5月12日『<インターネット>の次に来るもの―未来を決める12の法則』 第2章 COGNIFYING

<要約>
 COGNIFYINGとは、日本語に訳すと「認知化する」という意味になり、ものごとをより賢くするということである。今、なんの知能もないモノに少し有用な知能を組み込むというコグニファイを行うことで、AIと呼ばれる人工知能が普及しており、我々の生活に破壊的な変革をもたらしている。
 しかし、数年前までAIの未来の展望が開けないまま研究資金が底をついてしまい、「AIの冬」ろいう言葉まで作られてしまう。ここで60年かかったAIへの扉を解き放ったのが、^族舛癖体鷏彁鮫▲咼奪哀如璽伸アルゴリズムの改良の3つのブレークスルーである。こうしたテクノロジーのトレンドが続く限りAIはますます進化し続け、ネットワーク効果が生まれる。ネットワーク効果とはネットワークの規模が拡大されるにつれて、その価値はそれ以上に速く増大する法則のことである。これは我々の生活に深く関わってくる。
 本章を通して、ケリー(2016)はAI、人間性の再定義を問いかけている。AIの再定義は今までされておらず、ここでは自分が何者であるかを知るためにAIが必要であると定義している。この、AIの到来による最大の恩恵は、それが人間性を定義することを手助けしてくれることである、ともしている。

 人間とロボットの関係としては、
/祐屬できるが、ロボットの方が上手にできる仕事
⊃祐屬砲呂任ないが、ロボットが出来る仕事
2罅垢想像もしなかった仕事
い泙此⊃祐屬砲靴できない仕事
の4つに分担されていた。
これらはマシンとの競争ではなく、マシンと共同して行う競争であるとケリー(2016)はしている。

<ディスカッション>
 「.謄ストp.67より「AIの到来による最大の恩恵は、それが人間性を定義することを手助けしてくれることである」とあったため、人間にしかできない仕事(=人間性)とは何かを話し合い、↓,馬辰傾腓辰燭海箸鬚發箸法⊃祐屬AIが仕事を共同して行っていく中で、人間性を維持しつつ仕事を行っていくためにはどうすればよいか」というディスカッションポイントでディスカッションを行った。

/祐屬靴できない仕事(=人間性)
初めは具体的な職業名から挙げてもらった。 ※カッコ内は理由
・スポーツ選手(ハプニングがないとおもしろくない/人間がやるからこそ意味があるため)
・俳優(人間の感情が関わってくるため)
・美容師(ロボットが行う場合、設定されたままの髪型になってしまう可能性があるため)
・産婦人科医(子供の出産に立ち会ってくれるのは情のある人間の方が良いため)
・管理職(人を管理するのは人がよいため)

上記で挙がった職業を総体的に一般化すると、
・感情が関わる仕事   ・人対人の仕事 
・ロボットがしていたら嫌だと感じる仕事
・感情移入が必要な仕事 ・新しい仕事を創り出す仕事
といったものにまとまった。

⊂綉のディスカッションで挙がった、「美容師」という職業を軸に、人間とAIが共同して仕事を行っていく中で、人間が人間性を維持しつつ仕事を行っていくためにはどうすればよいか。
まず人間(=美容師)がやるべきことを挙げてもらった。 ※カッコ内は理由
・シャンプー(人間がその人に対して臨機応変に対応しなければならないため)
・カット(自分の意思を伝えて、情のある人間に切ってもらう方が良いため)
・客と会話をする/出来上がった髪型を褒める(感情が関わってくるため)

次にロボットがやっても良いことを挙げてもらった。 ※カッコ内は理由
・会計(同じ作業のため)
・カラー(薬を配合するのは人間でなくてもできる)

 以上のことから人間性を維持しつつ仕事を行っていくためには、人間が新しく創り出すという仕事・感情が関わる仕事を人間が行うことで、人間性を維持し仕事を行うことができるという結果になった。
 今回のディスカッションでは、初めのディスカッションポイントにあった「人間とAI」の共同ではなく、「人間とロボット」の共同の話に論点が変わってしまったことが失敗であった。

