原因を推論する 第1章 説明の枠組み

本書P15にある因果関係が成り立つ3条件を意識しながら議論をするには、どうすれば良いのかという議論を行った。議論の展開は、意識するべきポイントを述べてもらい、そのポイントを意識するにはどのようなことを心掛けなければならないのかということを議論するというものであった。
 
 まず、意識するべきポイントとしては以下の3つの意見が出た。
・常に、因果関係を意識すること。
・ある事象が、本当に原因の結果なのか判断する。
・時間軸を意識して意見を述べる。
 3つの意見が出た際に、フロアからブレストだけで議論が終わるのではないかという指摘があったため、ここから次の展開に移った。

次に、上述の3つの意見を意識しながら議論をするにはどうすれば良いのかという議論をした。そこから以下の四つの意見が出た。
・自分だけではなく、他者と一緒に一つの事象について分析・検討する。
・多数派の意見だけでなく、少数派の意見もしっかり聞く。
・現状を把握すること。
・発言した人の意図を考えること。
このうち、議論をしていくということは、相手の気持ちを考えければならないという観点から、「発言した人の意図を考えること」についてどうすれば良いのかという議論が最も展開された。
その具体的な手法として、以下の二つのことが主張された。一つは、それをするためには、単純に発言した人が、なぜそう考えたのかということを考えることである。ただ、それを考えるのは難しく、たとえ推測できたとしてもそれが誤っているときがある。そこで、意図を知りたかったら、その人にその意見を出した思考プロセスを聞くのが先決ではないのかという指摘があった。
もう一つは、相手の振る舞いを見るというものである。ここでの振る舞いとは、話し方や表情、姿勢といったものである。ただ、意見を聞くだけでは分からない部分があるので、意図を考えるには話している人の目を見ることが重要だという意見が出た。

最終的に、この二つのことをするには、日ごろからコミュニケーションを取らないといけないのではないのかという結論に達した。また、近頃、ゼミにおいて話している人ではなく下を見て意見を聞く人が多い。それだと、話している人の意図が分からないので、しっかり相手の目を見て議論するのが肝要であると、この議論を通じて改めて気付かされた。今後、議論をしていく際に、相手の目を見るということと日頃から、コミュニケーションを取ることをゼミ生全員で意識していかなければならない。

うめはら (3年)

原因を推論する 第2章 科学の条件としての反証可能性

 本書p41 文化論的説明の論理的問題においてステレオタイプが挙げられている。そこで、今回は「ステレオタイプから抜け出すにはどうしたらいいのか。」についてデスカッションを行なった。また、本書におけるステレオタイプと私たちのステレオタイプの2つの面から議論が進められた。

 まず、本書におけるステレオタイプを抜け出すにはどうしたらいいのかを議論した。ここでは主に3つの意見が出た。一つは、現地に赴いて情報収集をすることだ。インターネットや他人から情報を聞くことには限りがあり、偏りがある。また、噂が広まることで信憑性に疑問が残ってしまう。これらが要因となってステレオタイプになる。しかし、実際に現地に行き、自分の目で見たり聞いたりすることで確からしい情報を得ることができる。結果、ステレオタイプの正誤を見極めることができるようになる。二つ目は、主語を特定の個人にすることだ。主語が複数人(ex.アメリカ人)をあらわしていると、大多数の人(ex.他のアメリカ人)も同じイメージになってしまう。そこで、主語を特定の個人にすることで、その個人だけのイメージができ、ステレオタイプに陥ることがなくなる。三つ目は、文化に定義づけをすることだ。二つの文化を説明する際に、文化背景が異なることから文化ごとにステレオタイプができてしまうことが問題であった。そこで、文化背景から共通の軸を見つけ、定義づけすることでステレオタイプに陥らないだろうという意見が出た。なぜなら、どこかで定義づけを行わなければ反証不可能になり、文化論的説明ができないからだ。しかし、文化の定義づけは可能なのかという疑問が出された。そもそも国ごとで生活様式や文化が異なるため、共通項は見つけられないとの意見が出た。ただ、文化の定義づけを行わなければステレオタイプを抜け出すことができない。文化の定義づけとステレオタイプを抜け出すことで議論が迷走し、それ以上の意見は出てこなかった。

