マネジャーの仕事 第6章「科学とマネジャーの職務」

【要約】
 経営管理の分野に初めてプログラムを導入したのはフレデリック・W・テイラーである。彼は工場労働のプログラムを正確に記述し、手順を体系的にプログラム化した。今日ではミドル・マネジメントの定型業務のほとんどはプログラム化が可能であるとされており、次なる課題は上級管理職の仕事のプログラム化である。
 マネジャーが使っていそうな特定のプログラムに関する二つの研究がある。一つ目は、Klahr and Leavittの研究である。このアプローチでは、組織の仕事とコンピュータ・プログラムの類似点について示されており、コンピュータ・プログラムを一つの「エグゼクティブ・プログラム」としてマネジャーの仕事をこれに例えた。この研究の論理が証明されれば、マネジャーの予備システムとして扱うことが可能となる。二つ目は、Liong Wongの研究である。この研究は、マネジャーの仕事の過程を、情報スキャニング・プロセス、意思決定プロセス、情報保管、情報周知伝達プロセスと四つのプロセスで表し、それぞれのプログラムについて図示している。
 政策レベルでの経営科学者の役割は、マネジャーの不足部分を補うことである。マネジャーの特徴は時間的制約があり口頭伝達を好むということに対して、経営科学者は時間を有しており文書に基づいた分析や理論応用を好むという対照的な特徴があるため、組織内の仕事のプロセスに適用できるのではないかということである。しかし実際にはまだ経営科学者によるサポートは知識不足などの理由により緩慢である。
 予備調査から、上級管理職のスケジューリングのガイドラインを作成できるが、実際は予定作りの方法が確立されるまでは気にしなくてよかったり、突然の変更が生じてしまったり、データが集まっていくことで改善策を分析できるようになることなどの点で差異も見られる。
 情報システムのプログラム化に不可欠な要素として、追跡監視、保管、伝達周知といった三点が挙げられる。追跡監視システムでは、マネジャーは情報本来クチコミなど独自の情報システムから得ているため、情報アナリストの存在が必要である。保管に関しては、マネジャーの持つ情報は文書化が難しいため、何らかの方法によってそれらの情報を公式保管ファイルに移管する努力をしなければならない。情報周知システムでは、すべての情報をインプットすると莫大な費用がかかってしまうため、公式システムと非公式システムの中庸のシステムが必要とされる。しかしどの程度で区切るのかといった点で自動化は難しいとされる。
 戦略策定システムを再プログラム化するためにはマネジャーとアナリストが相互協力をする必要がある。協力できそうな領域としてゝ_饕戯と問題発見費用機会分析モデル構築ぅ灰鵐謄ンジェンシー・プランニングゥ螢▲襯織ぅ猜析Ε廛蹈献Дト・モニター適応性のある計画化といった七点が存在する。

【ディスカッション】
本章によると、情報関係や意思決定関係の役割にはプログラム化できるものが多く存在した。そこで、大手自動車メーカーにAI社長を導入するべきかというディスカッションを行った。
流れは以下の通りである。
6章で書かれている職務をAIが行うことはどこまで可能か
AIは対人関係の役割を行うことはどこまで可能か
私たち株主はAI社長を導入すべきか
AI導入の目的は、利益の最大化であり、これを実行するための意思決定が行われる。
AIの機能はSiri程度のコミュ力、社外への移動・持ち出し不可、提案は不可能、メール・インターネット・会話から情報収集、など。

6章で書かれている職務をAIが行うことはどこまで可能か
スキャニング・プログラムの段階で求められる潜在的重要性など、情報不足によって判断が難しい部分が大きい
社外でのクチコミを得ることができない
下位層のマネジャーがAIに情報を伝えきれない
それ以外のプログラムは基本的に可能

AIは対人関係の役割を行うことはどこまで可能か
フィギュアヘッドの役割、リーダーの役割、リエゾンの役割すべてAIでは不可能であるという意見で一致した。
フィギュアヘッド・・・移動不可なため儀式などに参加することができない
リーダー・・・感情がないため部下のモチベーションを上げることができない
リエゾン・・・移動不可なため外部とのネットワークを開拓することができない

私たち株主はAI社長を導入すべきか
●賛成派の意見
意思決定によって最適解を示してくれるため導入した方が良い
利益が増えることは見込めるため、有能な人材を揃えることで最強の会社にすることが可能
利益の増加で株主の配当も増加される
話題性の獲得で株価が上昇するのでは
●反対派の意見
人間同士のコミュニケーションではないため、周りとの関わりが途絶えてしまう
従業員のモチベーションの低下