これからAIができるようになる仕事が増え、今人間が行っている仕事が奪われる未来もそう遠くはない。
ディスカッションではAIと共同するための話はできなかったが、ケリー(2016)が述べるように人間が人間性を維持しながらAIと共同する道を考えなければならない。もしかしたら人間がこの予想される未来をコグニファイすることが初めの一歩なのかもしれない。

いいむら(3年)

4月21日 『<インターネット>の次に来るもの - 未来を決める12の法則』 はじめに/1章BECOMING


<はじめに 要約>
 本書では、今後30年を形作ることになる12の不可避なテクノロジーの力について述べられている。およそ30年前にコンピュータと電話がつながれることで、コンピュータの時代が幕を開けた。最初は社会の中で見向きもされなかったコンピュータだったが、一躍グローバル化した現代社会の中心へと躍り出た。その中で、多くのヒーローが生まれては死んでいった。注目すべきことは、この歴史的な流れが現在も健在で、かつ進化し続けていることだ。
 すべては変化している。“なっていく”プロセスの途中にある。そこで、今後30年のトレンドを形成するであろう12の連続した行動を各章に1つ当てはめ、近い未来に向かう方向を示すことが本書の役目である。

<1章 要約>
 われわれは何かに”なっていく“ことに気づきにくい。もしくは気がつかない。しかし、すべては”なっていく“プロセスの途中である。現在のプロセスがあって未来が生まれる。ならば、われわれは現在の変化に気づかなくてはならない。
 現在のインターネットは、30年前にその時代が幕を開けてからというもの、大きな発展を遂げた。その発展の度合いは、われわれがそこに新たな革新をもたらすことは不可能ではないかと感じさせるほどだ。しかし、インターネットは始まったばかりである。まさにインターネットも“なっていく”プロセスの途中なのだ。30年前では存在を信じなかった世界が現在広がっているように、30年後にも、現在想像もつかないような今とは別でそれを超えるものが生まれているはずである。
 目の前にはまだまだ広大なフロンティアが広がっている。われわれは皆“なっていく”。人間の歴史の中でこれほど始めるのに最高のときはない。まだ遅くないのだ。
 
<ディスカッション>
 今回の輪読が、今年度最初の輪読であった。新2年生も今回より本格的にゼミ活動に参加していく中で、できるだけ多くのゼミ生が議論に参加できることを前提に議論テーマを選出した。1章, p32より「フェイスブックやユーチューブ、インスタグラムやツイッターの中のコンテンツはすべて、これらの運営会社ではなく、その利用者が創造したものだ。」とあった。つまり、利用者である私たちがコンテンツを作り上げていることになる。しかし、私たち(ゼミ生)は、コンテンツを創造するようなアクションを実際問題起こしているかということについて議論を行った。
 発表者側の不確かな方向性のために良い議論はまったくできなかった。しかし、この議論で得られた唯一の気づきが核心をつく気づきになったのではないかと思う。その唯一の気づきとは、利用者であるゼミ生たちにとって、自分のアクションがコンテンツを形成しているという実感をあまり持っていないことだ。しかし、私たちのアクションの1つ1つは、どんなに小さくても、必ずコンテンツを形成していることは間違いない。これらのことから結論付けられることは、全てのものが“なっていく”ように、私たちのアクションも知らず知らずに何かを形成するプロセスになっているということである。気づいていないが、トレンドを生んでいるのではないかということだ。
 また、この結論はもう1つ私たちに気づきを示している。それは本書の示すメッセージに気づくことだ。上記に記した結論のように、私たちは、意外と何かに気づいてアクションを起こしているわけではない。本書で言いたいことは、そういった私たちが「見えない」と思っていることに気づこうということなのだ。「見えない」とはそもそも「見ていない」のだ。そうではなく、もっと変化に気づくことへのアンテナを張ることが、今後30年へとつながるフロンティアを開拓していくことになるのだというメッセージを本書は示している。

