チャオパニックが若者に選ばれるには

 津久井(2018)によると、新規開店した衣料・雑貨店「ベースヤードトーキョー」はこれまでの店舗と趣が全く異なるものだという。「ベースヤードトーキョー」ではとがったデザインや落ち着いた色合いなど印象が違う5つのブランドがゾーンを区切って商品を並べている。その中でチャオパニックが目立つ。このブランドはもともとオリジナルブランドを6〜7割、仕入商品3〜4割を扱っている。そんな中、ベースヤードトーキョーに限っては仕入れ商品とオリジナルブランドの割合を逆転させた。なぜならSPAにより売れ筋商品に偏りが生まれ、商品が均質化してしまった結果、他社との違いを出しづらくなっているからだ、と津久井は述べている。

 そこで仕入れ商品とオリジナルブランドの割合を逆転させたことによる変化を確認するために、私は通常のチャオパニックの店舗であるチャオパニック海老名店とベースヤードトーキョーに出店するチャオパニックにと足を運んだ。チャオパニック海老名店では仕入れ商品とオリジナル商品が店内に分けられることなく配置されている。また店を見渡し商品を確認したところ、オリジナルブランドの割合は全体の6割程度といったところだ。さらに、海老名店が出店しているららぽーと海老名にある他のアパレル店舗と比較したところ、チャオパニックと似たようなテイストの商品が並んでいるように見えた。次にベースヤードトーキョーである。こちらでも仕入れ商品とオリジナルブランドが分けられることなく配置されている。店を見渡し商品を確認したところ、仕入れ商品の割合は全体の7割程度といったところだ。加えて、ベースヤードトーキョーにおいてのみオリジナル商品と仕入れ商品の割合を逆転させた理由は、他社との差別化というよりチャオパニック内で差別化する意図があった、とチャオパニックの店員さんが述べていた。つまり、商品の割合を元に戻すと、ベースヤードトーキョーに出店するチャオパニックと一般のチャオパニックが同質化してしまうことになるのである。

 ではチャオパニックは他社と差別化をするために、ベースヤードトーキョー以外の店舗でもオリジナルブランドと仕入れ商品の割合を逆転させるべきだろうか。私は逆転させるべきではないと考える。理由は二つある。

 一つ目は、利益率が落ちるからだ。チャオパニックはベースヤードトーキョー以外の店舗においては、オリジナルブランドの比率が高い。オリジナルブランドはSPAで展開されているので、コストダウンが見込まれる。対して、仕入れ商品は他社から買い取っている分オリジナルブランドと比較してコストがかかる。一方、オリジナルブランドは売れ筋商品を中心に製造するので比較的売れやすい。また、自社で生産することで規模の経済によるコストダウンが見込まれる。つまり、売れれば売れるほど仕入れ商品より多くの利益を生み出すことができる。したがって、利益を確保するためにSPAの体制維持は不可欠である。

 二つ目は、仕入れ商品に頼らずとも同程度の品質の製品を提供できるからだ。井上(2008)によると、オリジナルブランドを作るために素材の調達から小売りまでを自社で行うことで、仕入れ商品をはじめとする一般商品と同じ質を維持することができるという。また、チャオパニックであれば更なるメリットも見込める。商業界オンライン(2018)によると、パルグループは2016年に生産プラットフォーム室という部署を設けている。これは素材の共通化などにより、製品の質を上げようとしている試みである。例えば、パルグループ内のチャオパニック以外のブランドが優れた素材を使おうとした時に、チャオパニックもその同じ素材を使うことができる。このように、ブランド毎で仕入れたときに発生する単価を抑え、各ブランドの探索コストの削減を行うことができる。したがって、仕入れ商品と同程度、また仕入れ商品より優れた質の製品を販売するために、仕入れ商品とオリジナルブランドの比率は維持するべきである。

