体の予算にも限界がある。そこで、世帯年収によって補助金の額に差をつけることを提案する。現在、国の定めにより世帯年収に応じて保育料の徴収額は異なる。しかし、東京都などの一部自治体は独自に補助金を給付し、保育料の上限を抑えているというのが実態だ。例えば、世帯年収が1130万円以上の高所得世帯からは月額10万円程度徴収することが国により定められているが、自治体からの補助金があるため、実際は月額4〜5万円程度に抑えられている。この認可保育園に通う高所得世帯への補助金を六割程度減額し、その分を認証保育園に通う低所得者層に給付するべきである。こうすることで、認可保育園と認証保育園の実質的な金銭負担の差が少なくなるため、認証保育園に通わせやすくなるだろう。

 今までは認可保育園の保育料だけが異様に安かったため入園の希望が殺到していたが、この提案によって保育料に縛られずに多くの保育園から希望を選べるようになるため、認可保育園のみに希望が偏ることもなくなる。したがって、認証保育園に入園させたいと考える保護者も出るため、うまく双方に分散されるのではないか。

 東京都などの人口過密地域を中心に待機児童問題が起こっている昨今の日本において、東京都では認可保育園の数を増やすにも土地が不足しているため限度がある。しかし、上記の提案によって認可保育園と認証保育園の金銭的負担を実質的に縮めることによって、入園させたい子供の認可保育園への集中を緩和できるようになるのではないか。補助金負担の軽減による認証保育園と認可保育園の両立こそ、待機児童問題の緩和に一役買うと私は考える。


[参考文献]
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厚生労働省 (2016)「保育士などにおける関係資料」 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/s.1_1.pdf#search='%E4%BF%9D%E8%82%B2%E5%A3%AB+%E7%B5%B1%E8%A8%88 2016年06月13日閲覧.
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水野孝彦, 広岡延隆 (2016)「待機児童問題への提言」『日経ビジネス』 1842, 44-47.



きたはら(2年)

チェーン店のタッチパネル方式導入を〜人手不足解消のために〜

 最近、大手外食チェーンで客数が減少し、店舗の閉鎖が相次いでいる。その原因として、河野・武田・須永・水野(2016)は、チェーン店が抱える「3大疾病」を挙げている。1つ目は、検索サイトの普及で個店の勢力が拡大し、「つまらない」、「楽しみがない」という理由で客足が遠のいている点だ。客は、飲食店の情報が気軽に手に入るようになったので、それまで足を踏み入れたことのない個店などを利用することへの心理的なハードルが一挙に低下した。その結果、客自身飽きが来ないように様々な場所に行く機会が増えたので、チェーン店の「どこへ行っても同じメニューで同じ味である」という安心感が相対的に低下してきた。さらに、チェーン店では店舗の画一化により、店づくりの個性や創造性を発揮できなくなった。その結果、客離れを招いたのだ。2つ目は、店舗拡大に伴い原材料の調達量を増やし、それによるスケールメリットによってコスト比率を下げる、というチェーン店が追求してきた成功の方程式が通用しなくなった点だ。例えば、牛肉のショートプレートの例でいうと、かつての大口顧客といえば日本だけだったが、最近では、中国や東南アジアでそれを上回るスケールの買い手が現れてきている、という。その結果、高い値段で牛肉を買うようになった中国や東南アジアの買い手に競り負けたり、思うような値段で牛肉を調達できなかったりする事態が起きている。3つ目は、労働環境の悪化や採用難によって働き手が確保しづらくなり、人手不足に陥った点が挙げられる。例えばすき家では、深夜帯を1人の従業員で切り盛りする「ワンオペ」のような過重労働が問題化し、一時は6割の店舗が深夜営業停止に追い込まれた。このように過重労働がメディアに取り上げられたことによってチェーン店の印象が悪化したので、バイトなどの応募が激減するようになったのだ。
 
 この3つの問題の中でも、私は人手不足が一番深刻だと考える。「メニューに新鮮味がない」「どこへ行っても同じでつまらない」という消費者の意見は、メニューの改善によってある程度解決することができるだろう。また、チェーンの成功の方程式が通用しなくなったことは、ゼンショーグループのように異業態会社をM&Aすることによって、自社で規模を拡大したり、機能を拡充したりできる(河野,2016)ので、ある程度改善できるだろう。しかし、人手不足は、その結果として営業時間を短縮させるので売上が減少するだけでなく、それを補うために行う時給の上昇が商品値上げに繋がるので、消費者のチェーン店離れをさらに引き起こすのだ。そして、この問題は飲食店業界全体の問題ではなく、チェーン店固有のものである。リクルートジョブズ(2016)によると、ファーストフードの平均時給は935円で、これはフード全体の平均時給954円と比べて低い。つまり、チェーン店は一般の飲食店と比べて時給が低いので人材が集まらないのである。