 一方で、私たちのステレオタイプを抜け出すにはどうしたらいいかを議論した。この議論では最初の議論に似た意見が出た。まず、自分の目で見て確かめることだ。足を使い、自分の目で見ることで多様な見方ができる。また、人それぞれで知識の多さや深さは異なる。知識が少なく浅ければ、知らないことが多いためにステレオタイプに頼ってしまう。そのようにステレオタイプにならないためにも自分の目で確かめることは必要だと言う意見になった。また、確からしいデータを集めると言う意見が挙がった。自分で見て確かめることも必要であるが、公的機関や企業の調査データなどの信頼性のあるデータを集めることでステレオタイプとは違うことが見つけられるだろうと言うことだ。さらに、「みんな」、「ほとんど」などの同調表現をなくすと言う意見が出た。同調表現を用いることで周りも同じであるという認識が生まれ、ステレオタイプができてしまう。そこで、周りに流されないように同調表現をなくすべきだと言うことだ。結果、個人個人の意見が生まれ、ステレオタイプにはならないだろう。しかし、議論を進めていく中で、ステレオタイプは抜け出せないとの意見が出た。なぜなら、個人個人で育った環境が異なるからである。育った環境が同じであれば、考えに共通項を見つけ出しステレオタイプの正誤を図れるだろう。だが、育った環境が違えば考えも違うため、共通項が見つけにくく、ステレオタイプの正誤の判断が難しくなり抜け出すことができないと言うことだ。

 二つの議論から、現地に足を運び確からしいデータを集めることが、ステレオタイプを抜け出すことができるとの結論に至った。これは二つの議論に共通することであり、私たちが今後ステレオタイプに陥らないようにするために必要なことであるだろう。しかし、文化の定義づけや育つ環境の違いからステレオタイプを抜け出すことは難しいとの問題もあった。ステレオタイプはどこのレイヤーで見るかで変わってくる。つまり、ステレオタイプを抜け出すには、一定の条件づけをすることが必要である。

あらき(3年)

原因を推論する 序章 説明という試み

 「親の所得が高いと子供(15歳)の学力が高い」という主張に関して、^果関係のメカニズムと適切な検証方法についてディスカッション行った。

 ^果関係のメカニズムでは、原因と結果がどのような経路を経て流れていくのか議論を行った。今回のディスカッションでは、親の所得が高いと子供の教育費や塾代に費用をかけるため子供の学力が高くなるという結論になった。反論として、親が塾に通わせても子供がきちんと勉強しているとは限らないのではないかという意見も出てきた。というのは、子供のやる気がなければ学力向上には繋がらないと考えるからである。しかし、塾などの教育費はお金がかかるため所得と関係しているという考えが多かった。2番目に多く支持を得たのが、幼い頃から子供の勉強する環境が整っているからという意見である。これは親が子供に勉強するよう働きかけていたことや子供が通っている幼稚園や小学校の周りの人の環境に影響され子供の学習意欲が向上し、学力が高くなったとの考えだ。また少数の意見ではあったが、親の所得が高いということは親がいい職業に就いているからとの意見もあった。親の姿を見る子供は、自分もそのようになりたいと考え勉強に励むというメカニズムだ。さらに他には、子供の習い事などの選択肢が増えるのが理由だと考える人もいた。しかし、習い事には学力に繋がらないようなものもあるとの意見もあり、この意見に対しての支持は少なかった。以上がメカニズムを解決するディスカッションである。

 適切な検証方法についてのディスカッションでは、親の所得と子供の学力はどのように測定すべきかについて議論した。まず、親の所得については年収で測定する考えで一致した。次に子供の学力について議論した。持っている資格で判断すべきとの意見もあったが、偏差値で測定すべきという結論になった。議論を進める中で、親の所得がどこから高いといえるのかという疑問を多くの人が感じていた。なぜなら、所得の基準を平均値か中央値のどちらで捉えるかによって高所得が異なるからだ。そこで、所得の高低で比べるのではなく、散布図を用いることで関係を分析するとの意見が出た。分析方法のディスカッションでは所得と学力の測定方法に加えて、高いという判断をどのような基準で行うのか議論した。

 今回のディスカッションには議論の余地がさらにあるのではないかと私は考えた。^果関係のメカニズムでは、結論である教育にかける費用と2番目に支持を得ていた幼いころからの学習環境が相互に関係しているのではないかという点だ。親の所得が高いと教育費にお金をかけ、子供を塾や受験を考えている幼稚園に通わせたりする。そのような学習する環境や周囲の人々が、子供の学習意欲を高め学力の向上につながるのではということだ。つまり、教育費は子供の学習環境に影響し、学習環境をよい状態にするためには費用が必要だというように相互に関係しているというわけである。適切な検証方法についてのディスカッションでは、散布図を用いて分析する意見があったが、散布図から調べられることは相関関係であって、因果関係ではない。所得と学力の相関関係を確かめることができても、因果関係については述べられないのだ。これらは今回、ディスカッションを行わなかったが議論の余地があるポイントだと考えた。