これらの意見を踏まえ多数決を行った結果、私たち株主は、AI社長を導入すべきという結論に至った。

きたはら(3年)

マネジャーの実像 第4章「マネジメントの知られざる多様性〜P202」

【要約】
 マネジメントは人生と同じくらい多様性に富んでいる。本章では、外部的要素、組織的要素、職務的要素、一時的要素、個人的要素の5つに分類し、そのすべてを考慮に入れた上でマネジャーの行動を分析している。マネジャーの仕事を考える上で、著者は「文化」「セクター」「業種の違い」という3つの外部要因に注目している。文化は、それぞれのマネジャーがどう活動するかに影響している。セクターはあまり重要なものでなく、業種は現場に近いマネジャーであるほど、業種の影響が大きいことが判明した。
 組織的要素では、まず組織のタイプがマネジャーの行動に及ぼす影響が飛びぬけて強かった。組織の類型は、現在「組織」というおおざっぱな言葉だけで論じている。そのため著者は6つの組織の類型を提示している。組織の歴史の長さや規模といったものは、区別が得てして難しい。次は職務的要素、つまり組織内の階層と監督する業務.昨日の内容についてである。まず「職階」というのは、組織内の正式な序列に基づく地位のこと。この職階はときとしてマネジャーの職階より、組織の規模の方がマネジメントに大きな影響を与えるようだ。「ミドルマネジャー」は部下でもあり上司でもあるマネジャーである。ミドルマネジャーはどこに問題があるかを察知でき、状況の全体像を把握できるのだ。トップ以外のマネジャーが何をマネジメントしているかを見るには、業種·プロジェクトスタッフ部門の三要素が重要である。マネジャーの仕事を理解するうえで、「スケール」と「スコープ」という視点を取りいれる。前者はマネジャーがマネジメントする部署の規模のこと、後者はマネジャーの裁量が及ぶ範囲のことである。これをもとにマネジメントを類型化している。次に、一時的要素(流行など)については、著者の研究ではその影響はあまり見受けられなかった。
 個人的要素は生まれや育ち、経歴などであるが、キャリアの長さが大きく影響を与えていた。それよりも、著者の観察で目に付いたのは、人により行動志向の強さが違うことである。優秀なマネジャーは、周囲の無理解により行動範囲を狭められた状態をすり抜けられる人物であるマネジメントスタイルは様々であるが、それを考える上では第一章で紹介したアート、クラフト、サイエンスの三角形を基にする。3要素をバランスよくミックスすることが重要である。よって、マネジャーとして成功を納めるのは、それぞれに環境に適したスタイルを元々持ち合わせている人かもしれない。


【ディスカッション】
ある企業で新規プロジェクトの立ち上げが開始させたが、マネジャーの選出方法で悩んでいる。マネジャーを選出するにあたって「推薦制」「立候補制」のどちらを選択するべきであろうか?

(推薦派の意見)
・組織内からの推薦があった方が、環境にあった人材を選出できるから。
・他薦であるため、客観的要素が多い
・立候補制にすると、『やる気』はあるが『能力』は乏しい人材が選出されてしまう危険性がある。
・推薦された人は推薦されたことによってモチベーションが向上する

(立候補派の意見)
・新たなスタイルのマネジャーを生み出すことができる。
・その人自身に『やりたい』という意思がある。
・推薦制だと『やりたくない』と感じている人が選出されてしまう。
・意識が高い人たちの集団であれば、立候補制のほうが様々な面で活発化する。

議論の結びとして、「推薦制」「立候補制」のどちらが適切かについて、挙手をしてもらった。結果は、立候補7名、推薦20名となり、「推薦制」のほうが適切と考える人が多いことが分かった。
最後に、これが一般企業のマネジャーではなく『ゼミ長』を決める場合、どちらが適切かを再度質問したところ、立候補4名、推薦23名という結果になった。推薦が多くなった理由として「環境が変化したため」「推薦制という仕組みが常に確立されているから」というような意見が出た。本書で示されたように、マネジメントをする環境によってマネジメントスタイルは変化していくことが判明した。

ささき(4年)