 ところが、従来通りチャオパニックにおいてオリジナルブランドと仕入れ商品の比率を維持すると、どうしても他社と似たような商品ラインナップになってしまう。そうすると、チャオパニックではなく他社で購買してもいいと考える消費者が増えてしまう。そこで私は、従来通りのラインナップを維持しつつ他社でなく自社で買ってもらえる施策が必要であると考える。その理由は、チャオパニックのオリジナルブランドには需要があると考えるからである。繊維流通研究会(2014)によると、チャオパニックは数年前から20代を中心とする若者をターゲットにしている。加えて、30歳未満の人々の洋服への支出が減少傾向にあることが明らかになっている(総務省, 2014)。これらのことから、チャオパニックの狙う顧客層はオリジナルブランドのような比較的安価かつ品質の良い商品を購買すると考える。そのため今後もオリジナルブランド中心の商品構成にする必要があるのだ。

 では、その中でチャオパニックが自社の商品を若者に選んでもらうためにはどうすればよいだろうか。私は、店内に商品のコーディネートやこだわり部分などの詳細が分かるように、QRコードを配置することを提案する。このQRコードを読み取ると、その商品のコーディネートやこだわりポイントを見ることができるだけでなく、店員がチャオパニックの服を日常で着ている写真も見えるようにする。本提案のように、商品にQRコードをつけ詳細を分かりやすくするという仕組みは、海外では実施されているようであるが、日本のアパレルでは現状この仕組みはない。

 この提案の特徴は消費者に対してコーディネートのイメージを提供できる点である。通常店内では店員が商品について話すことで顧客に情報を伝達してくれる。しかし、その商品を着用した全体像や、畳んであるだけの服と自分の家にある服との組み合わせは、店員の説明を聞いているだけではわかりづらい。そこで、本提案のように視覚的に分かる仕組みによってこそ、顧客は商品をイメージしやすくなると考える。また、本提案は雑誌等よりも顧客に商品の良さや組み合わせを訴求できると考える。店内にファッション雑誌などを置いている店があるように、雑誌が服を選ぶときの判断材料の一つになるのは間違いない。しかし、雑誌の多くはプロのモデルが写っていることがほとんどであり、彼らはどんな服でも着こなしてしまう。これでは、服やコーディネートよりもモデルの素質に目が向き、参考になりづらい。一方、この提案では店員がチャオパニックのオリジナルブランドを日常で着用している姿がアップされる。こうすることで、スタイルが良いモデルだから似合うという印象を払拭でき、決してスタイルが良くない一般人でも自分に合ったコーディネーションを見つけやすくなるのである。こうすることで、顧客は自分に似合う商品を購買しやすくなるのではないか。

 繊研新聞(2016)によると、海外ファストファッションなど大型SPAの台頭に象徴されるように、市場にはモノがあふれ、商品の同質化も進んだ。今後も多くのアパレル企業が利益率の高い自社製品に頼ることになるだろう。一方で、セレクトショップがオリジナルブランド中心で仕入れ商品を少し販売する流れもまだ続くと予測される。その中で、チャオパニックが顧客に選ばれるためには、消費者により近い存在である店員のコーディネーションによって自社の商品をアピールすることで、オリジナルブランドについて消費者に伝えやすくなると考える。その結果、顧客は他社ブランドでなく、チャオパニックでの購買を選択し、自分に似合った商品を手に取ることができるのだ。

【参考文献】
井上近子 (2008)「経営改善に対応した売場リニューアルの実証分析―セレクトショップを中心としてー」『目白大学短期大学研究紀要』44, 239-253.
繊研新聞 (2016)「今アパレルビジネスに求められること」『繊研新聞』2016年5月13日,1.
繊維流通研究会 (2014)「来年からライフスタイル提案型の取り組みも強化」2019年12月12日閲覧. http://www.apparel-mag.com/abm/article/business/530
総務省 (2014)「平成26年度全国消費実態調査」https://www.stat.go.jp/data/zensho/2014/pdf/gaiyo2.pdf
商業界オンライン (2018)『パルグループHD 井上英隆会長の「これからの経営」』2019年12月12日閲覧. http://shogyokai.jp/articles/-/674?page=2
津久井悠太(2018)「いつも「新鮮な店」追求」『日経ビジネス』1963, 50-54.