 それでは、この人手不足を解決するためにはどのようにしたらよいのか。私は、タッチパネルを用いたオーダー機器の導入を提案する。タッチパネルの導入には、確かに初期費用が掛かる。しかし、人を雇うよりもランニングコストは安価なので、人件費削減に加えトータルコストも低くなるからだ。このタッチパネル導入によって、人が少なくても店が回せたり、面倒な注文やレジ打ちの作業がなくなったり、オーダーミスがなくなったり、人が直接お金を扱わないので衛生的であったり、店員もオーダー以外の別の仕事に専念できる、といったメリットが生まれるのである。

 例えば日本のマクドナルドにタッチパネルを導入するというケースを考えてみよう。常盤(2015)によると、マクドナルドは、異物混入騒動などでブランドイメージや業績の悪化により人材確保が難しくなったことを一要因として大量閉店に追い込まれている、という。そこで、アメリカやフランスなど世界各国で導入されているタッチパネル方式を、日本のマクドナルドでも導入することを提案したい。Horovitz(2014)によると、アメリカのマクドナルドでは、もちろん普通のハンバーガーやドリンクの注文も出来るが、その目玉はマクドナルドが打ち出している自分の好みのバーガーが作れる事である。つまり、バンズ、チーズ、野菜の種類などを自由に選ぶ事が出来るのだ。このように、日本のマクドナルドにもタッチパネル方式を導入することによって、人件費削減だけでなく、自分でカスタマイズしてハンバーガーを作れるという楽しさも付加することができる。これにより、メニューに新鮮味がない、という理由でこれまで足が遠のいていた客を、リピーターにすることも可能かもしれない。また、Martin(2016)によると、アメリカのマクドナルドにおけるタッチパネル導入のコストは、一時的な費用はかさむものの1台3万5,000ドルとなっている。これは、時給15ドルを従業員に支払う場合と比べて1年1ヶ月で回収できる導入コストに過ぎない。以上のように、タッチパネル方式を導入すれば、人手不足解消に加え、将来的な人件費削減にもつながり、客へ新たな楽しさも付加することができるのではないか。

 確かに、誤入力や客と従業員のコミュニケーションが少なくなるというタッチパネル導入のデメリットもある。しかし、誤入力は、最後に確認画面を設けるなどの工夫で解消できるだろう。また、客と従業員とのコミュニケーション不足については、タッチパネルの近くに従業員を配置して、客の分からないことや要望に応えられるようにすれば解消できるだろう。

 このように、チェーン店が人手不足を解消するためには、オーダーの際、タッチパネル方式を導入することも1つの策である。人が少なくても店が回せ、人件費も削減できるので、最大の問題である人手不足解決に繋がる。また、タッチパネルの導入は、メニューのカスタマイズの可能性を高めるので、リピーターに新鮮さ、楽しさを与えられることもできる。人手不足を解決せず工夫も行わなければ、チェーン店は崩壊し続けていくに違いない。タッチパネル方式の導入による人手不足解消が、チェーン店再生の第一歩に繋がるのではないだろうか。


[参考文献]
河野紀子 (2016)「ゼンショー小川社長が語った今後の成長と後継者」『日経ビジネスONLINE』 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/281481/062400021/ 2016年8月16日検索.
河野紀子・武田安恵・須永太一朗・水野孝彦(2016) 「賞味期限のチェーン店 外食崩壊」『日経ビジネス』1841, 28-47.
Martin.H (2016) Fmr. McDonald's USA CEO: $35K robots cheaper than hiring at $15 per hour, Fox Business, 2016年5月31日検索. http://www.foxbusiness.com/features/2016/05/24/fmr-mcdonalds-usa-ceo-35k-robots-cheaper-than-hiring-at-15-per-hour.html. 邦訳, H・マーティン(2016)「マクドナルド元CEO、時給15ドルへの最低賃金引き上げが行われた場合には人間を雇うよりロボットを導入した方が安上がり」『Bussinese newsline』 http://business.newsln.jp/news/201605251022020000.html 2016年5月31日検索.
Horovitz, B. (2014) McDonald's expands custom sandwich option. USA TODAY, 2016年6月5日検索. http://www.usatoday.com/story/money/business/2014/12/07/mcdonalds-fast-food-restaurants-create-your-taste-millennials/19943987/
リクルートジョブズ (2016)「2016年5月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査」 http://www.recruitjobs.co.jp/info/pdf/pr201606171516.pdf 2016年6月27日検索.
常盤有未 (2015) 「大量閉店で消えたマック、次に打つ手は何か」『東洋経済オンライン』 http://toyokeizai.net/artices/-/105925 2016年5月26日検索.