 序章のディスカッションは、本書を読み知識を得る前の私たちがどのように原因を推論するかを目的として行った。次章から分析方法を身につけ、経験的・実証的な議論を行っていきたい。

まさや(3年)

再生可能エネルギーを普及させるために

 日本創成会議(2014)によると、日本における地方の人口減少の抑止剤として再生可能エネルギーが注目されているという。縦に長い日本列島はその地域ごとにさまざまな再生可能エネルギーに恵まれている。火山国であるため地熱資源量は世界第3位であり温泉熱が豊富な上、北海道・東北などでは風力に恵まれ、資源は豊富なのだ。  
 
 そもそも再生可能エネルギーを利用することのメリットは何なのであろうか。資源エネルギー庁HPによると、再生可能エネルギーは太陽光や風力など自然界に存在するエネルギーであるため永久に枯渇することがない。また、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないため、環境にとても優しいのである。日本はエネルギーの8割以上を石油や石炭などの化石燃料に頼っており、さらにそれらの多くは海外からの輸入に頼っているため、先進国でありながらエネルギー自給率は極めて低い。このような状況の中で、資源の枯渇の心配がなく環境への負荷が少ない再生可能エネルギーの導入は、いち早く進められるべきことなのである。

 しかし、国内の再生可能エネルギー普及率はまだまだ低い。倉阪(2017)によると、都道府県単位での再生可能エネルギー自給率を見てみると、1位は温泉熱を利用した大分県であるが32.2%にとどまっている。また、再生可能エネルギーによるエネルギー自給率(地域社会が消費する電気や熱などのエネルギーを、地域内で作った再生可能エネルギーで賄う割合)が100%以上の市区町村は約4%であり、再生可能エネルギーはまだまだ浸透していないことがわかる。

 では、再生可能エネルギーの普及率はなぜ上がらないのだろうか。資源エネルギー庁HPは再生可能エネルギー導入の課題として、設備価格の高さ、供給電力の不安定さ、余剰電力処理の難しさや発電コストの高さを挙げている。これらの問題点により、再生可能エネルギーは売る側も作る側もなかなか事業者が集まらなかった。そこで、2012年7月より政府主導で「固定価格買取制度」が実施された。この制度は、経済産業大臣に認定された再生可能エネルギー事業会社は、電力会社に固定された価格で電力を売ることができるという仕組みである。高価格である再生可能エネルギーは、電力会社になかなか取り扱ってもらえなかったが、この制度の導入により取引量が多くなることが期待された。しかし、結果としてエネルギーの中で再生可能エネルギーが占める割合は、2011年から2014年にかけて1.4%から3.2%に増加するものの、大きく変化しなかった。

 「固定価格買取制度」を導入したのにも関わらず、普及率があまり上がらなかったのはなぜであろうか。最も大きな問題は賦課金の負担が大きかったことであると考える。賦課金とは、「固定価格買取制度」によって電力の買取りに要した費用を、使用料に応じて顧客に負担させるものである。この賦課金は年々上昇傾向にあり、2012年には1kWhあたり0.22円であったのに対し、2017年には2.64円と、約12倍に跳ね上がっていることが分かる。これらの数値は今後、上がることはあっても下がることはなさそうである。この賦課金を下げることはできないのであろうか。朝野(2017)によると、賦課金額を下げることは極めて困難であるという。理由としては、「固定価格買取制度」は20年間などの長期固定で買い取ることが法律で定められているからだ。価格は1年ごとに見直されてはいるが、その新しい価格が適用されるのは翌年以降に認定された設備のみとなっている。この制度では、認定された時点での価格が固定されるため、一度認定された事業者は、少なくとも20年間は賦課金額が下がることはない。現在、太陽光発電における買い取り総額58.6兆円のうち賦課金額は44.1兆円と買い取り総額の大半を企業や個人が負担している。この状況では再生可能エネルギーの普及率を上げることは難しいのである。