マネジャーの実像 第4章「マネジメントの知られざる多様性」

【要約】
 第4章後半部分では、マネジメントの基本姿勢やマネジメントの類型、そしてマネジャー以外の人物によるマネジメントに焦点が当てられている。まず、マネジメントの基本姿勢では、筆者が29人のマネジャーに調査を行った結果を基に、その日に最もよく表れていた行動のパターンを探し、そのうえで、共通点のあるものをまとめて類型化を行った。本書では、このそれぞれの類型を「マネジメントの基本姿勢」と呼んでいる。マネジメントの基本姿勢とは、その時点でその職において、そのマネジャーがとっている基本的なアプローチと捉える。これは、一つの基本姿勢で過ごすマネジャーはおらず、毎日同じ基本姿勢で過ごすマネジャーもいない。しかし、一定期間持続する基本的なパターンは存在するのである。
 次に、マネジメントの類型では、筆者は9つに類型を行っている。その他にも、期間限定の基本姿勢を二つ紹介している。まず、9つの類型であるが、ゞ般海留潦蠅蔑れを維持する、∩反イ魍杏環境と結びつける、すべてをブレンドする、ぅ螢癲璽肇灰鵐肇蹇璽襪垢襦↓チ反ナ顕修魘化する、戦略的に介入する、Д潺疋襯泪優献瓮鵐帆悗力汎發任離泪優献瓮鵐函↓┘潺疋襯泪優献瓮鵐帆悗力罰阿貌Г濬个好泪優献瓮鵐函↓側面から助言する、に累計されている。そして、期間限定の基本姿勢では、⑴新人マネジャーの基本姿勢、⑵不承不承のマネジャーの基本姿勢、の二つが挙げられている。これらの基本姿勢は、すべての基本姿勢をあわせもつだけでなく、すべてをブレンドしなくてはいけない。
 最後に、マネジャー以外の人物によるマネジメントでは、近年、マネジャーの肩書きをもたない人物が行うマネジメントの重要性が高まっている。マネジャー以外の人物が行うマネジメントについて、その裁量の大きさで筆者は6つの型に分けている。1最大型、2参加型、3分担型、4拡散型、5支援型、6最小型、に分類されている。

【ディスカッション】
 今回のディスカッションでは、マネジャー以外の人物によるマネジメントの類型に注目した。テーマは、「中野ゼミナールにおけるマネジメントモデルは何型か」と設定し、議論を行った。

|飜逎璽潺福璽襪砲けるマネジメントモデルは何型か→拡散型
・中野ゼミでは、ゼミ長や合宿係など、それぞれに役割が決められており、集団型マネジメントを形成していると考えられる。
・マネジャー(中野先生)からそれぞれの役割にはある程度の権限が委譲されている
・チーム研究などでもリーダーが存在し、リーダーの大勢いる組織の形成に当てはまっている
などの上記の理由から現在の中野ゼミナールは、拡散型マネジメントであると結論付けられた。

▲泪優献磧(中野先生)の理想とするマネジメントモデルは何か→分担型
私たちが結論付けたモデルとマネジャーが理想とするモデルには乖離が生じていた。そこで、「なぜマネジャーとゼミ生の間で乖離が生じてしまったのか、理想とするモデルにするためにはどうすればよいか」というディスカッションに進んだ。
()なぜ乖離が生じてしまったのか
・マネジャーの言われたことしか出来ず、+αでなにか行動が出来ない
・そもそもマネジメントとは何かを理解していいない
・マネジャーの意図をくみ取ることが出来ていない

()マネジャーの理想とするモデルにするためにはどうすればよいか
・コミュニケーションを促進し、ゼミ生個人のスタイルを読み取る
・ゼミの手引きを読み、マネジャーの意図を理解する
・係の垣根を超え、お互いがお互いの役割に介入する
などの解決策が上がった。

 今回のディスカッションでは、まずマネジャーとゼミ生の間に乖離が生じてしまっていた。マネジャーの理想とするマネジメントモデルにするためには、まずはマネジャーの意図を全員がくみ取り、理解することから始まるだろう。そして、そのためには、ゼミ生同士のコミュニケーションが必須であり、係などの枠を超えて、マネジャー以外の以外の人物によるマネジメントが現在の中野ゼミでは重要となることがわかった。

さとう(4年)

うどんチェーン店に顧客予測システムを導入すると廃棄したものが減らせるか?