ほそだ(2年)

ドーナツの潜在ニーズとは

 クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン(以下クリスピー・ドーナツ)は現在、運営の抜本的な改革を行っている。岡本(2016)によると、多店舗化の結果、立地や人材の問題により現状全ての店舗において、顧客に「かわいく、おいしい商品を、温かみのある接客を受けくつろげる店舗空間で食べてもらう」という「Joy」の価値を創造するという使命が実現できていない。そこで、各店舗の質向上と運営効率の向上を目的とした、店舗エリアの集約と店舗の閉店、リニューアルを行っている。

 そこで、私は実際どのように運営の抜本的な改革が行われているか、2016年7月12日にリニューアルオープンされたクリスピー・ドーナツ北千住ルミネ店のリニューアル前とリニューアル後に客として行ってみた。確かに、くつろげる店舗空間の構築ということで、一人掛け用の座席がポール形状の腰が痛くなるタイプから、人一人がゆったりと座ることのできる通常のものに変わっていた。しかし、複数人で座るための机や座席は変化を見て取ることはできず、内装などの色彩や雰囲気を変更しているわけでもなかった。また、レジ前での会計の並び方などにも変化は見られなかった。

 このように運営の抜本的な改革といっても、客として見た場合あまり変化を感じることのできないものであるならば、私は岡本氏の戦略よりも優先してやるべきことがあると考える。有馬(2016)は、なぜクリスピー・ドーナツが不振になったかについて、甘すぎる味がネックとなり、顧客が魅力を見出せなくなったと指摘している。多店舗化を行う前のクリスピー・ドーナツは、店舗数が少なかったため並ばなくてはならず、現在より簡単に購買することができなかった。たまにしかお目にかかることのできないドーナツであったため、ある意味その甘さがプレミア感の証であったのだ。しかし、多店舗化によって比較的購買しやすくなった現在ではそのプレミア感が薄れてしまった。むしろ、顧客はチェーン店を選ぶ際、メニュー、料理の内容を最も重視している(河野・武田・須永・水野 2016)ので、その甘さが、「甘すぎる、くどい」などといった顧客の飽きを引き起こしてしまったのではないだろうか。

 では離れてしまった顧客をどのようにして再び引きつければよいのか。確かに、運営の抜本的な改革も重要なプロセスではあるが、私は甘さ控えめなドーナツの提供を提案したい。なぜなら、現在、顧客のドーナツへの「潜在ニーズ」として、甘さ控えめなドーナツが求められていると考えるからだ。

 ここで、日本とクリスピー・ドーナツの生まれ故郷であるアメリカの砂糖消費量を比べてみよう。2013〜15年度の両国の年間砂糖消費量の平均は、日本が2,157トンで、アメリカの平均が10,882トン(農畜産業振興機構 2016a)と、日本はアメリカの砂糖消費量の約5分の1である。これは、アメリカの人口が日本の人口の約2.5倍ということを加味しても少ない。さらに、2015〜2016年の日本人の年間砂糖消費量予測は17.2kg /人で、アメリカ人の年間砂糖消費量予測は33.0kg /人(農畜産業振興機構 2016b)である。つまり、日本人の砂糖消費量はアメリカ人に比べると少なく、甘いものを消費していないことが分かる。したがって、既存の甘いドーナツを販売していても多くの日本人の好みに合わないのではないだろうか。