ちば(3年) 

 

シェフ型ビジネスにおける社内ベンチャーの有効性

 林(2016)によると、大手化学メーカーは自動車・電機メーカーなどの大口顧客の要望に応じた素材・技術を供給するスタンスをとるのが一般的であるが、三井化学は大量発注を見込みづらいベンチャー企業に自らアプローチをかけている。このように、三井化学が目指す戦略の転換は「農場型研究からシェフ型研究」への転換と言われている(林2016)。これは、樹脂やゴムなどの部品を開発するだけではなく、顧客との複数回のやりとりを行い、好みに合わせて改良し、提供することである。そして、三井化学は自ら企業にアプローチをかけて製品の開発や技術の提供を行い、一般の化学メーカーがあまり取引しない業界の相手が訪れる見本市に出展するなどの活動を行っている。
 
 私は、このように三井化学がベンチャー企業に自らアプローチをかけていく戦略には賛成である。その理由は2点ある。1点目はトップの強いリーダーシップ、2点目は今後発展が見込める市場を対象とした事業展開である。ベンチャー企業は大企業と比べると簡素な組織で意思決定が迅速に行われる(経済産業省2008)。このようなベンチャー企業のスピード感によって、シェフ型研究を行っている1つのプロジェクトに対する時間の削減が見込まれる。また、大企業は規模が大きい市場で事業を展開していることが多く、収益の見込みづらい規模が小さい市場では事業を展開しにくい。その点、ベンチャー企業は、規模の小さな市場でも収益を上げやすい。従って、三井化学にとってベンチャー企業と協同することは、規模は小さいが成長の見込まれるような市場において、仮に大企業が参入して来た際、競合他社よりも先に供給先としての権利を得やすくなると考える。

 また、ベンチャー企業の側から考えても、豊富な資源を保有する三井化学と組むことができれば、経営資源の不足というベンチャー企業の弱み(経済産業省2008)を解消することができる。さらに、林(2016)で挙げられているように、三井化学のシェフ型ビジネスは、顧客であるベンチャー企業の要望に応えて部品・製品開発を行うので、ベンチャー企業が抱えている技術面の問題を大企業の豊富な経営資源を用いて解決することができる。そして、三井化学と共同で開発することができれば、ベンチャー企業自身のブランドだけでなく、共同で開発した三井化学のブランドも用いることができる。このことにより、商品の信頼度を向上させることができ、商品を展開していく際にプラスに働くと考える。これらの理由から、ベンチャー企業も三井化学と共同で開発するメリットがあると考える。

 しかし、三井化学はベンチャー企業と組むことで、必ずしも安定的な収益を上げられるというわけではない。なぜならば、ベンチャー企業は大企業と比べて規模や生産高の面で劣るので、大口顧客のような安定した供給先には成りえないからである。では、三井化学はどのようにして収益を獲得していけなければならないのだろうか。

 そこで、私は三井化学がベンチャー企業だけではなく、大企業の社内ベンチャーに積極的にアプローチをかけていくことを提案したい。なぜなら、ベンチャー企業にない強みを社内ベンチャーが保持しているからである。ベンチャー企業にはない社内ベンチャーの強みとは、大企業の一部であることのブランド力、資源の豊富さ、研究開発の面でのリスクの小ささ(原山・氏家・出川2009)である。例を挙げると、大企業の社内ベンチャーはベンチャー企業よりも経営資源が豊富であり、このことは三井化学にとって有利に働くと考える。仮に共同開発した製品の需要が高まった時、ベンチャー企業では資金調達に時間がかかるが、大企業の社内ベンチャーであれば、迅速に投資を受け市場の需要に合わせて製品を生産できる可能性が高い。このことから、三井化学は社内ベンチャーと組むことで、ビジネスのチャンスを拡大できる可能性が高まるのではないだろうか。