 ローソンは2015年10月までに、全店舗でセミオート発注システムを導入した。このシステムは、弁当や総菜などの発注業務を人工知能(AI)で支援するものである。島津・武田・小笠・山崎(2017)によると、各店舗の販売実績や天候、ポイントカードで把握した顧客属性など、約100項目のデータを基に分析するので、発注すべき品目と商品数を算出できる。この支援によって、業務時間が短くなったり、賞味期限が短い食品を最適な数量で仕入れたり、機会損失と廃棄ロスを削減したりすることができるようになった。実際、対応商品に関しては、全店舗平均で売り上げが3%、粗利益率が2ポイント向上したということだ。

 もしこのようなAIを用いた顧客予測システムをうどんチェーン店に導入すると、機会損失が減らせるし、廃棄ロスを削減することもできるだろう。農林水産省(2015)によると,食品産業全体の食品廃棄物等の年間発生量は20,096千トンであり、前年に比べて2.9%の増加となった。このうち、外食産業は1,995千トンであると推計されている。これにはうどんチェーン店の廃棄物も含まれている。それでは、実際にうどんチェーン店ではどのように廃棄ロスが出るのだろうか?私が働いていたうどんチェーン店を例にして考えてみよう。そのうどんチェーン店ではうどんを茹でる量を管理するのはシフトリーダーの役目である。彼らは基本的にマニュアルの通りに茹でる量を管理していたが、客の来るタイミングを正確に測るのはなかなか難しいようだった。その結果、冷凍のうどんを茹ですぎて、廃棄ロスを出すこともあった。例えば、ある店で午後3時に10名顧客が来ると予測したとしよう。マニュアルに従えば、店員は11名分のうどんを事前に茹でておくことになる。しかし、実際には顧客5名しか来なければ、残りの6人分のうどんは、賞味期限を過ぎれば捨てることになる。これが廃棄ロスを生む原因なのである。ここでもしAIを用いた顧客予測システムを導入すれば、人間の性向や行動などが分析できるようになり、シフトリーダーの予測よりも正確にタイミングが分かるようになるので、最適な数量のうどんを茹でることができるようになるだろう。このように、顧客予測システムをうどんチェーン店に導入することによって、廃棄ロスは今までより減少するはずである。

 しかし、このようにうどんチェーン店に顧客予測システムを導入することに全く問題はないのであろうか? 私は2つの問題があると考える。第一に、そもそもファストフード店に届く食材は冷凍されているものがほとんどという点である。つまり、それを一度でも温めない限りは廃棄ロスにはならないのだ。したがって、発注に関する予測の必要性はあまりないのである。第二に、顧客予測システムの導入に多額のコストがかかる点である。シフトリーダーがきちんとマニュアルを理解してさえいえば、一定程度の顧客の予測は現在でも行われている。通常の顧客予測システムを導入するコストに比べれば、現状のうどん廃棄コストは圧倒的に低い。したがって、各企業が顧客予測システムを導入するのはなかなか現実的でないのである。

 しかし、シフトリーダーがきちんとマニュアルの通りにうどんを茹でたとしても廃棄ロスは必ず出てしまう。残念ながら、うどんチェーン店の廃棄ロス自体はなかなか減らすことができない。では、うどんチェーン店の食品廃棄物を安価に再利用することはできないだろうか?一つの方法として、 うどんのリサイクルが考えられる。実際に香川県ではうどんまるごと循環プロジェクトというコンソーシアムでリサイクルに取り組んでいる。角田(2014)によると、回収した廃棄うどんを発酵装置でバイオエタノールとして再生し、それを燃料にしてうどん店は茹でる。また、バイオエタノール抽出後に生成される残渣に生ごみを混ぜて生成されるバイオガスを用い、それを燃焼させて発電を行うというものである。
 
 このような、うどんリサイクルという取り組みをチェーン店で実現するためには、多額のコストがかかる。しかし、農林水産省が実施している食品リサイクルループ構築支援の補助金(農林水産省2017)を用いれば、ある程度のお金がかかるものの安価に実現できるだろう。では、チェーン店でうどんリサイクルを実現することでどのようなメリットがあるだろうか?まず、取組に対する努力をアピールすることができる。また、 バイオマス燃料を作る量が多ければ多いほど、 発酵装置システムを設置するコストは上がるが、 バイオマス燃料を作る一単位あたりのコストは安くなる(Combined Heat And Power Partnership,2007)。したがって、チェーン店の廃棄うどん量が多ければ多いほど、 一単位あたりのコストはどんどん安くなるだろう。このように、チェーン店は個別うどん店では実現できないコスト削減方法で、より高い費用対効果を得ることができる。