 さらに、Beck & Schatz(2014)によると、アメリカ人のカロリー摂取量も減少し、食生活がやや健康的になってきている。この健康志向の表れを考慮すれば、現在、欧ファンドに身売りするなど決して経営良好ではない(河内 2016)米クリスピー・ドーナツの経営の再建にも、この甘さ控えめなドーナツが一役買うのではないだろうか。なぜなら、アメリカのクリスピー・ドーナツのメニューを見てみると(Krispy Kreme Doughnuts Corporation 2016)、9割以上の商品がカロリーの高そうなトッピングでテカテカになっており、いかにも不健康そうに見える。したがって、健康志向が高まりつつあるアメリカでも、甘さ控えめなドーナツの需要があるのではないか。これは、ゼロカロリーコーラを売り出していながら通常のコーラも売り出しているコカ・コーラの戦略と通ずる部分もある。既存のいかにも不健康そうなドーナツを売り出しつつも、「いつもは甘さ控えめのドーナツも買っているから、たまにはこれ(いかにも不健康そうな既存のドーナツ)も買っていいわよね!」という甘いもの好きの「甘え」を誘発することにつながるのだ。こうすることによって、日本のクリスピー・ドーナツにも、アメリカのクリスピー・ドーナツにもさらなる売上を生み出せるのではないか。そして、仮に甘さ控えめなドーナツのアメリカへの導入が難しいとしても、日本とアメリカ両国間のクリスピー・ドーナツのメニューには違いがあるので、日本独自に甘さ控えめなドーナツを提供することは可能である。
 
 現在クリスピー・ドーナツの顧客は、多店舗化により購買しやすくなったクリスピー・ドーナツに魅力を見出せていない。しかし、潜在ニーズを探りそれにマッチした商品・サービスを提供することで、企業は長期的に競争優位を確立できる(川上 2005)。クリスピー・ドーナツにとって、甘さ控えめなドーナツを提供することは顧客の潜在ニーズに応えることのできる商品だ。甘さ控えめなドーナツがマスコミに取り上げられることで、顧客に再びクリスピー・ドーナツに関心を持ってもらい来店してもらう。甘さ控えめなドーナツに加え、既存のドーナツもついでに購買してもらうことでさらなる売上を生み出すことにもつながるだろう。そこで、甘さ控えめなドーナツの提供により競合他社に対して競争優位を確立できれば、クリスピー・ドーナツは再び日本に根付いていくことができるはずだ。


【参考文献】
有馬賢治 (2016) 「クリスピードーナツ、なぜ客離れで閉店の嵐?甘すぎ&割高感が浸透した戦略の失敗?」 『Business Journal』http://biz-journal.jp/2016/05/post_15173_2.html 2016年7月6日閲覧
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メリンダ・ベック&アミー・シュワルツ (2014) 「米国民のカロリー摂取量が減少―健康志向を反映」 『ウォール・ストリート・ジャーナル日本版』2016年7月6日閲覧
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河内真帆 (2016) 「米クリスピー・ドーナツが身売り 欧ファンドに」『日本経済新聞』
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGM10H1K_Q6A510C1FF2000/
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Krispy Kreme Doughnuts Corporation (2016) MENU. http://www.krispykreme.com/menu/Doughnuts 2016年8月7日閲覧
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岡本光太郎 (2016) 「大量閉店は再挑戦への布石」 『日経ビジネス』1839, 88-89.


ちば (2年)

京都市が財政難を脱却するには〜富裕層の呼び込みを強めるバックパッカーの役割〜

 京都は現在、米国で発行されている観光雑誌の一つ『Travel+Leisure』で観光人気都市世界1位を2年連続で獲得するなど、外国人観光客に人気である。京都市(2014a)によると、「平成26年の(外国人観光客の)宿泊客数は、前年より70万人増え、183万人となった。日本全体の宿泊客数が1,341万人なので、7人に1人が京都に宿泊している。」という計算になる。
 
 この結果から分かるように、現在、京都の観光はとても活況である。しかし、これほど観光が活況なのにも関わらず、京都市の税収は伸びていない。その理由として、飯田(2016)は、「宿泊施設や飲食店といった観光業で働く人の75%が非正規雇用であることが無関係ではない。」と指摘している。そこで京都市では正規雇用者を増やすため、観光客の中でも富裕層をターゲットにする戦略を考えている。実際に2014年には高級ホテルのザ・リッツ・カールトンがオープンし、2016年の秋には、フォーシーズンホテルなどのオープンも予定されている。その理由として、門川(2016)は、「一泊5万〜100万という高級ホテルや旅館があったとする。従業員は付加価値の高いサービス提供を求められますが、その見返りとして正社員として雇われたり、高い収入が増えたりします。こうした施設が増え、正規雇用者も増え、回りまわって市の税収増にもつながる。」ということを挙げている。そもそも、なぜ高級ホテルを増やし、正規雇用者が増加すると、京都市の税収は増えるのか。京都市の市税の中には個人市民税というものが存在する。この税の仕組みに所得金額×6%の金額を税金とする所得割という制度があるので、所得が増えれば増えるほど税収入も増えるのである。このように、高級ホテルを誘致することで市の税収を増やす、というのが京都市の戦略である。