 同様の賦課金問題を抱えている国として、ドイツがある。ここでも日本同様に、賦課金増大で国民の不満が高まっていた。資源エネルギー庁(2014)は、その背景として、買取価格の高い太陽光発電の導入拡大に加え、大規模需要家を対象とした費用負担免除によるその他需要家の賦課金の増額、再生可能エネルギー電気の増加に伴う卸電力取引市場価格の低下を挙げている。具体的には、それまで順調に伸ばしてきた新規再生可能エネルギー導入量が、2010年以降爆発的に伸びてしまった。これにより、賦課金額が増大してしまったのである。また、ドイツでは電力多消費産業であるため賦課金減免制度というものが存在する。これは、大規模需要家に対しては賦課金を減免するというもので、その分は他の需要化が負担しており、これも問題になっていた。さらにドイツでは、電源は北部に多く存在するのに対して、需要は南部に多い。そのため、電気をスムーズに運ぶためのインフラ整備が課題となっていたのだ(新エネルギー小委員会 2014)。

 では、ドイツではこの問題をどのように対処したのであろうか。ドイツでは、2017年1月より、「固定価格買取制度」に加え「市場プレミアム制度」を導入した。「市場プレミアム制度」とは、市場で取引される卸価格の変動に応じて、プレミアムが変動するシステムである。太陽光などは、天気によって電力量が左右されてしまい、電力調達が不安定になるため、投資した額を回収できるかは不透明になる。その分の額を補填するのがプレミアムなのである。「固定価格買取制度」では、価格が一定に定められてしまっていたため、市場価格に柔軟に対応することができなかった。そのため市場価格が高い時も国民の負担額は変わらず多く払っていてしまっていたのだ。一方、「市場プレミアム制度」では、市場の価格の変動に応じて賦課金額を変えることができるため国民の負担額を常に一定に保つことができる。この制度を導入することによって、事業者が自由に価格を設定することができるため賦課金額の予算編成がしやすく、結果的に家庭に入ってくる電気料金も下げることができるのだ。

 この制度を日本で導入する際に、事業者からの反発が予想されるのは容易であろう。なぜならば、電力会社は「固定価格買取制度」による単価と回避可能費用の差分を交付金として受け取ることができるが、この制度が導入されることにより、得られる交付金が下がるからだ。再生可能エネルギー事業には、回避可能費用というものがある。回避可能費用とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができた費用のことである。この移行は再生可能発電事業者が電力卸市場価格の変動リスクを負うことになるので、事業者からの強い反対が予想されるのだ(松村 2015)。

 しかし、私は「市場プレミアム制度」を日本でも導入するべきだと考える。現在日本では、賦課金額の高さから、再生可能エネルギー普及率がなかなか上がらない。そこで、この「市場プレミアム制度」を導入することで事業者が価格を自由に決めることができ、結果的に家庭の電気料金も下がることが期待できるのだ。また、松村(2015)は、事業者からの反発による問題は一定程度解決できる理由を4つ挙げている。1つ目に卸市場価格の変動はすべての発電事業者が負う、事業者が当然に負うべきリスクとも考えられること。2つ目にプレミアム分が固定であれば「変動率」は他電源に比して小さくなること。3つ目に将来先物市場が発達すればこのリスクは一定程度回避できること。4つ目に卸市場価格の低下は小売事業者にとっては利益で、発電事業者と小売事業者の相対契約でお互いのリスクを軽減する契約も可能であるということだ。

 では、ドイツで導入されている「市場プレミアム制度」をそのまま日本にも適用することは可能であるのだろうか。私は難しいと考える。なぜならば、日本では「市場プレミアム制度」に移行しても価格競争を起こすことができないと考えたからだ。ドイツでは、総電力に対して再生可能エネルギーが占める割合は、2015年で30%を超えている。対して日本は12.2%にとどまっているのである。このように、市場プレミアム制度を導入すると、普及率の高いドイツでは、再生可能エネルギー事業者同士で、ある程度競争が起こりそうである一方で、普及率の低い日本では、大手事業者の一人勝ち状態になってしまう可能性が否めない。大手事業者の一人勝ち状態になってしまうと、自由競争の市場プレミアム制度下であっても、価格は大手の提示する1択になってしまい、下がらないだろう。市場価格を下げるためには、価格競争を起こさなければならず、その価格競争を起こすためには競合他社が必要なのである。そのため、価格競争が起こらないと市場プレミアム制度を導入する意味は全くなくなってしまうのだ。