にしむら(3年)

プラットフォーム企業のグローバル戦略(第4章後半 P149〜173)

【要約】
 第4章後半部分では、プラットフォーム競争戦略の有効性について、ネットワーク分析の手法を用いて説明されている。ネットワーク分析の結果として、事例となっている半導体産業でオープン標準化が起きたことで、ネットワークに3つの変化が生じていることがわかった。まず、複数のコミュニティを媒介するハブ・ノードが継続的に発生した。そしてハブ・ノードのバーゲニング・パワーにより、コネクタノードが周辺ノードに押しやられ、よりハブ・ノードに媒介機能が集約された。そのため、コミュニティ間の紐帯が小さくなり、ネットワークのモジュラー化が進んだ。

【ディスカッション】
 本書には、「プラットフォーム戦略では、コミュニティ間の媒介機能がハブに位置取りしたプラットフォーム企業に集約されていく一方、従前はコミュニティ間の媒介していたコネクタノードは、周辺ノードに追いやられてしまう。」(P.162,L.13-17)とあった。 実際にP.150-151の図を確認すると、AMATがハブに位置取りしたことでニコンはコネクタノードから周辺ノードへと変化している。そこで、ニコンが今後ハブノードになるためには、コミュニティ内取引とコミュニティ間取引のどちらを増加させるべきかを今回のディスカッションのテーマとした。議論を行うにあたって、次の条件であるという設定を行った。1つめは、ニコンの現状として主力事業が衰退しており資金難に陥っている。ニコンのなかで事業シェアの低い半導体事業には多くの資金を投資できない。そのため、コミュニティ間取引かコミュニティ内取引のどちらかにしか注力できないようだ。2つめは、半導体装置市場の現状は、1位が台湾、2位が韓国、3位日本、4位中国、5位シンガポールとした。3つめは、半導体業界は比較的変化が激しい業界であるため、3年間ほどの中期的な戦略となる。4つめはハブに位置取るメリットが「情報アクセス優位性」「情報コントロール優位性」であり、このメリットを得るためにハブに位置取ろうとしている。

 コミュニティ内を重視する意見とコミュニティ間を重視する意見に分かれた。まず、コミュニティ内の意見を重視する意見としては、ハブノードになるためには、現在のコミュニティ間取引は充分ではないが、足りているため、コミュニティ内の取引を進めていくことによってハブノードに近づくという意見があった。また、過去のネットワークポジションを確認すると、ニコンがコミュニティ間取引に力を入れていたことが感じられる。しかし、ハブには位置取りできていない事実がある。よって、コミュニティ間取引に力を入れてもプラットフォームのハブとなる数値には近づくことができないため、コミュニティ内取引を重視すべきとの意見があった。また、AMATに情報が集約されているため、コミュニティ間取引に注力しても、新たに多くの情報を取ることができないとの意見もあった。このように、コミュニティ内取引を重視する意見が序盤は多かった。しかし、2003年以降にオープン化標準した事実に注目し始めると、コミュニティ間取引の意見が出始めた。具体的には、ハブノードに位置するためには、新興国企業に販売を行うことが重要であるという4章前半の実証実験の結果を踏まえて、新興国に販売することがハブに近づくということだ。さらにコミュニティ間取引である市場には新規参入企業が増えてきているため、今後も市場として成長していくことが見込まれる。よって、AMATがハブに位置取っているが、参入して新規顧客を獲得する可能性があるとの意見もあった。また、標準化によって、日本の半導体装置産業は技術的優位が下がっているため、新興国と取引すべきとの意見もあった。結果、オープン標準した際のプラットフォームの戦略として本書で述べられている通り、新興国産業に販売率を高めることを重視する人が多く、コミュニティ間取引を進める流れとなった。

 では、AMATがハブに位置取りする台湾半導体市場においてコミュニティ間取引を進めていくには、ニコンはどのような取り組みをしていけば良いのだろうか。具体的な案を話し合った。すると、次のような意見が出た。AMATがまだ取引を行っていない場所に新しいコミュニティを作る。AMATの下についてAMATが手掛けなかったところをもらい情報を集め、いずれは自社のみで取引をできるようにする。台湾半導体市場のTELと手を組み、情報を得るといったことだ。