 わたしはこの戦略が有効であると考える。現在、京都にはたくさんの文化財が存在する。また、京都市内には橋が2900ヵ所あり、その99%を市が管理していて耐震補強もしなければならない(飯田2016)。したがって、これらを保護し維持していくためには莫大な資金が必要である。実際に京都市(2015)は、「本市の大都市特例事務に係る経費は170億円、一方これに対応する税制上の措置済額は51億円で、措置不定額は、実に119億円である。」と述べている。このように京都市は財政難なのである。これを解消するためには、富裕層をターゲットにした観光客の増加により税収入を増やすことが必要である、と私は考える。

 しかし、私は観光客の中でも富裕層だけに目を向けるのではなく、バックパッカーのような観光客にも目を向ける必要があると考える。なぜなら、バックパッカーにはSNSを通した情報拡散力があるからである。新井(2013)は、「バックパッカーのスマホ所持率は約8割と高い割合である。そして、スマホ利用のメインとなっているのはSNSの使用である。」という。なぜ、彼らはSNSを利用するのだろうか。バックパッカーのSNSの利用意識について、新井(2013)は4つの象限があるという。第1象限は必要情報の受信・発信である。これは、グーグルで検索を行ったり、ブログをアップして他者に情報を発信することである。第2象限は情報消費(情報へのアクセス)である。いわゆる暇つぶしのように情報にアクセスすること自体を利用目的とすることである。第3象限は表出コミュニケーション(特定他者へのアクセス)である。これは、Twitterなどで他者との場の共有やコミュニケーションを目的とすることである。第4象限は伝達コミュニケーションである。これは、第3象限と似ているが、違う点としてはメールのやり取りなど他人に公開されずに身内との情報交換などを行うことである。今回、私はバックパッカーの情報拡散力を考えたうえで、第1・3象限に注目した。なぜこの二つに注目したかというと、バックパッカーは旅行に行く際、あらかじめ情報を得るために他のバックパッカーのブログを閲覧するだろう。また、バックパッカーは比較的長期に滞在をするため、メジャーな観光地だけでなくマイナーな場所に訪れる可能性がある。そのような場所はInstgramなどのSNSで写真がアップされることによって、それが拡散していき話題となる可能性が上がると考えるからである。それは単にバックパッカー内だけの拡散ではない。そのような場所がNile’s NILEやAgoraのような富裕層向けの雑誌に取り上げられることで、さらにそれらの雑誌を見た富裕層にも情報が拡散していく。そして、他の観光客がまだあまり行ってない中で、そのようなマイナーな場所に自分は行ったぞという優越感を得たい富裕層が京都に訪れるのである。そうして、多くの富裕層が来京し、彼らが京都にお金を落とすことで、税収が増え、回りまわって京都市の税収が増え、財政難脱却につながっていく。これが京都市にバックパッカーも呼び込む必要があると考えた理由である。

 だが、バックパッカーは比較的長期滞在者が多いため、リッツ・カールトンのような高級ホテルだけでなく、低予算で泊まれる施設も必要である。そこで、低予算でも宿泊できる施設を整えるにはどうしたらよいのだろうか。飯田(2016)は、「現在、京都市には旅館が5000室ある。その内、旅館の稼働率が約7割と、まだ余裕がある。そこで、稼働できていない旅館を利用していく。」と述べている。たしかに旅館を利用していくことも有効だが、旅館の稼働率も約7割とそこまで低くないので、限界がすぐにきてしまうと考えられる。そこで、私はまだあまり使われていない民泊を利用していくべきだと考える。民泊を利用する行政側のメリットとしては、年々増え続ける空き家など使われていない施設や建物を利用できるということが挙げられる。実際に京都市の空き家は、2008年は110,290戸、2013年は114,500戸(Kyotobnb 2014)と5年間で4,210戸増えているという現状がある。そこで、これらの空き家を利用し民泊に使うことで空き家問題の対策にもつながる可能性がある。そしてバックパッカーの民泊を利用することでのメリットとしては、仝獣呂琶襪蕕垢茲Δ並攤澆できる、現地の人や旅人との交流ができる、I當未任惑颪泙譴覆い茲Δ文沈的な場所に泊まれる、じ獣呂梁慮海できる(Travel.jp 2016)ということが挙げられる。しかし、一番のメリットは値段の安さである。大半の民泊では、かつて寮として使われていたものを利用しているため、比較的値段がリーズナブルで低予算でも泊まれるものとなっている。実際に民泊を提供しているAirbnbのサイトを見てみても平均して4000~5000円程度の価格帯となっている。以上のことから、空き家にも活用でき、またバックパッカーにも多くのメリットがあるので、私は民泊の利用を提案したい。