 加えて、三井化学は大企業の社内ベンチャーと協同で研究・開発をすることで、単独のベンチャー企業と行うよりも、より多くの販売先を確保できる可能性が高まると考える。ベンチャー企業と開発を行った場合、販売先と成り得るのはベンチャー企業単独になることが多く、販売先を広げるのは困難だ。しかし、大企業の社内ベンチャーと開発を行った場合、開発した素材の販売先として、大企業の社内ベンチャーだけでなく、その大企業と取引をしている企業も販売先として見込むことができるのではないだろうか。これによって、シェフ型研究の問題である、収益の確保が困難である点を解決することができるだろう。

 そして、この提案は三井化学だけでなく開発系のメーカーにもメリットになると考えている。仮に、開発系のメーカーが安定した供給先を確保していたとしても、それは成長ではなく、顧客の維持にすぎない。企業が長期的に成長していくためには、新規事業で収益を確保していく仕組みを作っていかなければならないのである。私はその手段として、オープンイノベーションを活用することが適していると考える。なぜなら、イノベーションを起こすのに役に立つ知識は広く分散(Chesbrough,Vanhaverbeke,West 2008)しており、社外にあるその知識を利用することはイノベーションを起こして新規事業を生み出していく上で有効であるからである。

 このように、自社だけでなく社外にも重きを置いている点はシェフ型ビジネスとオープンイノベーションの考え方双方が類似している。しかし、シェフ型ビジネスはオープンイノベーションと比べて自らアプローチをする点で積極的である。自ら社外にアプローチをしていくことで、受け身の姿勢でいるよりも多くの社外のリソースを活用する機会が増加し、新規事業の獲得につながると考える。そのため、シェフ型ビジネスを活用することは、三井化学だけでなく開発系のメーカーにとっても企業の長期的な成長と新規事業の獲得の点で有効な手段になるだろう。実際に、日本企業は今、「外」に活路を求め、従来の殻を打ち破る必要がある(日本経済新聞 2014)と言われており、研究解発にもかつてないほどのスピードが求められている(星野 2015)。今後、開発系のメーカーにとって、資源が豊富でスピード感溢れる大企業の社内ベンチャーへシェフ型ビジネスの様に自ら積極的にアプローチをしていくことが必要になってくるのではないだろうか。

【参考文献】
原山優子,氏家豊,出川通 (2009) 『産業革新の源泉:ベンチャー企業が駆動するイノベーション・エコシステム』白桃書房
林英樹 (2016) 「三井科学 素材を「発明の友」に」『日経ビジネス』1850, 58-62
Henry Chesbrough,Wim Vanhaverbeke,Joel West (2006).Open Innovation : Reserching a New Paradigm 邦訳,長尾高弘 (2008) 『オープンイノベーション;組織を超えたネットワークが成長を加速する』 英治出版
星野達也 (2015) 「研究開発の自前主義に訪れた限界」 『日経テクノロジーonline』
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150701/425842/?P=1 2017年4月5日閲覧
経済産業省(2008)「ベンチャー企業と既存企業<現状と課題>」
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g80318b03j.pdf 2016年08月15日閲覧
三井化学株式会社(2016a) 「R&D方針・戦略」
http://jp.mitsuichem.com/techno/strategy/index.htm 2016年09月26日閲覧
三井化学株式会社 (2016b) 「社員紹介」
http://jp.mitsuichem.com/career/interview/oishi.htm 2016年09月01日閲覧
日本経済新聞 (2014) 「社内ベンチャー、成功に導くのは『スマートな野武士』
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76005580S4A820C1000000/ 2017年2月12日閲覧
日本経済新聞 (2017) 「三井化学・東ソー、純利益を上方修正 17年3月期」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD02H77_S7A200C1DTB000/ 2017年2月5日閲覧

のきぐち(3年)