 今回のディスカッションでは、設定した条件下において、ニコンはコミュニティ間取引を重視すべきという結論になった。実際のニコンの戦略を見てみると、コミュニティ内取引に重きを置いていた。すると、同じ露光機メーカーであるASMLが徐々に拡大してきた。結果、2000年以前はニコンがASMLを上回っていたが、2010年頃の露光機市場においてASMLがシェア約8割、ニコンが約2割とシェアが逆転した。もし、ニコンが新興国に向けて販売し、今回のディスカッションで出てきた工夫を行ったら、現在とは異なる結果がでてきたかもしれない。

くまざき・まさや(4年)

プラットフォーム企業のグローバル戦略(第4章:P117〜148)

【要約】
 本章では、プラットフォーム企業の競争戦略の有効性について、半導体製造装置企業の取引データを用いて実証分析を行った結果が示されている。半導体製造装置産業は、以前は製品の品質等での差別化を図る戦略がとられていたが、2000年前後の300mmオープン標準化をきっかけに、プラットフォーム戦略を取る企業が出現するようになった。本章では、その300mm標準化前後の取引データをもとに、「ハブ=媒介中心性の高いポジションへの位置取り」「オープン標準対応製品の販売率」「新興国市場向け販売比率」といった戦略間の関係について定量的な実証分析が行われた。

 その結果、「ハブへの位置取り」「オープン標準対応製品の販売率」「新興国市場向け販売比率」は強い交互作用を持っており、「新興国市場向け販売比率」が一定以上高くなければ、グローバルエコシステムでプラットフォーム戦略が効果を発揮しないことがわかった。

【ディスカッション】
 P119では「300mm標準は、ウェーハ口径・形状のような材料の標準化にとどまらず、自動輸送システムの標準化、ファクトリーデザインの標準化、CIMソフトウェアの標準化など生産工場に関して広範な標準化が行われた」と書かれていた。しかし、3章でプラットフォーム企業は、オープン領域とクローズ領域を決め、クローズ領域の部分で他社との差別化を行っていくとも書かれていた。そこで、今回私たちは「オープン標準化している中で、標準化に対応する企業は、どのようにすれば持続的競争優位をえることができるのか」というディスカッションポイントを立てた。
 このディスカッションを行うために、私たちは架空の事例を設定した。今回は国内シェア2位(18%)の半導体製造装置企業を事例にし、この企業をBとして戦略を考えていくことにした。他の国内企業はシェア1位のA(20%)、シェア3位のC(15%)とその他(48%)を想定した。この市場は半導体製造装置の部品の中でもっとも重要な部品を取り扱っている部品であり、最近標準化したばかりである。また、標準化してからまだ日が浅く、取引先の半導体企業は、このタイミングで今までの取引先とは違う企業も試してみたいと思っている。さらに、AとBはほぼ同時に標準化しており、Cとその他は少し遅れて標準化したということにする。そして、違う半導体製造装置の部品の市場でシェア3位の企業に自社の社長の幼馴染がいるという設定にした。これに加えて、企業の規模も設計した。Aは従業員数100人で資本金5億円、Bは従業員数90人の資本金4億円、Cも従業員数90人の資本金4億円とした。また、扱っている製品は、各社とも対象の半導体製造装置の部品のみとした

 以上の設定を踏まえたうえでディスカッションを進めていった。意見としては主に3種類の意見が出てきた
‖召糧焼蛎寮渋ち置の部品とのバンドリングを行う
 標準化すると製品での差別化は難しいという点で、他の半導体製造装置の部品とのバンドリングをして自社の製品に付加価値つければ、差別化ができるという意見が出た。この意見には、自社で自社の取り扱っている部品と関連性の高い部品を手掛けるか、関連性は薄いものの、社長の幼馴染がいて交友のある別の半導体製造装置部品企業と提携してバンドリングするかの2つの意見が出てきた。その中でも自社は資本金も少ないので、自分たちですべて手掛けるよりは、他社と協力したほうがいいという意見から、関連性は薄いが交友のある企業と提携してセット売りするという方法が有効なのではないかと考えられた。
工場の稼働率を上げ、大量生産し、コストを下げる
 標準化してからまだ日も浅く、取引先の半導体企業は、このタイミングで今までの取引先とは違う企業も試してみたいと思っているということから、取引先に付け入るスキがあるため、ひたすら生産して習熟度をあげてコストを下げ、どんどん営業をかけて販売していくというものである。こうすることで主にその他の48%の企業の取り引き先を奪うことができ、圧倒的なネットワークを構築できるので、他社との差別化ができるのではないかと考えられる。
自社の信頼、安心、イメージを向上させる
 製品で差別化できないのならば、サービスや売り方を工夫して、自社のイメージを向上させることができれば差別化できるのではないかという考えである。具体的にはアフターサービスを行って信頼や安心感を取引先に感じてもらうという意見や、まず国内ではなく新興国に向けて製品をうり、世界的な企業であるということをアピールするという意見が出た。これらができれば、企業の信頼にもつながり、差別化ができるのではないかという意見である。