 うどんチェーン店に顧客予測システムを導入しても、廃棄ロス自体はなかなか減らせない。しかし、今までのように廃棄ロスを出せば、食品廃棄物自体は減少させることができない。前述のように、うどんチェーン店が廃棄したうどんをそのまま捨てるのではなく、リサイクルすることができれば、新たなエネルギー資源を生み出すことができる。つまり、廃棄したものを無駄にせず、活用することができるのである。

<参考文献>
Combined Heat And Power Partnership(2007) Biomass Combined Heat and Power Catalog of Technologies,2007;41 2017年11月06日閲覧。
https://www.epa.gov/sites/production/files/2015-07/documents/biomass_combined_heat_and_power_catalog_of_technologies_v.1.1.pdf
島津翔、武田健太郎、小笠原啓、山崎良兵(2017)『AI世界制覇の攻防』『日経ビジネス』1892. 39。 
農林水産省(2015)『平成27年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率』2017年6月29日閲覧。http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syokuhin/attach/pdf/kouhyou-9.pdf 
農林水産省(2017)『食品リサイクルループ(メタン化事業)』2017年11月28日閲覧。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_8-3.pdf
角田富雄(2014)『うどんづくしの循環で、ゼロ・エミッション』『Life and Environment』59(7)、58−60  2017年7月06日閲覧。
Https://docs.wixstatic.com/ugd/b742d0_e1ceaaf85df0499e8be57273a289c1a2.pdf

タン (2年)

WASHハウスの利用者獲得のためには 〜顧客目線での差別化戦略〜

 宇賀神(2017)によると、宮崎発の「WASHハウス」というコインランドリーが、「暗い、狭い」といったイメージを変えつつある。運営面の特徴としては、3点ある。1点目は、フランチャイズチェーン(FC)方式で展開していること。2点目は、店舗運営はWASHハウス本部が担い、FCオーナーは直接関与しないこと。3点目は、本社にあるコールセンターで全店舗を遠隔管理によって一括管理していることである。2004年から九州を中心に店舗網を広げ、現在は、大阪、東京にも出店している。
 
 現在WASHハウスだけでなく、コインランドリーの店舗数自体も増加しつつある。なぜなら、女性の社会進出によって働く女性が増え、昔よりも忙しく時間に余裕がなくなったので、コインランドリーのニーズが高まってきたからである。そのため、特に主婦の利用者が増えた。しかし、家庭用洗濯機の普及率は単身世帯で95.2%、二人以上の世帯では98.8%である(総務省統計局2015)。このような普及率の高さにもかかわらずコインランドリーが使われる理由は、家庭用洗濯機よりも洗濯、乾燥を短時間で行え、布団やカーペットなどの大物も洗うことができるからである。特に雨の日には洗濯物を外に干せず乾かしにくいが、コインランドリーでは乾燥機で洗濯物を素早く乾かすことができるので、利用者が増えている。そのため、10年前よりもコインランドリーの店舗数は約400店増え、現在は16693店である(厚生労働省2013)。
 
 また、同じクリーニング業としてはクリーニング店があり、布団やカーペットなどの大物も洗濯できる。しかし、コインランドリーの店舗数は増加しているのに対し、クリーニング店の店舗数は年々減少している(厚生労働省2012)。減少している理由は3点あると考える。1点目は、前述したように家庭用洗濯機とコインランドリーが増加しているからである。2点目は、コインランドリーの方がクリーニング店よりも値段が一般的に安いからである。例としてクリーニング業界第一位である白洋舎とWASHハウスで布団の料金を比較していきたい。白洋舎の布団の料金は物によって異なるが、4000〜9000円ほどかかる(白洋舎2012)。それに対してWASHハウスの料金は、布団の洗濯に該当する12キロと22キロがあり、12キロは400〜600円、22キロは700〜1000円である(WASHハウス2017)。したがってコインランドリーの方がかなり安く仕上げられるのではないか。3点目は、コインランドリーの方が早く仕上げられると考えるからである。料金と同じように白洋舎とWASHハウスを例に比較していきたい。白洋舎はサービスによってはドライ・ワイシャツなど一定の時間までに預ければ、その日のうちに仕上げられるものもある(白洋舎2012)。店によって時間は異なるが、午前中に預けて夕方に受け取れたりする。一方で、WASHハウスは洗濯30〜40分、乾燥は目安30分である(WASHハウス2017)。このようにクリーニング店でもサービスによっては当日に仕上げられるが、コインランドリーはWASHハウスのように1時間ほどで仕上げられるので、コインランドリーの方が早く仕上げられるのではないだろうか。以上3点の理由からクリーニング店は減少していると考える。
 