現在の教育現場にロボットは必要か

 最近、企業の受付で人型ロボットのペッパーを見かけることが多々ある。斉藤(2016)によると、2015年6月にソフトバンクグループから誕生したペッパーは、感情認識ロボットである。収集したデータにより自律的学習を行い、声や表情に反応して、自身の感情や対応を変えることができる。そしてこの感情は胸にあるパネルに色で表示される。これまでもiPhoneやiPadに対応していたが、2016年5月には米グーグルと組んで「アンドロイド」に対応させると発表した。これにより、iPhoneだけでなくアンドロイド向けのアプリがペッパーでも使えたり、個人や企業によるアプリの提供を促すことができるようになった。この結果アプリが増加し、ペッパーのできる可能性が広がるので、より人間に身近な存在になると期待されている。

 そんなペッパーの活用として、2016年3月に豪州のクイーンズランド州政府と了解覚書を締結した。これによりクイーンズランド州の小学校など教育の現場にペッパーを導入することなどが想定されている。つまり教育現場にロボットが進出してきているのである。

 教育現場には大きく2つの問題点があると私は考える。1つ目は集団教育についてである。集団教育のデメリットについて、文部科学省(2016)は教師が生徒の学習・行動把握することの難しさを指摘している。学習把握について私の経験では、勉強に追いついていけず分からないままの状態が続き、テストをカンニングすることによって理解度をごまかす生徒が周りにいた。また行動把握については、先生が問題のある子に関して構い過ぎてしまい、それ以外の子に目が届かず、不登校の生徒を生み出してしまった。教師からは、生徒の理解度のばらつきが大きいのでどの層を中心に教えれば良いのか分からないといった声や、子供1人に使える時間が少ないので、生徒の家での様子など把握できないという声もある。このように教師が学習把握や行動把握の難しい状況が続いては、文部科学省の期待する教育の質の向上は出来ないのではないだろうか。2つ目は人件費についての問題である。学校法人が経営破綻に陥る原因として、学校法人活性化・再生研究会(2007)は、経営費用が多く掛かってしまうことを挙げている。経営費用の中で大きな比率を占めているのは人件費である。まず精神疾患による休職者は、文部科学省のデータによると年々増加傾向にある。要因として、生徒指導の際に生徒が話を聞かない、またその指導に関して保護者が苦情を言うといった生徒と保護者の多様化が一番に挙げられている。これにより教師の負担が増加し、場合によっては精神疾患になってしまうというのだ。教師の中でも高齢になるほど休職者の人数の割合は多い(文部科学省,2014)。給料が高い高齢の教師が精神疾患になることによって、休業せざるを得ない状況にある高給教師への費用負担と、代替の新任教師を探さなければならない費用の二重負担が生まれてしまう。これでは人件費を削減することは出来ない。

 ではロボットが教育現場に進出すればこの2つの問題は解決できるのだろうか。例えばペッパーで解決することを考えてみたい。

 まず1つ目の集団教育についてである。学習把握については、ペッパーがインターネットとつながっているため、人間よりも多くの情報を収集し、その妥当性を高めながら教えることができる。また生徒が分からなかった問題を人工知能で把握し分析することによって、生徒個々に合った課題の作成をすることができる。行動把握については、感情認識の機能がついているため、生徒の表情によって理解度や日々の態度の変化についても把握することができると考えられる。2つ目については、ペッパーを導入することで人件費を削減することができる。ペッパーの本体価格が約20万円。メンテナンス費用が年に30万円で、通信費用などが年に約50万円。合計で年に100万円である。一方高校教師の年収は約706万円で、ペッパーを7体購入できるのだ。