 以上のような意見が出たが、議論のまとめとしては、コストを下げるという面では,鉢△篭δ未靴討い襪、△和腓な投資が必要で、資本金4億円の企業ではできることが限られてしまうという点から、他社と提携してバンドリングし、セット価格で半導体企業に提供する策が、コストを下げるなら有効なのではないのかという意見に集約された。次に、,鉢のどちらが有効か比較検討した。その結果、イメージを向上させて信頼を獲得する施策は時間を要するので、できたころには他の企業にシェアを奪われているのではないかということで、より早い段階で着手でき、効果も見込めそうな,痢関連性は薄いが交友のある企業と提携してセット売りするという方法が今回の議論では1番有効な方法であるという結論に至った。

とみざわ(3年)

プラットフォーム企業のグローバル戦略(第2章:p34〜)

【要約】
 本章では、ネットワーク効果を利用したプラットフォーム企業の戦略である、「二面市場戦略」と「バンドリング戦略」について説明をしている。一般的な企業はネットワーク効果の直接効果のみ戦略的に利用可能だが、プラットフォーム企業は「2つの市場の両方と取引を行う企業」であるので、ネットワークの直接効果と間接効果の双方を戦略的に利用することができる。この特性を利用した戦略が「二面市場戦略」である。次に「バンドリング戦略」とは、自社製品と補完財をセットにして売ることでネットワーク効果を独り占めし、自社の競争力を拡大する戦略である。
さらに本章では、既存のプラットフォーム企業研究の問題点について言及している。欧米の研究では国際競争力や国際分業を分析の範囲としていないこと、そして日本の研究ではプラットフォーム競争戦略の理論とは関連づけられていないことなどが問題点として挙げられている。3章以降、これらの問題点を明らかにしていくために、事例研究をもとに議論を進めていく。

【ディスカッション】
 今回のディスカッションは、「ある市場においてバンドリング戦略を行っているライバル企業に対してプラットフォーム企業はどのようにシェアを奪えばよいのか」を議論した。なぜなら、本書では、バンドリングアタックやディフェンシブバンドリングについて説明する際にライバル企業を単品販売企業だと設定しているが、実際はライバル企業もバンドリングを行っていると考えたため、その中でどのような戦略をとっていくべきかを明らかにしたいと考えたからだ。そして、すでにバンドリングを行っているライバル企業と自社がバンドリングをしている製品は価格も製品もほとんど同じものとする。

 議論の中で出た意見としては、新しい市場もしくはサービスとバンドリングを行う、広告宣伝や顧客との接触を増やす、知名度や企業のイメージアップを目指す、他社との連携を行う、顧客の囲い込みを行う、機種変更の際の割引を行う、流行に沿ったプランを考え出すといったものがあった。すでにバンドリングをしている企業が存在しており、バンドリング製品の価格も製品もほぼ同じという条件があるため、それ以外の部分で勝負していかなくてはならない、そうなったときに、CMや広告などを活用して幅広く認知してもらい、イメージの向上をしていくことが多く挙げられた。例に挙げると、少し前にauが行っていた昔話をモチーフにしたCMが当てはまる。宣伝効果としては、昔話をモチーフにして物語を展開していくなかでプランの説明などを行うことで、人々の目を引き付け、さらにプランの内容を知ってもらうことができることが見込まれる。また、他社との連携も戦略の一つとして挙げられた。他社と連携をして自社だけでは付けることのできない付加価値をつけることで、シェアの拡大や競合他社との競争に勝つことを目指すことができるだろう。そのほかにも実際に現在取られていた戦略として、機種変更の際の割引を行うことが挙げられた。これは、携帯会社に限定されるものだが、すでに使用している携帯から違う機種に変更する際に大幅に割引をするものである。そうすることで、機種変更を促し、全体としての売上を上げることができるのだ。