 しかし、民泊にも安全性の問題が存在する。京都新聞(2016)によると、「京都市は(2016年1月16日)に民泊実態調査を行った。最大手の仲介サイトに2542件が登録されているが、所在地を特定できたのは679件にとどまり、その大半が旅館業法に基づく市の許可を受けていない。」という。このような状況があると旅行者は安心して民泊を利用できない可能性がある。そこで京都市は、観光や衛生、消防などの担当職員でプロジェクトチームを作り、2015年12月から8つの仲介サイトに掲載された情報を調査し始めた(波多野 2016)。そして、京都市は認可した民泊の営業だけを認める方針であり、旅館業法上の許可がない違法なケースが見つかった場合は営業を中止させ、悪質な場合は刑事告発も視野に入れる(波多野 2016)という。また、安全性の問題を解決していくためにホームページで市が認可した民泊の情報を掲載し、より安全に宿泊できるための情報を提供している。さらに、通報専用窓口「民泊通報・相談窓口」を開設(2016年7月12日)し、民泊のトラブルに早急に対応できるように備えている。このように着々と民泊の安全性を解決する取り組みが行われ始めているので、バックパッカーのような低予算で旅行を考える観光客も安心して宿泊できるのではないだろうか。

 現在、京都市は財政が厳しい状況である。そこで観光客の中でも富裕層をターゲットにし、京都市の税収を増やしていこうとしている。現在は観光人気都市世界1位だが、いつこの人気が落ちてくるかは分からない。そこで、さらなる観光客を集めるためにはバックパッカーの呼び込みも必要だと考える。バックパッカーの情報拡散力を利用し、世界の富裕層の観光客をさらに呼び込んでいくことで、一人一人の所得が増え、回りまわって京都市の税収も増えていく。このような正のスパイラルを回すことで京都市は財政難から脱却していけるのではないだろうか。

【参考文献】
Airbnb (2016)「京都の民宿を探すなら−現地に溶け込む旅を体験」 https://www.airbnb.jp/s/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82--%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C/?          af=6968636&c=search_d_jpn_jpn_dom_p2_txt_irep&dclid=CPWQ2YL80s4CFcEcvAodONkDYg&s_tag=XZVzGRXd 2016年8月21日閲覧.
新井克弥 (2013) 「バックパッカーの情報行動」『関東学院大学文学部紀要』129,17-42. http://library.kanto-gakuin.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=Nl30000521&elmid=Body&lfname=link/005.pdf 2016年6月22日閲覧.
波多野陽 (2016) 「京都市『民泊110番』開設へ」『朝日新聞』2016年5月25日 http://www.asahi.com/sp/articles/ASJ5S6S09J5SPLZB065.html 2016年6月27日閲覧.
Kyotobnb (2014) 「京都市の空き家が年々増加」http://www.kyoto2.jp/entry/2014/11/25/190048 2016年7月5日閲覧.
京都市 (2010) 「市税収入の確保」 http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000086/86441/6_siryo3.pdf 2016年5月30日閲覧.
京都市 (2014a) 「京都総合観光調査平成26年」
https://kanko.city.kyoto.lg.jp/chosa/image/kanko_chosa26.pdf 2016年5月16日閲覧.
京都市 (2014b) 「平成25年度決算概況について」
http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000172/172480/260731kessanngaikyou.pdf 2016年5月30日閲覧.
京都市 (2015) 「門川市長記者会見2015年7月30日」
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000186841.html 2016年5月30日閲覧.
京都市 (2016) 「民泊通報・相談窓口」http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000201777.html 2016年7月18日閲覧.
京都新聞 (2016) 「無許可民泊大半か 京都市調査、サイト登録一万人分」『京都新聞』2016年1月19日
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20160119000017 2016年5月30日閲覧.
飯田展久 (2016) 「文化庁移転を起爆剤に」『日経ビジネス』 1804, 64-67.
Travel.jp (2016) 「民泊のメリット」http://www.travel.co.jp/minpaku/about.html 2016年7月8日閲覧.