 これらのことより、私はペッパーの教育現場への進出を推奨したい。しかし、教師の行うこと全てをペッパーで代替することは出来ないと考える。その理由は3つある。1つ目は、ペッパーはその場の表情や行動から感情認識するため、因果関係などを理解できないからである。人間は物事の因果関係などを理解して感情を認識する。しかし、ペッパーはその時の情報しか分からないため、感情認識の方法が一方的である。実際にペッパーが感情認識を行う際には、「相手によって千差万別、定量化やパターン化が十分にはなされていない。たくさん会話をして、相手が笑ったり怒ったり落ち込んだりするのを認識・分析する」(神崎,2015)。つまり、初対面の人に対して反応したり、急に感情が変わることに対応したりすることができない。これは人間にある洞察力と傾聴力が不足しているということだ。2つ目は、即時対応ができないからである。実際に新宿のSoftBankでペッパーと会話をしてみたところ、プログラミングされているような内容には対応できるが、子供の「抱きついてほしい」という要望には答えられなかった。また、私が話しかけても返事が返ってくるのに時間が掛かってしまった。つまり、急な行動の変化に現在のペッパーの情報処理能力では対応できないのである。3つ目は、同時認識に限界があるからである。ペッパーが同時に認識可能な人数は10人程度である。そのため、集団教育で1クラス40人程度の場合、ペッパー1体が全員を同時に認識することは不可能だ。以上よりペッパーが教育全部を担当するというのは難しいことと私は考える。

 それではどのようにペッパーを教育現場で利用するのが良いのだろうか。私は、教科担当補助としての利用が望ましいと考える。なぜならば、ペッパーは学習の多様性に対応できるからである。例えば数学の因数分解で考えてみよう。因数分解は公式が多く、また解き方も多様である。そのため現状の集団教育では生徒1人1人の理解度に対応できないため、途中で分からなくなってしまう生徒と分かる生徒の理解度の差が広がる。しかし、ペッパーは人工知能により生徒が以前解いた問題から間違えの傾向を割り出すことができるし、生徒個人の苦手を認識できる。したがって生徒1人1人に解き方についてのヒントを提示することができる。このように学習把握をペッパーに行わせることによって、問題のある子に対して教師がかけられる時間が多くなり、行動把握を行えるようになる。しかも、人件費を考えてもペッパーが三体いた方が教師を1人雇うよりも安価である。これによって現状で行えていなかった教育の質の向上につながるのではないだろうか。

 現在の集団教育が行われている状況では、保護者と生徒の多様化により教師の負担が大きく、教育の質の向上を求めることは難しい。しかし、ロボットを導入すれば、即時に情報収集を行ったり、生徒1人1人の理解度を把握したりして対応することができる。その分人間は、ロボットが対応できない人間関係の構築や心情の問題に対応する時間を確保できる。このように両者が得意なことを行い、教育現場で助け合っていけばお互いに足りない部分を補完することができるようになる。つまり教育現場にロボットは必要なのである。

【参考文献】
神崎洋治(2015) 「Pepperの衝撃!パーソナルロボットが変える社会とビジネス」http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20150604/1065043/ 2017年1月15日閲覧.
厚生労働省(2014)「賃金構造基本統計調査」
http://www.estat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_xlsDownload_&fileId=000006448772&releaseCount=4 2016年7月11日閲覧.
文部科学省(2012)「病気休職者の学校種別・年代別・性別・職種別(教員職員)」『平成24年度公立学校教職員の人事行政状況調査について』http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/12/18/1342544_04_1.pdf
文部科学省 (2011)「高校教員の勤務実態」『調査(高等学校)報告書 教員勤務実態調査 (高等学校) 報告書 教員勤務実態調査(高等学校)報告書 』http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/07/05/1308071_2.pdf 2016年7月18日閲覧.
文部科学省(2010)「資料14 病気休職者数等の推移(平成13年度〜平成22年度)」『平成22年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について』http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/12/22/1314343_14.pdf 2016年12月22日閲覧.
日本私立学校振興・共済事業団 学校法人活性化・再生研究会(2007)「私立学校の経営革新と経営困難への対応」 http://www.shigaku.go.jp/s_center_saisei.pdf 2016年9月4日閲覧.
SoftBank 「ペッパー基本料金」http://www.softbank.jp/robot/consumer/price/ 2016年7月11日閲覧.
SoftBank「ペッパーの感情」http://www.softbank.jp/robot/consumer/products/emotion/ 2016年06月13日閲覧.
斉藤美保(2016)「脱ガラパゴスへ、海を渡るペッパー」『日経ビジネス』1843,16.