 議論のまとめとしては、プラットフォーム企業が行う戦略として、知名度を上げていくことと他社との連携をうまくとっていくことが重要であるということがわかった。現在、バンドリングを行っているプラットフォーム企業は多数存在している。そのような状況の中で、価格や製品ではなかなか差別化できないという状況に陥る可能性もあるだろう。そのような状況の中で、新たに広告宣伝を行うことで知名度を向上させて顧客にイメージをつけるこや、他社と連携することで新たに付加価値をつけることができ、顧客の満足度を向上させることが重要なのだ。ただ今回の議論では、プラットフォーム企業であるためにとれる戦略であるという部分が弱くなってしまったところが反省点である。今後の議論においては、プラットフォーム企業が取るべき戦略としての話し合いをしていくことが望まれる。

 今回私たちは初めにケーススタディディスカッションを行おうと考え、パソコン市場を事例にアップルをプラットフォーム企業として戦略を考えていく予定でいた。しかし、ケーススタディ用のデータが不足しており、議論をうまく進めることができなかった。このことを踏まえ、今後理論についての議論を行う場合には本書で挙げられていることは本当なのかどうかといった部分を議論していくことをおススメする。また、ケーススタディ行う際には、事前のデータ集めや資料作成を綿密に行うべきである。

やくら(4年)


フォーエバー21が国内事業を続けるために

 ファストファッションブランドとは、世界的な流行をデザインに取り入れつつ、低価格におさえた衣料品を大量に生産し、短いサイクルで販売するブランドのことをさす。飯泉・津久井(2018)によると、2009年ごろからブームを巻き起こしたファストファッションブランドがかつての勢いを失っている。この原因として、「メルカリ」による中古市場の活況や「ゾゾタウン」によるインターネット販売の台頭などが挙げられる。さらに、日本経済新聞(2019)によると、米ファストファッション大手の「フォーエバー21」は2019年10月でオンラインストアも含め日本事業から撤退することとなった。しかし一方で、「GU」、「ZARA」などは最近店舗数を伸ばしている。

 では、なぜ国内でファストファッションブランドが低迷している中、「GU」や「ZARA」は店舗数を拡大でき、「フォーエバー21」は撤退する事態となってしまったのか。実際に私は2019年1月下旬、新宿にある「GU」、「ZARA」、「フォーエバー21」の3店舗に直接行ってきた。この時期は主に冬物の商品が多かったが、新作では何点か春物も取り入れられていた。まず「GU」では、トップスやインナーはシンプルなものが多く、アウターやパンツは最近の流行を取り入れたオーバーサイズのものやワイドパンツなどが置かれていた。次に価格帯としては全体的に低く、安いものは399円から1990円程度、高価格なものでも3990円から5990円程度のものが多かった。また顧客層としては20代から40代の女性を中心に20代前後の学生がちらほら見られた。次に「ZARA」では、トップスやインナーはシンプルなものよりも柄物や派手なものが多く見られた。アウターやパンツも普通のコートやダウンよりは、ZARA独自のシックな黒系のものやパリコレなどで見られるような他の人とはかぶらなそうなデザインのものが多かった。次に価格帯は「GU」と比べると高く、低価格なものでも2000円から4000円程度、高価格なもので7000円から15000円程度の商品が置かれていた。また顧客層は男女問わず20代〜50代であった。では、「フォーエバー21」に実際に行ってみると、若者向けな商品が多く、トップスはシンプルなパーカーなどもあれば柄物のシャツなども置かれていた。アウターは、デニムジャケットやMA-1などがあり、中には奇抜な色のブルゾンジャケットなども置かれていた。価格帯は「GU」と同じくらい低く、安いもので990円から2400円程度、高価格なもので3000円から6000円程度で売られていた。顧客層は男女問わず10代から20代が多かった。品質についても比較するために3店舗のロングTシャツを実際に比べてみると、「GU」は綿100%などの普通のロングTシャツだが、「ZARA」はシルク製のものもあり、他ブランドと比べると高品質であった。「フォーエバー21」はポリエステル100%で少し生地は薄かった。