うすくら(2年)

ソニーフィナンシャルホールディングスの介護事業戦略

 ウォークマンやポータブルラジオなどで一世を風靡したソニーが、生命保険、損害保険、銀行に続き、介護事業に参入した。宗像(2015)によると、ソニーが60%出資する金融持ち株会社ソニーフィナンシャルホールディングス(以下ソニーFH)は、2013年に神奈川県横浜市にあるぴあハート藤が丘という介護施設を買収し、介護事業への本格的な参入を表明した。さらに2015年に老人ホームなどを運営するゆうあいホールディングスへ資本参加し、2016年に東京都世田谷区に介護付き有料老人ホーム「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」をオープンしているといった形で、介護事業の拡大を進めている。

 ソニーFHは新たに展開している介護事業を生命保険、損害保険、銀行に次ぐ「第4の柱」と位置づけ、まずは10〜15年をかけ銀行事業と同等の規模にする見込みである。

 ソニーFHは新事業を展開する際に、既存事業者では出来ない古い慣習の打破を試みている。ソニーFHが行う介護事業では2つの点で新たな試みが行われている、と宗像(2015)は指摘をしている。まず一点目に、「ソニーらしい介護」として高品質、安心感を提供していること。二つ目に、介護施設に必要なケアマネージャーに加え、「ライフマネージャー」と呼ばれる役職の人材を配置することである。これは既存の介護施設にはない、入居した老人のライフプランを考える専任人材のことであり、彼らのサポートによって、入居者に対しより充実した生活を送ってもらうことが狙いとしている。

 私はソニーFHの介護事業参入に対して経営戦略の面から賛成である。賛成の理由は2点ある。まず1点目の理由は、他社にはない新たな試みを行っていることである。また、2点目の理由として、金融事業とのシナジーを生み出せることである。まず、1点目の新たな試みの点としては、ソニーFHは独自の「ライフマネージャー」という役職を配置している点である。将来何が起こるのかわからない不安と戦う入居者にとって、一般の介護施設にはケアマネージャーしかいないが、ソニーFHの介護施設に入居すればともに今後のライフプランを考え、有意義な老後人生を送るために頼るべき存在である「ライフマネージャー」がいるのである。彼らの存在によって、資産面などでも安心感をもたらすことが出来る。

 また、他社にはない新たな試みの重要なポイントとして、「ソニーらしい介護」がある。ソニーFHのHPによると、生活面においては、入居者の一人一人に合わせた居室を設計するというものである。例えばトイレやベッドの位置など身体状況に応じて入居者に合った居室を提供し、ドアは遮音性が高いなど睡眠やプライバシーにも配慮している。食事も入居者の方が時間を自由に選択でき、入浴も個浴なのか大浴場で他の方と入るのかが選択できるシステムになっている。また、入居者の方の体を配慮し、腰痛予防としてリフト等の福祉機器を導入し、「持ち上げない介護」を推進している。ケアの面においても、上記の「ライフマネージャー」に加え、看護職の24時間常駐体制を採用している。このような取り組みによって、医療依存度が高くなっても安心して長期間住み続けられる「終の住居」として、他社の介護施設よりも選択される可能性が高まるだろう。

 上記のように他の介護施設にはない高品質な製品・サービスを取り入れることで、便利さや快適さを入居者の方に提供することが出来る。これらの「ライフマネージャー」の存在や、「ソニーらしい介護」といった高品質なサービスを提供することによって、顧客の需要をしっかりと満たし、また他社との差別化が図れるのではないだろうか。
 2点目の理由として、介護事業がソニーFHの強みである金融事業とのシナジーを生み出せる、ということが挙げられる。ソニーFHのコア事業は金融である。したがって、介護事業は一見全く関係のない非関連多角化ではないか、と消費者は疑問を抱くかもしれない。しかし、介護事業は他の事業としっかりとした繋がりを持っている、と私は考える。ソニーFHが狙う顧客層は、生命保険、損害保険、銀行などの金融事業すべてに渡り富裕層である。生命文化センター(2012)によると、実際に介護を受けたことがある人の月々の介護における支出は、平均7.7万円である。それと比較し、ソニーFHが展開する「ソナーレ祖師谷大蔵」は、前払い約1500万円に加え、月々の利用料が約23万円となっている。全国の支出平均を3倍以上も上回っていることから、ソニーFHが狙う介護事業の顧客が富裕層であることが明らかであろう。従って、介護事業を展開し、ソニーFHが運営する介護施設に老人が入居した際に、入居者の方、もしくはその家族が富裕層である可能性は高い。その場合、ソニーFHとして比較的高価格帯の介護保険の加入などを、本人だけでなく家族などに対しても勧められるだろう。つまり、入居している老人だけではなくその家族に対しても、グループサービスである生保・損保の加入を勧めることが出来るのである。このように、介護事業を起点に顧客に提案する商品を増やすことが出来るので、グループ全体の売り上げを上げることにつながるのではないか。