おの(2年)

日本自動車メーカーの将来に向けて

 清水(2016)によると、トヨタ自動車やGMといった世界の大手自動車メーカーやグーグルやアップルなどの自動運転車の製造に取り組んでいる企業は、自動運転車に必要不可欠なAIやロボットに関する優秀な技術者の囲い込みを行っているという。また、斉藤(2016)は、日本の企業から、AIやロボットに関する優秀な人材が世界の企業に引き抜かれているという。その要因として、日本の雇用形態や報酬制度を挙げている。

 島津(2016)によると、トヨタ自動車は米国でAI技術の研究・開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を設立し、CEOにAI分野で「米国の至宝」とまで言われているギル・プラット氏を採用することで、次々に著名なAI研究者の引き抜きに成功しているという。さらに、島津(2016)によると、プラット氏は「トヨタは製造業では世界トップ。カイゼン文化やトヨタ生産方式などの宝物を持っている。ただし、ソフトウェアの開発には別のプロセスが必要。トヨタはそれに気付き、より迅速に動ける子会社(TRI)を作った。ソフトウェアの開発に必要な、迅速な文化を採用したのだ」と述べているという。トヨタ自動車は、グーグルやマイクロソフトなどの大手IT企業が優秀なIT人材の囲い込みを行っているなか、豊富な資源と業界内の地位を活かして優秀な人材を獲得していたのである。また、日本の雇用形態や報酬制度の問題を、アメリカに子会社をおくことで解決していた。

 一方、スバルやスズキなどの日本の自動車メーカーは、ギル・プラット氏の言うようなAI技術のみを扱うような海外子会社を持っていない。したがって、自動運転化の流れに迅速に対応できるプロセスといった環境は整っていないのである。一般に大規模なソフトウェア開発はアウトソーシングで行われているといわれる。しかし、将来自動運転化が進むなかで、ソフトウェア開発というコア・コンピタンスとなりうる部分を他社に委託してしまっては、現在のような業績を得ることは難しくなるだろう。以上のことから、スバルやスズキなども優秀なIT人材を確保していかなければならない。

 ところが、トヨタ自動車のような企業に比べて経営資源の少ない自動車メーカーが、優秀な人材を確保していくことは難しい。なぜなら、トヨタ自動車と同じようにアメリカに子会社を置きソフトウェア開発の環境づくりをしようとしても、報酬の面で経営資源の差が顕在化してしまうからである。しかも、トヨタ自動車のような自動車メーカーだけでなくグーグルなどのソフトウェアの研究開発を専門とする企業に対して人材の確保の競争で優位に立つことは難しい。世界中の優秀なIT人材が最先端の技術を持つアメリカに流れている中、アメリカで人材の確保ができないということは自社の競争力の低下になりかねない事態である。しかしながら、このままソフトウェア開発に向けての環境づくりをせずにいると、優秀なIT人材の確保だけでなくIT人材自体の確保にも苦しむことになってしまうと考える。なぜなら、「2030年には国内のIT人材数が85.7万人なのに対し、不足数は78.9万人に上ると予測している」(経済産業省 2016)というからだ。したがって、なにも行動を起こさないままでいると、トヨタ自動車に比べて経営資源の少ない自動車メーカーは衰退の一途をたどりかねない。

 そこで、私は将来のIT人材の確保を見据えて、トヨタ自動車以外の日本自動車メーカーに、ソフトウェア研究・開発専門の子会社をインドに設立することを提案したい。

 インドである理由は4つある。1つ目は圧倒的に人件費が安いからである。インド日本商工会(2012)によると、インド人上級エンジニアの平均月給は38,142ルピーだという。これを日本円に換算すると(2016年10月3日14時現在1ルピー=1.52円)約5万円である。DODA(2015)によると、日本の社内エンジニアの平均年収が512万円であり、単純に計算すると彼らの平均月収は約42万円となる。したがって、インド人上流エンジニアと日本の一般エンジニアを比べたときに報酬にかなりの差があるといえる。さらに今回獲得しようとするインドの一般エンジニアを考えた場合、彼らを雇用するには上記に記載した上級クラスの報酬よりもずっと少なくなると考えられる。