 上記より、この3社では価格帯、顧客層、品質という面で違いがあった。まず価格帯では、「フォーエバー21」と「GU」の2社が同じくらい低価格で商品を提供しているのに対し、「ZARA」は高価格の商品が多かった。次に、顧客層では「GU」と「ZARA」の2社が20代から50代と幅広い顧客層に対し、「フォーエバー21」は若者の顧客が中心であった。最後に、品質面では比較的「GU」「ZARA」が高品質なのに対し、「フォーエバー21」は低品質であった。以上のことより「フォーエバー21」は顧客層や品質といった面で「ZARA」や「GU」より劣っていた。これが撤退の一因であったのではないかと考える。
 
 では、「フォーエバー21」が「ZARA」や「GU」のように人気のあるファストファッションブランドに対抗するにはどうすれば良かったのか。私は3つの取り組みが必要であったと考える。まず1つ目は、商品の品質の向上である。2009年ごろファストファッションが流行し始めた当時は安ければ消費者に買ってもらえたが、最近は安いだけでは消費者には受け入れてもらえない。その理由として、この数年間で多くのファストファッションブランドが台頭したからである。同じようなデザイン性で同じような低価格帯であれば、消費者は品質の差で判断する。実際に「フォーエバー21」にとって競合となったのは、先ほど挙げた「GU」である。「GU」は低価格に加えて価格に見合った品質の商品を提供することで人気を得ることができたと考える。したがって安さだけでない製品の品質という面が重要となってくる。

 2つ目は、顧客層の拡大である。「フォーエバー21」は若者を中心のターゲットとしてきたが、若者だけをターゲットに商品展開を行うのは難しかったと考える。有井(2016)によると、近年若者のファッション離れが起きており、若者がファッションに興味を示さなくなっているという。そうなると、「ZARA」や「GU」のように幅広い顧客層をターゲットとし若者以外の顧客から人気を得ることが必要となってくる。

 そして3つ目は、消費者の流行に敏感に対応することである。先ほども述べたように、ここ数年間で多くのファストファッションブランドが台頭した。そのため同じようなデザインの商品を扱う店舗が多く存在する。実際に3店舗に行ったときも全く同じではないが似ているデザインの商品をそれぞれの店舗で扱っていた。そうなると、いかに早く消費者の流行を捉えた商品展開を行えるかがカギとなる。この商品展開の速さで人気を獲得したのが「ZARA」である。波多野(2017)によると、「ZARA」は2週間というサイクルで新商品を導入し、消費者を飽きさせない商品展開を行っている。この流行を捉える速さが遅いと、他のファストファッションブランドに模倣され、デザインに差がない商品が提供されるのである。これら3つの取り組みを行うことで「フォーエバー21」も「GU」や「ZARA」に対抗できたのではないだろうか。

 しかし、国内で「フォーエバー21」が生き残こるのは、以上の取り組みだけでは難しかったと考える。なぜなら、上記の取り組みを行っただけでは、「GU」、「ZARA」に追いつくことができても、消費者から人気を得られるとは限らないからである。そのため「フォーエバー21」が生き残るためには、さらに差別化を図る必要があった。では、「フォーエバー21」がどのように差別化を図ったら生き残れたのだろうか。「フォーエバー21」の特徴は、主に低価格な商品を提供していること、多様なデザインの商品を扱っていること、店舗面積が広いこと、である。そこで、私は「フォーエバー21」にサブスクリプション型の家具レンタルサービスを利用する、これらの特徴を活かした新たな売り場づくりを提案したい。具体的には、「フォーエバー21」が家具レンタルサービスの企業から月額制で家具や雑貨を揃え、既存のアパレル商品と組み合わせた売り場づくりを行うことである。