 日本でこの制度を導入する目的は、賦課金額を減らし、価格競争を起こすことによって電気料金を下げることにあると私は考える。しかし、資源が多く、規模も大きい大手事業者に新規の事業者が価格競争を挑むことは無謀であろう。そこで私は利用者があえて新規の事業者を選択したくなるようなサービスを提案する。まず、再生可能エネルギー事業者を選択してくれると予想されるターゲット層は、子育てを終えた、もしくは子供のいない家庭であると私は考える。なぜならば、再生可能エネルギーは他電源と比べ料金が高いため、金銭的に余裕のない家庭はまず選択しないと考えられるからだ。そこで、そのようなターゲット層を獲得するために、通常の電気供給に加え3年に一回の頻度で家のエアコンや換気扇の専門的な掃除を業者が行うというサービスの付加を提案する。エアコンや換気扇は自分ではなかなか掃除がしにくい。しかし、放置するとほこりが溜まってしまい、故障の原因にもなりかねないため、多少値段は張るものの専門業者に依頼する人が多いのだ。一般的にこのような専門的な掃除を頼むと、1回で約4〜8万ほどかかってしまう。そこで、通常の電気料金に少し上乗せをして3年ごとで費用を積み立てると考えれば、金銭的にも無理がないため、主婦層に支持を得られるのではないだろうか。さらに、専門的な掃除をしてくれることで、換気扇やエアコンの中のほこりを取り除くことができ、無駄な電気料金を削減することもできる。これは、利用者にとっても非常に大きなメリットになるだろう。一方、再生可能エネルギー事業者側は、3年後の大よその契約数を事前に把握することができるため、まとまった数の契約を一度に専門業者に依頼することになる。これによって、一般的な価格より安価なサービスの提供を交渉し、その費用を抑えられる可能性が高くなるのである。さらに、顧客は3年毎にサービスを見直すなど、比較的長期の契約を見込めるので、今後の需給の見通しが立てやすくなるのである。

 現在の日本では、太陽光発電事業者の倒産が相次ぎ、再生可能エネルギーは儲からないというイメージが拭えない。そのため、多少再生可能エネルギーに着手している大手事業者も、力を入れているとは言えないのが現状である。しかし、まだまだ未開の再生可能エネルギー消費者を開拓していくためには、事業者同士で価格競争を起こし、価格を下げなければならない。そのためには大手事業者に張り合うような競合他社の存在が必要なのである。現状では、価格面で大手事業者と戦うのは難しい。そこで、本提案のように、再生可能エネルギーを選択してくれるような層にメリットとなるようなサービスを付加し、利用してもらえるように工夫を凝らした事業者が必要なのである。日本で再生可能エネルギーが普及するためには、このような事業者の増加と価格競争が求められるのである。

さわだ(3年)

【参考文献】
・朝野賢司(2017)「2030年までに国民負担は44兆円 日本版FITは最悪の失敗政策」『日経ビジネス』1917.80−81.
・関西電力HP「再生可能エネルギー発電促進賦課金」  
https://kepco.jp/ryokin/kaitori/re_energy1 2017年11月20日閲覧.
・経済産業省資源エネルギー庁HP「なっとく!再生可能エネルギー」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/family/index.html 2017年10月22日閲覧.
・経済産業省HP「お知らせ」
http://www.meti.go.jp/press/2015/03/20160318003/20160318003.html 2017年11月13日閲覧.
・倉坂秀史(2017)「地域存続の貴重な財源に 専門家による自治体支援を」『日経ビジネス』1899.78−79.
・諸富徹(2015)「再生可能エネルギー政策の「市場化」―2014年ドイツ再生可能エネルギー改正法をめぐって―」『経済学論叢(同志社大学)』第67巻第3号、pp.149-174
・松村敏弘(2015)「再エネ普及を妨げる回避可能費用の問題点」『EPREPORT』1824.2017年12月23日閲覧.
・資源エネルギー庁(2014)「再生可能エネルギーを巡る現状と課題」
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/001_03_00.pdf2017年10月22日閲覧.
・資源エネルギー庁(2015)「再生可能エネルギーの導入促進に係る制度の現状と課題」『総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 第20回会合 資料3』
・新エネルギー小委員会(2014)「欧州調査」
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/002_01_00.pdf 2018年1月23日閲覧.