 2つ目は、日本よりもインドのほうが圧倒的にIT人材の数が多いからだ。IPA(2010)によると2009年時点でインドには約145万人のIT人材がいるのに対し日本には約75万人しかいない。近年のインドのIT産業のすさまじい発展と日本のIT産業の現状を見ると、2016年現在ではもっと人数の差は開いているだろう。ここに他社よりも早く進出しておくことで、将来足りなくなってしまうエンジニア自体の確保を先に行うことができるだろう。

 3つ目は、報酬形態を日本型のものから変えやすいからである。現在日本では年功序列型の賃金形態が一般的であり、国内で急に変えることは難しいと考えられる。一方、これから需要の高まっていくIT人材を獲得するうえで人件費の高騰が予想されるが、日本型の報酬形態のままでは若く優秀なインド人を高額で獲得するのは難しい。しかし、日本ではなくインドに子会社を置くことで、そのような人件費の高騰に対応可能な報酬形態を採用しやすいといえるだろう。また、為替も現在ルピーに対して円高であることから、日本企業は現地で高額な報酬でも払いやすいだろう。

 4つ目は、雇用形態を日本型のものから変化させやすいからだ。濱口(2013)によると、日本の雇用形態の特徴は「職務も労働時間も勤務場所も契約で限定されておらず、無限定、すなわち使用者の命令でいくらでも変えられてしまう」メンバーシップ型であり、異動や転勤が多い。しかし、研究者に異動や転勤をさせてしまっては、それまでの知識やノウハウをその研究から奪ってしまうことになるこれでは専門性の高いソフトウェア技術の研究・開発の遅れが出てしまうという弊害をもたらすこととなる。これでは、急速に進むソフトウェア研究・開発の中で遅れをとってしまうことになるのではないだろうか。そこでインドに子会社を置き、メンバーシップ型とは異なった雇用形態を採用することで、研究・開発をスムーズに行うことができるのではないだろうか。

 最後にソフトウェア研究・開発専門である理由だ。IPA(2010)によると、インドはオフショア市場が発達したため、ソフトウェア開発技術に長けているという。また、スズキやスバルといった企業群は、すでに製造に関わる拠点をインドに持っている。子会社を独立させてしまうと最後にはソフトウェアとハードウェアの接合部分で問題が起きることもある。しかし、すでに生産拠点を持っていれば幾分か研究・開発のフロントローディングを可能にし、生産コスト削減につながるのではないだろうか。

 IPA(2016)によると、「近年、ソフトウェアの大規模化と複雑化、急変な社会環境変化に伴う開発期間の短縮化、さらには社会システムの役割の増大により、ソフトウェア開発の信頼性、生産向上に対するニーズはますます高まっている」という。このような状況下において開発期間を短縮化し、なおかつ生産性を向上するためには、限られた優秀な人材よりも、一定程度以上の人員の確保が必要となるはずだ。なぜならば、ソフトウェア開発は人が行うものであり、人間の生産性には限界があるからだ。したがって、「自動車」の時代から「自動運転車」の時代に変わっていく中で、歴史のある日本の自動車メーカーが経営資源の差を補い業界内の競争に加わり続けていくために、インドでソフトウェア開発専門の子会社を設立し安価な労働力を確保することが1つの手段になると私は考える。

【参考文献】
IPA(2010) 「グローバル化を支えるIT人材確保・育成施策に関する調査」
http://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/global-report.html 
インド日本商工会 (2012)
http://www.jccii.in/Docs/0406_12_6th_salary_survey_(summary).pdf  
2016年10月3日閲覧
DODA (2016) 「平均年収ランキング2015職種別」
https://doda.jp/guide/heikin/2015/syokusyu/ 2016年10月3日閲覧
経済産業省(2016) 「国内IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.pdf 
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濱口桂一郎(2013)「「ジョブ型正社員」と日本型雇用システム」『nippon.com』
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