 この提案によって「フォーエバー21」が差別化を図れる理由を2点挙げよう。1点目は、家具や雑貨を衣服の周りに取りそろえることで、消費者に「フォーエバー21」の衣服を着ているイメージを持たせることができる点である。現在の「フォーエバー21」の店舗は、衣服をただ並べているだけで、マネキンが着ている衣服もどこのシーンで着る服なのかいまいちイメージのしにくいものが多い。そこで、派手でポップなデザインの衣服には明るいカジュアルな家具・雑貨を揃えた空間を、ドレス系の衣服ならばゴージャスで大人びた家具・雑貨を揃えた空間を提供することで、消費者に衣服を着ているイメージを持たせることができる。Kotler(1974)によると、店舗空間の雰囲気は消費者の知覚的・感情的反応を刺激するので、消費者の購買意思決定において商品そのものよりも大きな影響を持つという。つまり、アパレル商品にあった売り場を作ることで消費者の購買意欲を高めることができると考える。2点目は、「フォーエバー21」の店舗面積を活用できる点である。「フォーエバー21」の店舗数は2019年10月現在で全国に14店舗あった。店舗数は少ないが、他のファストファッションブランドの店舗と比べてそれぞれの面積は大きい。この店舗面積の大きさを活用すれば、上述したような様々なライフシーンでの売り場づくりを提案することができる。
 
 では、なぜサブスクリプション型の家具レンタルサービスを利用する必要があるのか。理由としては2点ある。まず1点目に売り場づくりのための家具・雑貨を取り揃えるコストを抑えられるからである。例えば「subsclife」という家具レンタルサービス企業を利用したとしよう。subsclife(2019)によると、「subsclife」は60ブランドの中から店舗の要望に合わせた家具や雑貨を月額500円から提供してくれる。そのため、「フォーエバー21」が他社から家具・雑貨を仕入れるよりも低コストで売り場づくりを実現することができる。2点目に時期や消費者の流行に合わせて家具や雑貨を変えることができる点である。「フォーエバー21」の商品サイクルは基本4週間で新商品が店頭に並ぶ。このサイクルに合わせて店内の売り場を変えようとすると、家具・雑貨を購入するだけで非常にコストがかかる。しかし、サブスクリプション型で家具・雑貨をレンタルすることによって、安価かつ柔軟に家具・雑貨を変えることができる。そうすれば消費者の流行に敏感に対応することができ、顧客が実店舗に足を運ぶきっかけを作ることができると考える。
 
現在、国内では中古市場の活況やネット販売の台頭により、ファストファッションブランドが低迷している状況にある。特に海外から国内に進出してきた外資系ブランドの「オールドネイビー」や「フォーエバー21」はわずか十数年で日本から撤退している。今後国内でファストファッションブランドが生き残るためには、独自の強みを活かした店舗展開が必要である。「フォーエバー21」も強みを活かして、サブスクリプション型の家具レンタルサービスを利用し、自社のアパレル商品に合った売り場づくりを行うことができれば、日本国内でも生き残れたのではないのだろうか。

【参考文献】
FOREVER21 (2019) 「店舗案内」 2019年7月30日閲覧, https://www.forever21.co.jp/shop
波多野久美 (2017) 「ZARAの最速を実現する仕組み」『商業界ONLINE』 2019年5月16日閲覧, http://shogyokai.jp/articles/-/56
飯泉梓, 津久井悠太 (2018) 「メルカリ人気、格安衣料が失速」『日経ビジネス』1965, 11-5.
Kotler, P. (1974). Atmospherics as a marketing tool. Journal of Retailing. 49(4), 48-64.
日本経済新聞(2019) 「フォーエバー21破綻、日本など40カ国から撤退」『日本経済新聞』 2019年9月30日,夕刊, 3. 2019年10月31日閲覧.
Subsclife (2019) 「subsclifeとは」 2019年10月31日閲覧, https://subsclife.com/about-subsclife-2b/
有井太郎 (2016) 「『若者のおしゃれ離れ』は本当に行っているのか」 『DIAMOND online』 2019年5月8日閲覧, https://diamond.jp/articles/-/99973

すずき(3年)


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