回転寿司チェーン店の都市部出店における問題解決

 河野・須永(2017)によると、回転寿司チェーン「スシロー」は2017年5月29日に東京・JR五反田駅から徒歩3分ほどの場所に都市型店舗をオープンした。大阪発祥のスシローは、郊外のロードサイドを中心に400店舗以上出店してきたが、そんなスシローが東京の都市部に出店したのである。
 
 しかし、スシローが都市部に出店したのはこれが初めてではない。過去に「スシロー」というブランドネームを用いず、回転レーンも置かずに全て職人が寿司を握るフルサービスの形態をとった2種類の店舗を都市部に出店した。だが、いずれも1年ほどで閉店している。河野・須永(2017)によると、新業態店舗の1年での閉店の反省を活かして、SUSHIRO南池袋店を出店した。改善した点は、ロードサイド店のように「スシロー」のブランドネームを用いた回転寿司店にしたことである。実際に行ってみても、アイドルタイムでもほぼ満席であるほどの賑わいを見せていた。しかし、市場関係者からはスシローの都心ビジネスはまだ心もとないという声もある(河野・須永,2017)。では、何が都心ビジネスの問題なのだろうか。
 
 私は、都心ビジネスの問題点は2つあると考える。1つ目は人件費である。地域別最低賃金を見てみると、都市型店舗のある東京都は958円であるのに対して、ロードサイド店のある埼玉県は871円(厚生労働省,2017)と、約90円の差がある。また、回転寿司業界では労働力不足から賃金を上げる傾向にある。結果、人件費が上昇しロードサイド店より費用がかさみ、利益が減少してしまう。実際に、SUSHIRO南池袋店では上昇した人件費を商品の価格に転嫁することで、利益の減少を防いでいると考えられる。加えて、稼働率を上げたり、他の費用を削減するなどの対策を行うことが必須になる。2つ目は顧客の収容人数である。実際にSUSHIRO南池袋店に行ってみたが、ロードサイド店より店舗の面積が狭いと感じられた。面積が狭く収容人数が少ないことでその分の顧客がウェイティング客として店の外に溢れていたのだ。だが、ウェイティング客の存在はお店にとってメリットだと考える。なぜならウェイティング客が多いことは人気店の証であり、顧客への宣伝効果にも繋がるからだ。しかし、ウェイティング客が多すぎると待ち時間が長くなり、入ることをためらう顧客がいるかもしれない。結果、潜在顧客を失うことになってしまう。
 
 1つ目の問題について、スシローは設備を導入することで解決した。例えば、顧客自身で支払いできるセルフレジの導入である(大澤,2017)。顧客が自ら支払いをでき、レジに店員を置く必要がないため、スシローは人件費を抑えられるのだ。また、来店予約ができるスマートフォン向けアプリもある(河野・須永,2017)。以前は店員が他の業務の合間に電話を取って対応していた。だが、顧客がアプリで予約することが可能になったため、店員の業務減少につながっている。しかし、スシローは2つ目の問題点の解決までには至っていない。なぜなら都心の地代はロードサイドよりも高いからだ。店舗面積の拡大によりお金がかかることから問題解決の有効な手段にはならないと考える。では、この問題を解決するにはどうしたら良いのだろうか。
 
 そこで、私は6人がけのテーブル席を2人がけと4人がけの席に分割することを提案する。なぜなら、ロードサイド店舗と都心店舗では顧客の対象が異なるからだ。ロードサイド店舗である幸手店に行ってみたところ、圧倒的に家族連れが多く、5〜6人で来店している顧客が多く見られた。しかし、都心店舗ではロードサイド店のような団体客は見られない。SUSHIRO南池袋店では、5〜6人の集団よりは2〜4人の顧客が多く、6人がけのテーブル席に2人だけ座っている姿を多々確認できた。現状のままではウェイティング客は入らず、稼働率も上がらない。そこで、座席を小規模に分割することによって、デッドスペースに並んでいた顧客を収容できるようになる。結果、ウェイティング客の減少と稼働率上昇につながるだろう。
 
 回転寿司チェーン店の都心出店にはロードサイド店舗で最適化されている設備や店内構造が足枷となっている。しかし、少人数のグループが多い都心顧客に合わせて設備や店内構造を最適化することによって、足枷となっていた問題を解消することができる。つまり、回転寿司チェーン店の都市部出店への問題解決には、郊外店とは異なる都心顧客を対象とする適した取り組みが必要なのである。

【参考文献】
河野紀子,須永太一郎 (2017) 「スシローグローバルホールディングス 雌伏10年、悲願の上場」 『日経ビジネス』 1887, 60−64.
厚生労働省 (2017) 「地域別最低賃金の全国一覧」 2017年9月26日閲覧
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
大澤昌弘 (2017) 「なぜ、スシローは都心に進出したのか」 「マイナビニュース」 2017年8月23日閲覧
http://news.mynavi.jp/articles/2017/08/09/sushiro/

あらき (2年)

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