 では、今後ソニーFHにおける介護事業の発展には何が必要か。私は、金融事業以外の事業とのシナジーの創出が必要であると考える。その中で私は、ソニーグループ全体として介護事業と美容事業のシナジーに注目した。なぜなら、松崎(2013)によると、「企業グループの最大の目的は、グループシナジーの創出であり、単体や関連のない事業の集合体ではなく、企業全体に付加価値を与える事業を連結しなければならない。」とあるからだ。一見、美容と介護はシナジーが起きないと思うかもしれない。一般に高齢者は介護施設に入居することで、美意識が低下したり美しさを保てなくなったりというイメージをもたれているが、現在では老人の家に直接出向いて散髪する訪問美容師という職業や、またそれを専門とする企業も存在する。そこで、介護施設で高齢者の美容のニーズを満たすビジネスを展開することで、介護事業と美容事業のシナジーが創出できるのではないだろうか。

 そのシナジーとは何か。それは双方の事業の需要拡大である。例えばソニーの美容事業では、小型肌測定器を製造・販売している。これはソニー本体が強みをもつ画像解析技術を用いているので、他社製品と比較し高品質であり、使い方もシンプルでわかりやすい。これをソニーFHが開設している介護施設に導入するのである。そうすることで、ソニーFHの介護施設の入居者は、毎日自分の肌が若返るのを感じることによって、楽しみを持つ事が出来るのではないだろうか。また、それを見える化することで、美しくなろうという気持ちをもち、体を動かしたりといった機能の向上にも繋がる可能性がある。このようなことで、入居者の満足度を高められるのではないだろうか。また、このような測定器を導入することによって、介護と美容という一見何の関係もないものを同時に行なう取り組みが、メディアなどの注目を浴び、ソニー自体のブランドイメージが上がり、介護や美容の認知度も向上することにつながる。そうすると、ソニー本体の美容事業の認知度も高まるので、化粧品店やエステ店といった新たなに販路を拡大することができる。これらの取り組みにより、多くのサンプルデータを蓄積することが出来るので、新たな肌測定器の開発にも役立つだろう。

 近年、介護事業に多くの企業が参入してきている。その中で、ソニーFHの介護施設をより多くの人が利用し、利益を拡大していくためには、現在取り組んでいる新たな試みや金融事業とのシナジーを求めることが必要である。しかし、更なる事業の展開のためには、グループ本体の他事業とのシナジーも創出することが求められるだろう。一般的に、うまくいかないとされる非関連多角化の中で、どうシナジーを創出するのかが、事業の成功につながる可能性を秘めている。その意味で私はソニーFHの介護事業の展開に期待したい。

参考文献
松崎和久 (2013) 『グループ経営論 その有効性とシナジーに向けて』 同文館出版
宗像誠之 (2015)「ソニーフィナンシャルホールディングス 介護参入にソニー魂」『日経ビジネス』1841 70-74
日経テレコン (2016)「ソニー系の老人ホーム、4月から入居募集、月額利用料23万円」https://t21-nikkei-co-jp.stri.toyo.ac.jp/g3/CMNDF11.do 2016年7月1日閲覧
生命文化センター (2012)「生命保険に関する全国実態調査」http://www.jili.or.jp/press/2012/pdf/h24_zenkoku.pdf 2016年7月1日閲覧
ソニー株式会社HP http://www.sony.co.jp/Products/felica/business/solution/healthcare.html 2016年2月12日閲覧
ソニー株式会社HP 「ニュースリリース」 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201502/15-010/ 2016年3月5日閲覧
ソニーフィナンシャルホールディングスHP「プレスリリース」http://www.sonylifecare.co.jp/news/pdf/release20150928.pdf,2015年11月23日閲覧

さとう(3年)

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