 このようにコインランドリーのニーズは特に主婦に対して高まり、最近では待ち時間を有効活用できたり、様々な差別化をしている店舗も現れ、「暗い・狭い」という昔のイメージを変えつつある。そのような変化の中でWASHハウスは、運営面では差別化できているかもしれないが、現状では顧客目線での差別化はあまりできていないのではないかと私は考える。宇賀神(2017)によると、利用者にとってWASHハウスを選ぶ決定打に欠けている面もある。なぜなら、最近ではチェーン展開する競合も現れ、また洗濯・乾燥機自体は技術的に成熟しているため、どのコインランドリーも違いはないからだ。つまり、機器の性能に差があまりないので、利用してもらうためには他で差別化をする必要がある。したがって、私はWASHハウスの顧客目線での差別化が必要だと考える。
 
 では、どのようにすれば顧客目線での差別化が可能であろうか。私は、既存の店舗に加えて店舗を個室化し、そこにAIカメラを導入することを提案したい。個室化する理由は、人目を気にせずにプライバシーを保つことができるからである。実際に私はWASHハウス新宿7丁目店に行き1時間滞在していたところ、利用者10人のうち9割が女性であった。女性の場合、下着を見られたくない人や、あまり人に会いたくない人もいるだろう。そこで個室にすることで、そのような見られたくないものや他人を気にすることなく利用できるようになる。次になぜAIカメラを導入するかというと、不審・異常な動きや音から危険を検知し、知らせることができるので、より事前にトラブルを防止できるようになるからである。WASHハウスには既に店内にライブカメラが設置されている。実際に行ってみると、カメラの映像を写したモニターが洗濯・乾燥機の間に設置されていた。盗難を防ぐことや機器のトラブルが起きた時に、カメラを通じて利用者と話し遠隔操作で解決することができる。店内がどのように写っているのか分かるので、他社よりも安心・安全を意識していると言えるだろう。しかし、店内は無人なので盗難などその場で対応できない問題もある。そこでAIカメラを導入すれば、このような問題が起きる可能性を事前に検知できる。このように個室化とAIカメラを導入することによって、顧客は今までよりも安心・安全に利用できるようになり、プライバシーの保護にも繋がる。このような取り組みが顧客目線での差別化に繋がるのではないか。

 現在、女性の社会進出などからコインランドリーのニーズは高まりをみせ、店舗数も増加し、競合他社も現れつつある。しかし、どのコインランドリーも機器の性能に差がないことから、設備面で利用してもらうための決定打に欠けているのだ。その中でもWASHハウスは、カメラを導入することで、問題があった時には迅速に対応し解決しているなど他社よりも安心・安全を意識している。他社と機器以外で差をつけるためにも、今までの取り組みに加えて、個室化とAIカメラを導入しプライバシーを保護することで、女性客を中心とした顧客がより気軽に利用できる環境を作ることができるだろう。WASHハウスが運営面だけでなく、他社との差別化を図るためには、以上のような顧客目線での新たな取り組みを行うことが必要である。

【参考文献】
白洋舎 (2012)「料金試算・料金表」2017年8月1日閲覧.
http://www.hakuyosha.co.jp/cleaning/price/table02/#price03 
白洋舎 (2012)「サービス」2017年8月1日閲覧. 
http://www.hakuyosha.co.jp/cleaning/clothes/ 
厚生労働省 (2012)「クリーニング業の実態と経営改善の方策」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei22/dl/h22/cleaning_housaku.pdf 
厚生労働省 (2013)「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/pdf/coin-operated_laundry.pdf 
厚生労働省 (2015)「平成27年度衛生行政報告例の概況」2017年7月25日閲覧.
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka3.pdf 
総務省統計局 (2015)「平成26年全国消費実態調査主要耐久消費財に関する結果」2017年7月25日閲覧.
http://www.stat.go.jp/data/zensho/2014/pdf/gaiyo.pdf
宇賀神宰司 (2017)「WASHハウスコインランドリーチェーンの運営 遠隔管理で400店舗を展開」『日経ビジネス』1891, 60-61.2017年8月23日閲覧.
WASHハウス (2017)「サービスサイトWASHハウスの安心・安全」2017年8月6日閲覧.
https://www.wash-house.jp/services/

よしかわ(2年)

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